原口文仁

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原口 文仁
阪神タイガース #94
Haraguchifumihito 20160320.JPG
育成選手時代
(2016年3月20日 阪神鳴尾浜球場
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 埼玉県大里郡寄居町
生年月日 (1992-03-03) 1992年3月3日(27歳)
身長
体重
182 cm
92 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 捕手一塁手
プロ入り 2009年 ドラフト6位
初出場 2016年4月27日
年俸 3,000万円(2019年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

原口 文仁(はらぐち ふみひと、1992年3月3日 - )は、阪神タイガースに所属する埼玉県大里郡寄居町出身のプロ野球選手捕手内野手)。右投右打。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

小学4年生の時に野球を始めると、中学生時代に寄居リトルシニア(現在の深谷彩北リトルシニア)でプレー[2]。中学校からの卒業を機に、帝京高校東京都板橋区)へ進学した。高校時代には、寄居町の実家から学校までの距離を、片道2時間かけて通学。授業と部活動を終えて帰宅した後には、自宅裏に父親が作った打撃ケージで深夜まで練習していた[3]

高校2年時に捕手へ本格的に転向すると、3年夏の第91回全国高等学校野球選手権大会に東東京代表として出場。5番打者として、準々決勝までの3試合で通算打率.385を記録した。県立岐阜商業高校との準々決勝では最後の打者になったが、さまざまな投手の持ち味を活かせるリード[4][5]が評価されて、大会終了後の日米親善高校野球大会にも日本代表の一員として出場した。2学年先輩に中村晃大田阿斗里、1学年先輩に杉谷拳士高島祥平、1学年後輩に山崎康晃がいる。

2009年のNPBドラフト会議で、阪神タイガースから6巡目で指名。契約金3,000万円、年俸480万円(金額は推定)という条件で入団した[6]。入団当初の背番号は52

阪神時代[編集]

2010年ウエスタン・リーグ公式戦9試合に出場。打率.143(7打数1安打)という成績を残した。

2011年、ウエスタン・リーグ公式戦48試合に出場。打率は.329(79打数26安打)で、打数が少ないながらも、2本塁打、11打点という好成績を残した。

2012年、シーズン開始当初に腰を痛めて戦線を離脱[7]。5月初旬に練習へ復帰した直後に、腰の故障が再発した[7]。このような故障の影響で、ウエスタン・リーグ公式戦では、16試合の出場で打率.189(37打数7安打)、打点5という成績にとどまった。さらに、シーズン終了後には、自由契約選手の公示を経て育成選手契約へ移行[8]。育成選手に関するNPBの規約に沿って、背番号を124に変更した。

2013年、4月のシートバッティング中に田面巧二郎からの死球で左手の尺骨を骨折[9][10]。ウエスタン・リーグ公式戦では、17試合の出場で打率.263、2打点という成績を残した。シーズンの終了後には、育成選手の規約に沿って自由契約選手として公示された[11]後に、改めて育成選手契約を結んだ[12]

2014年、ウエスタン・リーグ公式戦57試合に出場。打率.264、5本塁打、13打点を記録した。しかし、秋のフェニックス・リーグで帰塁時に右肩を痛めて離脱。このときに負った脱臼は、捕手を志望する原口にとってヘルニアをこす重荷となった。シーズン終了後は、自由契約選手として公示[13]を経て、11月13日に育成選手としての再契約に至った[14]

2015年、ウエスタン・リーグ公式戦で、自己最多の59試合に出場。打率.220、4本塁打、11打点を記録した。シーズン終了後の11月11日には、3年連続で育成選手契約を更新している[15]

