佐渡島の金山

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佐渡金山のシンボル「道遊の割戸」(露頭掘り跡)

佐渡島(さど)の金山(さどのきんざん/英語:Sado Island Gold Mines)は、世界遺産文化遺産)の登録を目指す日本の候補地の一つで、新潟県佐渡島佐渡市)に遺存するかつての金山を主体とした鉱山にまつわる産業遺産である。

2010年ユネスコ世界遺産センターの暫定リストに掲載され、正式推薦へ向け複数回にわたり文化庁へ推薦書原案を提出してきたが、文化審議会による国内選考で選ばれることがなく、2021年末にようやく2023年開催予定の世界遺産委員会での審査候補に選定され[1]2022年2月1日政府が推薦を実行した[2]。しかし、推薦書記載内容に不備があるとユネスコから指摘され、2023年に登録審査を受けることができなくなり(下記「推薦の不受理」の節参照)、改めて2024年の審査を目指すことになった(「再推薦」の節参照)[3]

現時点での日本語名称は、文化庁や推薦書等の記述で「佐渡島」と書いて単に「さど」と読ませるため、括弧付きで「佐渡島(さど)」と振り仮名を併記することを正式な表記とするが、一部のメディアでは「さど」とルビ振り表示している事例もあり、本記事ではWikipedia:記事名の付け方により括弧送りをしていない。

対象地[編集]

地図
1.西三川 2.鶴子 3.相川
いずれも大まかな位置

なお、対象となるのは「16世紀後半から19世紀半ばまでの伝統的手工業による金鉱山遺跡群」すなわち江戸時代までに開発された鉱山関連史跡のみで、佐渡金山道遊坑道や北沢浮遊選鉱場・大立竪坑・大間港などの明治時代以降に整備された近代化遺産は含まれない。また、相川にある江戸時代の佐渡奉行所など再現された建物も含まれず(遺構は対象)、これらは緩衝地帯に包括されている[4]。重要文化的景観選定の相川も江戸時代に形成されたものから、近代以降のものまで複合的に網羅するが[5]、世界遺産候補としては江戸時代のものに限っている。

概要[編集]

浮世絵に描かれた佐渡金山(六十余州名所図会
  1. 江戸時代からの388年間で地金78トン、2,330トン(最盛期には年間で金400キロ、銀40トン)を産出し[注 12]、国内のみならず出島貿易オランダを介して輸出されたことから当時の世界経済にも大きな影響を与えた。さらに自然金から分離精錬された金は機械化学薬品電気分解を用いずに純度99.54%に達しており、これは同時代における世界最高峰の独自技術である[6]
  2. 河川流出した砂金すくいに始まり、山肌を切り崩す「大崩し」から(西三川砂金山)、地表露出した鉱床を狙う「露頭掘り」や「樋追い掘り」を経て、鉱脈を追ってトンネル状に横穴(横相と呼ぶ)を穿ち(鶴子銀山)、さらに斜坑から竪坑へと伸びてゆく坑道掘削(相川金銀山)への技術移行の変遷を見ることができる(その全てが人力による)[6]
  3. 鉱石から金銀含有部分を抽出する粉砕選別作業用の石臼(佐渡では石磨と書く)を作るために専用の採石場を選定し、上臼と下臼の石材を変える工夫により精細で高純度な精製を実現(他の鉱山では鉱物を含まないズリ(砰)と呼ばれる捨て石を利用して石臼を作ることが多く、同じ材質の石どうしを擂り合わせるため粗く不純物が多い仕上がりになる)。このような鉱業道具の調達先(産地)が判明している事例は珍しい[注 13][6]
  4. 相川地区では生産技術に関わる採掘・選鉱・精錬・鋳造遺跡や佐渡奉行所のような管理体系、武士を含め鉱夫・荷駄・造幣両替海運などに携わった人々(鉱業関係者相手の日用品取扱宿飲食遊興従事者とそれらの家族を含めると最大人口約5万人を擁した[注 14])の職種別集落跡や木造の家並み、寺町などの町割[注 15]、鉱山からまで直線距離で約2キロ、高低差180メートルの間、海士町川・大仏川(馬町川)・間切川(赤川)・濁川・水金川[注 16]沿いに地形を活かして効率良い生産ラインとして配置され[注 17]、鉱山石工の技術を応用した石段石垣も随所に見られ[注 18]近世における工業地域都市計画の様子が良好な状態で遺存しており、これは世界的にも稀有な存在である[7]
  5. 西三川砂金山では閉山後、砂金をすくうための川浚い(西三川では大流しと呼んだ)段水路を棚田に改変しており[注 19]田畑を潰して工場を建てるような一次産業から二次産業への農地転用は珍しいことではないが、二次産業から一次産業への自然回帰英語版的な事象は海外からも注目されている[8](下記「鉱山開発の副産物」参照)

略史[編集]

1990年代に文化庁が文化財の新しい概念として産業遺産・近代化遺産を提唱し、1993年(平成5年)に文化財保護法重要文化財建造物カテゴリー)の種別として近代化遺産を新設。史跡においても産業遺産分野の積極的採用を決めた。こうしたことをうけ1994年に史跡「佐渡金銀山遺跡」として、佐渡奉行所跡、道遊の割戸、宗太夫坑(間歩)、南沢疎水、大安寺(境内の大久保長安逆修塔・河村彦左衛門供養塔)、御料局佐渡支庁跡が指定。

登録推進の幟(両津港にて)

2001年島根県石見銀山が暫定リストに掲載、2003年に産業遺産を定義し顕彰するための国際指針「ニジニータギル憲章」が制定されると、各地で産業遺産の世界遺産登録を目指す自発的動きが活発になり、佐渡においても官民学の間で可能性を問う意見が俎上。なお、1997年にはいち早く市民団体「世界文化遺産を考える会」が発足している(2007年に「佐渡を世界遺産にする会」に改称)。このような背景から、2006年に佐渡市と新潟県が世界遺産登録を目指す共同研究を立ち上げ、相川金銀山・西三川砂金山・鶴子銀山・新穂銀山の4つの金銀山を中核とした「佐渡金銀山遺跡」の仮称(史跡の名称をそのまま使用)で活動を開始した。この段階では金銀山がもたらした経済的恩恵により開花した多様な地域文化も視野に入れ、島内に点在する能舞台なども候補としていた[9]

翌年、文化庁が世界遺産候補地を公募したことをうけ、「金と銀の島、佐渡-鉱山とその文化-」として名乗りを上げ、その翌年の文化審議会世界文化遺産特別委員会(当時)の審査結果で、「登録基準(クライテリア)に『現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である』との条項があり、同一国内での類似案件の追従登録が認められにくいため、2007年に先行登録された石見銀山の拡大・統合を図るべき」とした。しかし、石見銀山との調整が難航。2010年の同委員会において「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群(The Sado Complex of Heritage Mines, Primarily Gold Mines)」として暫定リストへ単独記載することが了承され、同年10月にユネスコ世界遺産センターが受理[10]、11月22日に暫定リスト掲載[11]

