傾動地塊

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傾動地塊(けいどうちかい、: tilted block)とは、山地上に形成された断層崖により、山地の切峰面が断層崖の反対側に傾いた山地のことである[1]。傾動[注釈 1]により形成される[3]

傾動地塊は、複数本の縦ずれ断層により形成された断層変位地形であり[1]変動地形の一種である[4]

傾動地塊の前面には急傾斜の断層崖があるが、背面では緩傾斜となっている[5]

傾動地塊の例として、養老山地が挙げられる[1][5]。養老山地は、西側が緩傾斜、東側が急傾斜の傾動地塊であり[6]養老断層の活動に起因して形成された[7]。養老断層の活動は約100万年前から活発になり、養老山地の傾動隆起が始まったとされる[7]

日本の傾動地塊[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ほぼ水平な地形面・地形線が一定の方向に傾く現象のこと[2]

出典[編集]

  1. ^ a b c d 鈴木 2012, p. 1096.
  2. ^ 貝塚ほか 1985, p. 157-158.
  3. ^ 小松原 2017, p. 226.
  4. ^ 小池 2017, p. 224.
  5. ^ a b c 松倉 2021, p. 44.
  6. ^ 太田ほか 2004, p. 41.
  7. ^ a b 太田ほか 2004, p. 335.
  8. ^ a b c 松倉 2021, p. 43.

参考文献[編集]

  • 小池一之 著「地形の分類と地形の規模」、小池一之・山下脩二・岩田修二漆原和子小泉武栄・田瀬則雄・松倉公憲・松本淳・山川修治 編 編『自然地理学事典』朝倉書店、2017年、224-225頁。ISBN 978-4-254-16353-7 
  • 小松原琢 著「傾動地塊」、日本地形学連合 編『地形の辞典』朝倉書店、2017年、226頁。ISBN 978-4-254-16063-5 
  • 太田, 陽子、成瀬, 敏郎、田中, 眞吾 ほか 編『日本の地形 6 近畿・中国・四国』東京大学出版会、2004年。ISBN 4-13-064716-4 
  • 貝塚爽平・太田陽子・小疇尚・小池一之・野上道男町田洋米倉伸之 編 編『写真と図で見る地形学』東京大学出版会、1985年。ISBN 978-4-13-062080-2 
  • 鈴木隆介『火山・変動地形と応用読図』(改訂版)古今書院〈建設技術者のための地形図読図入門〉、2012年。ISBN 978-4-7722-5264-5 
  • 松倉公憲『地形学』朝倉書店、2021年。ISBN 978-4-254-16077-2