入野義朗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

入野義朗(いりの よしろう、1921年11月13日 - 1980年6月23日)は日本作曲家。若い頃の名前は「義郎」であり、1958年以降、現在の名前に改名(戸籍上も改めたのか、そうでないのかは不明)。

経歴[編集]

ソビエト連邦ウラジオストクに生まれる。東京高等学校を経て東京帝国大学経済学部を卒業。第二次世界大戦後、柴田南雄戸田邦雄とともに十二音技法を研究し、1951年にはこの技法を用いた「七つの楽器のための室内協奏曲」を作曲した。この曲は日本において、十二音技法で書かれた最初の作品と称されている[1]。同時期、『音楽芸術』に「シェーンベルクの作曲技法」、「十二音音楽とは何か」を発表する。以後、彼は、この技法を多くの作品で使用するとともに、海外の現代音楽や音楽文献を、日本の音楽界に紹介することに尽力した。しかしながら当時ダルムシュタットで隆盛していたセリエル音楽を作曲することはなかった。

「シンフォニエッタ」(1953年)で第6回毎日音楽賞を、「2つの弦楽器群と管・打楽器群のための合奏協奏曲」(1957年)と「シンフォニア」(1959年)で尾高賞(第6回と第8回)を受賞。

彼の死後、入野賞、「入野義朗記念賞」が設けられ、ともに若い作曲家のための登竜門として今日まで存続し続けている。

作品[編集]

ここに載せている作品は、録音もしくは出版されたものである(映画音楽を除く)。

舞台作品[編集]

  • 綾の鼓(1962)

管弦楽[編集]

  • 小管弦楽のためのシンフォニエッタ(1953)
  • ヴァイオリンとピアノのための二重協奏曲(1955)
  • シンフォニア(1959)
  • チェンバロ、打楽器と19の弦楽器のための音楽(1963)
  • 二本の尺八とオーケストラのための「転」(1973)

室内楽・独奏[編集]

  • ピアノ三重奏曲 作品4(1948)
  • 弦楽六重奏曲(1950)
  • 三つのピアノ曲(1958)
  • ヴァイオリンとチェロのための音楽(1959)
  • 2台のピアノのための音楽(1963)
  • 弦楽三重奏曲(1965)
  • 二面の箏と十七弦のための三楽章(1966)
  • ある日のペペ(1967)
  • ギターと6人の奏者のための7つのインヴェンション(1967)
  • ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1967)
  • 独奏チェロのための三楽章(1969)
  • H.R.S.のためのトリオ'70(1970)
  • グローブス I (1971)
  • 三つの即興曲(1972)
  • シュトレームング(1973)
  • グローブス III (1975)
  • マリンバ独奏のための「運動」(1977)
  • 四大(1979)

声楽[編集]

  • 白い箱(1959)
  • 東北民謡による三つの混声合唱(1960)
  • 白夜(1966)
  • 評弾(1977)

映画音楽[編集]

  • 海は生きている(1958)
  • 性生活の知恵(1961)
  • 獣の戯れ(1964)

放送音楽[編集]

校歌[編集]

  • 埼玉県立秩父高等学校校歌(1952)
  • 東京都品川区立荏原第五中学校校歌(1952)
  • 岩手県二戸市立金田一中学校校歌(1953) ※現在は応援歌として使用
  • 東京都目黒区立目黒第二中学校校歌(1953)
  • 茨城県取手市立取手第一中学校校歌(1955)
  • 茨城県古河市立古河第一中学校校歌(1955)
  • 東京都立明正高等学校校歌(1956)
  • 三重県伊勢市立伊勢実業高等学校校歌(1959)
  • 桐朋小学校初等部の歌(1960)
  • 桐朋学園学園歌(1961)
  • 埼玉県川島町立川島中学校校歌(1962)
  • 湘南女子学園園歌(1962) ※現在は使用されていない
  • 茨城大学教育学部附属小学校校歌(1963)
  • 桐朋学園高原寮によせて(1963)
  • 東京都立田無工業高等学校校歌(1963)
  • 長野県松本市立筑摩小学校校歌(1963)
  • 長野県安曇野市立豊科小学校校歌(1963)
  • 広島県立神辺工業高等学校校歌(1963)
  • 山梨県立女子短期大学校歌(1967)
  • 神奈川県立追浜職業訓練所・技術高等学校校歌(1968)
  • 呉中学校・高等学校校歌(1968)
  • 山梨県韮崎市立韮崎西中学校校歌(1968)
  • 東京都立清瀬東高等学校校歌(1979)
  • 北海道札幌市立中央中学校校歌(不明)

著書[編集]

  • 『音楽読本――楽典・和声・楽式・音楽史』(東京音楽書院/1953 柴田南雄、北澤方邦との共著)
  • 『十二音の音楽――シェーンベルクとその技法』(早川書房/1953)
  • 『音楽史年表』(東京創元社/1954 柴田南雄との共著)
  • 『名曲読本 オペラ篇』(修道社/1956)
  • 『音楽の基礎 ソルフェージュ 初級編(上中下巻)』(東京音楽書院 → ケイ・エム・ピー 高橋冽子との共編著)
  • 『音楽の基礎 ソルフェージュ 中級編(上下巻)』(東京音楽書院 → ケイ・エム・ピー 高橋冽子との共編著)
  • 『十二音作曲技法』(音楽之友社/出版年不明 守田正義、大築邦雄、戸田邦雄、石桁真礼生、辻啓一との共著) 

訳書[編集]

  • ヘルマン・エルプ『現代音楽の理解――新音楽の本質について』(音楽之友社/1955)
  • カール・ヴェルナー『現代の音楽』(音楽之友社/1955)
  • ヨーゼフ・ルーファー『12音による作曲技法』(音楽之友社/1957)
  • プリーベルク『電気技術時代の音楽』(音楽之友社/1963)
  • ラーシュ・エドルンド編著『現代音楽のための視唱練習』(全音楽譜出版社/1964)
  • ルネ・レイボヴィッツ『シェーンベルクとその楽派 Schoenberg and His School』(音楽之友社/1965)
  • ジークフリート・ボリス『モダン・ジャズ』(朝日出版社/1971)
  • エアハルト・カルコシュカ『現代音楽の記譜 Das Schriftbild der neuen Musik』(全音楽譜出版社/1978)
  • ディーター・デ・ラ・モッテ『音楽の分析』(全音楽譜出版社/1983)

[編集]

  1. ^ 『日本の作曲20世紀』(音楽之友社)142頁や、現代日本のオーケストラ音楽第28回演奏会プログラムなど。『日本の作曲20世紀』において、入野の項目を担当した高久暁は、この作品以前に十二音技法による試作が行われていた可能性を指摘している。日本における十二音技法の受容については、長木誠司が『レコード芸術』に2005年から翌年にかけて連載した「日本の十二音技法」に詳しい。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]