暫定リスト掲載に伴い、能舞台など直接鉱山に関係ないものを除外し、構成資産候補を相川金銀山・西三川砂金山・鶴子銀山・新穂銀山と、吹上海岸石切場跡・片辺および鹿野浦海岸石切場跡・大間港(1892年完成)・戸地川第二発電所(1919年完成)の4か所を含む8件とした。

また、世界遺産に求められる「顕著な普遍的価値」(OUV)の位置づけを、「400年以上にわたる各時代の鉱山遺跡や鉱山町が良く残されており、金生産の発展の歴史を限られた範囲の中で見られる世界で唯一の場所である」「佐渡産出の金が長期間にわたり世界でも有数の平和な時代を存続した国(江戸幕府)の財政を支えてきた」「金生産について記した鉱山絵巻をはじめとする100点以上の豊富な記録の存在は世界的にも希少」とした。

暫定リスト掲載と前後して、2006年に「佐渡金山産業近代遺跡」(佐渡金山・大竪坑・大間港など)がヘリテージング100選に選出。

2007年、経済産業省近代化産業遺産として「近代技術による増産を達成し我が国近代化に貢献した佐渡、鯛生両鉱山の歩みを物語る近代化産業遺産群」(大立竪坑櫓・大立竪坑巻揚室・シックナー・インクライン・トラス橋・クレーン台座・道遊坑・高任坑・機械工場・高任破砕場・貯鉱舎・分析所・中尾変電所・間ノ山下アーチ橋・間ノ山上アーチ橋・間ノ山搗鉱場・旧北沢選鉱場・北沢浮遊選鉱場・北沢発電所・大間港倉庫・戸地川第二発電所・大間港護岸・旧ローダー橋脚・ローダー橋脚)が選出。

2008年文化芸術振興基本法に基づく文化庁の「歴史文化保存活用区域のための文化財総合的把握モデル事業」に選定。

2009年、吹上海岸石切場跡が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。

2011年、鶴子銀山が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。同年、「佐渡西三川の砂金山由来の農山村景観」が重要文化的景観に選定。

2012年、相川から約12キロ離れた片辺・鹿野浦海岸石切場跡と近代化施設(大間港・シックナー・北沢浮遊選鉱場・火力発電所・間ノ山搗鉱場・戸地川第二発電所・大立竪坑・貯鉱舎・道遊坑)が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。また、大立竪坑・貯鉱舎・道遊坑が「旧佐渡鉱山採鉱施設」として重要文化財に指定。

2013年、鉱山町を形成した上相川地区(上相川鉱山集落跡など)が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。

2014年、鉱山町を形成した寺院密集区域の上寺町地区が史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。

2015年、相川から直線距離で約15キロ離れた西三川砂金山跡が「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。同年、「佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観」が重要文化的景観に選定。また、大間港が土木学会選奨土木遺産に選定。

大きな転機となった2015年のシンポジウム、於:東京
(幕間に上演された佐渡おけさ
佐渡小判(レプリカ)

文化財指定が整い機運が高まった中、2015年に開催されたシンポジウムにおいて国際産業遺産保存委員会(TICCIH)が「財政に関することは必ずしも世界的な影響とはいえない」と指摘。そのため「江戸時代に鎖国という世界でも特異な状況下において、手工業による鉱山開発と貴金属生産を継続。そこで培われた技術や組織体制(管理体系・鉱山集落等)の継承が、明治の近代化産業革命による機械工業化を円滑かつ短期間で成し遂げた。佐渡は機械化以前と以降をまたいで長期間持続した鉱山で、金銀生産技術とそれに適応した組織の展開を示す物証が島という限られた範囲内で見ることができる世界的にも稀有(東アジアで唯一)な遺産である」と改めた(この時点では相川金銀山においては引き続き明治以降の機械化の足跡も候補に含んでいた)。 その後、佐渡鋳造小判がオランダ銀行に保管されていることなどから、「採掘場と同じ場所で貨幣鋳造まで行うこと(金座の設置)は世界的にない形態で、交易によって海外へ流出し国際金融へも影響を与えた」という一節をさらに加えた[12]

2016年より毎年推薦書原案を提出し正式推薦を望んできたが選に漏れてきたこともあり、海外を含む他の鉱山遺産との差別化を図るべく、佐渡の独自性(手工業)を明確に紹介できる相川金銀山・西三川砂金山・鶴子銀山の3件に構成資産候補を絞り込み(新穂銀山を除外)、吹上海岸石切場跡と片辺・鹿野浦海岸石切場跡を相川金銀山に包括し、明治以降の近代化遺産は対象から外すこととなった[4]

2020年に提出した推薦書原案で、名称を「佐渡島(さど)の金山」と短くし、戦国時代末から明治時代前半としてきた対象時期を江戸時代までに変更。相川金銀山とその発見のきっかけとなった鶴子銀山を一つの遺産として扱い、構成資産を相川鶴子金銀山と西三川砂金山の二つに集約した[13]。しかし、新型コロナウイルス感染症流行の影響により2022年審査候補地の選定を行わないとしたため[14]、2021年3月30日に2023年候補として改めて推薦書原案を提出した[15]

2021年6月1日、文化審議会を統括する萩生田光一文部科学大臣(当時)が佐渡を訪れた。報道関係者に公開される大臣日程に含まれない極秘訪問であった。文化審議会による正式候補選定の答申前に担当大臣が現地視察することは極めて異例のことで、この段階で既に政治的思惟が介在していたと憶測された[16]

同10月、相川金銀山と鶴子銀山を一体化したことを正当化するための措置として、両鉱山を結んでいた西五十里道(にしいかりみち)および鶴子道を史跡「佐渡金銀山遺跡」に追加指定。これは石見銀山において、石見銀山街道や港を構成資産に加えることで、採掘→精錬→運搬→搬出という産業としての一連の流れを表現したことが評価された点を意識したもの[17]

しかし、例年であれば世界遺産の国内候補を選定する文化審議会世界文化遺産部会は7月に行われるが、選定基準の見直しがあったため(「日本の世界遺産#今後の在り方について」参照)、2021年は8月以降に予定が変更されることになった[18]

11月15日に新潟県知事と佐渡市長らが文部科学省を訪ね、佐渡金山を世界遺産推薦候補に選定してもらうよう陳情した[19]

