傑作

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源氏物語』は平安時代紫式部が書いた傑作で、当時も今もよく読まれている。
絵画では、1503年から1506年に制作されたレオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナ・リザが、ギルドやアカデミーに入るために作られたものではないが、典型的な傑作である。
フランソワ・ブーシェのリナルドとアルミーダ。パリの王立絵画彫刻アカデミー に入るために作成された傑作[1]

傑作(けっさく)は、非常に高い価値を認められている創造物で、特にある人のキャリアの中で最も優れた作品だと考えられているもの、または非常に優れた創造性、技術、技量の表れた作品のことである。中国でも日本でも、そういう意味で古来用いられた言葉である。 [2] ただし、日本ではそれから派生して、言動が突飛で滑稽な意味で用いることもある。 [3]

西欧の歴史的には、傑作(英語: Masterpieceフランス語: Chef-d'oevreドイツ語: Meisterwerk)はギルドアカデミーの会員資格を得るために、非常に高い水準でつくられた作品という意味であった。以下は、おもにそうした面を書く。

語源[編集]

英語のmasterpieceの語源は、オランダ語の"meesterstuk"またはドイツ語の"meisterstück"であろうと考えられ、英語圏では1579年に"masterstik"という形で記録されており、これが語源と考えられる。(なお、"masterstik"は、アバディーンのギルドの規則で用いられていたものなので、スコッツ語とも考えられる。)一方"masterpiece"は、ベン・ジョンソンの作品内で、既にギルドでない場所で、1605年に初めて用いられた[4]。また、この語が生まれた初期のころは、同じ意味で"Masterprize"も用いられていた[5]

"masterpiece"はすぐに非常に創造性に優れた作品に対して様々な状況下で用いられるようになり、早期はしばしば神や自然の「傑作」として人間に適用されていた[6]


職人技術と芸術[編集]

元来、傑作はヨーロッパ中世のギルド制度における名工を目指す弟子職人によってつくられた作品のことを意味した。ギルドの会員である資格の適性は、部分的には傑作によって判断され、成功したら作品はギルドに保持された。それゆえに、菓子製造、絵画、金細工、ナイフ作成その他どんな技術においても良質な作品を作ることに細心の注意が払われていた。

一例として、1600年代には、ロンドンの金細工職人ギルド(Worshipful Company of Goldsmiths)で、金細工職人ホールの「労役所」で監督の下で傑作を作成することを弟子に課していた。金細工の技術レベルが低下していることを懸念し、労役所は規範の引き締めの一部として設置されるようになった。この会社はまだ傑作を生み出すことを要しているが、監視下で行われるようなことはない[7][8]

1531年から1572年まで、ドイツのニュルンベルクでは、名工になることを望む弟子は、ギルドに入ることを承認される前にカランバイン・カップや鋼製の印鑑用の金型、宝石つきの金の指輪を作ることを要されていた。ギルドに入れなかった弟子は、他の金細工の下で働くことはできたが、名工として働くことはできなかった。完全な会員となるまでは、弟子は結婚を認められていないギルドも存在した[9]

傑作を作る慣行は現代の芸術アカデミーで続いているところもあり、そのような作品は一般用語で現在"reception piece”と呼ばれている。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでは「ディプロマ・ワーク」という言葉を使い、会員の条件として受け取る優秀なディプロマ・ワークのコレクションを獲得している。

現代における用いられ方[編集]

現代では、傑作は従来特に創造性にあふれる芸術家や職人[10]の最も優れた作品のことを指すが、優れた作品であれば、創造的でない作品[11]やどんな種類であっても高価または貴重なもの[12]、また大量生産物であっても傑作と呼ばれるようになってきている。傑作はロレックスの時計やトランスフォーマーの玩具、マックスファクターの化粧品、シュタイフのぬいぐるみのブランド名にもmasterpieceの語が使用されている。


脚注[編集]

  1. ^ Levey, Michael. (1993) Painting and sculpture in France 1700-1789. New Haven: Yale University Press, p. 164. ISBN 0300064942
  2. ^ 傑作(百度百科) (中国語)
  3. ^ 傑作(コトバンク=デジタル大辞泉)
  4. ^ OED:"masterpiece". See also: Encarta. Archived 2009-11-01.
  5. ^ OED:"Masterprize"
  6. ^ OED, and examples
  7. ^ A History of the Goldsmiths' Company. The Goldsmiths' Company. Retrieved 30 December 2014.
  8. ^ Goldsmiths' Company Apprenticeship Programme. Archived 2014年12月30日, at Archive.is The Goldsmiths' Centre. Retrieved 30 December 2014.
  9. ^ Cup, Silver, room 69, case 25. Victoria & Albert Museum. Retrieved 30 December 2014.
  10. ^ Encarta”. 2009年11月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年5月23日閲覧。
  11. ^ Historical Thesaurus is a masterpiece worth waiting 40 years for Henry Hitchings, The Telegraph, 23 October 2009. Retrieved 20 June 2014.
  12. ^ Champagne and celebrities hit Masterpiece London luxury fair David Brough, Reuters, 27 June 2013. Retrieved 20 June 2014.

外部リンク[編集]