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剛拳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
剛拳
ストリートファイターシリーズのキャラクター
ゲームでの初登場 ストリートファイターIV
#声優を参照
詳細情報
格闘スタイル 暗殺拳をルーツとした格闘術
出身 日本の旗 日本
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剛拳(ゴウケン、Gouken)は、カプコンの開発・販売する対戦型格闘ゲームストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。

ゲームでは『ストリートファイターII』の頃からキャラクター設定が存在し、各種メディアミックスでも何度か描かれていた。『ストリートファイターIV』においてゲーム本編に初登場。

概要

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『ストリートファイター』シリーズの主人公格であるリュウケンの師匠で、豪鬼の兄。

「リュウに師匠がいる」という設定はシリーズ当初から存在したが、姿は『ストリートファイターII』(1991年)のコミカライズ作品『ストリートファイターII -RYU』(神崎将臣、1991年 - 1994年、『ファミリーコンピュータMagazine』に連載)に登場したのが初出で、単行本1巻に収録された設定資料にはカプコンによるラフスケッチが掲載されている。

その後、2008年に稼働した『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』と表記)において、初めてゲーム本編で動くキャラクターとして登場。アーケード版『ストIV』では1人用ゲームで条件を満たすと最終ボス戦後に登場するCPU専用の敵キャラクターであり、家庭用移植版『ストIV』では条件を満たすと隠しキャラクターとして使用可能である。バージョンアップ版の『スーパーストリートファイターIV』(以下『スパIV』と表記)では最初から使用可能であり、隠しボス版として服の色が異なる強化版も登場する。

日本国外版での豪鬼の名称は「Akuma(悪魔)」に変更されているが、初出が豪鬼よりも早い剛拳は変更されていない[注 1]。また、剛拳の関係者は豪鬼、轟鉄と「GOU」シリーズとして名前が統一されているが、前述した豪鬼の名称変更により、日本国外では関係性がわかりにくくなっている[1]

キャラクターの設定

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鍛え抜かれた肉体を持つ屈強な老人。背中に「無」の文字を背負った道着を着用し、首から巨大な数珠を提げ、足は雪駄履き。頭髪は後頭部を残して禿げ上がり、顔中にヒゲを生やしている。『ストリートファイターII -RYU』ではベガに殺害され、リュウが師の仇を追ってベガと戦う筋書きになっている。

1994年に稼動した『スーパーストリートファイターII X』(以下『スパIIX』と表記)からはゲームのバックグラウンドに剛拳の存在が公式に設定された。師匠の轟鉄(ゴウテツ)から受け継いだ暗殺拳を洗練して、格闘術として完成させてリュウとケンに伝授。隠しキャラクターとして登場する豪鬼は剛拳の実弟であり、轟鉄を師とする兄弟弟子でもある。

ストリートファイターZERO』(1995年)の豪鬼のエンディングでは豪鬼の回想に現れ、轟鉄とともに倒されたと語られている。このときから左眉の上に大きな十字の傷が描かれるようになった。同作のベガのバックストーリーではベガと対峙するが、己の拳の極意を悟らせないためにあえて波動の力を使わず戦い敗れている。『ZERO2 ALPHA』では、殺意の波動に目覚めたリュウが豪鬼を「師の敵」と呼んでおり、豪鬼との敵対関係を示唆している。

なお、かつてはダンも弟子にしていたが、彼が父親を殺したサガットへの復讐心を捨て切れていないことを拳から感じ取り、破門にしている。この時に「今まで身に付けた格闘術を悪用されぬために、破門者の拳を破壊し、格闘家として再起不能にする」という鉄の掟を彼に施すことはなく、そんな彼を豪鬼は「格闘家としては甘い」と評しているが、それは彼の優しさゆえであり、それが弟子のリュウとケンを始めとする多くの格闘家に敬慕される所以である。

ゲームキャラクターとしての剛拳

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『ストIV』での登場時にデザインや設定が一新され、従来の作品と差異が存在する部分もあるが「豪鬼との戦いに敗れ、倒れた」「無の拳」などの基本的な設定は受け継がれている。

