合唱コンクール

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合唱コンクール(がっしょうコンクール、英:Chorus contest)は、学校企業、音楽協会などによって行われるイベントの1つで、いくつかの合唱団がそれぞれ歌を演奏することによって優劣を競うもの。

概要[編集]

さまざまな目的で合唱コンクールが行われるが、原則として参加団体がアマチュアのみであるため、楽器奏者や声楽家、作曲家のそれに見られるような、「プロとして活躍するための登竜門的存在」ではないという点は共通している。

世界各地にこの種のコンクールが存在し、さまざまな国から合唱団を集める国際的な大会も少なくない。ヨーロッパにおいては19世紀にはすでに一般的に行われていた。19世紀初めからドイツフランススイスなどを中心に合唱運動が巻き起こり、市民の間に合唱が普及していくのだが、その一環として合唱コンクールが取り入れられたのである。

日本で合唱コンクールが行われるようになったのは昭和に入ってからである。作曲家で音楽教育者の小松耕輔が欧米で合唱運動および合唱コンクールの現状に接し、日本に持ち込もうと尽力した結果、1927年に国民音楽協会が設立され、この協会が主催する「第1回合唱競演大音楽祭」が行われた。当初より、コンクールという場で音楽の優劣を決めることへの批判がなされているが、参加団体および聴衆の増加というかたちで、日本国民に合唱を普及させるという目的も果たされており、このコンクールは戦争によって中断されるまで続けられる。1932年には子供のみを対象にした「児童唱歌コンクール」が開催され、幾度かの改名を経て「NHK全国学校音楽コンクール」という名前で今日も続けられている。

学校行事としての合唱コンクール[編集]

学校によって、やり方や、合唱のレベルの高さなどは大きく変わってくるが、一般的には、各クラスの中で指揮者や伴奏者などを決めるなどして、課題曲と自由曲を歌い歌唱力を競う。

練習時間は、音楽の授業はもちろん、昼休みや放課後などに実施するということも少なくない。 練習は、主にカセットテープやCDのほか実際にピアノ伴奏を使って行われるが、学校ごとに設置されるピアノの台数に限りがあるため、同時間帯に練習を行うクラスが複数に及んで使用できなかった場合、代わりにキーボードを使用して練習することもある。

NHK主催の「クラス合唱選手権[1]」なども行われている。

地域の行事として[編集]

市や郡などを単位としてその地域の小学校や中学校の生徒を集めた合唱コンクールもある。後述のコンクールの予選ではなく、独立した大会で、どちらかといえば競争でなく交流を目的とするものである。クラス単位で参加する例、学年単位で参加する例、合唱部が集まる例など様々な場合がある。

合唱コンクールの一覧[編集]

日本の主な合唱コンクール[編集]

以下は全国規模で催されているものである。

日本以外の主な合唱コンクール[編集]

  • セギッツィ国際合唱コンクール (Concorso Internazionale di Canto Corale "C. A. Seghizzi")
    イタリアゴリツィア。ここでは他に声楽コンクール、合唱曲作曲コンクール、合唱指揮コンクールが開かれている。
  • トロサ国際合唱コンクール (Certamen Coral de Tolosa)
    スペイントロサで1969年から開催。
  • タリン国際合唱祭 (International Choir Festival Tallinn)
    エストニアタリンで毎年開催され、Tallinnの右に開催年がつく(第11回は Tallinn 2009)。参加団体は、各々の帰属する国の合唱作品から1960年以降に作曲されたものを演奏することが求められる。
  • フロリレージュ国際合唱コンクール (Concours international de chant choral "Florilège vocal")
    1962年からフランストゥール_(アンドル=エ=ロワール県)で毎年開かれている。国際部門と国内部門がある。

参考文献[編集]

  • 長木誠司「“運動[ムーヴマン]”としての戦後音楽史 1945~」第6回、第7回(『レコード芸術』音楽之友社、2004年6月号-7月号)。著者の公式サイトにも掲載(「日本の『合唱運動』 - ウェイバックマシン」)。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]