北陸電力送配電

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
北陸電力送配電株式会社
当社の本社(北陸電力本店)
当社の本社(北陸電力本店)
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
富山県富山市牛島町15番1号
設立 2019年平成31年)4月1日
業種 電気・ガス業
法人番号 4230001017826 ウィキデータを編集
代表者 水野 弘一(代表取締役社長
資本金 5百万円
決算期 3月31日
主要株主 北陸電力(100%)
外部リンク http://www.rikuden.co.jp/nw/
テンプレートを表示

北陸電力送配電株式会社(ほくりくでんりょくそうはいでん)は、2020年(令和2年)4月に北陸エリア富山県全域、石川県全域、福井県越前地方岐阜県の一部)を供給区域とする一般送配電事業者となる予定の会社。北陸電力の100%子会社。

概要[編集]

当社は、北陸電力が営む一般送配電事業を引き継ぎ、送電線変電所などを維持・運用し、発電事業者や小売電気事業者を相手に、発電量調整供給、接続供給などの送配電サービスを提供する予定の会社である。電気事業法の大改正(電力システム改革)によって、2020年(令和2年)4月には、一般送配電事業の中立性の確保のため、一般送配電事業者が発電事業や小売電気事業を兼営することが原則、禁止される(法的分離)。このため、北陸電力は、自社の一般送配電事業の移管先として、当社を設立した。

当社は、2019年(平成31年)4月1日に設立された。2020年(令和2年)4月1日に、北陸電力から一般送配電事業を承継する予定である。

電気事業の概要 [編集]

北陸電力送配電は、2019年(令和元年)9月時点では、事業を行っていない。以下は、2020年(令和2年)4月に当社が承継する予定の事業(現時点では北陸電力送配電事業本部の事業)に関する記述である。

供給区域 [編集]

当社が経済産業省から許可を受けて一般送配電事業を営む供給区域(供給エリア)は、次のとおりである(北陸エリア)。北陸エリアの面積は、12,272 km2であり、日本国内の10エリア中、沖縄電力のエリア(2,281 km2)の次に小さい[1]

福井県は、越前地方のみが北陸エリアであり、若狭地方は、関西エリアである。関峠が両社の境界である。

岐阜県内に北陸電力の供給区域は2箇所ある。飛驒市のうち、富山県に隣接する北部と、郡上市のうち、福井県に隣接する西部(白鳥町石徹白地区)である。石徹白地区は、かつて福井県大野郡石徹白村であったが、1958年(昭和33年)に越県合併した経緯がある。

北陸エリアの電力系統の概要[編集]

北陸エリアの標準周波数は、60 Hzである。

2018年度(平成30年4月~平成31年3月)1年間の北陸エリアの需要電力量は、29,953百万kWhであり、同じ1年間の日本全国の需要電力量(896,473百万kWh)の約3.3%であった[2]。エリア別の需要電力量は、10エリア中第8位であり、第1位の東京エリア(289,387百万kWh)の約1割の規模であった[2]。北陸エリアより需要電力量の小さいエリアは、四国エリア(27,382百万kWh)、沖縄エリア(7,924百万kWh)であった[2]

2018年度の最大需要電力は、8月22日(水曜日)午後3時に記録した521万kWであった[3]。一方、2018年度の最小需要電力は、5月6日(日曜日)午前1時に記録した208万kWであった[3]。最大需要電力は、最小需要電力の約2.5倍であった。

2013年度~2017年度(平成25年4月~平成30年3月)の5年間の平均で、北陸エリアの低圧電灯需要家1軒当たりの停電回数は、年間0.18回であり、1軒当たりの停電時間は、1年当たり22分間であった[4]。日本全国では、同じ期間の平均で、低圧電灯需要家1軒当たりの停電回数は、年間0.20回、1軒当たりの停電時間は、1年当たり20分間であった[4]。なお、日本で最も停電が少なかったのは、関西エリアであり(停電回数0.09回、停電時間7分間)、次に停電が少なかったのは、東京エリア(停電回数0.11回、停電時間8分間)であった[4]

事業内容[編集]