2016年、春季キャンプ期間終盤の2月25日に一軍キャンプへ合流すると、オープン戦の途中まで一軍に帯同した。公式戦開幕後の4月27日付で、3年振りに支配下登録選手へ復帰するとともに、背番号を94へ変更[16]。当日の対読売ジャイアンツ(巨人)戦(阪神甲子園球場)5回裏に代打で一軍公式戦デビューを果たすと、捕手として守備に就いた後に、8回裏の第2打席で田口麗斗から一軍初安打を放った。4月28日の同カードでも、阪神の1点ビハインドで迎えた9回裏1死2・3塁の局面で代打に起用されると、澤村拓一からの犠飛で一軍初打点を記録している[17]。なお、以上の2試合のみ、山田勝彦二軍バッテリーコーチ(背番号82)のユニフォームを借りて出場した。阪神球団が原口の支配下再登録と並行しながら出場選手登録をNPBに申請したことや、当該カード限定で阪神ナインが「輝流ラインユニフォーム2016(1975 - 1978年の阪神ホームゲーム用ユニフォームのリメイク版)」を特別に着用していたこととの兼ね合いで、復帰後の背番号94のユニフォームを手配できなかったことによる[17][18]。4月29日の対横浜DeNAベイスターズ戦(甲子園)[19]からスタメンマスクを任されると、5月4日の対中日戦(ナゴヤドーム)で一軍初本塁打をマーク[20]。5月には、月間通算で打率.380、5本塁打、17打点という好成績を残した末に、セントラル・リーグ(セ・リーグ)野手部門の月間MVPを受賞した。NPBの球団で育成契約を経験した野手では初の受賞で、阪神の捕手としては、第1回(1975年4月)の田淵幸一以来41年振りの快挙であった[21]。5月11日の対巨人戦(甲子園)では、3回表に捕手として本塁上でタッチプレーを敢行した際に、セントラル・リーグ史上初のコリジョンルールの適用による警告を与えられた(詳細後述[22]。5月12日の同カードからは、阪神の捕手では城島健司2011年)以来の[23]クリーンアップ(5番・捕手)でスタメンに起用[24]。5月19日の対中日戦(甲子園)では、自身と同じく育成契約から支配下登録に復帰した田面とのコンビで、8回表に阪神の一軍公式戦史上初の「育成選手出身バッテリー」が実現した。さらに、9回裏の打席で、一軍初のサヨナラヒットを放った[10][25]オールスターゲームには、育成契約を経験したNPB球団の捕手としては初めて出場メンバーに選出(詳細後述[26][27]。その一方で、レギュラーシーズンの終盤には、右肩を痛めたことから一塁手や代打にも起用された。一軍公式戦全体では、107試合に出場。セ・リーグの最終規定打席には届かなかったものの、3割近い打率(.299)、2桁本塁打(11本)、46打点を記録した。捕手として登録されている阪神の野手が、レギュラーシーズンの一軍公式戦で2桁の本塁打を放った事例は、2010年の城島以来6シーズン振りであった[28]。このような活躍を背景に、シーズン終了後の契約更改では、育成契約の影響で480万円であった年俸が2,200万円にまで増加。昇給率は358%で、更改時点では球団の歴代最高記録とされていた(金額・昇給率はいずれも推定)[29]

2017年、プロ入り後初めて春季キャンプを一軍でスタート。キャンプ終了直後の3月1日には同郷(埼玉県出身)・同年齢の女性との結婚を発表した[30]。その一方で、春季キャンプ中には、捕手に加えて一塁の守備練習にも参加。前年の終盤に痛めた右肩での送球に不安が残ることや、前年までのレギュラー一塁手であった右の強打者マウロ・ゴメスが退団したことなどを背景に、オープン戦からもっぱら一塁手としてクリーンアップの一角を担っていた[31]。レギュラーシーズンでは、捕手としての登録を続ける一方で、プロ入り後初めて公式戦を一軍でスタート。「5番・一塁手」としてスタメンに起用された4月6日の対東京ヤクルトスワローズ戦(京セラドーム大阪)では、4-4の同点で迎えた延長11回裏の打席で杉浦稔大からシーズン初本塁打(ソロ本塁打)を放ったことによって、チームをサヨナラ勝ちに導いた。「野球人生で初めて」というサヨナラ本塁打[32]で、阪神の選手としては、2015年5月27日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦で福留孝介が記録して以来のサヨナラ本塁打でもあった[33]。しかし、オープン戦の終盤から打撃の調子が安定しないため、5月上旬からは自身と同じ捕手出身の右打者・中谷将大と交互に「5番・一塁手」へ起用される方針に変更[34]。代打や捕手としての出場も再開した[35]が、月を重ねる度に打率が下がるほど打撃不振が長引いたため、7月12日の対中日戦(甲子園)を最後にスタメンから外れた。8月26日に出場選手登録を抹消される[36]と、左の脇腹を痛めた[37]影響で、一軍へ復帰できないままシーズンを終了。このため、秋季キャンプでは、自身の希望で捕手の練習へ再び取り組んでいる[38]。キャンプ後の契約交渉では、推定年俸2,000万円(前年から200万円減)という条件で契約を更改した[39]

