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出発の歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「出発の歌 -失なわれた時を求めて-」
上條恒彦シングル
B面 アルカディア
(上條恒彦)
リリース
規格 7インチレコード
BS-1458
ジャンル 歌謡曲[1]フォークソング
時間
レーベル キングレコード
作詞・作曲 及川恒平(作詞#1)
かぜ耕士(作詞#2)
小室等(作曲#1, #2)
チャート最高順位
上條恒彦 シングル 年表
さとうきび畑
(1971年)
出発の歌
1971年
だれかが風の中で
(1972年)
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出発の歌 -失なわれた時を求めて-』(たびだちのうた -うしなわれたときをもとめて-)は、1971年12月1日にリリースされた上條恒彦の3枚目のシングルである。

解説

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1971年にヤマハ音楽振興会主催「第二回世界歌謡祭」選考の「第三回合歓(ねむ)ポピュラーフェスティバル(司会は永六輔[3])」が三重の合歓の郷・ヤマハのリゾートで行われた[4]。小室等率いる六文銭と上條恒彦は別々にエントリーしていたが、キングレコード・ディレクターの三浦光紀が、小室等にそれぞれ1曲ずつ作曲を頼んでいたものの、当日までに1曲しか仕上げられなかったことから、急遽一緒に組んで上條恒彦+六文銭として参加することになった[5]

「出発の歌」の作詞は、元々はかぜ耕士が書く予定だったが、「体調が悪くて書けない、降ろしてくれ」と連絡が来たことから[6]、及川恒平が「出発の歌 -失なわれた時を求めて-」というタイトルで詩を書き、会場に向かう新幹線の中で、手直しして完成させた[5][7]。なお、詩の構想は上條恒彦が1年前からあたためていたもの[6]

フォーク+ロック・リズムに仕立てた小室等の曲は前日にやっとでき、編曲の木田高介を同行、これも新幹線の中でアレンジさせ、六文銭が写譜し、会場へ来てはじめて音を出した[6]

赤い鳥トワ・エ・モワ弘田三枝子中尾ミエ沢田研二伊東ゆかりピンキーとキラーズブルー・コメッツといった出演者に交じると場違いに見え、とてもグランプリになんか取れそうもないと、みな諦めていたが、結果グランプリを取った[4][3][7]

小室等によると、前年参加した際には、このコンクールが終わったあと大パーティーが開かれ、錚々たる作家や歌手が勢揃いしたが、今回はほとんどあらわれなかった[4]。作曲家ではすぎやまこういち、歌手ではかまやつひろし赤い鳥くらい。実際は他の場所で別の会をやっていた[4]

パーティーが終わって、宿泊所である合歓の郷の大部屋で、みんなで雑魚寝して呑んでいたところ、夜中の二時くらいに作曲家の中村八大が来て、1時間くらい一緒に呑んでつきあってくれた。小室等は、この八大から受ける言葉を一言も聞き漏らすまいと酒の酔いと戦っていたという[4]。その中で「いい編曲だけど、後半はもう少し手を加えたほうがいい」と八大はアドバイスした[4][8]。「だったら八大先生、補編曲をしてください」と木田が言ったところ、快く引き受けてくれ、大きくは違わなかったものの、続く11月27日に日本武道館で開催された第二回世界歌謡祭ではこの編曲で演奏し、こちらもグランプリを受賞した[4][6]

世界歌謡祭の反響は大きく、この「出発の歌」は、シングルレコードとして発売され、累計で70万枚を売り上げた[6]

この年の紅白歌合戦にも、この「出発の歌」で出場している[7]

1974年の新学期から音楽之友社が発行する高等学校二年生用の音楽教科書『新版 高校生の音楽2』に「出発の歌」が掲載された[1][9]歌謡曲が教科書に取り入れられたのはこれが初めてとされた[1]。外国のポピュラー音楽ビートルズの「イエスタディ」やシャンソン枯葉」などが数年前から取り入れられていた[1]。1974年はどっとポピュラー音楽が中学・高校の音楽の教科書に掲載された年で、映画音楽の「エデンの東」や「雨にぬれても」「ある愛の詩」「白い恋人たち」や、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」などがこの年から取り入れられ、時代の変化を感じさせた[1]

エピソード

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  • 作詞した及川恒平によると、「さぁ、今、銀河の向こうに飛んで行け」の後に「自らが宇宙になるために」という説明的な1節が削られたという[7]
  • 上條恒彦は、前年の「合歓ポピュラー・フェスティバル」で、小室等作曲の「アルカディア」を歌ったが、数ある賞にかすりもせず、2年目の挑戦で望んだ今回もドタバタで間に合わせた曲のため自信がなく、早めに帰り支度をしていたところ、かまやつひろしが「たびだちのなんとか・・・って曲、評判がいいぜ」と声をかけてきた。その曲がまさか自分たちの歌だとは思いもせず、片付けを終えて会場に行くと、「出発の歌」がグランプリになったことを告げられびっくりしたという[6]。同行していたキングレコードの三浦も同様にびっくりしたという[7]
  • グランプリの賞品はグランドピアノだったが、小室等は自宅に置き場所がないため、アップライトピアノマーチンD-45型を希望し(当時、その2つを合わせた値段がグランドピアノのそれに近かった)、了承された。しかし楽器提供元であるヤマハには同時期、45型の在庫がなく、小室はやむなくD-41型を選んだ。この41型は鳴りが悪く、専門家に依頼し、調整を繰り返しても改善されないため結局手放してしまった。
  • 作曲家の青木望はこの曲を非常に評価し、「自分らでは発想のできないコード進行でびっくりしました」と小室等に語ったと言う[4]

収録曲

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A面

  1. 出発の歌 -失なわれた時を求めて-

B面

  1. アルカディア -理想郷-
    • 収録時間:4分25秒
    • 作詞:かぜ耕士、作曲:小室等、編曲:木田高介・小室等
    • 上條恒彦名義

脚注

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  1. 1 2 3 4 5 「高校教材になった歌謡曲『出発の歌』 初めて?文部省の"難関"突破」『報知新聞報知新聞社、1973年3月5日、10面。
  2. オリコン・シングル・チャートブック(完全版):1968 - 2010』オリコン・エンタテインメント、2012年2月、84頁。ISBN 978-4-87131-088-8
  3. 1 2 合歓ポピュラーフェスティバル'71 - ヤマハ音楽振興会2020年4月2日閲覧。
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 『人生を肯定するもの、それが音楽』小室等、岩波新書、2004年4月20日、136-138ページ。
  5. 1 2 富澤一誠著「青春のバイブル 魂を揺さぶられた歌」シンコーミュージック、1993年、98頁。ISBN 4401614135
  6. 1 2 3 4 5 6 長田暁二『昭和歌謡 流行歌からみえてくる昭和の世相』敬文舎、2017年、153頁。ISBN 978-4-906822-76-8
  7. 1 2 3 4 5 『ベルウッドの軌跡』奥和宏、インプレスR&D、2016年
  8. 上條恒彦+六文銭の「出発の歌―失われた時をもとめて―」の秘密2020年3月13日閲覧。
  9. 『歌い継がれる名曲案内 音楽教科書掲載作品10000』日本アソシエイツ、2011年、104頁、280頁。ISBN 978-4816922916

外部リンク

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