北の国から〜遥かなる大地より〜

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北の国から〜遥かなる大地より〜
さだまさし楽曲
リリース1982年9月11日
規格シングルレコード(EP盤)
ジャンルインストゥルメンタル
ドラマ主題曲
時間3分37秒
レーベルフリーフライトレコード
作曲者さだまさし
その他収録アルバム
  • シングル「長崎小夜曲
  • ベスト・アルバム『さだまさしシングルス全集 第4巻』
  • サウンドトラック『北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン』
  • サウンドトラック『北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン 完全版』
  • サウンドトラック『北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン 完全盤』
収録曲
  1. 長崎小夜曲
  2. 北の国から─遙かなる大地より 〜蛍のテーマ

北の国から〜遥かなる大地より〜」(きたのくにから はるかなるだいちより)あるいは「北の国から〜遙かなる大地より〜[1]は、さだまさしが作曲した楽曲で、テレビドラマ『北の国から』の主題歌である。曲名の表記は単に「北の国から」や「遥かなる大地より」「遙かなる大地より」また「北の国から メインテーマ」とも表記される。

楽曲の概要[編集]

作曲・編曲ともさだ自身による楽曲で基本は歌詞のないインストゥルメンタル[2]であるが、さだと白鳥座によるコーラスが入る[3]。また、さだのレコードによるオリジナルバージョンでは、「遥かなる大地より」に引き続いて「螢のテーマ」が演奏されるためにタイトル表記は、「北の国から 遥かなる大地より〜螢のテーマ」となる。なお、ドラマ『北の国から』にて使用されているものと同じ音源は、レコード・CD化されていない。

現在では北海道を象徴する楽曲としてバラエティ番組で黒板五郎の物真似をしている時などで使われたり、全国各地の百貨店などで開催される北海道物産展で流されるほか、北海道日本ハムファイターズレバンガ北海道の応援などにも使用されている。

作曲の経緯[編集]

さだまさしがコンサートツアーで札幌に行った1980年12月15日、さだと当時のバンドのギタリスト坂元昭二は『北の国から』の脚本家倉本聰富良野の自宅に呼ばれ、連続ドラマ版の第1回・第2回のビデオ[4]を見せられた。倉本に感想を聞かれたさだが「これは大ヒットしますよ」と答えたところ、倉本に「じゃ、まさしが音楽やって」と言われてしまった。

当初さだ自身は九州長崎県長崎市)出身でもあってか、「北海道には地元出身のシンガーがいるだろう?[5][6]」と答えたが、倉本は「そんな事は関係ないから、是非さださんに作って貰いたい」と答えた。問答の末にさだが承諾したところ、今度は「今作れ!」といわれた為、即興で作ることになった[7]

さだは、北海道の広大な大地をイメージしたメロディーラインを「♪ああーあああああーあ(語尾下げて)」と発したところ、倉本が「それいいね。で、その続きは?」と言い、「♪ああーあああああー(語尾上げて)」と発した。さらに倉本の「続けて」に対して、さだは「♪んんーんんんんんーん、んんん、んんんんんー」と呼応。これを聞いた倉本が「いいね。これでいこう」とそのまま決定。メロディーラインを即興で考え発しただけのつもりが、イントロのギターからAメロ・Bメロと、その時の即興メロディー案がそのまま採用され、わずか10分ほどで基本が出来上がったという[8]

以降、さだ自身がインタビュー取材やコンサートのトークで「僕が作った曲の中で一番素晴らしいのは『北の国から〜遥かなる大地より〜』です。なにしろ、すべての詩が『あ』と『ん』だけで表現されてますから! こんなに楽で完成度の高い曲はもう一生書けないでしょうね」としばしば自虐ネタとして披露する。

シングルCD(1998年盤)[編集]

北の国から 遥かなる大地より〜螢のテーマ
さだまさしシングル
初出アルバム『北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン』
A面 北の国から 遥かなる大地より〜螢のテーマ
リリース
ジャンル ニューミュージック
レーベル フリーフライトレコード
作詞・作曲 さだまさし
プロデュース さだまさし
さだまさし シングル 年表
ペンギン皆兄弟
1997年
北の国から 遥かなる大地より〜螢のテーマ
1998年
君が選んだひと
(1998年)
テンプレートを表示
#タイトル作詞作曲・編曲備考時間
1.「北の国から 遥かなる大地より〜螢のテーマ」 さだまさしラベンダーの香りを染込ませた特殊仕様ジャケット

収録レコード・CD[編集]

現在までに、さだ自身の演奏するバージョンは以下に示すシングルとアルバムに収録されている。また、インターネット配信限定で「北の国から2010」も発表されている。

シングルレコード[編集]

長崎小夜曲
B面収録(「長崎小夜曲」が南面・「北の国から」が北面)

