八八

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八八(はちはち)とは、3~7人で遊ぶ花札の遊技のひとつである。

概要[編集]

  • 基本的には花合わせと同じだが、3人で行うために出降りを決めることが特徴。
  • 最初に配られた札によって「手役」が発生する場合がある。

歴史[編集]

八八がいつどこで成立したかに関しては諸説あるが、明治時代に横浜の遊女の間で考案され広まったという説が最も有力である。

使用する道具[編集]

通常の花札48枚(ただし7人の時は白札を入れた49枚)を使用する。

ほかに、得点をやりとりするための碁石(白=1貫、黒=1文)・貫木・改貫札・だるま・菓子札・番個板・みずてん札(いずれも「用語」を参照)・現在の場をあらわすための軍配などを使用する[1]

競技の流れ[編集]

  • 競技を始める前に、最初の親と子の並び順を決定する。全員で札を引き、札種の月が一番早い札を引いた者が親、残りの子は月順に反時計回りに並ぶ。(サイコロを振り、最初の親、および席順を決めるやり方もある)
  • 全員が一定の得点を持ち競技を始める。得点は貫と文という単位を用い計算する。1貫=12文とする場合と、1貫=10文とする場合がある。また、最初に全員が持つ得点も5貫で行う場合や50貫で行う場合など様々である。得点の計算のために貫木と呼ばれる用具を用いるのが一般的である。
  • 始まりは親の左から3番目が「仮しゃく」…出ている札を集めてよく混ぜておくこと。その間に左から2番目の人が「本しゃく」…数回きりまぜること。そのあとに左隣の人が「のぞみ」…2つに分け下だったかたまりを上におく(ワンカット)。このときに親はみずてん(見ず出)をするか決める。
  • 場に6枚、手札がそれぞれ7枚となるように親が札を配り、残りは山札として伏せておく。
    • ただし7人の時は全員が7枚になるように配る(場には配らない)。
    • 配り方は、3枚ずつ全員に配り3枚場にさらし、4枚ずつ配り3枚場にさらす(子に配る3枚4枚が逆になる場合や最初に3枚さらす場合もある。最後に3枚さらすようにすることが多い)。
  • 手札を配られたら親から順に出降りを決めていく。降りるときには「降り賃」として1人目1貫、2人目1.5貫、3人目2貫払う。
  • 3人出る人が決まった時点でまだ出降りの決めていない人は「追い込み」となり、強制的に降ろされる。
    • 7人の時は、白札が手札に入ってしまった人が強制的に降ろされ(降り賃は不要)、その人の白札を除く手札が場札となる。
    • ここで降ろされた人には出た人から追い込み賃が支払われる。
  • まだ決めていない人が全員出て3人になった場合、まだ決めていない人は強制的に参加となる。(縛り)
    • これは関東で主流のルールの場合。関西で主流のルールの場合は縛りは無く、参加者が2人、1人になってしまう状況でも降りることが可能である。
  • 参加者が決まったら、手役を公開する。これにより手役代の交換がある。
  • 競技者は親から反時計回りに次の行動を繰り返す。
    • 手札から1枚取り出して場に出す。このとき、同じ月の札が場札にあれば、2枚は自分が獲得した札となり、自分の脇に置く。なければ場札に加えられる。
    • その後、山札をめくって場に出す。同様に、めくった山札と同じ月の札が場札にあれば、2枚は自分が獲得した札となり、自分の脇に置く。なければ場札に加えられる。
  • 自分の順番で札の取れたことの確定した時点で獲得した札によって役が成立していれば、競技を継続するかしないかを決めなければならない。競技を継続する場合は「下げる」と言ってゲームを続ける。
  • 競技を止めた場合、止めた者に成立した役によって役代の受け渡しがある。「下げた」場合、新しい役ができずに終了したら、得点は半額となる。あとから「下げ」を取り消した場合も半額となる。
  • すべての札を取り終わったとき、各々の取った札の点数により得点のやり取りを行う。全部の点数の3分の1の88点(これが名前の起源となる)を基準にしてプラスマイナスで支払いを決める。
  • 1つの競技が終わったら札を混ぜて札を配り直し、次の競技を始める。
  • これを1月とし、12ヶ月(12回)行う。

場と終了条件[編集]

場札が決定したときに、場札に20点札があると月に応じて得点が変わる。

  • 絶場(桐、柳)…得点失点ともにすべて4倍
  • 大場(桜、松、ススキ)…得点失点ともに2倍

重複して出た時は、次の月に持ち越す。

  • 越年…12月になって、大場または絶場の持ち越しが残っている場合、競技を持ち越し分が解消されるまで続行する。年を越して行うためこの名がある(打ち切りにするルールもある)

[編集]

手役は重複を認めるので、組み合わせを合わせるとかなりの数になる。基本的な手役を挙げる。 出来役は他の花札に比べて少なめである。

なお、ここで記載する役の貫数は関東で主流のものである。

手役[編集]

