副乳

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副乳
Trzeci sutek.jpg
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
医科遺伝学皮膚科学
ICD-10 Q83.3
ICD-9-CM 757.6
OMIM 163700
DiseasesDB 32140
MedlinePlus 003110
eMedicine derm/735
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Cが副乳。Aはあざ、Bは通常の乳頭

副乳(ふくにゅう、: accessory mamma, accessory nipple, : Polymastie, Hypermastie, : mamelon accessoire, : polythelia)は、通常の1対の乳房のほかに発生する過剰の乳房[1]多乳頭(たにゅうとう)ともいう [2]

概要[編集]

発生学[編集]

受精後第7週、乳腺堤という上皮性の肥厚が発生するが、通常ヒトでは胸部の主乳部を残して消失する。ところが、胎芽期の終わりに主乳のミニチュアのようなものが10対程度残存しており、これが完全には退化しなかったものとされる[2]

人類は進化の過程で乳房の数を2個に減らしたが、昔の名残が表に出てしまったものと考えられる[3]

解剖学・生理学[編集]

体毛が部分的に変色しているだけの物から乳腺を持つものまで、8種類に分類される[4]。授乳期の女性は副乳から薄い乳汁を分泌することもある[5]

タイプ 乳腺組織 乳頭 乳輪 脂肪組織 体毛の部分的変色
1
2
3
4
5 ("pseudomamma")
6 ("polythelia")
7 ("polythelia areolaris")
8 ("polythelia pilosa") [6]

pseudomammaは足(foot)のような乳腺堤から遠い場所にも発生する[7]

疫学・統計学[編集]

日本人の副乳の発生率であるが、研究者によって異なる数値が報告されている。一例として未産婦3.1%、経産婦6.2%、妊産婦15%。別の研究者によれば男子4000人中145人(3.6%)に副乳がみとめられた[8]

副乳は僧帽弁逸脱症のマーカーになり得るという報告がある[9]。また、結核との関連がないか研究されたことがある[10]

病理学[編集]

副乳から線維腺腫[11]乳癌[12]、葉状腫瘍[13]などの病変が発生することがある。

臨床[編集]

副乳は、一般に他の奇形や発達遅滞を伴うことはない。ただし、美容上の見地からこれを切除することがある[14]

その他[編集]

五雑俎』という中国の書には、周の文王には4つの乳があったとする説を載せている[15]。また、17世紀のイングランドで魔女狩りを推進していたマシュー・ホプキンスは副乳を魔女の証としてあげていたと言う[16]

現代日本では熊田曜子hitomi[17]福田萌[18]らが副乳を持つことが知られている。

出典[編集]

  1. ^ 『ステッドマン医学大辞典第6版』ステッドマン医学大辞典編集委員会、メジカルビュー社、2008年2月20日、255頁。ISBN 978-4-7583-0021-6
  2. ^ a b 『解剖学辞典 新装版』中井準之助et al.、朝倉書店、2004年11月10日、381頁。ISBN 4-254-31052-8
  3. ^ 杉浦聡一郎 (2018年4月12日). “おっぱいの話をします”. 医療法人社団杉浦クリニック. 2019年10月2日閲覧。
  4. ^ Y. Kajava (1915). “The proportions of supernumerary nipples in the Finnish population”. Duodecim (1): 143-170. 
  5. ^ 井口登美子, 喜多村一幸, 島本郁子, 森治樹(監修)『女性の<からだと心>安心医学 ウィメンズ・メディカ』小学館、2003年10月10日、487, 543。ISBN 4-09-304571-2
  6. ^ F. Camacho; R. González-Cámpora (1998). “Polythelia pilosa: A Particular Form of Accessory Mammary Tissue”. Dermatology 196 (3): 295–298. doi:10.1159/000017924. PMID 9621135. 
  7. ^ 足の裏に乳首ができてしまった女性”. exciteニュース (2011年7月19日). 2019年10月19日閲覧。
  8. ^ Rauber Kopsch Band2.715”. Rauber-Kopsch解剖学. 慶應義塾大学医学部解剖学教室. 2019年10月19日閲覧。
  9. ^ K. Rajaratnam; P. D. Kumar; K. V. Sahasranam (2000). “Supernumerary nipple as a cutaneous marker of mitral valve prolapse in Asian Indians”. Am. J. Cardiol 86 (6): 695–697. doi:10.1016/S0002-9149(00)01057-2. PMID 10980229. 
  10. ^ 二宮秀夫「副乳ニ關スル統計的觀察特ニ其ノ結核トノ關係ニ就イテ」『九州醫學專門學校醫學會雜誌』第2巻第1号、1937年、 59-62頁。
  11. ^ 永瀬浩太郎、白井礼子、古場慎一、三砂範幸、成澤寛「右腋窩に生じた副乳由来乳腺線維腺腫の 1 例」『西日本皮膚科』第77巻第6号、2015年、 565-569頁、 doi:10.2336/nishinihonhifu.77.565
  12. ^ 柴崎晋、山城勝重、上徳ひろみ、渡邊健一、高橋將人「男性副乳小葉癌の1例」『日本臨床外科学会雑誌』第72巻第7号、2011年、 1704-1708頁、 doi:10.3919/jjsa.72.1704
  13. ^ 樫村統子「両側乳腺及び両側副乳に発生した葉状腫瘍の1例」『神奈川医会誌』第24号、1997年、 220頁。
  14. ^ 『医科学大事典』41、講談社、1983年4月10日、196-197頁。ISBN 4-06-147841-9
  15. ^ 五雜組《四》”. 中國哲學書電子化計劃. 2019年10月19日閲覧。
  16. ^ 澁澤龍彦『澁澤龍彦全集 第9巻』河出書房新社、1994年、214頁。
  17. ^ 福田萌や熊田曜子が告白した「副乳」 男性の方がコンプレックス感じる理由”. JCASTニュース. 株式会社ジェイ・キャスト (2017年2月3日). 2019年10月19日閲覧。
  18. ^ 福田萌 (2017年1月29日). “痛みのフルコース”. 楽しいこと いっぱい. 2019年10月19日閲覧。