2018年、捕手に再び専念すると、一軍公式戦82試合に出場。4月下旬から梅野と交互に捕手として起用された[40]が、シーズン通算の得点圏打率が.455に達した。57試合で起用された代打での打率は.404で、通算打率(.315)を1割近く上回ったほか、この年に一軍公式戦で放った本塁打(2本)も全て代打で記録した。9月7日の対広島戦(マツダ)では、8回表1死1・2塁からの代打起用でシーズン2号本塁打を放ったことによって、1982年永尾泰憲に並ぶ球団歴代2位の一軍公式戦シーズン22安打をマーク[41]。左打者の桧山進次郎2008年に達成した球団のシーズン代打最多安打記録(23安打)への到達も見込まれていたが、9月14日の対ヤクルト戦(甲子園)で左手第5中手骨を痛めたため、9月21日にこの年初めて出場選手登録を抹消された。一時はシーズン中の一軍復帰が困難と見られていたほどの重症[42]であったにもかかわらず、シーズン最終盤の10月5日に再登録を果たすと、同日の対中日戦(甲子園)8回裏に代打で出場。笠原祥太郎が投じた初球で中前安打を放ったことによって、桧山の持つ球団記録に並んだ[43]。以降も6試合で代打に起用されたものの、いずれもノーヒットで、球団記録の更新までには至らずシーズンを終えた[44]。ちなみに、代打による一軍公式戦でのシーズン23安打は、右打者としての球団最多記録で、左打者を含めてもNPB歴代3位の記録でもある。

2019年、春季キャンプのスタートを二軍で迎える予定だったが、キャンプイン直前の1月24日に、大腸がんを患っていることを自身のtwitter公式アカウントと球団を通じて公表[45]。前年末に受診した人間ドックで判明したもので、シーズン中に実戦へ復帰することを目標に、患部の手術を受けたうえで治療に専念することを明らかにした[46]。同月下旬の手術[47]詳細後述)、2月上旬の退院、リハビリ[48]などを経て、5月8日に中日とのウエスタン・リーグ公式戦(阪神鳴尾浜球場)8回裏に代打で実戦復帰を果たした[49]。この試合から同リーグの公式戦18試合へ出場すると、「4番・指名打者」に起用された6月2日の対ソフトバンク戦(春日総合運動公園野球場)で復帰後初本塁打を記録した(詳細後述[50]。セ・パ交流戦が開幕した6月4日にシーズン初の出場選手登録を果たすと、当日の対ロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)9回表1死3塁の局面で代打に起用。ジョシュ・レイビンから左翼フェンスを直撃する適時二塁打を放った[51]。6月9日の対日本ハム戦(甲子園)でも、3 - 3の同点で迎えた9回裏2死1・2塁の場面で代打に起用されると、秋吉亮からサヨナラ安打を記録[52]。このサヨナラ安打で、同月のセ・リーグサヨナラ賞を受賞した。代打での活躍に加えて、交流戦の期間中に指名打者としてのフル出場や[53]や捕手としての起用も経験したこと[54]を背景に、オールスターゲームにもセ・リーグの「プラスワン投票」(詳細後述)得票数1位で2年振りに出場。7月12日の第1戦(東京ドーム)9回裏2死1塁に代打で2点本塁打[55]、「7番・指名打者」としてスタメンに起用された翌13日の第2戦(甲子園)2回裏の第1打席でソロ本塁打を放ったことによって、2試合にわたりながらも2打席連続本塁打を記録した[56]。一軍の公式戦でも、8月4日の対広島戦(マツダ)5回表2死1塁で代打に起用されると、九里亜蓮が投じた初球で復帰後初本塁打を放っている[57]