特定の札種とカスのみの手役[編集]

5種類ある。カス札をさらす。柳(11月)札はカス札扱いにする(しても良いというルールのところもある)。

名称 貫数 説明
赤(あか) 2 短冊札が2枚以上あり、残りがカス札
短一(たんいち) 3 短冊が1枚のみで残りがカス札
十一(といち) 3 10点札が1枚のみで残りがカス札
光一(ぴかいち) 4 20点札が1枚のみで残りがカス札
空素(からす) 4 すべてカス札

赤を3貫とすることもある。

同じ月の札の組み合わせによる手役[編集]

8-10種類ある。組み合わせを構成する札をさらす。一二四はすべてをさらす。

名称 貫数 説明
三本(さんぼん) 2 同じ月の札が3枚ある場合。立三本を除く
立三本(たてさんぼん) 3 同じ月が3枚ある場合で、菖蒲、藤、萩か、桐のカス札のとき
喰付(くっつき) 4 2枚ずつ同じ月が3組ある
手四(てし) 6 手の中に同じ月が4枚ある
二三本(ふたさんぼん) 6 三本が2組ある
三本立三本(さんぼんたてさんぼん) 7 三本がひと組、立三本がひと組ある
二立三本(ふたたてさんぼん) 8 立三本が2組ある
はねけん 7 2枚ずつ同じ月が2組と(立)三本がひと組ある
一二四(いちにし) 8 手四にもう一組そろった月がある
四三(しそう) 20 手四がひとつと(立)三本がひと組ある

二立三本や三本立三本は比較的新しく作られた役であり、認めないこともある。その場合は単に二三本とみなす。

はねけんは8貫とすることもある。

二三本・三本立三本・二立三本は地域によっては単純に足し算して4貫・5貫・6貫とする。

四三は30貫とすることもある。また、四三はめったにできないため、さまざまな習慣がある。これが出た場合、競技を打ち切るローカルルールもある。そのときの手役のみ交換して、12月になっていなくても終了する。また、全員から10貫ずつ祝儀をもらえるローカルルールもある。(死相と音が同じな為、札を焼くとところもあったといわれる)

手役の複合[編集]

「特定の札種とカスのみの手役」と「同じ月の札の組み合わせによる手役」の複合による役。複合役の貫数は単純にそれを構成する役の貫数を加算する。

複合役の総数は、立三本の複合を認めるかどうかによって異なってくる[2]

  • 立三本の複合を一切認めない場合、7×5 - 1 = 34通りになる(1を引くのは赤四三が不可能なため)。
  • 立三本の複合は認めるが、三本二立三本や三本立三本を認めない場合、8×5 - 1 = 39通りになる。
  • 二立三本を認める場合はさらに3種類が追加されて 42通りになる(赤・短一・十一と複合可能)。
  • 三本立三本も認めると46通りになる(空巣と複合するには桐のカス3枚が必要なので、立三本を含まない空巣二三本は存在しない)。

ただし、以上はあくまで理論値であって、現実にはまず現れることのない組み合わせも多い。

なお、二三本・二立三本・三本立三本自身を複合役としている本も多いが、貫数が異なるので分けたほうがわかりやすい。

出来役[編集]

  • 五光(ごこう)…20点札を5枚すべて集める。12貫
  • 四光(しこう)…柳に小野道風を除いた20点札4枚をすべて集める。10貫
  • 七短(ななたん、しちたん)…短冊札(柳の短冊は含まない)を7枚集める。10貫(1枚増えるごとに1貫増しとすることもある)
  • 赤短(あかたん)…松、梅、桜の短札をそろえる。7貫
  • 青短(あおたん)…牡丹、菊、紅葉の短冊をそろえる。7貫

特殊役[編集]

  • 素十六(すじろく、すじゅうろく)…1点札を16枚取った場合。12貫(1枚増えるごとに2貫増し)
  • 総八(そうはち)…全員が88点で終わる。親に10貫
  • 二八(ふたはち)…得点が168点以上で終わる。10貫(1点増えるごとに1貫増し)

以上の3つのいずれかができたときは、「吹き消し」といって、それまであった手役の金額が取り消しになる。手役が取り消しになることにより、飛び込み、抜けもなくなる。ただしみずてんは有効とするばあいもある。

ルール詳細[編集]

抜け[編集]

赤、短一、十一、空素の手役を公開し、競技を始めた人は、競技中に88点を超えた場合、他の競技参加者から1貫もらう。

飛び込み[編集]

三本、立三本(場所によってははねけんも)の手役を公開し、競技を始めた人は、3枚持っていた同じ月の札に加え、残りの1枚の札も集めた場合、他の競技参加者から1貫もらう。

みずてん[編集]