この年の御用納めとなる12月28日に開催された文化審議会世界文化遺産部会において「推薦候補として選定する」と答申(推薦の決定ではない)。この提言をうけ文化庁は「慎重に精査する」とし、「政府内で総合的な検討を行い正式に推薦するかを決める」とする前例がない対応となった。通常であれば世界遺産に限らず文化財指定全般に関して文化審議会の答申は専門家が価値を認めた判断とし、文化庁はそのまま受理・決定するが、今回は特殊な事例となった。なお、ここに至るまでの審議は非公開で行われてきた[20]。最短での登録審査を受けるためには2022年2月1日までにユネスコへ推薦書を提出しなければならず、当該地では新潟県市長会商工会議所など関係団体が相次いで速やかな推薦決定を求めた[21]

2022年1月31日、外務省による世界遺産条約関係省庁連絡会議[注 20]で推薦することを合意・確認し(世界遺産は国際法に基づく世界遺産条約によることから所管は外務省の国際法局になる)、政府の決裁を仰ぐため内閣官邸)へ提議[22]

推薦決定を喜ぶ横断幕

2月1日、閣議が召集され推薦することが全閣僚により了承され[23]、ユネスコ世界遺産センターへ推薦書を提出した[2]。世界遺産推薦の国内手続きは、行政機関官庁)による行政事務としての世界遺産条約関係省庁連絡会議→最終的な政治判断となる閣議了解による決議→政府が外務省にユネスコへの推薦書提出を指示→外務省がユネスコへ英仏語版推薦書を提出(推薦書データを駐仏尾池厚之ユネスコ大使に送付し提出を指示)という流れで、定例閣議は毎週火・金曜日に開かれるが推薦書提出期限となる2月1日が火曜日であり、ユネスコがあるパリフランス時間中央ヨーロッパ時間)との時差が8時間あることから日本時間の2月1日中(実際にはユネスコの事務的受付締切がグリニッジ標準時17時ということで、日本時間2月2日午前2時まで)に対処すればギリギリで間に合う滑り込みの決断となった。

推薦までの経緯[編集]

2021年12月28日の文化審議会が推薦候補選定を発表した同日、推薦の決定ではない状態でありながら韓国外交部(外務省)報道官が「佐渡には朝鮮人強制労働歴史問題があり、直ちに撤回を促す」と会見[24]、堅種晧(キョン・ジョンホ)外交部公共文化外交局長が中條一夫在韓日本大使館広報文化院長を呼び抗議[25]、そのまま年末年始を跨ぐかたちで市民団体による抗議活動へと発展した[26]

2022年1月20日には、政府が推薦の見送りを検討しているとの報道があった[27]。これに対し岸田文雄首相は「政府として登録を実現することが何よりも大事で、そのために何が最も効果的なのかをしっかり検討していきたい」と述べ[28]安倍晋三元首相は「論戦を避ける形で推薦しないのは間違っている。ファクト(事実)ベースで反論していくことが大切だ」[29]自民党高市早苗政調会長(当時)も「日本国の名誉に関わる問題で推薦すべき」[30]とし、野党からも立憲民主党小川淳也政調会長が「歴史問題はきちんと向き合うべき課題だ」と前置きしたうえで「それとは区別して国際社会に認知してもらえるように推薦を決定するのが望ましい」とコメントする[31]など、国政を担う政治家の発言が相次ぎ政局化し、第208回国会衆議院予算委員会でも議題となり[32]林芳正外務大臣が「韓国に配慮しているわけではない」と火消する弁明の答弁を行った[33]日本共産党は「戦時中の朝鮮人強制労働の事実を認める必要がある」とした[34]

今回の韓国の動向の背景には「佐渡鉱山(注:昭和期民間経営時代に戦争物資のも採掘したことから鉱山と総称)には徴用された朝鮮人労働者の歴史があり、世界遺産に相応しくない」という考えがある[35]。但し、韓国は首相所属の対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援委員会などが以前から同様の苦言を呈しており、今回突如として難癖をつけてきたわけではない[36]。ただ、韓国の動きに連動し、中華人民共和国も「隣国の苦難の記憶を無視して登録を進めようとしており、当然怒りや反対を招くことになる。責任ある態度で実際の行動で歴史問題を適切に処理すべきだ」と主張[37]、次いで北朝鮮も「過酷な労働に倒れた朝鮮人民に対する耐えがたい冒涜」「日本の名誉は過去の侵略や犯罪を誠実に反省し謝罪することにある」「佐渡島の金山は絶対に世界文化遺産になり得ない」として日本を批判した[38]。また、推薦完了後のことになるがロシア政府も「我々は韓国側の反応を理解する」「日本は第2次世界大戦期間中、日本の指導者たちが犯した犯罪行為を人類の記憶から消すために、韓国をはじめとした様々な国を相手に持続的な措置をとっているものとみている」として日本の対応を批判している[39]

加えてユネスコでは推進する各種遺産事業が政治対立の場になっており、世界の記憶(記憶遺産)において中国の「南京大虐殺文書」の登録に憤懣した日本政府が異議申し立てができる制度改革を主導し、関係国間での調整・結論が出るまで登録しない制度を導入した経緯があり、外務省内では、「今回は日本が逆の立場になり、韓国の反発がある中で推薦すれば国際社会の信用を失いかねない」との判断も働いたとされる[35]

韓国が推薦反対に固執する理由の一つとして、2022年3月に大統領選挙があり、反日感情を煽りジャパンバッシングを行うことで有権者へのアピールになるため与野党候補双方が争点に持ち出したことから国民の目が向き、メディアも取り上げたことにより国を挙げての反対キャンペーンに発展したとの見方がある[40]

なお、日本国政府は外交ルートを通じて2021年12月28日に韓国政府に対して申し入れを行い[41]小野日子外務報道官は「(第44回世界遺産委員会において)対立軸が生じるおそれがある推薦案件では当事者間の対話を促すよう運用ガイドラインが改正された」[42]と指摘して韓国側との事前調整の必要性を示唆[43]。元文化庁長官の近藤誠一は、「過去の政治的・経済的問題を思い起こす人がいるなら配慮しなくてはならない」と話す[44]

1月28日、首相が2023年登録審査対象として推薦する旨を表明し、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として含まれる軍艦島に対して韓国が懸念を顕わにした際に外交交渉に当たったのが第3次安倍内閣で外相だった岸田首相であることから、当時編成した省庁一体で取り組むタスクフォース(作業部会)いわゆる「歴史戦チーム」を発足させ、滝崎成樹内閣官房副長官補をリーダーに据えて理論武装することも明らかにし[45]、推薦書提出を前に作業部会の初会合を開き外務省・文部科学省・内閣官房などの局長級ら8人が出席して省庁横断的に取り組むことを確認した[46]

また、政府は韓国よりも対中政策で同盟国である日韓関係が悪化することを望まないアメリカに対して配慮し、駐日アメリカ合衆国大使館レイモンド・グリーン主席公使に事前説明を行うなどの根回しを行った[47]

同じ1月28日、崔鍾文(チェ・ジョンムン)外交部第2次官が相星孝一駐韓日本大使を外交部庁舎に呼んで抗議し[48]、登録阻止のため李相和(イ・サンファ)公共外交大使を団長とするタスクフォースを結成するとした(下記「推薦後の動向#韓国」の節参照)[49]