外見デザイン上は筋骨隆々の白い髭を蓄えた老人となり、後頭部の白髪は長く伸び先端を縛ってまとめている。右半分が破れて袈裟のようになった道着を身につけ、豪鬼のように荒縄を帯の代わりに使って裾や道着を縛っている。また、通常のテーマ曲はリュウのテーマ曲のアレンジ版。ボスキャラクター版剛拳のテーマ曲は豪鬼のテーマ曲のアレンジ版となっている。

厳しいながらも心優しい老人であり、おおらかな性格の持ち主[2]。対戦相手に対しては対戦後、相手を諭すような台詞が多く、僧侶であるダルシムムエタイの帝王サガットには敬意を持って接する。また、豪鬼に対しては「人にも鬼にもなれない甘い男」と語っている。なお「リュウにすごく似ているが、それよりもっと大きい」と評した春日野さくらは、正体判明後は恐縮しきりであった。

『ストIV』では「意識回復に時間が掛かったため、(リュウとケンに)死んだと思われても仕方なかった」と本人が語っており、豪鬼に負けはしたものの死んではいなかったと判明した。また、これらの新たな設定をもとに、『ストリートファイターII -RYU』の作者である神崎将臣による短編漫画『復活 RYU-After-』[3]も描かれた。

なお、『ストIV』開発時にイケノにより起こされた剛拳のラフ案には「ゴウケン生きてた説」と書かれていて左目と左鎖骨部に豪鬼による大きな傷跡が描かれている[4]が、ゲームでは採用されていない。

『ストIV』のエンディングは、リュウが豪鬼と闘うことで殺意の波動に目覚めてしまうことを危惧し、事前に「無の拳」で殺意の波動を封印した後で、殺意の波動を嗅ぎつけてきた豪鬼と対峙する内容になっている。『スパIV』のエンディングでは、いまだにリュウとケンから師匠として尊敬されていることが窺え、二人が一人前の格闘家になったことを認めた剛拳は再び姿を消そうとするが、彼らの追跡に遭い失敗している。己の雲隠れを咎め呑気なリュウをツッコむケンを見て、最後は大笑いしている。また、同作のエンディングで語られている水汲みの様子は家庭用版『ストIV』公式サイトのノベルで描かれている[5]

『スパIV』では殺意の波動に目覚めたリュウと狂オシキ鬼のライバルキャラクターとしても登場。殺意の波動に目覚めたリュウでは「真の死合」を求める彼を命懸けで制止し、狂オシキ鬼では自身の手で葬ろうとするが、いずれも撃破され最後は殺害されている。

ストリートファイターV』(以下『ストV』と表記)には参戦していないが、リュウのストーリーモードなどに登場。殺意の波動に飲まれかけたリュウを止め、波動に飲まれることを考えラシードと闘うのを悩んだ際「闘いとは相手を知り、己を知ること」と教えた。

無の拳 / 無の波動

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剛拳が辿り着いた波動の境地であり、豪鬼の殺意の波動に対抗する剛拳の波動である。『ストIV』のリュウのプロローグによると「全てを無に還す拳」で、リュウが目指し、越えるべき境地でもあるという。無の波動による無の拳の詳細については不明だが、本人および豪鬼のエンディングでは、殺意の波動を封印する力を持っていることが示唆されている。

他のメディアにおける剛拳

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姿の初出となった『ストリートファイターII -RYU』以外では中平正彦によるコミカライズでも剛拳が多く描かれている。

漫画『ストリートファイターZERO』(1995年)では、少年時代のリュウとケンとともに回想シーンに登場する。同作ではゲームでの設定とは異なり、暗殺拳を格闘技へ昇華させたのは轟鉄とされている。また、「昇龍拳」を禁じ手とする設定も登場しており、そうと知らずに「昇龍拳」を放ったリュウを剛拳が厳しく叱責する場面も描かれた。おまけ漫画『その後の談(ダン)』では剛拳の墓が登場しているが、豪鬼とダンに破壊されている。

