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入札談合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

入札談合(にゅうさつだんごう)、または、単に談合とは、日本における、公共事業などにおける競争入札の際に、複数の入札参加者が前もって相談し入札価格や落札者などを協定しておく不正行為ないし商慣習である。

入札談合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律独占禁止法)の「不当な取引制限」(2条4項)に該当し、独占禁止法による規制や談合罪(刑法96条の6第2項)による処罰対象となる。

なお、俗に甲州選挙のような事前申し合わせのある選挙戦や55年体制の国対政治等も、比喩的にカルテルあるいは談合(政治的談合、談合政治)と呼ぶ[注釈 1]

類型

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入札は官公庁の発注工事などで見積最低価格の業者に発注するべく行われるものであるが、指名された業者が示し合わせ、特定の業者を受注させるべく談合し、それ以外の業者が特定の業者の価格を上回る札を入れる行為が入札妨害の談合といわれる。結果的に発注価格が高止まりするとされる。

官製談合

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公共事業などで競争入札が義務づけられているにもかかわらず発注者が受注者を指名するなど、発注者側(行政などの「官」)が談合を主導する汚職官製談合という。通常は天下り先の提供や金品など、贈収賄や便宜供与を伴う。官製談合は、独占禁止法や刑法上の談合罪だけでなく、官製談合防止法による規制及び処罰の対象となる。

事例

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談合

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官製談合

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  • 新潟市では2001年、下水道工事をめぐる発注で不正と思われる入札があり、その後の調査で過去から幾度にも渡って官製談合があったことが発覚し、2003年9月に大手ゼネコンや地元業者、市役所などが立ち入り検査された。また、2004年には113社の業者に対し排除勧告をし、職員や業者が数名逮捕された。

海外での受容

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1980年代から1990年代の日本経済が隆盛を誇ったバブル時代に、アメリカを中心とした英語圏ではローマ字で「DANGO」という言葉がそのまま日本の非関税障壁・不公正商習慣を示す英単語として通用したことがあったが、その後はそれほど用いられなくなった。これは「KEIRETSU」、「GYOSEI-SHIDO」等も同様)またスラングとして「ドラフト会議」の語が用いられることがある。

ちなみに、台湾では、日本統治下にあった時代に「談合」が訛って伝えられたため、「団子(をこねる)」という言葉が用いられることもある。

脚注

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注釈

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  1. ^ 事前に有力者同士で話し合いを行ない、候補者を調整して選挙戦にならないようにしている地域がある。日本の選挙制度では候補者が一人の場合の信任投票は行われないので無投票にする。但しこういった調整は全国各地の村社会の強いところで行われており、必ずしも山梨県に限られたことではない。
  2. ^ 逮捕時点では、木村以外は知事を辞職し、木村も逮捕後に辞職している。

出典

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  1. ^ a b c 金井, 貴嗣、泉水, 文雄、武田, 邦宣 編『経済法判例・審決百選』(第2版)有斐閣、2017年10月25日。ISBN 978-4-641-11534-7OCLC on1008572891 
  2. ^ https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190621-00010000-kyt-l26
  3. ^ 兵庫県道路公社の入札情報を漏らした疑い、30代県職員を逮捕…播但連絡道路の耐震工事 読売新聞 2023年9月30日
  4. ^ 職員逮捕についてのお詫び(令和5年10月2日) 兵庫県道路公社ニュースリリース 2023年10月2日
  5. ^ 職員の再逮捕についてのお詫び(令和5年10月21日) 兵庫県道路公社ニュースリリース 2023年10月21日

関連項目

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