日本の主張[編集]

韓国の主張に対する反論材料として、1950年に編纂された『佐渡鉱山史』に日本人と朝鮮人の労働者共通で、概ね同一の賃金で複数回の賞与も支払われていた、無料の社宅があり味噌醤油が廉価販売された、勤続3ヶ月以上で団体生命保険に加入できた、運動会や映画鑑賞会などの娯楽機会の提供があった、と記述がある[50]

花角英世新潟県知事は「世界の記憶と世界遺産の審査は統一ルールではない」と反論[51]渡辺竜五佐渡市長は「たばこの配給台帳や市史などに記載があり、朝鮮半島出身の方が働いていたのは分かっているが、強制であったのかはなかなか把握しきれず、正式な答えを出せるほどの材料もない」と韓国の言い分に懸念を示し[52]、佐渡選出の佐藤久雄新潟県議は駐新潟韓国総領事館を訪ね「世界遺産に推薦する佐渡金山は江戸時代までに限定しており昭和の出来事は無関係」と説明した[26]

但し、日本国内でも新潟国際情報大学の広瀬貞三による調査研究で佐渡における朝鮮人労働の実態を明らかにしたという報告や[53]、市民団体強制動員真相究明ネットワークが「朝鮮人が強制動員されたという韓国の主張は事実で韓日合意抜きの遺産登録は不適切」とする主張もある[54]

余波[編集]

佐渡観光訪問の輸送の主体がフェリー航路によることから、佐渡金銀山の世界遺産登録は佐渡汽船の収益拡大への期待に結びついていたが、推薦見送りの可能性が報じられると株式市場では売りが殺到し、一時的に上場来安値(調整後)を更新した[55]

2022年中に新潟空港を拠点として運航を開始する予定で、2023年以降には佐渡空港を再開させて就航を計画しているトキエアだが、推薦見送りの可能性が報じられると一時的に機関投資家による投資話が滞った[56]

推薦後の動向[編集]

日本の旗 日本

2022年3月9日に行われた大統領選で、日本への留学経験がある知日派尹錫悦が当選し、日本との対話姿勢を示した。こうしたことから佐渡では登録に追い風となる期待感が高まった[57]

3月28日、世界遺産登録の実現に向けた自民党有志による議員連盟が発足。呼びかけ人は麻生太郎安倍晋三菅義偉ら元首相。中曽根弘文元外相が会長に就任し、茂木敏充幹事長も顧問として参加[58]

4月9日、元ユネスコ事務局長の松浦晃一郎が近年のユネスコ・世界遺産委員会の指向を踏まえ、「佐渡の江戸時代の史跡は世界に誇れるものだが、ネガティブな面も含めたフルヒストリーを示さねば評価されない」とコメントした[59]

5月29日に実施された新潟県知事選挙で現職の花角英世が再選し、引き続き佐渡の世界遺産登録に向け邁進し、交流人口の増加で佐渡を活性化するとした[60]

11月10日、松江高専の久間英樹教授によるロボットを用いたレーザー測量で大切山坑内部の計測が行われた。ここで得られたデータは世界遺産推薦の補完情報となる[61]

2023年1月9日、外遊でフランスを訪れた岸田首相がユネスコ本部を訪問し、オードレ・アズレ事務局長と面会して佐渡金山の登録に理解を求めた[62]

政府自民党は政務調査会の下にプロジェクトチーム(座長:橘慶一郎衆院議員、最高顧問:中曽根弘文元外相)を立ち上げ、1月11日に初会合を開いた[63]

2月21日、佐渡市役所が秋にも予定される諮問機関国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の現地調査に備え、構成資産候補周辺の草刈りごみ拾いといった美化活動の実施を呼びかける説明会を開催し、建設業協会や漁業組合など25団体が参加[64]。6~9月にかけて一般旅行者も参加するボランティアツーリズム英語版を展開し、訪問者の意識を高めつつ実利も得る一石二鳥環境運動とする[65]

3月16日に東京で日韓首脳会談が行われ、関係改善が前向きに話し合われたことをうけ、佐渡の世界遺産登録に韓国の理解が得られるようになるのではないかという期待感が醸成された[66]

諮問機関ICOMOSの現地調査に備え、史跡の改修などを実施すべく、佐渡市は令和5年度予算に登録の準備に向けた予算を計上した[67]

5月7日のソウルでの日韓首脳会談でユン大統領が「過去の清算より未来志向」という対日融和姿勢を示したことで、さらなる期待感が高まった[68]

5月11~13日に新潟市で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議において、世界遺産目指すPRを実施[69]。また、同行記者団を佐渡へ招聘して価値の説明をした[70]

6月4日に年次総会を開催した市民団体「佐渡を世界遺産にする会」が記念講演に文化庁長官を務めた宮田亮平を招き、ICOMOSの現地調査に向けた準備や心構えについて助言をもらった[71]

8月24~30日、ユネスコ諮問機関のICOMOSによる現地調査が行われた(詳細は下記「諮問機関の調査」の節参照)。

9月13日に発足した第2次岸田第2次改造内閣で文科相に就任した盛山正仁は佐渡島の金山の登録を実現することに邁進するとし[72]、10月9日には現地視察に訪れた[73]。折から第45回世界遺産委員会において明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業軍艦島に関する保全措置報告審査で朝鮮人徴用工訴訟問題についての日本のスタンスが認められたことで、佐渡にも有効に作用する展望が開けた[74]

青盤脈の断層が見える道遊の割戸の背面はジオパークの重要ポイント

9月15日、2024年1月に再認定の可否審査が行われる佐渡ジオパークの必要書類提出が行われた。下記「法的保護根拠」の節にあるように、文化審議会はユネスコが推進する他の保護事業と組み合わせ相乗効果を狙うとしたことを意識し、ジオパークでもある佐渡金山についても改めて言及。2023年の第45回世界遺産委員会で新規登録審査でも、他のユネスコ保護事業と組み合わせた保護策が評価されて登録されたものが複数あり(第45回世界遺産委員会#審議対象の推薦物件一覧参照)、佐渡ジオパークの再認定は佐渡金山の世界遺産登録を助力することになる可能性もある。なお、再認定のための現地調査は11月8日から三日間行われ[75]、12月14日に条件付きながら再認定され、佐渡金山も今後は地質視点でのジオツーリズムも展開する[76]

9月28日、重要文化的景観としての西三川で、大倉谷・静平・下黒山地区の一部に残る砂金すくいのための水を確保する導水路が追加選定[77]

10月12・13日に外務省主催で10ヶ国の駐日大使や大使館上級職員を佐渡に招き、佐渡金山などを見てもらい、世界遺産登録への理解と支援を求めた[78]