北陸電力送配電は、一般送配電事業者として、北陸エリアの送電設備・変電設備・配電設備(送配電網)を建設・所有・保守するとともに、北陸エリアの電力系統を運用し、エリア内で各種の送配電サービスを提供する予定である。

接続供給[編集]

接続供給は、発電所など(受電地点)から電気を当社の送配電網に受け入れるのと同時に、当社の供給エリア内の需要家の負荷設備(供給地点)に当社の送配電網から電気を供給するサービス(要するに、電気の宅配サービス)である。電気の需要家が直接、申し込むサービスではなく、発電所から調達した電気を需要家に販売する小売電気事業者が利用するサービスである。

北陸エリアでは、需要家に電気を供給する電気方式・電圧・周波数は、次のとおりとなっている。

  • 低圧電灯
  • 低圧動力
  • 高圧
    • 交流3相3線式・6,000 V・60 Hz
  • 特別高圧
    • 交流3相3線式・20,000 V・60 Hz
    • 交流3相3線式・30,000 V・60 Hz
    • 交流3相3線式・60,000 V・60 Hz
    • 交流3相3線式・70,000 V・60 Hz
    • 交流3相3線式・140,000 V・60 Hz

振替供給[編集]

当社の送配電網は、他社の送配電網と会社間連系点でつながっている。振替供給は、発電所など(受電地点)から電気を当社の送配電網に受け入れるのと同時に、受け入れた地点とは異なる会社間連系点で当社の送配電網から電気を供給するサービスである。当社の送配電網に連系する発電所から会社間連系点までの振替供給を地内振替と称し、会社間連系点から別の会社間連系点までの振替供給を中継振替と称する。

発電量調整供給[編集]

発電量調整供給は、発電所(受電地点)から電気を当社の送配電網に受け入れる際に、計画値の電力量に対する不足分(不足インバランス)を補給し、余剰分(余剰インバランス)を引き取るサービスである。発電所を運営する発電事業者が契約するサービスである。

需要抑制量調整供給[編集]

需要抑制量調整供給は、当社のエリア内の需要家が需要抑制した分の電力量を、需要家の代わりにネガワット事業者が引き取る際に、計画値の電力量に対する不足分(不足インバランス)があれば補給し、余剰分(余剰インバランス)があれば引き取るサービスである。

最終保障供給[編集]

最終保障供給は、いずれの小売電気事業者からも電気の供給を受けていない高圧・特別高圧の需要家に対し、1年未満の契約期間中、電気を供給するサービスである。

離島供給[編集]

離島供給は、石川県輪島市に属する舳倉島の需要家に電気を供給するサービスである。

再生可能エネルギー電気の固定価格買取[編集]

中部電力パワーグリッドの送配電網に連系する再生可能エネルギー発電設備のうち、固定価格買取制度の認定を受けたものから、一定期間、電気を固定価格で買い取る。買い取った電気は、自社で使用する分以外は、小売電気事業者に卸供給する。買取価格と卸供給価格との間に生ずる逆ザヤは、費用負担調整機関(低炭素投資促進機構)から受け取る交付金で穴埋めする。この交付金の原資は、小売電気事業者が需要家から電気料金と合わせて徴収する再生可能エネルギー発電促進賦課金である。

設備[編集]

北陸電力送配電の500 kV変電所(北陸エリアの500 kV系統に連系する他社の設備も表示)
1
北陸電力 志賀原子力発電所
2
中能登変電所
3
加賀変電所
4
北陸電力送配電 南福光変電所・中部電力パワーグリッド 南福光連系所
5
越前変電所
6
関西電力送配電 嶺南変電所

設備の概要[編集]

2019年(平成31年)3月時点で、送電設備として、架空電線路の亘長が3,177 km、地中電線路の亘長が149 km、支持物(鉄塔など)が12,664基ある[5]。また、変電設備として、変電所203箇所がある[5]。さらに、配電設備として、架空電線路の亘長が42,000 km、地中配電線路の亘長が1,451 km、支持物(電柱など)が601,955基、変圧器(柱上変圧器など)が386,176個ある[5]

