厭勝銭

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厭勝銭(ようしょうせん)は、銭をかたどった、護符の一種[1]。災いを避け好運を願うため所持するものであり[2]貨幣として流通されるものではない[3]。俗に「えんしょうせん」[1]「あっしょうせん」[4]とも読む。「厭勝」はまじないによる破邪を意味する[4]

表(おもて)面は、通常の通貨を模すか[1]、「千秋万歳」[1]「天下太平」[4]「長命富貴」[1]「大宜子孫」[1]「花生不老」[1]といった吉祥語や、「去殃除凶」(きょおうじょきょう)[4]「万災永滅」[1]「万病不侵」[1]などの語句が刻まれる。背面は、やはり縁起の良い北斗、双魚、亀蛇(きだ)、竜鳳、新月といった図案や[4]、そのほか人物や動物が刻まれる[1]。背面に上述の吉祥語類が刻まれることもある[1]。厭勝銭の形状は必ずしも銭形とは限らず長方形など様々で[4]おろし金のような形をしたものもある[5]

厭勝銭の起源は、讖緯説が流行した王莽の時代[4]、あるいは前漢時代まで遡り[1]、特に以降も盛んに鋳造され[4][2]、時代が下るにつれて趣味品としての性格も帯びていった[6]日本に伝来したものは絵銭・画銭として珍重され[4]室町時代から江戸時代にかけて親しまれた[3]

厭勝銭が成立した背景には貨幣経済の浸透という社会情勢があり、貨幣が持つ一種呪術的な力が銭という形に仮託されたと一般に考えられている[6]。しかし前漢時代に鋳造された五銖銭に吉祥語を刻んだものがあったり、朝鮮半島や日本では中国から流入した五銖銭が副葬品として使われるなど、流通貨幣と厭勝銭は厳密に区分けできるものではない[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 世界大百科事典』第29巻、加藤周一(編)、平凡社2007年、改訂新版、pp.29-30。ISBN 978-4582027006
  2. ^ a b 日本国語大辞典』第2巻、小学館国語辞典編集部、小学館2001年、第2版、p.756。
  3. ^ a b 大辞林松村明(編)、三省堂2006年、第3版、p.292。ISBN 978-4385139050
  4. ^ a b c d e f g h i 日本大百科全書』第3巻、小学館1994年、第2版、p.750。
  5. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、2014年
  6. ^ a b c 小野正敏(著) 『歴史考古学大辞典』 小野正敏(編)、舘野和己(編)、田辺征夫(編)、吉川弘文館2007年、pp.1194-1195。ISBN 978-4642014373

関連項目[編集]