八木新宮特急バス

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八木新宮特急バスに使用される車両

八木新宮特急バス(やぎしんぐうとっきゅうバス)は奈良交通株式会社の八木新宮線で運行されるバスである。葛城営業所が担当している。

概要[編集]

奈良県橿原市大和八木駅を起点に、国道168号を経由して紀伊山地を南下し、山間部の県境を越えて和歌山県に入り、新宮市新宮駅に至る路線で、奈良県橿原市・大和高田市葛城市御所市五條市十津川村・和歌山県田辺市・新宮市を経由する。路線の全長は166.9km、停留所の数は167を数え、全線の所要時間は約6時間半を要し、現在運行されている高速道路を走らない一般路線バスとしては、走行時間・距離・停留所数の全てで日本一である。2013年3月1日で運行開始から50周年を迎えた。

十津川街道の進展に合わせ、1963年に奈良大仏前 - 新宮駅間が開業する。運転開始当初は新宮行きは「はやたま」、奈良行きは「やまとじ」の愛称が付けられていた[1]1979年8月の時刻表では、奈良から新宮への直通便は3往復あり、うち2往復は奈良大仏前発の奈良交通担当で、残りの1往復は橋本駅発の熊野交通が担当した。

その後奈良大仏前・橋本駅のいずれも大和八木駅発着に変更され、また熊野交通は同路線から撤退し、奈良交通の単独運行となった。

大和八木と新宮の直通便は、川上村(杉の湯)経由の路線もあったが、現在はこちらのみ残る。大和八木 - 新宮直通便は1日3往復である。

長距離を運行するため、五條バスセンター、上野地(谷瀬の吊り橋)、十津川温泉(十津川営業所)の3箇所で5分から20分程度の休憩を行うものの、乗務員の交代は行われず、全区間1人乗務である。また、国道は各所で改良工事(バイパス道路の建設)が進んでいるが、バスは集落のある旧道を経由する場合が多い。

かつては一部の停留所を通過する特急運転を全線で行っていたが、2002年10月1日改正で五條バスセンター - 新宮駅間に縮小し、2014年現在は大久保口 - 十津川温泉間においてわずか数ヶ所のバス停を通過するだけとなっている。ただし、請川 - 新宮駅間では並行する熊野交通の一般路線よりも停車するバス停がかなり少なく、実質的には「特急」である。なお、「特急」と「各停」(全停留所停車)の間の種別として「急行」が設定されていた時代もあった。

運賃表示器は、乗車整理券番号が1番から111番までと極めて多いため、表示器本体に整理券番号を表記するデジタル表示式運賃表示器を使用せず、2000年代に入っても古い幕式のものを使用していた[2]が」、2008年9月よりレシップ社のLCD式運賃表示器に取り換えられている。表示器の右半分に「止まります」「発車します」などの表示のほかに、観光地などの案内なども表示される。最終的には、左半分の運賃表示部分は4ページにわたって表示されるが、降りる際に乗客が整理券の番号を言うと運転士が番号をボタン入力し、即座に該当運賃がLCD画面に表示される仕組みになっている(1ページで30件分の表示しかできないため)。

地元住民の生活路線であると同時に観光路線でもあるため、天辻峠猿谷ダム・十津川温泉・湯の峰温泉・新宮高校付近などでは、音声合成による観光案内が流される。沿線からは世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道」の登録資産(小辺路熊野本宮大社神倉神社熊野速玉大社など)へアプローチできるほか、大塔温泉(五條市)、湯泉地温泉・十津川温泉(十津川村)、湯の峰温泉・川湯温泉・渡瀬温泉(田辺市)といった多数の温泉地を経由する。

2009年4月1日改正で一部区間で新道経由に経路変更され、一部停留所が廃止になった。2010年4月1日改正でホテル昴経由の路線が開設されたが、新宮駅5:53発大和八木駅行きの便は経由しない。同区間を走行する奈良交通の路線バスは、[1] [3] [10] [12] [161] [広域通院ライン]の各系統(区間便)が存在しているが、いずれも本数は少ない。