選手としての特徴[編集]

遠投100メートル[58]、本塁・二塁間の送球が1.8秒台という強肩[4][59]の持ち主。2012年までのチームメイトの金本知憲が一軍監督として阪神に復帰した直後(2015年11月)の秋季キャンプでは、支配下登録選手の北條史也と並んで、首脳陣から同キャンプのMVPに選ばれた[60]

打者としては、力強いスイングが特徴。2016年の支配下登録復帰後は、一軍公式戦のスタメンで、4番打者や5番打者といったクリーンナップに起用されることがある[61]

育成選手時代の2014年・2015年には、前述した故障の影響で、二軍の対外試合に一塁手としてスタメンで起用されることがあった[62]。しかし、阪神の捕手や野球解説者として原口のプレーを見てきた矢野燿大が2015年のシーズン終了後に「一軍作戦兼バッテリーコーチ」として復帰したことを機に、矢野に対して「(自分は)捕手で勝負したい」と直訴。矢野も、原口を「野球へ熱心に取り組む努力型の選手」として評価していたことから、その直訴を受け入れた[63]。支配下登録選手への復帰を経て一軍に昇格した2016年・2017年にも、他の捕手がスタメンマスクを被る一軍公式戦に一塁手として出場することがあった[64]。2018年には捕手に再び専念。矢野が一軍監督へ就任した2019年には、同期入団の秋山拓巳が先発する試合を中心にスタメンマスクを任されている一方で、梅野がスタメンに起用される試合には一塁手として出場している。

人物[編集]

原口と同じく、2010年に阪神へ入団した城島を「(捕手としての)生きた教材」「師匠」として尊敬している。城島が阪神で現役を引退した2012年までは、城島の自主トレーニングに同行したり、城島に積極的に質問することもあった。その縁で、支配下登録への復帰と一軍への初昇格を同時に果たした時には、野球界を離れていた城島に連絡したという。ちなみに、現在のチームメイトである投手能見篤史や、複数の野球解説者からは「プレーや仕草が城島にそっくり」と評価されている[23][65]

2011年まで投手として阪神に在籍した下柳剛や、ゼネラルマネジャー付育成&打撃コーディネーターを経て2016年から二軍監督を務める掛布雅之からも、野球人生を変えるほど多大な影響を受けている。下柳からはウエスタン・リーグの公式戦でバッテリーを組むたびに、捕手として必要な知識を数多く伝えられたという。打撃でのインパクトのタイミングに苦慮した際には、現役時代の掛布の経験談を基に、素振りを徹底することで打撃フォームを固めた[63]

一軍に昇格した2016年からは、サヨナラヒットを放った5月19日の対中日戦[66]を皮切りに、ヒーローインタビューで「必死のパッチ」(矢野や関本賢太郎が阪神の現役選手時代に多用していた決め台詞)を披露していた[67]。その一方で、2018年12月19日に開催されたファンとの交流イベントでは、「必死のパッチ」に代わるヒーローインタビューの決め台詞を参加者から募集。原口自身が厳選したうえで、自身の苗字(原口)から「必死の"グッチ"(で打ちました)!」というフレーズを、2019年の一軍復帰後から使用している[68]