11月9日、鶴子銀山周辺林道に不法投棄されている廃棄物の回収作業を行い美化活動のアダプト・プログラムを実施。さらに巡回パトロールの強化も進める[79]

11月30日~12月3日、新潟県知事と佐渡市長がパリへ渡仏しユネスコ本部を訪ね、世界遺産委員会委員国のユネスコ大使らに登録への支援を求めた[80]

12月16日、「佐渡の世界遺産登録の意義と未来」をテーマとしたシンポジウムが佐渡市で開催され、地域住民への協力要請や登録がゴールでなく登録後の在り方などについて説明があった[81]

2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震で相川金山の法面の一部が崩落した[82]

1月23日、外務省主催で飯倉公館において各国大使館関係者約170人を招いてのレセプションを実施し、鬼太鼓実演や佐渡の海産物地酒が振る舞われ、上川陽子外相が登録に向けての協力を要請した[83]

1月28日、東京有楽町(於:東京交通会館)にて「金の道フォーラム」を開催し、佐渡金山の世界遺産推薦の意義について紹介したほか、構成資産としてしては知名度が低い西五十里道・鶴子道の価値に触れ、推薦範囲に含まれていない区間の有用性についての解説がなされた。特に持続可能な流通英語版の視点で海外に積極的にアピールすべきことが説明された[84]

3月25・26日、新潟県知事と佐渡市長がユネスコ本部を再訪し、その価値や魅力について紹介した[85]

大韓民国の旗 韓国

2月22日にパリを訪問した韓国の鄭義溶外交部長(外相)がオードレ・アズレ事務局長と会談し、佐渡の推薦に対し強い懸念がある旨を伝えた[86]

4月7日、誠信女子大学ソ・ギョンドク教授が佐渡の世界遺産登録に反対する韓国人の声として10万人分の署名を集め、ユネスコ事務局長とラザレ・エルンドゥ・アソモ英語版世界遺産センター所長および現在の世界遺産委員会委員国ならびにユネスコ加盟中190カ国や文化遺産の諮問機関国際記念物遺跡会議(ICOMOS)などにメール送信した[87]

7月23日、サイバー外交使節団を標榜するVoluntary Agency Network of Koreaが佐渡の世界遺産登録に反対する旨の英語によるネガティブキャンペーンを諸外国に向け発信開始した[88]

8月17日、外交部がユネスコ大使に韓国外国語大学校の朴尚美(パク・サンミ)教授を任命すると発表。パク教授は文化財庁の委員で、韓国における無形文化遺産の審査機構議長を務めるエキスパートであることから、対佐渡工作の理論武装強化を意識しているとみられる[89]

2023年1月19日に日本が推薦書を再提出したことをうけ(下記「再推薦」参照)、2月3日に外交部が主宰し文化体育観光部教育部行政安全部文化財庁など10の関係機関が参加するタスクフォース「ユネスコ世界遺産関係機関協議会(유네스코 세계유산 관계기관협의회)」を始めて開催し、対抗策などを議論した[90]

3月16日の韓日首脳会談で韓国側が融和策を示したことに対して、「防衛貿易に関しては譲歩しても、徴用工問題は妥協すべきでなく、佐渡の世界遺産化は認められない。むしろ佐渡に徴用工像を建てるべきだ」という野党や反対派の国民の声が上がった[66]

9月9日にインドで開催されるG20ニューデリーサミット英語版に先駆け、ゴア州において6月22日に観光大臣会議が開催され、韓国から文化体育観光部専門委員のコ・ギルジュン(고길준・Giljun Ko)が出席し、佐渡の世界遺産登録を反対する意見をG20各国に主張(日本からは国土交通省斉藤鉄夫国交相外局和田浩一観光庁長官がオンライン参加だったため反論を展開することが出来なかった)[91]

8月15日の光復節終戦記念日)に韓国の野党議員や芸能団体が佐渡金山を訪れ、追悼の舞を奉納した[92]

11月22日、パリのユネスコ本部で第24回世界遺産条約締約国会議が開催され、任期入れ替えで新たに韓国が委員に選任され、2024年に佐渡が登録審査をうける世界遺産委員会では拒否権を発動することも出来る[93]

12月1日、尹徳敏駐日大使が韓国大使としては初めて佐渡金山を訪ね、朝鮮半島出身強制労働犠牲者を追悼し、登録される際には強制労働を含めた全体の歴史が反映されるよう日本側と対話を続ける方針も示した[94]

2024年4月4日、駐日大使が新潟県知事と面談し、「登録に反対しているわけではない」「強制労働の歴史がわかるモニュメントが必要」「ウィンウィンの関係に」といった見解が述べられた[95]

世論調査[編集]

2022年2月20日に発表された共同通信が日本全国10ブロックで行った世論調査によれば、日本政府の「佐渡島の金山」の世界文化遺産への推薦決定について「適切だった」とする回答が73%に達した。特に地元の新潟県を含む甲信越で最も高く「適切だった」との回答が94%にも上った。年代別にみると「適切だった」と回答したのは40代以上の中・高年層が75%超で、30代以下の若年層は64.3%だった。男女別でみると「適切だった」と答えたのは男性が78%、女性は68.1%だった。支持政党別でみると、自民党支持層の78.5%、日本維新の会支持層の84.6%、国民民主党支持層の75.9%が「適切だった」と回答し、日本共産党支持層は「適切だった」と答えたのは28%で、全政党で最も低かった[96]

世界遺産委員会の迷走[編集]

4月21日、ロシアが開催予定地であった2022年の第45回世界遺産委員会(6月19~30日を予定)がロシアによるウクライナ侵攻をうけ無期限延期となった。佐渡の登録審査は2023年でのことになるが、2022年の開期が延びたことにより佐渡の登録に影響が出る可能性も浮上。これに関し文化庁は「何とも言えない」とし、松野博一内閣官房長官も「影響は見通せない」とした[97]

11月29日にロシアが議長国を辞任し[98]、2023年1月24日にサウジアラビアが新議長に選任され開催国となることが決まり、2022年と2023年分の新規登録審査をまとめて行うことになった[99]。この開催国変更に伴う間に佐渡の推薦が不受理となり(下記「推薦の不受理」参照)、一年順延されることになったため、佐渡が審査を受けるのは2024年の第46回世界遺産委員会ということになった。

通常、次の委員会開催地と日程は、前の委員会開催期間中に決定されるが、サウジアラビアで開催された第45回世界遺産委員会では、佐渡が審査を受ける第46回の開催地が決まらないまま閉幕し(「第45回世界遺産委員会#委員会の運営と様子」参照)、佐渡の審査がどうなるのか再び見通せない状態となった。11月23日に第19回世界遺産委員会臨時会議が開催され、第46回委員会の開催地がインドに決まった[100]

推薦の不受理[編集]

