倒立V型エンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
イギリス空軍博物館 (RAF museum) で保存されているDB 605エンジン
同エンジンのカットモデル
Vというよりハの字型になっている

倒立V型エンジン(とうりつブイがたえんじん)は、シリンダークランクシャフトに対して下方向、逆V字型(Λ型)に配置されたV型エンジンのことである。主に航空機用液冷エンジンとして使用された(空冷エンジンも存在する)。

エンジン形式としての特徴[編集]

エンジン形式としての特徴は以下の通り。

  • 長所
    • 正立V型に比べ、重心を低くできる。
    • 液冷エンジンの場合、冷却液が、エンジン下部、すなわちもっとも高温になるシリンダーヘッド側から供給され、冷却液の温度上昇に伴いエンジン上部に移るという、自然対流の理にかなった方法を採れる。
  • 短所
    • エンジンオイルが常にシリンダ側にたまることになり、シリンダから燃焼室へのオイルの濾過による損失が正立V型にくらべ大きい。

航空機エンジンとしての特徴[編集]

航空機(戦闘機)用エンジンとしての特徴は、以下の通り。

  • 長所
    • 正立V型に比べ機首上部の幅が細くなることにより前方下方視界が向上する。
    • シリンダヘッドが機首下部に位置するため機首上部に機銃を装備するスペースが広く取れる。
    • プロペラ軸線が下がることによりプロペラ軸内機銃を装備したときの機体設計に及ぼす影響が少ない(正立V型ではコックピットと干渉するため、コックピットの位置を後ろにずらす、そのために全長を伸ばすなど影響が出る)。
  • 短所
    • プロペラ軸線が下がることにより、主脚が長くなる。これにより重量増加と、離陸着陸時の前方視界が悪化する。

機首およびプロペラ軸に機銃を装備することはつまり機体中心線に近いところに装備することであり、主翼内機銃に比べ命中率の向上が図れた。

運用[編集]

ナチス・ドイツドイツ空軍では、上記の長所に固執し、航空機液冷エンジンにほとんどこのタイプを採用した。ダイムラー・ベンツおよびユンカースなどで製造され、イタリア日本もダイムラー・ベンツの倒立V型エンジンをライセンス生産戦闘機および艦上爆撃機エンジンとして使用している。

主な倒立V型エンジン[編集]

ライセンス生産[編集]

関連項目[編集]