阪神の一軍に定着してからは、マネジメント業務をオフィスS.I.Cにを委託。2018年には、代打による一軍公式戦でのシーズン最多安打の球団記録を樹立したことを受けて、「FUMIHIT」ブランドのTシャツやマフラータオルが同社から発売された。

エピソード[編集]

NPBオールスターゲームへの出場[編集]

2016年のオールスターゲームファン投票では、各球団からのノミネート選手登録時点(4月中旬)でノミネート対象外の育成選手であったため、投票用紙のマークシートに原口の名前が掲載されなかった[27]。原口への投票にはノミネート外選手用の空欄(1名分)に原口の氏名を書き込むか、1人1日1回限定のインターネット投票で選手リストから原口の項目を選ぶ必要があったが、第1回の中間発表(6月1日)時点で得票数がセ・リーグ捕手部門の2位に到達。第2回の中間発表(同月7日)で1位に浮上する[69]と、最終中間発表(同月20日)まで1位の座を維持した[70]。最終発表の得票数で中村悠平東京ヤクルトスワローズ)に逆転されたため、ファン投票による選出には至らなかった[71]が、ノミネート外選手としては異例の17万4,556票を獲得[72]。結局、チームメイトの藤浪晋太郎岩貞祐太と共に、監督推薦選手として出場した[26]

なお、翌2017年のファン投票では、阪神球団からのノミネート選手として一塁手部門に名を連ねた。しかし、得票数で4位にとどまったこと[73]などから、2年連続の出場に至らなかった。

2018年以降は再びノミネートの対象から外れているが、第2戦を甲子園球場で開催した2019年には、ファン投票を通じて再び出場権を得た。大腸がんの手術から短期間で一軍公式戦への出場にこぎ着けたことなどを背景に、前年から復活した「プラスワン投票」(セ・パ両リーグの未選出選手からファン投票を通じて出場選手を両リーグで1名ずつ追加する制度)で、セ・リーグの得票数1位になったことによる。さらに、第1戦の代打本塁打によって、敢闘選手賞を受賞[74]。2試合を通してファンに夢と感動を届けた選手に贈られるマイナビ賞と、オールスターゲームの期間中にTwitter上で最も注目された選手に贈られるTwitter賞も受賞した[75]。ちなみに2019年には、梅野も阪神球団からのノミネートを経て、セ・リーグ捕手部門のファン投票1位選手として出場[76]。第2戦では、「8番・捕手」としてスタメンに起用されると、2回裏の第1打席で「7番・指名打者」の原口に続いてソロ本塁打を放った[77]

話題になったプレー[編集]

捕手としてスタメンで出場した2016年5月11日の対巨人戦(甲子園)では、3回表2死2塁で中堅手大和脇谷亮太の安打を処理すると、本塁の前に立っていた原口に向けてワンバウンドで返球した。この返球がショートバウンドで三塁側に逸れたことから、原口は左足を本塁方向に広げながら本塁をまたぐ格好で捕球すると、二塁から本塁へ走り込んできた小林誠司に対して本塁の手前でタッチプレーを敢行。このプレーに対して、球審の嶋田哲也は、小林にタッチアウトを宣告した。しかし、審判団の判断でビデオ判定を実施した結果、審判団は(この年からNPBで導入されたばかりの)コリジョンルールを適用。「原口による一連の動作は、コリジョンルールで禁止している(小林の)走路妨害に該当する」として、小林のセーフと得点を認める一方で、原口に警告を与えた[78]。セントラル・リーグの公式戦で、コリジョンルールの適用によって球審のジャッジが覆った事例は、この時が初めてである[79]。責任審判の杉永政信二塁塁審は、嶋田のジャッジをビデオ判定で変更した理由を、「コリジョンルールの下では、走者が塁上にいる場合に、捕手は本塁上であらかじめ走者の走路を空けておかなければならない。(リプレー映像で検証した限りでは)原口は、大和からの返球を待っている時点で(小林の)走路上に立っていた」と説明。原口自身は試合後に、「自分の感覚では、(大和からの返球を)しっかり捕ってから、身体を後方に流しながら(小林への)タッチに行った。(今後はコリジョンルールに)対応していきたい」と述べた[80]