漫画『RYU FINAL』(1997年)では少年時代のリュウとケンの回想シーンに登場する。弟子入りを志願し、古寺の門の前に一週間座り続けたリュウに条件として、山の近くの村を襲い始めたを倒すように言いつける。広大な山中で熊一匹探し出すことは困難であり、探し出せたとしても子供と人食い熊では結果が明らかであると、拳の道を捨てるか、あるいは死かという厳しい選択を与えた。剛拳と豪鬼の一騎討ちでは山野が崩れ、森がなぎ払われる様子が描かれており、戦いの末豪鬼が勝利し、剛拳は数珠を持ち去られている。この戦いで剛拳は瞬獄殺を使用しているが、豪鬼のものとは異なり、山を谷に変えるほどの巨大な気の爆発を起こすものとなっている。

『ストリートファイターZERO 外伝 〜春麗旅立ちの章〜』のドラマCDでは春麗の父・介臣[注 2]と格闘のライバルでもあり友人という設定で、この繋がりがきっかけとなり、介臣を探す春麗が剛拳のいる寺に向かった時にリュウと出会う。この後、剛拳と介臣の2人を知っている爺さんと師匠のことを知っているリュウから、闘いで未熟だったベガから介臣が倒した後、サイコパワーで強化されたベガがリュウとケンの目の前で剛拳に戦いを挑んだが、剛拳が「波動拳の極意」を見破られないために、この技を封じ敗北している[注 3]。さらに、この戦いの直後に介臣がカンフーを辞めたエピソードが語られている。このCDでは「ゴウケン」という記述になっている。

UDONによるアメリカンコミック『ストリートファイター ザ・コミック』では豪鬼に殺害されている。墓には数珠がかけられていたが豪鬼によって奪われた。リュウの回想にも登場し豪鬼と戦っているが、その時は勝利を収めている。

OVA『ストリートファイターZERO: ジェネレーションズ』では豪鬼と共に若き日の姿が描かれており、ゲームやコミカライズとは風貌が異なる。

『ストリートファイターIV』発売後に発行された『ストリートファイター アート・コミック・アンソロジー』において、『ストリートファイターII -RYU』の作者である神崎将臣の短編漫画『復活 RYU-After-』が描かれ、剛拳が登場している。同作において剛拳の生死については「殺意の波動をまともに受けて遺体が残らなかったと勘違いした=剛拳の死を確認したわけではなかった」とされており、剛拳の墓も実際に遺体が埋葬されているわけではなく「剛拳が最期を遂げたとされる廃寺が墓の代わり」ということになっている。

実写映画『ストリートファイター 暗殺拳』では若き日の修行、豪鬼が鬼になる時、リュウを拾う時、リュウとケンの旅立ちの時までが描かれている。剛拳の修行時代の設定は『ストリートファイターZERO ジェネレーションズ』に近く、轟鉄と轟鉄の姪さやか、剛拳、豪鬼で静岡県の山奥に暮らしている。リュウとケンの修行時代は和歌山県の山にある寺で暮らし、波動を教えるためにかつての修行の地に戻る。暗殺拳の修行をする中、まだ殺意の波動を教えない轟鉄に反発する豪鬼と、豪鬼を止めようとする剛拳。豪鬼が破門されてからしばらく経ち、鬼となった豪鬼が戻ってくるのを感じ、轟鉄が瞬獄殺で殺されたところに到着し戦いを挑むが「うぬではまだ覚束ない」と言われる。さやかに思いを寄せていた剛拳だったが、さやかは豪鬼に思いを寄せていたため家を出る。剛拳はただ1人、広い家で時間を過ごしていたがそこに現れた謎の老人が連れてきた少年を育てることで自分自身を取り戻していき、「殺意の波動の継承者はこの世に一人しか存在が許されない」という殺意の波動の歴史に反する勇気を取り戻す。リュウとケンを殺意の波動の伝説に巻き込まないようにするため、二人が寺から旅立った後に、一人、豪鬼と闘う。

