| この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。 出典検索?: "余代数" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2014年6月) |
余代数(よだいすう、英語: coalgebra)とは、単位元を持つ結合代数に対して、圏の双対をとったものをいう。
を体、
を
上のベクトル空間とする。2つの線型写像
、
が存在して、これらが
(余結合律)、
(余単位律)
を満たすとき、即ち図式

が可換であるとき、組
を余代数という。また、
を余積、
を余単位という。
諸概念[編集]
余代数射[編集]
、
を
-余代数とする。
-線型写像
が


を満たすとき
を余代数射(coalgebra morphism)という。これは以下の図式が可換であることと同値:

部分余代数[編集]
を余代数、
とする。
が部分余代数であるとは、
を満たすことをいう。このとき、
は余代数の構造を持つ。
余イデアル[編集]
を余代数
の部分ベクトル空間とする。
が余イデアル(coideal)であるとは


を満たすことをいう。このとき商
は余代数の構造を持つ。
余可換余代数と逆余代数[編集]
写像
を
で定める。余代数
が余可換であるとは、
が成り立つことをいう。ここで新しい余積を
によって定めると、
は余代数になりこれを逆余代数という。余代数が余可換であることと
となることは同値である。
SweedlerのΣ-記法[編集]
を余代数とする。
とすると、余積は

と書ける。SweedlerのΣ-記法ではこれを

と表す。このとき、総和の記号は省かれる場合がある。この記法を用いると、余結合律と余単位律は以下のようになる:
(余結合律)
(余単位律)
を空でない任意の集合、
を
の元を基底とした
-ベクトル空間とする。任意の
に対して余積と余単位を

- で定めると、
は
-余代数の構造を持つ。
を
-ベクトル空間、
をその基底とする。任意の
に対して余積と余単位を

- で定めると、
は
-余代数の構造を持ち、これを devided power coalgebra という。
を
次元
-ベクトル空間、
をその基底とする。余積と余単位を

- によって定めると
は余代数となっていて、これを matrix coalgebra という。
を局所有限半順序集合とする。
として
を
の元全体を基底として持つ
-ベクトル空間とする。任意の
に対して余積と余単位を

- で定めると
は余代数となる。
を
-ベクトル空間とし、その基底を
とする。余積と余単位を

- で定めると
は余代数となり、これを trigonometric coalgebra という。
K-代数とK-余代数の双対空間[編集]
を
-余代数、
を
-代数、とする。ここで
の積を
、即ち任意の
に対して

で定める。
が余結合的であることから積
は結合的であることがわかる。この積によって
は
-代数となり、
の双対代数あるいは畳み込み代数という。単位は

で与えられる。また
が余可換であることと、全ての可換な
に対して
が可換であることは同値である。
逆に代数が有限次元の場合、代数の双対として余代数が定義できる。
を有限
-次元代数とすると、準同型写像
![A^{{\ast }}\otimes A^{{\ast }}\to (A\otimes A)^{{\ast }},\quad f\otimes g\mapsto [a\otimes b\mapsto f(a)g(b)]](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/04658f5c9803c77392c947f72e0b6456912270c7)
が存在して
となる。積と単位の双対

によって余積と余単位がそれぞれ定義され、余代数の構造が得られる。一般に
が無限次元の場合には、このようにして余代数の構造を持つことはない。
参考文献[編集]
- Tomasz Brzezinski; Robert Wisbauer (2003). Corings and Comodules. Cambridge University Press
- Moss E. Sweedler (1969). Hopf algebras. Mathematics Lecture Note Series. W. A. Benjamin
- Sorin Dăscălescu; Constantin Năstăsescu; Șerban Raianu (2001). Hopf Algebra: An Introduction. Monographs and Textbooks in Pure and Applied Mathematics. 235. Marcel-Dekker