公序良俗
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公序良俗(こうじょりょうぞく)とは、公の秩序又は善良の風俗の略であり、これに反する事項を目的とする法律行為は無効とされる。
近代の私法は私的自治の原則を採用しており、私人の生活においてはその自由が尊重される。具体的には、法律行為はその当事者の意図した通りの効果が認められる法律行為自由の原則が挙げられる。しかしながら、法律行為の自由を無制限に認めると、財産的秩序や倫理的秩序などが害されるおそれがあるため公序良俗違反として法律行為を無効とする。
日本法における公序良俗[編集]
意義[編集]
民法第90条は「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」としている。
公の秩序は国家および社会の一般的利益を、善良の風俗は社会の一般的倫理をそれぞれ意味する。しかし両者は一体的に扱われるべきであり、両者を厳密に区別する実益はないとされている。
類型[編集]
公序良俗は様々な角度から用いられるが、大きく次の3つに分類することができる。
1980年代以降、経済活動に関する紛争において公序良俗違反を認める裁判例が増えてきた[1]。
憲法の人権規定の私人間効力[編集]
憲法の人権規定は主として国家と私人の間の関係を規定するものであるが、これが私人間に適用されるかという人権規定の私人間効力問題につき、公序良俗が持ち出されることがある。(例:日産自動車事件)
英米法におけるパブリック・ポリシー[編集]
公序良俗は英米法ではパブリック・ポリシーの原則(public policyまたはpolicy of the law)がこれに相当する[2]。パブリック・ポリシーとは、何人も公共の利益や公共の福祉に反するような他者に危害を与えうる行為を行うことは認められず無効とするという法原理である[2]。英米法の法原理ではこれに反する契約や私的取引等の行為(againsts public policy)は無効とされる[2]。