2022年7月27日になり、ユネスコへ提出した推薦書が諮問機関のICOMOSへ送付されていないことが明らかとなった。これにより同年秋に予定していた現地調査が行われないことになり、目標としていた2023年の登録は事実上不可能となった。ユネスコは推薦書内容に不備があったと説明。このことは2月28日付で日本に通達されていた[3]

2020年から世界遺産委員会での新規登録審査数が35件までと上限枠が設けられ、登録数の少ない国を優先するため、推薦物件が多い場合には登録数が多い国(2022年時点で日本の世界遺産は25件あり保有数で世界11位)からの推薦は、受付終了後の集計数によっては受理されないこともある。この集計は全ての推薦書の内容を確認し、書類に不備があったものを棄却して減算し、3月1日を目安に通知される。例年概ね約2割が棄却されているが、日本の推薦書が弾かれたのは初めて[101]

指摘された水路跡

これに関し末松信介文科相(当時)が今年度から推薦書の書式が変更されたことに触れ、事務的不備があった可能性を示唆。また、「西三川砂金山の導水路跡が添付地図上で一部途切れている箇所がある」と掲載内容の欠落を指摘。これに関しては文化庁文化資源活用課が「地理的に途切れている箇所も含めて導水路として一体のものとしている」との解釈を示し、文科省も義本博司事務次官をユネスコへ派遣して日本の主張を伝えたが判断は覆らなかった。書式変更に伴い推薦書暫定版の提出は9月末日に再設定されているが、新様式に沿った改訂作業には時間制約があり、政府としては断念せざるを得ない状況であるとし、改めて2024年の登録を目指すとした[3]

このことに関し、『JBpress』に寄稿された韓国の主張は、「ユネスコの指摘は佐渡金山の固有の価値とは何の関係もない重箱の隅をつつくようなもので、簡単に書類を補充したり口頭で説明するなり出来たにも関わらず、正式に審査を受ける機会さえ与えないという措置を取った。この対応はユネスコが佐渡金山の落選をすでに決めており、書類上の不備を口実にしたにすぎないという推測も可能。であれば日本がいくら書類を補完して再提出しても、その時は別の口実で落選させる可能性が高い。つまりユネスコは取るに足らない言葉尻を捕らえ、佐渡金山が世界遺産として適合するのかどうかの可否審査を受ける機会さえも剥奪するという決定を下した」とした[102]

再推薦[編集]

政府は2022年9月29日に暫定版推薦書をユネスコへ再提出し、翌年2月1日締め切りの正式版推薦書提出へ向けて万全を期すこととした。暫定版推薦書は正式版を提出するまで内容を修正できるが、前回は暫定版を提出しなかったためユネスコに不備を指摘されても修正できなかった経緯がある[103]

2023年1月19日に正式な推薦書を提出したことを永岡桂子文科相(当時)が明らかにした[104]

これに対し韓国は、大変遺憾で歴史的事象の検証が先であるという従来の姿勢を再表明し[105]、2月27日の国会で再推薦の撤回を求める決議を可決。「推薦は日本にとっての文化的自殺行為であり、登録されるようなことがあればユネスコは文化的不寛容を容認したことになる」と改めて批判した[106]

3月2日になり、ユネスコへ再提出した推薦書が受理され、諮問機関であるICOMOSへ前夜送付されたことが明らかになった[107]。推薦書が受理されたことで同年夏から秋にICOMOSの現地視察を受けることになるが、ここでは政治的背景は抜きに、学術的エビデンスを精査するほか、最近では地域の取り組みといった住民参加の実態なども確認するようになっている[108]

諮問機関の調査[編集]

2023年8月24~30日、ICOMOSによる現地調査が行われた。公平かつ静謐な環境下での調査実施のため、調査員の身分(国籍・性別・所属肩書・専門分野等は非公表だが、公開された調査風景の写真から白人女性であるこは判明)[109]

ICOMOSの現地調査の結果は翌年(例年5月頃=委員会開催の6週間前まで)勧告として「記載(登録)」「情報照会」「記載延期」「不記載」の四段階で発表される。いずれの評価であっても世界遺産委員会での本審査を受けることは可能だが、不記載勧告からの逆転登録は極めて困難で、委員会で不記載決議が下されると再推薦は不可能となる。また、勧告とは別に中間報告が発せられ、名称の変更や構成資産そして基本的コンセプトの見直しが指導される可能性もある(本記事のページ名が暫定となっているのはそのためで、登録が実現した場合に正式名称に改変する)。

今後の展望[編集]

最終的な登録審査の可否は世界遺産委員会の21の委員国による全会一致コンセンサスが原則で、委員国だけに意思表示の権利があり(推薦国にも意見陳述の機会は与えられる)、異議申し立てがあった場合には多数決で⅔(14ヶ国)以上の賛同が必要で、日本は2021年11月~2025年秋まで委員国を務めるが、2023年秋の委員国改編で韓国が立候補する可能性が高く、2024年以降に審査を受けることになると韓国が委員国になっていた場合には反対することが予想される。さらに、その後の2027年~2031年には中国も委員国に就くと目されており、2023年の世界遺産委員会で登録を逃すことになり、以後は反対姿勢をとる委員国によって阻害される可能性もある[110]。委員会では舞台裏で登録のためのロビー活動がしばしば繰り広げられ、これまで日本も外交交渉を展開してきた経緯がある[111]

顕著な普遍的価値と登録基準[編集]

「顕著な普遍的価値」(OUV)を、以下の登録基準(クライテリア)に充てている。

(ⅱ)中世末から近代に至る我が国の金銀生産を牽引し、各時代で国内外の最新技術を採り入れ生産システムを発展させ、それは国内各地の鉱山へも伝播し、明治以降は東アジアでも貢献し、世界的な交流過程を顕著に示している

(ⅲ)現在でも数多く残されている記念工作物や遺跡、景観は我が国の貴金属鉱山の歴史と構造の全てを典型的に示す物証として稀有な存在である

(ⅳ)手工業で高度に発展した掘削(土木技術)や精錬(科学技術)の精緻さが極致に達した段階を物語る構造物と、それらを包括する機能性に優れた鉱山町の遺存状態を見ることができる集落景観の顕著な見本である

(ⅴ)生産活動に伴って形成された都市・集落・街道・農地・森林・海域などの資産は、その後の島民の生活基盤として優れた土地利用形態を示し、豊かな自然と相俟って独特の文化的空間を形成している

(ⅵ)鉱山の繁栄に伴い島外各地からもたらされた様々な文化は在来の文化と融合し、島という地理的特性の中で独特の多様な島嶼文化をつくり上げた。特に鉱山の繁栄を願う信仰形態(下記「民話・逸話」の節参照)は佐渡でしか見られないものである

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近年登録された鉱山遺産(下記「鉱山遺産の現況」の節参照)の評価傾向や世界遺産委員会・諮問機関が関心を寄せる最新の徴候、海外研究者による国際的な視点の意見などを踏まえ、文化審議会が基準を勘案し、最終的にユネスコへ提出した推薦書では(ⅲ)と(ⅳ)に絞り込んだ。

