卒業 (1967年の映画)

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卒業
The Graduate
The Graduate Title.png
監督 マイク・ニコルズ
脚本 バック・ヘンリー
カルダー・ウィリンガム英語版
原作 チャールズ・ウェッブ英語版
卒業英語版
製作 ローレンス・ターマン英語版
製作総指揮 ジョーゼフ・E・レヴィーン
出演者 ダスティン・ホフマン
アン・バンクロフト
キャサリン・ロス
音楽 ポール・サイモン(挿入歌)
デイヴ・グルーシン(劇伴)
主題歌 サイモン&ガーファンクル
サウンド・オブ・サイレンス
撮影 ロバート・サーティース
編集 サム・オスティーン
製作会社 ローレンス・ターマン・プロダクションズ
配給 アメリカ合衆国の旗 Embassy Pictures
日本の旗 UA
公開 アメリカ合衆国の旗 1967年12月21日
日本の旗 1968年6月8日
上映時間 105分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $3,000,000
興行収入 世界の旗 $105,015,008[1]
配給収入 日本の旗 3億443万円[2]
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卒業』(そつぎょう、The Graduate)は、1967年アメリカ合衆国青春恋愛映画。監督はマイク・ニコルズ、出演はダスティン・ホフマンアン・バンクロフトキャサリン・ロスなど。原作はチャールズ・ウェッブ英語版による同名小説英語版アメリカン・ニューシネマを代表する作品の一つ。日本では翌1968年(昭和43年)に公開。

テーマ曲は、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」。

ストーリー[編集]

米国東海岸の有名大学陸上部のスターで新聞部長でもあったベンジャミン・ブラドック(ダスティン・ホフマン)は、卒業を機に西海岸カリフォルニア州南部のパサデナへ帰郷する。友人親戚一同が集った卒業記念パーティーで、将来を嘱望される若者に人々は陽気に話しかける。そのパーティーで、父親(ウィリアム・ダニエルズ)の職業上のパートナーであるミスター・ロビンソンの妻のミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)と再会する。卒業記念のプレゼント、赤いアルファロメオ・スパイダー・デュエットでミセス・ロビンソンを送ったベンジャミンは、彼女から思わぬ誘惑を受ける。

一度は拒んだベンジャミンだったが、いま目標を失っている彼に示された道は他になかった。大学院への進学を期待されながらもどこに進学するか決めないでうつろな夏休みが始まる。夜ごとの逢瀬。それでもぬぐい去れない虚無感。心配した両親は、同時期に北部のバークレーの大学から帰郷した幼なじみのエレーン・ロビンソン(キャサリン・ロス)をデートに誘えという。一度きりのデートでわざと嫌われるようにし向けるはずが、ベンジャミンはエレーンの一途さに打たれ、二度目のデートを約束してしまう。

二度目のデートの当日、約束の場所に来たのはミセス・ロビンソンだった。彼女はベンジャミンにエレーンと別れるように迫り、別れないならベンジャミンと交わした情事を娘に暴露すると脅す。焦燥したベンジャミンはエレーンに自ら以前話した不倫の相手は、他ならぬあなたの母親だと告白する。ショックを受けたエレーンは、詳しい話も聞かずに、ベンジャミンを追い出す。

エレーンを忘れられないベンジャミンは、彼女の大学に押しかけ、大学近くにアパートを借り、エレーンを追いかける。結婚しようという彼の言葉を受け入れかけたある日、しかし、彼女は退学していた。そしてベンジャミンはエレーンが医学部卒業の男と結婚することを知る。

どうにか彼女の結婚が執り行われているサンタバーバラにある教会を聞きだして、そこまで駆けつけたベンジャミンは、エレーンと新郎が今まさに誓いの口づけをした場面で叫ぶ。「エレーン、エレーン!」。ベンジャミンへの愛に気づくエレーンはそれに答える。「ベン!」。

ベンジャミンを阻止しようとするミスター・ロビンソン。悪態をつくミセス・ロビンソン。二人は手に手を取って教会を飛び出し、バスに飛び乗る。バスの席に座ると、二人の喜びはやがて未来への不安に変わり、背後に「サウンド・オブ・サイレンス」が流れる。

キャスト[編集]

