佐賀潜

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佐賀 潜(さが せん、1914年3月21日 - 1970年8月31日)は、日本小説家推理作家検察官弁護士。本名松下幸徳。

略歴[編集]

東京生まれ。筆名の由来は、父親を含め先祖代々佐賀鍋島藩の出身であることと、「探せん」の意味を懸けたもの。

中央大学法学部在学中、司法試験に合格。大学を卒業し司法修習を終え、各地の地方検察庁検事を務める(1946年11月までの約10年間)。なお、著書である『刑法入門』の中で、検事時代の1944年長崎刑務所浦上支所で死刑が執行された際に、担当でもないのに興味本位で立ち会った体験を明かしている。

その後は弁護士事務所を開業。日本推理作家協会の顧問弁護士となる。

作家の小山いと子は、娘と交流のあった佐賀から取材し、検事を辞めて弁護士になった男を主人公とする短編「執行猶予」を1950年に発表した。これが第23回直木賞を受賞したことがきっかけとなって、佐賀に執筆意欲が生まれ、作家活動を始めた[1]1959年に短編を集めた『ある殺意』を刊行し、さらに長編小説『第三の殺人』や『むらさきの女』を執筆。作家としての地歩を固める。

1962年、弁護士経験を生かして書いた推理サスペンス『華やかな死体』で第8回江戸川乱歩賞戸川昌子とともに受賞。受賞後は弁護士を主人公とした推理小説等を発表し人気作家となる。とりわけ、光文社のカッパビジネスシリーズから刊行された法律入門書は大ヒットとなり、『民法入門』『刑法入門』『商法入門』『労働法入門』『道路交通法入門』等は 1968年(昭和43年)の全国書籍販売「年間ベストセラー」の上位を独占。翌1969年には『六法やぶれクン』としてテレビアニメ化されている。また『女の学校』(NETテレビ)には法律コンサルタントとして出演。

三島由紀夫の『葉隠入門』(光文社 カッパブックス 1967年)には、佐賀関係者ということで表紙カバーに推薦の辞を寄せている。

多岐川恭佐野洋星新一水上勉結城昌治らが結成した推理作家(探偵作家)の親睦団体「他殺クラブ」では幹事をつとめた。

1970年胃癌のため死去。

子に慶應義塾大学理工学部教授の松下温がいる。弟の松下喜久雄も「佐賀蒼」の筆名で推理小説を書いていた。

著作[編集]

長編[編集]