法的保護根拠[編集]

世界遺産の推薦に際しては完全性として、開発による環境破壊文化的環境含む)を規制し、損壊した際に刑法建造物等損壊罪等とは別に罰則が科せられる法律による保護の担保が必要となる。

佐渡の鉱山遺跡群は「佐渡金銀山遺跡」の名称で文化財保護法の史跡に指定されており、「佐渡西三川の砂金山由来の農山村景観」と「佐渡相川の鉱山及び鉱山町の文化的景観」が重要文化的景観に選定されている。

相川・紋兵衛坂の地滑り警戒対策実施箇所
鶴子銀山の土砂流出防備保安林指定

これとは別に、2004年に旧相川町が合併により佐渡市となったことから市街地に都市計画法が適用できるようになり、2020年には相川地区が地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)の歴史的風致維持向上地区に認定されている[112]

さらに鉱山の山自体や相川崖線法面地すべり等防止法急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(急傾斜地法)の対象となっており、必要に応じて斜面崩壊に伴う遺産被災を防止する措置が講じられ、木々の根張りによる土壌流出防止効果から森林法も適用されている。相川の町中を流れる川は土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)の土石流危険渓流に指定されており、砂防法の砂防指定地でもある。

鶴子銀山周辺の山林の多くが国有林保安林として保護されている[注 21]

西三川でかつて砂金すくいが行われていた金山川や笹川川には河川法が、吹上海岸石切場跡と片辺・鹿野浦海岸石切場跡は佐渡海府海岸の一部として文化財保護法の名勝でもあり、海岸法海岸保全区域)・漁業法漁業権占有区域)・公有水面埋立法も適用され、西三川の棚田は棚田地域振興法が適用される。

なお、無許可の鉱物採掘は採石法、河川での砂金すくいは砂利採取法に抵触する

また、総合的な環境整備には離島振興法を用いることができる。

吹上および片辺・鹿野浦海岸石切場跡の一部は海中遺跡水中文化遺産)として周知の埋蔵文化財包蔵地となっているが、日本は水中文化遺産保護条約未批准のため、同条約を保護根拠とすることが出来ない。

2021年2月4日に開催された文化審議会世界文化遺産部会において、新たな世界遺産候補には自然面での保護根拠にユネスコが推進するエコパークジオパークを充てる試みなどを決めており[113]、相川金山の金鉱床(鉱脈)が佐渡ジオパークとして日本ジオパークに認定されている(世界ジオパークではない)。

ちなみに、経産省による近代化産業遺産は法律に基づくものではないため、保護根拠にはならない(そもそも近代化遺産は佐渡においては世界遺産候補の対象ではない)。

緩衝地帯[編集]

世界遺産では構成資産に開発の影響が及ばなぬよう周辺を取り巻くように緩衝地帯(バッファゾーン)を設定しなければならない。

佐渡島の金山においては、佐渡金山・相川地区では相川町の街区全域に加え、北端の富崎灯明台と南端の春日崎灯明台を結ぶ相川湾の洋上まで網羅。同様に吹上および片辺・鹿野浦海岸の石切場跡も海域を含んでいる。

鶴子銀山は鉱山山域全体、西三川砂金山は西三川地区の中核を成す笹川集落から砂金山など周辺の山域に加え、砂金すくいが行われた西三川川流域が対象となっている[114]

重文景に包括されるもの[編集]

旧朝鮮人労働者用住宅

世界遺産の推薦を巡り日韓の攻防が繰り広げられたが、韓国が主張する強制徴用という無形事象とは別に、世界遺産の前提である不動産有形構築物として朝鮮人労働者がいたという物的証拠がある。重要文化的景観に選定されている相川鉱山町は、範囲としては旧相川町の集落区域を広く網羅しているが(景観構成要素として1989年の閉山まで稼働していた近現代の鉱山施設などを個別選定)[115]、その中の相川山之神町や相川新五郎町には廃屋となっているが朝鮮人労働者も暮らした家族住宅独身タコ部屋バラック)跡が残されている。昭和10年代の大増産期に鉱夫増員に伴い建てられた木造家屋であり、灰色瓦葺きで[注 10]屋根に勾配がある雪国仕様であるなど地域特性地域多様性)を見ることができる。世界遺産推薦枠の江戸時代のものではないが、世界遺産候補の京町通りの家屋も明治以後に建てられたもの(慣習的に一帯の建物は相川大工町の大工(かつては鉱夫も大工と呼んだ)やその流れを汲む地元の工務店が担ってきたことから近代以降も景観が保たれ、2009年に景観法による景観条例が制定されて以降は住宅メーカーの建売住宅であっても周辺古民家に合わせた整景が行われている)や最近リノベーションを行ったもの(「持続可能性」参照)を含めての景観が対象になっている。これは「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の出津集落久賀島の集落崎津集落戦後建築の家並みが多く、江戸時代に隠れキリシタンが人工的に改修した地形や集落構造が活かされていることから重要文化的景観になり世界遺産になっている点に共通する。山之神町は文字通り山の神=鉱山神を祀る大山祇神社があることに由来し、一帯の区画は江戸時代に整備されている。戦後朝鮮人労働者が引き上げると家屋は一般住宅となり、改修の手を入れながら使われてきたが、老朽化に伴い無住となり朽ち果てつつある状態だが、これは韓国からすればそこに僑胞がいたという記憶の証であり、日本からすると奴隷のような扱いではなく社宅を貸与していた待遇があったという証拠になり、世界遺産の法的保護根拠としての重要文化的景観の内容を再確認する必要がある[116]

なお、韓国の仁川に残されている、ほぼ同時代で似た構造の旧三菱社宅(三菱製鋼の旧仁川製作所共同宿所)が大韓民国登録文化財として保存されることになった[117]

一方、西三川集落では江戸時代までに形成された田園風景とは別に、リンゴ栽培が行なわれており、江戸時代には見られなかった景観が含まれている[118]

鉱山開発の副産物[編集]

2011年、佐渡における伝統的な農業持続可能な農業)がユネスコも協賛する国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に日本では初めて「トキと共生する佐渡の里山」として認定された。

佐渡における稲作は長らく国中平野以外では沿岸部に開けたわずかばかりの平地で営まれてきたが、鉱山開発が進むと掘削のための開墾地が山の斜面に増え、その湧水農業用水に利用することで棚田が形成された。鉱山湧水は地下水であるため水温が安定しており、ミネラルを豊富に含んでいるため、耕作に有効となっている。現在、そこで収穫されるコシヒカリ)を金山米としてブランド化し、それを原料とした日本酒米焼酎も金山銘柄で売り出している。