PlayStation 2用ゲーム『NAMCO x CAPCOM』では、直接の登場はないがリュウが剛拳の墓参りに行ったということが語られている。

その他

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  • 二次媒体では「リュウの師匠の娘」とされるキャラクターが度々登場しているが、公式設定には組み込まれていない。『ゲーメスト』1987年10月号の『ストI』攻略ページに掲載された短編漫画では、リュウが亡き師匠の娘である恋人に別れを告げて師匠の敵討ちの旅に出たという描写があるが、これは元ゲーメストライターの転清がカプコンの許諾なしに創作したものであり、公式の設定ではない[6]。『映画ストリートファイターII メモリアル公式ファンブック』に掲載の短編漫画にも師匠の娘が登場するが、こちらも独自に構成したものであると記載されている。
  • 『ストIV』稼動前の2008年4月1日には、公式ブログにて「シェンロン」と呼ばれる新キャラクターがシルエットだけ公開された[7]。これはエイプリルフールのジョーク記事だった[8]が、シルエットには『ストIV』の剛拳が使用されている。シェンロンとは主に英語圏のプレイヤー間で都市伝説的に存在が噂されていたキャラクターで、『ストリートファイターII』でリュウの台詞中にある、「昇竜拳を破らぬ限り、お前に勝ち目はない!」の「昇龍拳」の「昇龍」を中国語読みの「Sheng Long」と誤訳したことがきっかけで発生し[8]、ゲーム誌 Electronic Gaming Monthly のエイプリルフール記事に何度か取り上げられて定着した。また、一部の作品ではリュウたちの師匠が「Sheng Long」として記載されるなど、剛拳と同一の存在として扱われることもあった。しかし『ストIV』で剛拳が正式に登場したことにより、英語圏でも彼の名前は「Gouken」で統一されることになった。また、2017年4月1日 - 2日(14時)のみ、『ストV』の公式サイト「シャドルー格闘家研究所」の「キャラ図鑑」にて期間限定で記載されていた[9]
  • 『ストIV』で隠しボスキャラクターとして登場した後にプレイヤーキャラクターになった剛拳ではあったが『ストIV』における剛拳自体の登場は、アーケード版稼動に先駆けて公開されたアニメーションムービー『オリジナルアニメーション1 feat.リュウ』の方が先である。ムービー中では、かつて行われた豪鬼との戦いの様子が描かれているほか、ムービーラストでは死んだはずの剛拳と思しき男が、拳を突き上げて滝を穿つ姿で締めくくられており、後のゲーム本編での登場を匂わせる演出がなされていた。

声優

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格闘ゲームでの担当声優
  • 大川透(『ストリートファイターIV』シリーズ以降〈日本語〉)
  • ダグ・リー(『ストリートファイターIV』シリーズ〈英語〉)
  • キース・シルバースタイン(『ストリートファイターV』〈英語〉)
その他の関連作品での担当声優

脚注

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注釈

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  1. ^ 豪鬼の初登場は1994年の『スーパーストリートファイターII X』。
  2. ^ 実際は「ワン・カイシン」と名前を言っているが、ブックレットには正確な名前が記述されていない。
  3. ^ この時に喰らった技はヘッドプレス。

出典

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  1. ^ スーパーストリートファイターIV・オフィシャルブログ「質問に答えちゃうシリーズ(11)」 - ウェイバックマシン(2010年3月29日アーカイブ分) - 2010年03月26日、2022年12月3日閲覧。
  2. ^ キャラ図鑑025:剛拳 | キャラ図鑑 | 活動報告書 | CAPCOM:シャドルー格闘家研究所
  3. ^ 『ストリートファイター アート・コミック・アンソロジー』に収録。
  4. ^ 『ストリートファイターIV / スーパーストリートファイターIV オフィシャルコンプリートワークス』カプコン、2010年6月25日、88頁。ISBN 978-4-86233-262-2 
  5. ^ 家庭用版公式サイト・ストリートファイターIV・ビギニング(剛拳)より。
  6. ^ ゲー夢エリア51編『転清アート・ドット・ワークス【インタビュー編】』2011年、216頁。
  7. ^ 公式ブログ4月1日
  8. ^ a b 公式ブログ 4月2日の記事
  9. ^ キャラ図鑑800:シェンロン|キャラ図鑑|シャドルー格闘家研究所(閉鎖)

参考文献

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