「見ず出・不見転」ともいい、親が、場札の開く前に(場の倍率が確定する前に)必ず出ることを宣言すること。これにより、親が88点を超えた場合、他の全員(7人の時に白札を引いた人は除く)から1貫もらう。

法度[編集]

競技中に、出来役成立があと1枚になったとき、それに関連する直接の札または同じ月を手札から捨てて、そのために出来役が出来た場合、その札を捨てた人の責任払いとなる。

他の人の3本と同じ月の札(飛び込みの成立を防ぐ札)を持っている人が、それを捨てて飛び込みを成立させた場合、飛び込み代がその札を捨てた人の責任払いになる。

下げ[編集]

出来役が出来た後、他の出来役ができそうなときに「下げ」ることができる。

出来役が出来なかった場合出来役代は半分になる。

追い込み賃[編集]

おろされる人の手の中に手役がある場合、その半額を支払う。手札の中に出来役と同じ組み合わせが存在する場合、出来役の半額を支払う。手の中に20点札・青短・赤短札がある場合、1枚あたり3文を支払う。

関東と関西でのルールの大まかな違い[編集]

一口に関東、関西と言っても、場所やプレイグループによりローカルルールが存在する。ここでは多くの場合行われる大まかな違いを記載する。

関東 関西
競技開始時の持ち点 5貫 50貫
貫と文のレート 1貫=12文 1貫=10文
改貫(借金) 10貫単位で借入

10貫ずつ返済

50貫単位で借入

60貫ずつ返済

出降り 縛りあり 縛りなし
降り賃 何人目に降りるかで決定

1人目:1貫

2人目:1.5貫

3人目:2貫

親から見た席次で決定

親:1貫

親の右隣:1.5貫

以降2貫、2.5貫……と0.5貫ずつ増えていく

はねけんの貫数 7貫 8貫
四三の貫数 20貫 30貫
出来役の貫数 五光:12貫

四光:10貫

赤短:7貫

青短:7貫

七短:10貫

五光:15貫

四光:12貫

赤短:10貫

青短:10貫

七短:12貫

特殊役の貫数 素十六:12貫

総八:10貫

二八:10貫

素十六:10貫

総八:8貫

二八:10貫

下げ 新たな出来役ができなかった場合、

下げた出来役代は半分

新たな出来役ができなかった場合、

下げた出来役は無効

ローカルルール[編集]

ふけ
ある得点以下だったばあい、ご祝儀をとりきめて渡す。
つかみ手役
手役公開の際、出来役と同じものを保有していた場合、それも手役としてさらすことが出来る。点数は出来役の際と同じ。これらの役を、別の名前を与えている場合もある(赤短のつかみ→赤大将、など)
縛りなし
出降りで、降りていない人数が3人以下になっても、残りは強制的に出るのではなく、まだ降りることができる。この場合、残りがひとりになったらその人の不戦勝になる。2人になったら二人勝負を行う。

用語[編集]

大場(絶場)の二代縛り
大場又は絶場の札が、場に2枚以上出た場合二枚目以降は次の月以降に消化すること
越年
大場(絶場)の二代縛りが続いて、12月を超えてしまうこと
みずてん
親が場札、手札を見ずに出ることを宣言すること。この場合89点以上得点できると競技参加者すべてから1貫もらえる(人数によってかわり最大5貫、絶場で20貫となる)
吟味
トップ賞。「吟味を取る」とはトップになることを指す。
改貫札
途中で貫木が足らなくなり借金する場合に証文としてもらえる札。
菓子札
貸し札の洒落。元々は、現金を賭けてプレイする場合、競技中に現金のやり取りを行う代わりに用いたもの(カジノにおけるチップと同じ。)現在は、現金の代用品ではなく、先述の改貫札の代わりとして用いられるのが普通。
だるま
改貫札を複数(一般的には5枚)集めた際に、代用として持つ。(関西式のやり方では改貫札=だるまになる場合が一般的)手も足も出ない、の洒落。
半どん
6月まで競技が進行したところで、トップ賞の計算のため全員の持ち点から一定分取り除く。(5貫持ちで始めた場合は10貫、50貫持ちで始めた場合は60貫)また、このタイミングで改貫札を持つものは清算することが出来る。これにより全員の所持点の合計はマイナスに成るが、その分は吟味を取ったもののものとなる。
番個板
月の進行を表すため、各月でトップに成った者が1文を場に提供し置いていくもの。ここに置かれた分は最下位の者の得点となる。

脚注[編集]

  1. ^ 任天堂では『交際の友』という名称でプレイしやすいように、花札以外の小道具類をセットにして販売していた。(生産終了)
  2. ^ 実際は、立三本・二三本を含む複合役として一部のみしか載せていない文献が多い(赤二三本はあるが短一二三本はないなど)。これが単なる杜撰なのか、何か理由があるのかはわからない

参考文献[編集]