円山公園 (志摩市)

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円山公園
Maruyama Park
園内
所在地
座標 北緯34度18分25秒 東経136度49分4.5秒 / 北緯34.30694度 東経136.817917度 / 34.30694; 136.817917座標: 北緯34度18分25秒 東経136度49分4.5秒 / 北緯34.30694度 東経136.817917度 / 34.30694; 136.817917
面積 約10,000 m2[1]
現況 開園中
設備・遊具 真円真珠発明者頌徳碑、真珠貝供養塔[2][3][4]
駐車場 なし
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円山公園(まるやまこうえん)は、三重県志摩市阿児町神明にある公園真珠とゆかりの深い賢島にあり[5]、園内には養殖真珠発明者を讃えるアコヤガイ(真珠貝)を供養するがある[2][3][4][5]2017年(平成29年)6月に登録された「みなとオアシス志摩」を構成する施設の1つである[6]

概説[編集]

近鉄志摩線賢島駅の南口から賢島港遊覧船・定期船乗り場へ向かい、途中で右折して小道を上っていくと公園に達する[7]。この間、徒歩5分(約300 m[7])程度である[7][8]。園内散策の目安時間は10分ほどである[8]

公園の面積は約10,000 m2[1]遊具はなく、公園というよりも「広場」である[3][7]。元は近畿日本鉄道の所有地であり、2003年(平成15年)12月に当時の阿児町が約2160万円で取得した[1]。(公園自体は公有化される前から存在した[1]。)園内にあるのは、真円真珠発明者頌徳碑や真珠貝供養塔であり[3][4][5]、四等三角点も設置されている[9]。この三角点は、2016年(平成28年)の第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)が賢島で開催された際に、ドローンの飛行禁止区域を規定する中心点となった[9]

賢島港を見下ろす[2][4][10][11]園内からは英虞湾が見え[7][10]横山島多徳島が確認できる[7]。円山公園の標高は18 mで、周囲では唯一、津波想定浸水域に含まれていない[12]

英虞湾を見渡す高台にあり、船乗り場に近接している[6]が、訪問者はまばらである[1]。そこで2003年(平成15年)に、賢島の商店経営者らが円山公園を観光資源とすべく、ワークショップを開催し、都市計画家後藤春彦が協力した[1]2007年(平成19年)には真円真珠発明100周年を記念して、円山公園の整備と頌徳碑の移設が行われ[13]2010年(平成22年)にも社会資本総合整備計画の一環で園内の整備が行われている[14]。2017年(平成29年)6月には浜島港と賢島港で「みなとオアシス志摩」が中部地方整備局に登録され、円山公園は賢島港側の構成施設の1つとなった[6]。なお、みなとオアシス志摩の中核施設は、浜島港側にある志摩市浜島磯体験施設「海ほおずき」である[6]

真円真珠発明者頌徳碑[編集]

真円真珠発明者頌徳碑(川村多実二筆)

真円真珠発明者頌徳碑(しんえんしんじゅ はつめいしゃ しょうとくひ)は、半円真珠の養殖に成功した御木本幸吉と、真円真珠の養殖法を発明した見瀬辰平西川藤吉(御木本の娘婿)の名を刻んだ記念碑である[15][16]1960年(昭和35年)に建立され、2007年(平成19年)に円山公園へ移された[16]。碑面は「眞圓眞珠發明者頌德碑」と旧字体で書かれ、中央に真珠をイメージした大理石の球体が取り付けられている[16]

元は賢島にあった国立真珠研究所(現・増養殖研究所)の玄関前にあった[15]が、1979年(昭和54年)に研究所が閉鎖したため[15]、長沢運動公園(農業者トレーニングセンター)へ移設[2][5][16][17]、さらに真円真珠発明100周年を記念して、2007年(平成19年)に[16]円山公園へ移設された[13][15][18]。移設を巡り、志摩市議会では議員から碑の球体が真珠であることを分かりやすくするために碑を加工してはどうかという意見が出されたが、市長は「参考にする」と答弁するにとどめ[18]、加工せずにそのままの姿で移設された。また移設と同時にサクラの記念植樹も行われた[16]

真珠貝供養塔[編集]

真珠貝供養塔

真珠貝供養塔(しんじゅがい くようとう)は、真円真珠の発明50周年を記念して、1957年(昭和32年)10月に全国真珠養殖漁業協同組合が円山公園に建立したものである[19]。アコヤガイ(真珠貝)から真珠を採取するとアコヤガイは死んでしまうため、真珠採取の犠牲となる母貝を供養するために建てられた[5][8]

毎年10月22日に塔の前でアコヤガイの供養が営まれる[19]。同日の供養は真珠祭の一部として開催され、神明真珠養殖漁業協同組合を中心とした真珠祭実行委員会が主催する[20][21]。祭典委員長の挨拶の後、志摩市長らが弔詞を読み上げ、僧侶による読経に続いて参列者が焼香する[20]。参列者は地元の志摩市の関係者だけでなく、長崎県愛媛県などの真珠生産者や、東京大阪神戸などの真珠販売業者もいる[22]。このため、真珠業界関係者にとって情報交換の場となる[23]。雨天時は賢島宝生苑に会場が変更される[21][23]

真珠祭[編集]

世界一長い真珠のネックレス
イオン阿児店で展示されたもの。)