マキシシングル[編集]

小さな手
  • 2002年6月21日発売 TECN-13796(フリーフライト/テイチク
C/W 「結のテーマ」も収録。

アルバム[編集]

さだまさしシングルス全集 第4巻
逢ひみての
  • 1993年10月25日発売 WPCF-791(フリーフライト/ワーナーミュージック・ジャパン)
  • 1997年12月17日 WDCN-28120で再発(フリーフライト/ワンダーエンターテインメント)
  • 1999年2月26日 TECN-28523で再発(フリーフライト/テイチク)
  • 2004年6月30日 FRCA-1120で再発(フリーフライト/フォアレコード
服部隆之編曲の別アレンジバージョン『北の国から'93[9]』として収録。
さだまさしベスト
  • 1994年12月21日発売 WPC7-8088(フリーフライト/ワーナーミュージック・ジャパン)
  • 1998年10月21日 TECN-30471で再発(フリーフライト/テイチク)
  • 2003年1月22日 デビュー30周年記念リマスター盤 FRCA-1053で再発(フリーフライト/フォアレコード)
案山子〜HOME SWEET SONGS
  • 2003年3月19日発売 FRCA-1057(フリーフライト/フォアレコード)

サウンドトラック[編集]

北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン
  • 1998年7月23日発売 WDCD-28123(フリーフライト/ワンダーエンターテインメント)
  • 1999年1月29日発売で再発 TECN-28534(フリーフライト/テイチク)
北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン 完全版
  • 2002年7月24日発売 TECN-28799(フリーフライト/テイチク)
上記『北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン』に新曲を追加。
北の国から 完全盤
  • 2004年2月21日 FRCA-1097(フリーフライト/フォアレコード)
上記『北の国から オリジナル・スコア・ヴァージョン 完全版』の再発。

ライブ・アルバム[編集]

のちのおもひに
  • 1994年4月25日発売 WPC7-8001/12(フリーフライト/ワーナーミュージック・ジャパン)
燦然會 コンサート3000回達成記念集會
  • 2002年5月22日発売 TECN-63791/3(フリーフライト/テイチク)
月虹 over the Moon-Bow 第一夜〜第四夜
  • 2003年7月23日発売 FRCA-1062/73(フリーフライト/フォアレコード)
3333 in 日本武道館
  • 2005年12月7日発売 FRCA-1141/6(フリーフライト/フォアレコード)
さだまさしデビュー35周年記念コンサートFESTIVAL HALL 200
  • 2009年2月4日発売 FRCA-1204(フリーフライト/ユーキャン)
「北の国からメドレー」(遙かなる大地より〜五郎のテーマ〜純のテーマ〜螢のテーマ〜遙かなる大地より)

派生[編集]

さだ自身のコンサートでは、「♪ああー」を長めに伸ばし転調し、美空ひばりの「川の流れのように」に繋げ、また「♪ああー」で本曲に戻ってくる「北の国からの流れのように」を披露する事もある。

カバー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 同一テイクの収録された1982年盤(「遙」)と1998年盤(「遥」)でも表記に揺れがある。
  2. ^ 1998年にこの曲はCDシングル化されたが、歌詞カードには「スキャット」と一言だけ記されている。
  3. ^ さだと倉本は「ドラマのイメージを壊す」と作詞を断っている。1998年の第49回NHK紅白歌合戦でさだが歌うと発表されたとき、歌詞をつけて歌うと報じるメディアもあったが、実際に歌われた「北の国から '98」ではさだによるメッセージが歌詞テロップの代わりとなり歌詞がつくことはなかった。
  4. ^ 倉本の再チェック用に仮編集が終わった物であり、当然ながら効果音や楽曲などが入れられていない状態の物である。
  5. ^ 友人の松山千春中島みゆきをイメージしての回答であり、2009年にリリースされたライブ・アルバムさだまさしデビュー35周年記念コンサートFESTIVAL HALL 200』収録のトーク4では、「当時『キタキツネ』と呼んでいた友人(松山)」と「帯広の歌姫(中島)」を想定していたと言及した。
  6. ^ 当初は松山千春に主題歌の制作を依頼していたが、倉本との関係が悪化し松山は制作を拒否。松山が代役にさだを推薦した経緯を「うたばん」出演の際に語った。
  7. ^ 倉本はさだに「ギターを持ってくるように」と言っており、「最初から作らせるつもりだったのかもしれない」とさだがのちに言及した。
  8. ^ 後のテレビ番組でさだが、あの頃は自主製作映画での莫大な借金を抱えており、詩をまともに書ける精神状態ではなかったと明かしている。
  9. ^ 『北の国から'93』というドラマは制作されておらず、テーマ曲の1993年版という意味のタイトルである。