作者の死
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「作者の死」(さくしゃのし、英語 The Death of the Author)はフランスの哲学者ロラン・バルトが1967年に発表した文芸評論の論文[1]。また、そこで提唱された、ある物語の作者はその物語の解釈を決める最高権威(神)ではないとする考え方である[2]。
バルトはテクストは現在・過去の文化からの引用からなる多元的な「織物」であると表現し、作者の意図を重視する従来の作品論から読者・読書行為へと焦点を移した[3][4]。
成立[編集]
バルトはこの評論をフランス語で書いたが、フランス語原文よりも先にアメリカ合衆国の雑誌 Aspen で1967年に英語訳を発表した(リチャード・ハワードによる翻訳)[5][6]。フランス語版は «La mort de l’auteur» というタイトルで1968年にManteiaで発表された[1]。
影響[編集]
この評論などの業績によりバルトはテクスト論の創始者であるとみなされる[7]。
「作者の死」はミシェル・フーコーの1969年の評論「作者とは何か?」(フランス語 Qu'est-ce qu'un auteur?)に影響を与えたと言われ[8]、両論文は作者論の代表的な著作に数えられる[9]。
ジャック・デリダはバルトの死に際して「ロラン・バルトの複数の死」(The Deaths of Roland Barthes)というタイトルの追悼文を書いた[10]。
出典[編集]
- ^ a b 岩手大学人文社会科学学部 平成12年度後期 フランス文学特講I(後藤尚人)Résumé
- ^ 森田 亜紀 作者であることの事後性をめぐって 倉敷芸術科学大学紀要,(12),25-36 (2007-03-01)
- ^ 荒井訓 本を読むことの現在 文化論集 25,245-281 (2004-09)
- ^ 浅野 麗・小野祥子・河野龍也・佐藤淳一・山根龍一・山本 良 編著 大学生のための 文学トレーニング 現代編
- ^ In theory: The Death of the Author Andrew Gallix Wed 13 Jan ‘10 15.36 GMT
- ^ Aspen no. 5+6: The Minimalism issue
- ^ 石原千秋『読者はどこにいるのか 書物の中の私たち』第2章
- ^ Adrian Wilson Foucault on the "Question of the Author": A Critical Exegesis The Modern Language Review Vol. 99, No. 2 (Apr., 2004), pp. 339-363
- ^ 星野太 作者 | 現代美術用語辞典ver.2.0
- ^ 痕跡・死・滞留―ジャック・デリダの写真論『留まれ、アテネ』を中心に―吉松覚
関連文献[編集]
- Aspen no. 5+6 The Minimalism issue
- ロラン・バルト著 花輪光訳『物語の構造分析』(1979年、みすず書房)所収「作者の死」 4-622-00481-X