2018年5月15日の対DeNA戦(甲子園)では、0 - 0のスコアで迎えた6回裏2死満塁で代打に起用。左腕投手エドウィン・エスコバーが胸元へ投じた148km/hの速球にバットを折られながらも、先制の2点適時二塁打を放ってチームの勝利に貢献した。「三塁側のファウルゾーンにハーフライナーで飛んだ打球が、スライス回転さながらに大きく曲がったあげく、左翼前のフェアゾーンへ落ちる」という珍しい軌道の二塁打[81]で、後に流体工学の専門家が分析したところによれば、「バットが折れたことによってカルマン渦が発生したために、サッカーの無回転シュートや卓球の無回転サーブと同じ原理で、打球が無回転の状態で外野まで飛んだ」とされる[82]

大腸がんの公表[編集]

大腸がんを患っていることを公表した2019年1月24日には、この日から公開を始めたtwitter上の公式アカウントで、直筆の文章が記された画像を通じて以下のメッセージを最初のツイートとして発信している。

「いつも応援して頂きありがとうございます。皆様にご報告があります、昨年末、人間ドックを受診したところ、ガンと診断されました。しかし、今は、プロ野球選手という立場でこの病気になった事を自分の使命だとも思えます。同じガン患者の方々、またそのご家族の方々にとって少しでも夢や希望となるよう精一杯、治療に励みたいと思っています。今後の予定としては近日中に手術を受け、そのあとリハビリに励んで早期の実戦復帰を目指します。僕には、大切な家族や応援してくださるファンの方々、ともに闘う仲間がいます。常に前だけを向いて進んでいきます。どうか、これからも応援の程宜しくお願い申し上げます」[83]

この告白によって、原口や阪神のファンはもとより、球界やメディア関係者からも原口を応援するメッセージが数多く寄せられた。阪神から2008年に広島へ移籍した後に、胃がんの発見(2016年末)・手術(2017年1月)を経て広島で一軍復帰を目指していた赤松真人は、「(原口の公表には)びっくりしましたが、僕が(実戦に復帰)できているんだから彼もできる」という表現でエールを送った[84]。自身が一軍への復帰を果たした一方で、赤松が現役からの引退を発表した2019年9月7日には、このエールに対する謝意を込めて「赤松さんが元気に野球をやられているのを見て、すごく励みになった。(おかげで)自分(の気持ちが)がもう1回前向きになれたので、これからも僕が頑張ることが(赤松への)恩返しになる」というコメントを出している[85]

大腸がんの手術から一軍へ復帰するまでの経緯[編集]

原口は、上記のツイートを発信した直後(2019年1月末)に大腸がんの手術を受けると、同年3月7日から二軍でトレーニングを再開した[86][87]。5月6日から、ウエスタン・リーグの公式戦で実戦に復帰。代打として最初に出場した対中日戦では、記録は右飛ながら、フルスイングで鳴尾浜球場のフェンス際に大きな飛球を放った。さらに、チームがこの試合でサヨナラ勝利を収めたことから、試合後のマイクパフォーマンスでは観衆に向けて「野球はやっぱり楽しい」とのコメントを残した[88]。翌7日の同カードでは、「5番・指名打者」としてのスタメン起用で復帰後初安打をマーク[89]。5月10日の対オリックス戦で復帰後初マスク[90]、15日の対ソフトバンク戦で復帰後初のスタメンマスク[91]、17日の対広島戦で赤松との同時出場[92]、19日の同カードで「5番・一塁手」として復帰後初のフル出場[93]などを経験した後に、大腸ガンの公表から131日目に当たる6月4日付で一軍へ復帰した[51]

