南阿蘇鉄道トラ700形客車

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国鉄トラ70000形貨車 > 南阿蘇鉄道トラ700形客車
南阿蘇鉄道トラ700形客車
DB16形に牽引されるトラ700形、TORA200形 リニューアル後の姿
DB16形に牽引されるトラ700形、TORA200形
リニューアル後の姿
基本情報
運用者 南阿蘇鉄道[1]
製造所 汽車製造舞鶴重工業[2]
種車 国鉄トラ70000形貨車[2]
導入年 1986年[3]
運用開始 1986年7月26日[4]
主要諸元
軌間 1,067 mm mm
最高運転速度 25[3] km/h
自重 13.0 t[5]
全長 9,456[5] mm
全幅 2,760[5] mm
全高 3,705[5] mm
台車 2段リンク式[6]
固定軸距 5,000 mm[6]
制動装置 RC
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南阿蘇鉄道トラ700形客車(みなみあそてつどうとら700がたきゃくしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)トラ70000形貨車を改造した2両が1986年昭和61年)から使用されている南阿蘇鉄道トロッコ列車用の客車である[3]。本項では、2007年(平成19年)に製造され、トラ700形と編成を組んで使用される南阿蘇鉄道TORA200形客車(みなみあそてつどうとら200がたきゃくしゃ)[7]についてもあわせて記載する。

概要[編集]

1986年(昭和61年)4月に日本国有鉄道(国鉄)高森線第三セクター鉄道に転換して開業した南阿蘇鉄道では、開業当初から厳しい経営が予想され、将来にわたって乗客が減少することが予想されていたことから、早期に沿線外の乗客を誘致する施策をとる必要があった[3]。開業直後の1986年(昭和61年)夏から貨車移動機を改造したDB10形機関車で、国鉄無蓋貨車を改造したトロッコ客車2両を挟む編成で運転することとなり、トラ70000形に屋根と座席などを取り付けたトラ700形2両が準備された[3]。夏季を中心に運転されたが、2006年(平成18年)の運転を最後にDB10形が新造されたDB16形に置き換えられるのにあわせ整備改良が行われた[8]。2007年(平成19年)5月からは新造されたTORA200形を加えた客車3両を機関車2両で挟む編成に変更されている[7]

トラ700形・TORA200形諸元
形式 トラ700 TORA200
定員(人)[5][9] 40 40
座席定員(人)[5][9] 40 40
全長(mm)[5][10] 9,456 9,125
全幅(mm)[5][10] 2,950 2,998
全高(mm)[5][10] 3,705 3,910
車体長(mm) [9] 8,956 8,200
車体幅(mm) [10] 2,720 2,900
固定軸距(mm) [6][10] 5,000 4,300
車輪径(mm) [9] 860 860
製造数[11][12] 2 1

車体[編集]

トラ700形は、無蓋貨車に難燃性布の屋根を取り付け、4人掛テーブル付ボックスシート10組が車内に設置された[3]。側面には乗降用開き戸が取り付けられ、2tの死重が搭載された[3]。2007年(平成19年)3月には、機関車がDB10形からDB16形に更新され、運転20年を経過したトラ700形に対して、塗装色のからへの変更、旅客用ドアの自動化、雨除け窓の設置、座席の交換などの改造が行われた[8][10]

機関車の出力向上にあわせ、客車を1両追加した3両とすることが可能となり、2007年(平成19年)5月にTORA200形1両が新製された[7]。開閉式窓を備える密閉形客車で、一方の車端に折り戸の915 mm幅の出入口が設けられ、車内は通路を挟んで片側が6人掛、反対側が4人掛のテーブル付きボックスシートとなっている[10]

車歴[編集]

トラ700形・TORA200形車歴
形式 車両番号 製造 製造所 国鉄車番 南阿蘇入籍 改装 廃車
トラ700 70001[11] 1967年[2] 汽車製造[2] トラ73825[2] 1986年7月[11] 2007年3月[13] -
トラ700 70002[11] 1967年[2] 舞鶴重工業[2] トラ74135[2] 1986年7月[11] 2007年3月[13] -
TORA200 20001[12] 2007年5月[12] 北陸重機[12] - - - -

運用[編集]

開業当初から、将来にわたる沿線旅客の減少が懸念された南阿蘇鉄道では、トロッコ列車の導入によって沿線外の旅客を誘致することが計画され、国鉄の無蓋貨車2両を、貨車移動機を改造した機関車2両で挟んで運転するトロッコ列車「ゆうすげ号」が1986年(昭和61年)7月26日から運転された[3]。当初は4月20日ごろからの運転開始を計画していたが、認可申請の遅れにより7月下旬からの運転となった。4月から10月までの土日祝日を中心に運転され、夏休み期間は毎日運転された[3][4]2006年(平成18年)度には座席の改良と、日除けの設置が行われた[14]。最高速度が25 km/hと低いこと、経年による車両性能の低下により、2006年(平成18年)の運転を最後にDB10形が廃車され、翌年以降の運転は新造されたDB16形が担い、トラ700形に対しては座席の交換、自動ドア化などの改装工事が行われた[8]。機関車の出力向上にあわせ、TORA200形1両が2007年(平成19年)5月に新造されて編成に追加され、客車3両での運転となった[8]2016年(平成28年)4月16日に発生した熊本地震により南阿蘇鉄道も被害を受け全線が運休したが、同年7月31日から中松駅 - 高森駅間で運行を再開、トロッコ列車も同区間で運転を再開した[15]

出典[編集]

参考文献[編集]

書籍[編集]

雑誌記事[編集]

  • 鉄道ピクトリアル』通巻480号「新車年鑑1987年版」(1987年5月・電気車研究会
    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 118-130
    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「南阿蘇鉄道DB10形、トラ700形トロッコ列車「ゆうすげ号」」 pp. 173
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 202-203
    • 「竣工月日表」 pp. 203-215
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻644号「新車年鑑1997年版」(1997年10月・電気車研究会)
    • 藤井 信夫、大幡 哲海、岸上 明彦「各社別車両情勢」 pp. 86-101
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻795号「鉄道車両年鑑2007年版」(2007年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2006年度民鉄車両動向」 pp. 116-141
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 196-200
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 222-235
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻810号「鉄道車両年鑑2008年版」(2008年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2007年度民鉄車両動向」 pp. 122-151
    • 南阿蘇鉄道(株)鉄道部 津留 恒誉「南阿蘇鉄道 トロッコ列車新編成」 pp. 205-206
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 210-214
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 242-255

Web資料[編集]