  • 『非情の顔』浪速書房、1960 
  • 『第三の殺人』浪速書房、1961 
  • 『むらさきの女』雪華社、1961 
  • 『華やかな死体』講談社、1962 のち春陽文庫、講談社文庫(第8回江戸川乱歩賞受賞)
  • 黒の記憶 講談社 1963
  • 特捜圏外 埼玉鉄道事件 光文社 1963 (カッパ・ノベルス)
  • 検事城戸明 東都書房 1963 (Toto mystery)
  • 701号法廷 太陽信用組合事件 光文社 1963 (カッパ・ノベルス)
  • 銭の踊り 桃源社 1963 (ポピュラー・ブックス)
  • 赤い血黒い血 弁護士鳴海五郎物語 アサヒ芸能出版 1964 (平和新書) のち春陽文庫 
  • 法律事務所SAGA アサヒ芸能出版 1964 (平和新書)
  • 恐喝 光文社 1964 (カッパ・ノベルス)
  • 白檀が匂った 東潮新書 1964
  • 黒幕 光文社 1965 (カッパ・ノベルス)
  • 暗殺 明治の暗黒 講談社 1965
  • 猫眼石 東京文芸社 1966 (Tokyo books)
  • 黒の初夜 東京文芸社 1966 (Tokyo books)
  • 黒の構図 東京文芸社 1966 (Tokyo books) のち春陽文庫 
  • 謀略者 東京文芸社 1966 (Tokyo books) のち春陽文庫 
  • 脱税者 光文社 1966 (カッパ・ノベルス)
  • 掠奪者 東京文芸社 1966 (Tokyo books) (東洋精糖問題がテーマ)
  • 会社泥棒 東京文芸社, 1966. -- (Tokyo books)
  • 赤い傷痕 東京文芸社, 1966. -- (Tokyo books)
  • 黒の勝敗 東京文芸社, 1966. -- (Tokyo books)
  • 略奪 明治の暗黒 講談社 1966
  • 会社喰い 光文社 1966 (カッパ・ノベルス)
  • 黒の追跡者 東京文芸社 1966 (Tokyo books)
  • 黒の捜査 東京文芸社 1967 (Tokyo books) のち春陽文庫 
  • 黒の疑惑 東京文芸社 1967 (Tokyo books)
  • 黒い悦楽 東京文芸社 1967 (Tokyo books)
  • 深夜の目撃 日本文華社 1967. -- (文華新書)
  • 倒産会社 東京文芸社 1967 (Tokyo books)
  • 総理大臣秘書 読売新聞社 1967
  • 黒い会社 東京文芸社 1967 (Tokyo books)
  • 小説経団連 徳間書店 1967
  • 札束の軌跡 黒の告発書 双葉新書 1967
  • 代議士逮捕 光文社 1967 (カッパ・ノベルス)
  • 黒の社長室 特捜事件簿 徳間書店 1967
  • 黒い爪痕 徳間書店 1967
  • 弁護士槙弾正の告白 文藝春秋 1967 (ポケット文春)
  • 逃亡者 東方社 1968
  • 闇の極意 新潮社 1968
  • 女の法律 東京文芸社 1968 (Tokyo books)
  • 倒産心中 浪速書房 1968 (Naniwa books)
  • 幻の工場群 光文社 1968 (カッパ・ブックス)
  • 詐欺師 東京文芸社 1968 (Tokyo books)
  • 銭と女 講談社 1968
  • 抜け穴 読売新聞社 1968 (新事件小説全集 第1)
  • 乱花 藤原薬子の乱 人物往来社 1968
  • 女の罠 東方社 1968
  • 殺意の蔭に 秋田書店 1969 (サンデー・ノベルス)
  • 影の棲息者 光文社 1969 (カッパ・ノベルス)
  • 夜を撃つ 日本文華社 1969 (文華新書)
  • 社長の椅子 学習研究社 1969
  • 完全犯罪入門 文藝春秋, 1969. -- (ポケット文春)
  • 五号という名の女 集英社 1969. -- (コンパクト・ブックス)
  • アダムとイブの判例集 東京文芸社 1969. -- (Tokyo books)
  • 地図にない沼 光文社 1969 (カッパ・ノベルス)
  • 殺人の報酬 ノーベル書房 1969
  • 真昼の醜聞 新潮社 1969
  • 黒い策謀 秋田書店 1969 (サンデーノベルス)
  • 小説法律入門 徳間書店 1969
  • 六字の遺書 講談社 1969
  • 文明開化帳 秋田書店 1969
  • 幻の殺人者 日本文華社 1970 (文華新書)
  • 闇の図録 新潮社 1970
  • 女体の幻影 東京文芸社 1970 (Tokyo books)
  • 華麗なる殺人 残酷犯罪調書 文藝春秋 1970 (ポケット文春)
  • 夜の法律 講談社 1970
  • 悪の捕物帖 光文社 1970 (カッパ・ノベルス) のち文庫
  • 黒い昼夜 小説 人生相談 東京文芸社 1970 (Tokyo books)
  • 刺青源八捕物控 サンケイ新聞社出版局 1970
  • 黒い頭脳集団 学習研究社 1970
  • 影絵のアルバム 文藝春秋 1970 (ポケット文春)
  • 佐賀潜捕物帖 第1-2巻 毎日新聞社 1970
  • 燃えた札束 日本文華社 1971 (文華新書)
  • 悲風川中島 1988.3 (大陸文庫)

短編集[編集]

  • 『ある殺意』光書房、1959 
  • 『ある疑惑』荒地出版社、1960 

その他[編集]

  • 『二本の指-明治掏摸物語-』1967
  • 『清兵衛流極意-明治泥棒物語-』1967(助け人走るの原案)

法律入門書[編集]

  • 『民法入門 金と女で失敗しないために』光文社 1967 (カッパ・ビジネス) (これを原作に名古屋テレビ放送日本テレビ系列で六法やぶれクンというアニメが放映された)
  • 『商法入門 ペテン師・悪党に打ち勝つために』光文社 1967 (カッパ・ビジネス)
  • 『刑法入門 臭い飯を食わないために』光文社 1968 (カッパ・ビジネス)
  • 『労働法入門 がっぽり給料をもらうために』光文社 1968 (カッパ・ビジネス)
  • 『道路交通法入門 お巡りさんにドヤされないために』光文社 1968 (カッパ・ビジネス)
  • 犯罪学入門 浪速書房 1968 (ナニワ・ブックス)
  • 『税法入門 脱税者の汚名を受けないために』光文社 1968 (カッパ・ビジネス)
  • 『不動産法入門 悪徳業者の口車にのらないために』光文社 1969 (カッパビジネス)
  • 罪と罰 佐賀潜の プレイボーイのための護身法 1-2 集英社 1969-70 (プレイボーイ・ブックス)
  • 裁判おんなと男 文藝春秋 1969 (ポケット文春)
  • 婚姻法入門 一生の不作に泣かないために 光文社 1969 (カッパ・ビジネス)
  • 『憲法入門 二度と兵隊にとられないために』光文社 1970 (カッパ・ビジネス)

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ メディアファクトリー刊『消えた受賞作 直木賞編』コラムより。