俳優 日本語吹替
TBS テレビ東京 機内上映版
ベンジャミン・ブラドック ダスティン・ホフマン 高岡健二 井上倫宏 野沢那智
ミセス・ロビンソン アン・バンクロフト 奈良岡朋子 塩田朋子
エレーン キャサリン・ロス 林寛子 石塚理恵 上田みゆき
ミスター・ロビンソン マーレイ・ハミルトン 宮川洋一 小川真司
ミスター・ブラドック ウィリアム・ダニエルズ 宮田光 佐々木梅治
ミセス・ブラドック エリザベス・ウィルソン 香椎くに子 久保田民絵
カール ブライアン・エイヴリー 古川登志夫
フロント係 バック・ヘンリー 西村知道
ミスター・マクガイア ウォルター・ブルック英語版 峰恵研
ミスター・マックリーリー ノーマン・フェル英語版 田中康郎
下宿屋の住人 リチャード・ドレイファス
(クレジットなし)[3]
その他声の出演:広瀬正志斉藤昌峰あつ子、尾崎桂子、山田礼子鈴置洋孝村山明谷口節塩沢兼人西村知道
演出:佐藤敏夫、翻訳:木原たけし、調整:山下欽也、プロデューサー:熊谷国雄、解説:荻昌弘、製作:東北新社/TBS
  • テレビ東京版 :初回放送2000年12月24日『20世紀名作シネマ』
その他声の出演:大塚仁志、小山武宏長克巳伊藤和晃定岡小百合水原リン宮澤正田畑ゆり梅田貴公美丸山純路くわはら利晃小野塚貴志川村拓央
演出:木村絵理子、翻訳:森みさ、効果:リレーション、調整:田中和成、製作担当:河村常平、プロデューサー:久保一郎/八田紳作、製作:東北新社/テレビ東京

※ 2015年3月4日発売の『ユニバーサル思い出の復刻版 ブルーレイ』にはTBS版が収録

音楽[編集]

サイモン&ガーファンクルの楽曲と、デイヴ・グルーシンが作曲したインストゥルメンタルが使用された。本作のサウンドトラック・アルバムは全米1位を獲得して[4]グラミー賞では最優秀インストゥルメンタル作曲賞(映画・テレビ音楽)部門を受賞した[4]

その他[編集]

  • 本作を象徴する「花嫁を結婚式の最中に、花婿から奪うシーン」は、公開から半世紀以上経つ現在まで数多くのパロディが制作されている[注 1]。一例では、アニメ『うる星やつら オンリー・ユー』で、ラムが花婿のあたるを花嫁のエルから奪うシーンなどがある。ドラマ『ウエディングプランナー SWEET デリバリー』では、ユースケ・サンタマリア演じる大森トオルが「『卒業』に登場する結婚式で花嫁に逃げられる婚約者」(と同じ境遇)であると自己紹介する。日本におけるパロディでは「ちょっと待った!」と叫んで式場に闖入するパターンが散見されるが、これは『ねるとん紅鯨団』の告白タイムのやりとりと混同されたもので、実際のシーンでは花嫁の名前を叫んでいる。
  • ラストシーンで笑顔の二人が次第に不安になっていく様が映されるが、これは演者にわざと長く笑顔の演技をさせた後にカットがかかったように見せかけ、やっと終わったと思わせる事で再現している。また、カットの声を敢えて遅らせることで二人の不安感を強調している。監督のニコルズによると、彼らの未来が決して明るいだけではないことを暗示させたかったからであるという。
  • 本作の後日譚として、 2007年に『「卒業」Part2』原題(Home School)が出版された。
  • ダスティン・ホフマンとアン・バンクロフトは第65回アカデミー賞授賞式(1993年)の脚本/脚色賞プレゼンターを務めた。途中二人は目を合わせ、ホフマンが「Are you trying to seduce me?(僕を誘惑するつもり?)」と訊くと、バンクロフトは「Not anymore.(もうしない)」とオチをつけた。

作品の評価[編集]

映画批評家によるレビュー[編集]

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「音楽、演技、大学卒業後の倦怠感を的確に捉えた『卒業』の青春ストーリーは確かに時代を超えたものである。」であり、82件の評論のうち高評価は87%にあたる71件で、平均点は10点満点中8.9点となっている[6]Metacriticによれば、19件の評論のうち、高評価は15件、賛否混在は4件、低評価はなく、平均点は100点満点中83点となっている[7]

受賞歴[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ただし、こうしたシーンは『卒業』以前の先例がないわけではない。バスター・キートンは長編第1作『キートンの恋愛三代記(1923)』 (The Three Ages) で、ハロルド・ロイドは『猛進ロイド英語版(1924)』(Girl Shy) で、それぞれ同様のシーンをクライマックス・シーンに採用している。

出典[編集]

  1. ^ The Graduate” (英語). Box Office Mojo. IMDb. 2021年2月16日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)251頁。
  3. ^ The Graduate (1967) - Full Cast & Crew” (英語). IMDb. 2021年2月16日閲覧。
  4. ^ a b The Graduate [Original Soundtrack] - Simon & Garfunkel - Awards” (英語). AllMusic. 2021年2月16日閲覧。
  5. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 1』講談社、2003年。
  6. ^ The Graduate (1967)” (英語). Rotten Tomatoes. 2021年2月16日閲覧。
  7. ^ The Graduate Reviews” (英語). Metacritic. 2021年2月16日閲覧。

外部リンク[編集]