復帰当日の対ロッテ戦では、代打で適時打を放ったことに加えて、チームが大勝したことからヒーローインタビューにも登場。「『一軍は素晴らしい舞台だな』と改めて思った」[94]「これからが(自分にとって)野球人生のリスタート」[95]などと語った。その一方で、復帰に合わせて公表された手記では、「どれだけ長い時間眠っても眠気やアクビが止まらない」といった身体の違和感に2017年の6月頃からずっと悩まされていたことを初めて告白。自身の希望で2018年末に受診した人間ドックで身体に異常が見られたことから、2019年の1月に大腸の内視鏡検査を受けたところ、がん細胞がすぐに見付かったことも明かしている[96]

がんの早期発見・治療に向けた啓発活動[編集]

26歳という若い年齢で大腸がんを発症したプロ野球選手の使命として、手術・退院後の2019年3月4日には、がんの早期発見・早期治療の重要性を啓発する活動に取り組むことを表明。入院中に関係者から見舞い品として贈られたブレスレットと同じ製品を、大腸がん啓発チャリティーグッズ「グッチブレス」として発売したうえで、利益の全額を日本国内のがん患者支援団体へ寄付することも発表した[97][98]

活動の名称は「Move On!~トモニミライへ~」で、「グッチブレス」のデザインにも採用。マネジメントを委託しているS.I.Cからは、売上金の一部を上記の団体に寄付する目的で、「Move On!」「必死のグッチ」というロゴ入りグッズも順次販売されている。

詳細情報[編集]

年度別打撃成績[編集]

















































O
P
S
2016 阪神 107 364 318 38 95 16 0 11 144 46 1 2 2 3 26 0 15 52 8 .299 .376 .453 .829
2017 73 216 186 16 42 12 0 6 72 25 0 0 1 2 22 0 5 36 10 .226 .321 .387 .708
2018 82 124 111 8 35 2 0 2 43 19 0 0 0 0 8 1 5 27 1 .315 .387 .387 .774
NPB:3年 262 704 615 62 172 30 0 19 259 90 1 2 3 5 56 1 25 115 19 .280 .361 .421 .782
  • 2018年度シーズン終了時

年度別守備成績[編集]


捕手 一塁


































2016 87 568 49 3 5 .995 7 73 56 17 .233 9 84 11 1 4 .990
2017 1 1 0 0 0 1.000 0 0 0 0 .000 53 360 36 4 32 .990
2018 32 103 10 0 1 1.000 1 16 13 3 .188 3 6 0 0 0 1.000
通算 120 672 59 3 6 .996 8 89 69 20 .225 62 450 47 5 36 .990
  • 2018年度シーズン終了時

表彰[編集]

記録[編集]

初記録
その他の記録

背番号[編集]

  • 52 (2010年 - 2012年)
  • 124 (2013年 - 2016年4月26日)
  • 94 (2016年4月27日 - )

登場曲[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 阪神 - 契約更改 - プロ野球.日刊スポーツ.2018年12月6日閲覧。
  2. ^ 深谷彩北リトルシニア「原口文仁さん(阪神タイガース)ら当リトルシニアOBが室内練習場を訪問!!!」(2014年12月30日)
  3. ^ ドラ6原口「猛虎の星」になる! デイリースポーツ、2009年11月1日。
  4. ^ a b ハムの隠し玉高校JAPAN帝京・原口 ニッカンスポーツ、2009年10月29日。
  5. ^ プロ野球:ドラフト会議 帝京高校の原口捕手、阪神から6巡目指名/東京 毎日jp, 2009年10月30日。
  6. ^ ドラ6原口“ポスト城島”は古田タイプ デイリースポーツ、2009年11月19日。
  7. ^ a b 阪神原口 城島のニーパッドで実戦復帰だ”. 日刊スポーツ (2012年7月4日). 2013年11月7日閲覧。
  8. ^ 育成選手契約について”. 阪神タイガース公式サイト (2012年11月13日). 2012年11月30日閲覧。
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関連項目[編集]

外部リンク[編集]