真珠祭(しんじゅまつり)は毎年10月22日に賢島で開催されるイベント[10][11][20]1951年(昭和26年)に始まり[5]、2019年(令和元年)に69回目を迎えた[21]。アコヤガイを供養するとともに、真珠業界の発展を願う催事である[11][24]。22日に行われるのは、十の位の2を反転して一の位の2と並べると、アコヤガイの形に似ているからである[22]

祭りではまず円山公園の真珠貝供養塔の前でアコヤガイの法要上述)を行い、次に賢島港へ移動して真珠貝と真珠玉を放生し[11][24]、地元の幼稚園児らが踊りを披露する[24]。このほか志摩マリンランドでの真珠製品付きの餅まき[20]、「あこや汁」の振る舞いなどがある[5]。第68回(2018年)には、ミス伊勢志摩らが真珠母貝約100個と真珠玉約6万個を海に放流した[20]。雨天の場合は、真珠貝供養と放生が賢島宝生苑[21][23]、餅まきが神明公民館へ移され[21]、放生は海ではなく、会場に用意された木桶に入れる形となる[21][23]

第60回(2010年)の真珠祭では、世界一長い真珠のネックレス作りに挑戦し、222 mを達成してギネス世界記録に認定された[5]。この回は20万個の真珠を海に放生し、50隻の船が海上パレードを行った[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f "阿児町の多徳島など整備 観光資源「発掘」へ住民参加"朝日新聞2004年1月31日付朝刊、三重版24ページ
  2. ^ a b c d e 真珠祭”. 伊勢志摩きらり千選. 2019年12月7日閲覧。
  3. ^ a b c d 5月25日(土)・26日(日)ファミリーコース7km 賢島・志摩マリンランドコース”. 伊勢志摩ツーデーウオーク事務局. 2019年12月7日閲覧。
  4. ^ a b c d 円山公園 真珠供養塔”. 伊勢志摩ナショナルパーク. メディアコア. 2019年12月7日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 真珠祭”. 神明真珠養殖漁業協同組合. 2019年12月7日閲覧。
  6. ^ a b c d 志摩”. 中部みなとオアシス. 中部地方整備局. 2019年12月7日閲覧。
  7. ^ a b c d e f 賢島一周コース”. 志摩 おすすめコース. 環境省. 2019年12月7日閲覧。
  8. ^ a b c 円山公園/真珠供養塔”. 志摩市観光協会. 2019年12月7日閲覧。
  9. ^ a b 伊勢志摩サミット開催に伴いドローン等の飛行を条例で規制しています”. 三重県雇用経済部国際戦略課国際企画班. 2019年12月7日閲覧。
  10. ^ a b c ジャック 編 2016, p. 16.
  11. ^ a b c d 真珠祭”. 伊勢志摩観光ナビ. 伊勢志摩観光コンベンション機構. 2019年12月7日閲覧。
  12. ^ 賢島津波防災地図”. 志摩市総務部地域防災室 (2018年3月). 2019年12月7日閲覧。
  13. ^ a b 志摩びとだより Vol.4”. 志摩市応援倶楽部志摩びとの会事務局 (2008年2月28日). 2019年12月7日閲覧。
  14. ^ 社会資本総合整備計画(活力創出基盤整備)事後評価書”. 志摩市 (2015年3月30日). 2019年12月7日閲覧。
  15. ^ a b c d 見瀬辰平”. 伊勢志摩きらり千選. 2019年12月7日閲覧。
  16. ^ a b c d e f ミス伊勢志摩ら真珠供養-「真珠祭り」で20万個のパールシャワー”. 伊勢志摩経済新聞 (2007年10月23日). 2019年12月7日閲覧。
  17. ^ 議会広報特別委員会 編 2007a, p. 23.
  18. ^ a b 議会広報特別委員会 編 2007b, p. 12.
  19. ^ a b 田口・関・加藤 2011, p. 85.
  20. ^ a b c d e 真珠育むアコヤガイに感謝 志摩「真珠祭」で供養法要”. 伊勢新聞 (2018年10月23日). 2019年12月7日閲覧。
  21. ^ a b c d e f アコヤガイに感謝、供養 志摩「真珠祭」 貝大量死「原因究明必要」”. 伊勢新聞 (2019年10月23日). 2019年12月7日閲覧。
  22. ^ a b 「真珠祭り」で真珠20万個を海の中に-「真珠祭りを盛り上げ隊」結成も”. 伊勢志摩経済新聞 (2008年10月22日). 2019年12月7日閲覧。
  23. ^ a b c d 真珠貝の御霊を供養「真珠祭」-ミス伊勢志摩、10万個の真珠海に投げるはずが…”. 伊勢志摩経済新聞 (2013年10月22日). 2019年12月7日閲覧。
  24. ^ a b c 第68回真珠祭”. ウォーターフロント協会. 2019年12月7日閲覧。

参考文献[編集]

  • 田口理恵・関いずみ・加藤登「魚類への供養に関する研究」『東海大学海洋研究所研究報告』第32号、2011年3月、53-97頁、NAID 40018751486 
  • 議会広報特別委員会 編 編『しまし議会だより』志摩市議会〈第10号〉、2007年6月、32頁https://www.city.shima.mie.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/55/200706_010.pdf 
  • 議会広報特別委員会 編 編『しまし議会だより』志摩市議会〈第11号〉、2007年9月、28頁https://www.city.shima.mie.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/55/200709_011.pdf 
  • ジャック(編)「国立公園の雄大な自然と歴史の薫り息づく町 志摩市<磯部町・阿児町・浜島町>」『すばらしきみえ』第191号、百五銀行企画経営部広報CSR課、2016年4月15日、15-18頁。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]