化学物理工学
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化学物理工学(かがくぶつりこうがく、英語:Applied Physics and Chemical Engineering)は、物質の微視的な性質(量子力学・物性物理学)から、巨視的な製造プロセス(化学工学・移動現象論)およびエネルギーシステムまでを、統一的な視座で扱う工学の一分野である。
従来の応用物理学が新機能の探求に、化学工学が量産プロセスの設計に重点を置いていたのに対し、本分野はこの二つを「マルチスケール(多階層)」な視点で統合し、ナノレベルの物理現象を実社会のシステムへと実装(社会実装)する方法論を探求する学問領域である。
概要
[編集]持続可能な社会の実現には、新素材の開発(機能の発見)と、それを高効率かつ低環境負荷で生産・利用するシステム(プロセスの構築)の両立が不可欠である。化学物理工学は、以下の3つのスケールを接続することで、この課題解決を目指す。
- ミクロ(Micro): 原子・分子・量子レベルでの機能発現メカニズムの解明(物理学・量子化学)。
- メソ(Meso): ナノ粒子・薄膜・結晶などの構造制御および製造プロセスの最適化(化学工学・粉体工学)。
- マクロ(Macro): エネルギー変換システムや環境保全技術としてのシステム設計(システム工学・熱力学)。
歴史と教育
[編集]近年、半導体デバイスの微細化や全固体電池などのエネルギーデバイスの開発に加え、量子ドットやスピントロニクスを用いた次世代センサー、バイオマスや排熱を有効利用する環境エネルギーシステム、さらには製造データを活用したプロセス・インフォマティクスなどにおいて、従来の「化学」と「物理」の境界領域を統合する工学的知見の重要性が高まっている。
これを受け、東京農工大学工学部は2019年(平成31年)4月の改組[1]において、従来の化学工学を母体としつつ、応用物理学および電気電子工学と機械工学の教員・カリキュラムを融合させた「化学物理工学科」を日本で初めて設置した[2]。
主な研究テーマ
[編集]上記のミクロからマクロまでの階層的視点を、具体的に以下のような工学分野へ応用・展開している。
- 量子・機能性材料工学分野
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ “化学物理工学科 | 工学部 | 学部・大学院 | 国立大学法人 東京農工大学”. www.tuat.ac.jp. 2026年2月7日閲覧。
- ^ 化学物理工学科ウェブサイト