北陸エリアの電力系統は、本州の系統と、舳倉島(石川県輪島市)の単独系統とに分離している。石川県七尾市能登島は、本州の系統と一体である。本州の系統は、上述の供給区域内だけでなく、岐阜県内の供給区域外にも存在する。

当社の電力系統で採用する電圧階級は、500 kV、275 kV、154 kV、77 kV・66 kV、22 kV、6.6 kVである[6]。77 kVは、石川県(能登を除く)と福井県で使用し、その他の地域は66 kVを使用する[6]

当社の電力系統図(特別高圧のみ)は、当社公式サイト「空容量等の情報公開」で公開されている。

本州の設備[編集]

500 kV送電線は、志賀原子力発電所(石川県羽咋郡志賀町)を起点に、志賀中能登線(亘長 15.84 km)→中能登変電所(石川県羽咋郡志賀町)→能登幹線(亘長61.04 km)→加賀変電所(石川県金沢市)→加賀幹線(亘長70.00 km)→越前変電所(福井県福井市)が第1のルートである。

第2のルートは、中能登変電所→能越幹線(亘長68.78 km)→南福光変電所(富山県南砺市)→加賀福光線(亘長12.72 km)→加賀変電所である。

中能登変電所は、上述した500 kV志賀中能登線、500 kV能登幹線、500 kV能越幹線のほか、志賀原発からの275 kV志賀原子力線七尾大田火力発電所(石川県七尾市)からの275 kV七尾火力線などが接続する「扇のかなめ」である。

275 kV送電線は、富山新港火力発電所(富山県射水市)→新港幹線(亘長13.56 km)→新富山変電所(富山県射水市)→新富山幹線(亘長28.57 km)→城端開閉所(富山県南砺市)→中央幹線(亘長24.47 km)→加賀変電所というルートや、敦賀火力発電所(福井県敦賀市)→敦賀火力線(亘長19.33 km)→南条変電所(福井県南条郡南越前町)→南条越前線(亘長31.32 km)→越前変電所というルートなどがある。

中部北陸間連系設備[編集]

北陸電力の南福光変電所(富山県南砺市)に隣接して、中部電力南福光連系所がある。連系所には、三相交流→直流→三相交流という変換を行う設備があり、北陸電力の系統と中部電力の系統とが直流を介して連系する。容量は、300 MW(30万kW)。連系所からは、中部電力の500 kV越美幹線が伸びる。

北陸関西間連系線[編集]

北陸電力越前変電所(福井県福井市)と、関西電力嶺南変電所(福井県三方郡美浜町)との間を、500 kV越前嶺南線が結ぶ。亘長約73 kmのうち5.46 kmが北陸電力の所有である。

したがって、現在の連系点は、越前変電所である。関西電力の275 kV新北陸幹線が富山県内から関西方面に通じており、一時期は、その途中の城端開閉所(富山県南砺市)で両社の系統を連系していた。

東北エリアとの関係[編集]

北陸エリアと東北エリアとの境界は、富山県下新川郡朝日町新潟県糸魚川市との境界にある。両エリアの配電線は、境界を流れる境川を越えてつながっている。東北エリアの大部分は、標準周波数が50 Hzであるが、糸魚川市西部(橋立、清水倉、市振、玉ノ木、上路地区)は例外的に、北陸エリアと同じ標準周波数60 Hzである。

東京エリアとの関係[編集]

今見ダムの写真
富山共同自家発電株式会社の葛山発電所(本文参照)の取水のために神通川水系高原川をせき止める今見ダム。ダムより上流側で川を横断する2回線の送電線のうち1回線が、東京電力パワーグリッド栃尾線(本文参照)である。

東京電力パワーグリッド(東電PG)の154 kV栃尾線は、北陸電力の栃尾発電所(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷にある水力発電所)から安房峠を越えて東京電力ホールディングスの霞沢発電所(長野県松本市にある水力発電所)に達する送電線である。両発電所は50 Hzと60 Hzのどちらでも発電できる。北陸電力から東電PGに電気を融通する際は、栃尾線を50 Hzで運用し、逆向きに電気を融通する際は、60 Hzで運用する。