2014年6月6日の読売新聞にて、2011年の平成23年台風第12号(紀伊半島豪雨)後の乗客減少の影響により存続の危機、と報じられた[3]が、6月9日に奈良交通は、同社が沿線自治体から新たな補助金を受け、維持することを決めた[4][5]

2017年10月1日より外国人観光客の誤乗防止を目的に系統番号が付与され、新宮駅方向が301系統、大和八木駅方向が302系統となった[6]

主な停留所[編集]

大和八木駅 - 高田市駅 - 五条駅 - 上野地(谷瀬の吊橋) - 十津川温泉 - ホテル昴 - 本宮大社前 - 湯の峰温泉 - 川湯温泉 - 新宮駅

車両[編集]

旧型車

日野・ブルーリボン(型式:QDG-KV290N1)のノンステップバスが使用されている[7]国土交通省・奈良県・和歌山県の補助によって2015年11月に導入し、車体には沿線市町村のキャラクターや観光地がラッピングされている[8][9]。当路線専用車として、2人掛け主体のハイバックシートを採用し、ラッピング部分以外の車体塗装も先代車両に準じ、アイボリーにオレンジとしている[7]

1992年から使用されていた旧型車は2017年に運行を終了した[10]日野自動車ブルーリボン高出力車(型式:U-HU3KLAA)で、塗装は、貸切車に類似した白地に朱色と灰色のラインが入ったもので、他の一般路線車の塗装と異なっていた。山道のきついカーブでも曲がりやすく、運転をしやすくすると同時に、乗客の乗り心地を良くするため、全長が10.3m、ホイールベースが4.8mの大型短尺車であった。奈良交通が路線バスに多く使っている3扉の大型長尺車と比べると、全長もホイールベースも0.9m短い。また、扉は最前部の一つだけで、短い車体でできるだけ多くの座席を確保している[11]。車内前部には2面の液晶モニターがあり、次の停留所や料金とともに、沿線の見どころなどが映し出された。過去の車両ではイヤホンでラジオを聞けるサービスがあった[11]

参考文献[編集]

  • バスマガジン3号「おじゃまします!バス会社潜入レポート」奈良交通
  • バスマガジン14号「長時間乗車でバス旅の醍醐味を満喫 長距離路線バス」奈良交通新宮特急線

脚注[編集]

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  1. ^ バスマガジン3号「おじゃまします!バス会社潜入レポート」奈良交通 P54
  2. ^ バスマガジン14号「長時間乗車でバス旅の醍醐味を満喫 長距離路線バス」P29
  3. ^ 国内最長路線バス危機…唯一の公共交通失う村も - 読売新聞(2014年6月6日付け)※現在はインターネットアーカイブ内に残存
  4. ^ [1] - 読売新聞(2014年6月10日付け)※現在はインターネット・アーカイブ内に残存
  5. ^ 協議結果まとめ - 奈良県庁県土マネジメント部地域交通課奈良県地域交通改善協議会 第6回「奈良県地域交通改善協議会」(平成26年9月2日(火))より
  6. ^ 路線バスの運行について―平成29年10月1日(日)より― - 奈良交通 2017年10月7日閲覧
  7. ^ a b ネコ・パブリッシング刊「バスグラフィック No.26」 P.18-19 2016年1月30日発行 ISBN 978-4-7770-1866-6 。同書によればモデルチェンジしたばかりの同車種としては最初の営業運行車とされる。
  8. ^ 八木新宮線への新デザイン車両導入について”. 奈良交通株式会社. 2015年10月29日閲覧。
  9. ^ 奈良交通、日本最長の路線バスに新型導入…11月2日”. レスポンス. 2015年10月29日閲覧。
  10. ^ ありがとう! 新宮特急(旧型車)ラストランについて - 奈良交通(2017年2月13日)
  11. ^ a b 日本一長い路線バス”. 時事ドットコム. p. 5. 2015年5月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月11日閲覧。《》

外部リンク[編集]