東電PGの系統と北陸電力の系統との間に周波数変換設備はないため、周波数の異なる両系統間で直接融通できる電気は、付近の50 Hz・60Hz両用の水力発電所で発生する電気に限られる。岐阜県内では、北陸電力の中崎発電所、栃尾発電所、富山共同自家発電株式会社の葛山発電所、見座発電所が50 Hz・60 Hz両用である(いずれも岐阜県高山市、神通川水系高原川)。

舳倉島の設備[編集]

北陸電力送配電の発電所
1
舳倉島発電所

舳倉島は、能登半島の北約50 kmの日本海に浮かぶ孤島である。本州から送電できないため、舳倉島発電所(内燃力発電所)を設置し、島内の電気を賄う。燃料は、A重油。出力は、3ユニット合計で288 kWである[7]

沿革[編集]

2013年(平成25年)4月、第2次安倍内閣は、「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。内閣は、この方針のもと、2013年(平成25年)から2015年(平成28年)にかけ、電気事業法の大幅な改正案を3回に分けて国会に提出し、改正案は全て成立した。電力システム改革である。

第2弾の改正により、2016年(平成28年)4月、電気事業者の類型が整理され、一般電気事業者という類型が廃止された。従来、一般電気事業者として北陸で発電・送配電・小売の全てを手掛けてきた北陸電力は、改正電気事業法では、発電事業者 兼 一般送配電事業者小売電気事業者と位置付けられた。一般送配電事業は許可制として、北陸電力が北陸の送配電網をほぼ独占することになった。

発電と小売の分野で様々な事業者が公平な条件で健全な競争を行うためには、実質的に地域独占の一般送配電事業者が全ての発電事業者・小売電気事業者に対して中立の立場で公平に送配電サービスを提供することが必要である。一般送配電事業者による発電事業や小売電気事業の兼営は、一般送配電事業の中立性の確保を難しくするため、第3弾の改正で、これを禁止することになった(法的分離)。

このため、旧一般電気事業者各社は、一般送配電事業を子会社に移管するなど、第3弾改正の施行に対応する必要に迫られた。北陸電力では、法的分離に備えるため、2018年(平成30年)7月、社内に「送配電事業本部」を設置した。そして、「送配電事業本部」の事業の移管先として、2019年(平成31年)4月1日、北陸電力送配電株式会社が設立された。

同月、北陸電力と北陸電力送配電との間で、吸収分割契約が結ばれた。6月、北陸電力の株主総会でこの契約が承認された。したがって、この契約が発効する2020年(令和2年)4月、北陸電力から北陸電力送配電に「送配電事業本部」の事業が移管される。

歴代社長[編集]

北陸電力送配電の歴代社長
氏名 就任 備考
水野弘一 2019年(平成31年)4月1日 2020年(令和2年)3月までは、北陸電力代表取締役副社長・副社長執行役員・送配電事業本部長を兼任

出典[編集]

  1. ^ 経済産業省資源エネルギー庁, ed (2018). 2017年版電気事業便覧. 一般財団法人経済産業調査会. p. 27. 
  2. ^ a b c 電力広域的運営推進機関 (2019). 電力需給及び電力系統に関する概況: 2018年度の実績. 電力広域的運営推進機関. p. 7. 
  3. ^ a b 電力広域的運営推進機関 (2019). 電力需給及び電力系統に関する概況: 2018年度の実績. 電力広域的運営推進機関. pp. 11-13. 
  4. ^ a b c 電力広域的運営推進機関 (2018). 電気の質に関する報告書: 2017年度実績. 電力広域的運営推進機関. pp. 14-17. 
  5. ^ a b c 北陸電力株式会社 (2019). 有価証券報告書(2018年度). 北陸電力株式会社. p. 19. 
  6. ^ a b 北陸電力株式会社 (2019). 設備形成ルール(特高編). 北陸電力株式会社. p. 4. 
  7. ^ 北陸電力株式会社. “発電所一覧”. 北陸電力株式会社. 2019年7月8日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]