また、鉱山の土を用いた無名異焼や、鉱山から流れ出た砂を含む土で焼いたグレーの屋根瓦[注 10]などもある。

佐渡ではソバが名物だが(下記「広報活動」の節参照)、蕎麦殻挽き製粉のためのは吹上海岸と片辺・鹿野浦海岸の石切場跡から産出製造した選鉱粉砕用の石臼が転用されてきた。

由来があるとする言葉[編集]

諸説あるが、佐渡金山が発祥だとする言葉があるとされる。特に注記がない限り、以下はいずれもボランティアガイドの解説による。

  • 賃金:労働報酬が島内でしか使うことができない「印銀」という専用貨幣で支払われ、これが「賃銀」と置き換わり、後に賃金になったとする。
  • 猫ばば:一般には「猫糞」と書き、に砂をかけ隠す行為から転じて、悪事を隠すことを表すが、相川では金鉱石を選別する際に水流を利用することを「猫流し」と呼び[注 22]、その作業は女性によるもので横領を監視したのが熟練工の年配者で「猫婆」と呼んでいたことが語源であるとする。
  • ドサ回り:江戸時代の任侠大前田英五郎が佐渡へ島流しとなったが島抜けに成功し明治まで生きたことで「佐渡帰り」の倒語で「どさ帰り」と呼ばれたことから、ドサが「最果ての地」「生きては帰れぬ場所」のような意味が込められた隠語となり、そこから派生した言葉[119]

民話・逸話[編集]

文化審議会世界文化遺産部会は新たな推薦候補には、地域性と関連する無形の要素やストーリー性が伴う必要性を示した[120]

  • 二ツ岩の団三郎狸』…相川に棲んでいたと伝わる化け狸。鉱夫に化けて金山で働いたという伝承がある。金精錬時に風を送るの吹革にが用いられることから江戸時代に本土からホンドタヌキが持ち込まれ野生化。佐渡にはも生息しないため稲荷信仰が定着せず、狸()が信仰の対象となった[注 23]。坑道に似た岩屋狸穴)に覆屋状の社を建て、「他抜き」と験を担ぎ鉱夫が崇敬した。鞴についても「狸の金玉 八畳敷き」と形容される陰嚢で代用したという下ネタなども伝わる[121]。なお、ジブリアニメ平成狸合戦ぽんぽこ』にも名前が登場する。
  • 『与右エ門むかで』…困難とされた南沢疎水掘削のため与右エ門が単身坑道に入り、数日で貫通したので鉱夫が中へ入ると、ムカデになって穴を掘った与右エ門がいた。単なる昔話ではなく、『怪談藻塩草』に「霊山寺に大百足出でし事」として収録されている。工事を指揮した静野与右エ門がモデルで、相川町の百足山に神社が建立され祀られている[122]。ムカデは岩盤の中にある鉱床の筋目模様に似ていること、後ずさりしないことから掘り進める不退転の心意気の証として鉱夫にとっては縁起が良いものであった[121]
  • 『真野長者』…慶長年間、相川に藤五郎という炭焼きがいた(生没年不詳)。精錬用の安定した火力の上質なを作ることから一財を成し、真野長者と呼ばれた。驕ることなく貧しい鉱夫や農民に功徳を施したことから「生き神様」と崇められ、死後神格化され人神となり、特に鉱山関係者から職人の神「戸川大権現」として祀られた。社は外河神社として千畳敷近くに今も残る。炭焼き伝説は柳田国男が「炭焼き小五郎が事」として顕彰しており、小五郎・藤次・藤太などの名前で各地に似た伝承が語り継がれており、その底流は真名野長者伝説にあるとした。佐渡には真野という地名があることから、真名野長者が真野長者となって語り継がれてきたのではないかとされる[121]
  • 浄土聖木食僧…中世より佐渡の険しい自然の中に身を置いて修行する浄土宗の僧侶よって彫られた石仏磨崖仏が多く残されており、鉱山開発が進むと不慮の事故死した鉱夫の供養に充てられた。江戸時代には多くの浄土宗系の木食僧が佐渡を訪れ小さな木製の仏像を作り、鉱夫の安全祈願の念持仏として珍重され、現在も個人宅に多く残されている。磨崖仏は一般的なレリーフでなく、素朴な線刻が多い[121]
  • ウトウ七浦海岸などで今でも多く見られる海鳥。死ぬと化鳥になるとされ穢れの象徴とされるが、捕食潜水する姿を坑道に潜る坑夫になぞらえ、相川では善知鳥神社として祀られる。佐渡に配流となった世阿弥の演目として地獄に落ちる話の『善知鳥』を残しており、やはり深い坑道へ入ることが地獄へ下りる様()に見立てられる。善知鳥神社の祭礼(相川祭り)はケガレ祓いや死からの帰還・再生の意味が込められている[119]
  • 三年寝太郎』…主人公が佐渡金山で新品の草鞋を無償で使い古した草鞋と交換し、底に付いた泥の中から砂金を回収し財を成す。
  • 『鶴女房』…『夕鶴』の元ネタ。『鶴の恩返し』として全国各地に伝わる昔話の一つで、佐渡ではを助けた貧しい百姓猟師とも)が季節労働で金山で就役する。片辺・鹿野浦海岸がある北片辺にかつて語り部がおり、そこで話を聞いた木下順二戯曲化したことから北片辺が「民話の里」として知られるようになったが(夕鶴の碑も建立)、あくまでも佐渡の民話として語り継がれてきたものであり必ずしも北片辺が舞台というわけではない[注 24]
  • 『お富与三郎』…歌舞伎の『与話情浮名横櫛』を題材にした十代目 金原亭馬生による落語。与三郎が佐渡に島流しになるくだりを主題にし、金山での囚役の様子を情念を込めて語る。最後は佐渡で初となる島抜けに成功する。
  • 「惚れ薬佐渡から出るがいっち効き」…『誹風柳多留』に収録された川柳惚れ薬には「佐渡から出る(金)」つまり小判が一番だと詠んでおり、転じて「佐渡」は特効薬・万能薬の地口隠語形容詞)にもなった。
水上輪

鉱山民俗誌[編集]

無形文化遺産の成功をうけ、ユネスコは世界遺産にも民俗学的領域を採り入れる検討を始めている。世界遺産は有名な歴史的建造物や遺跡を対象に始まり、産業遺産や文化的景観など新たな概念を導入して発展してきたが、21世紀に入り欧米では人文科学などの分野に暗黙知的な解釈を採り入れる風潮が起こり、世界遺産でも文化的空間場所の精神英語版という考えの評価がそれにあたる[125][注 25]。これは総じて無機質な産業遺産であっても必要な要素になり得、むしろそれが含まれていることで価値の相乗効果が得られる。鉱山遺跡が国指定史跡になっているのとは別に、相川の鉱山町がリビングヘリテージとして重要文化的景観に選定されている理由はここにある。江戸時代の過酷な鉱山労働が佐渡金山に存念として染みついており(オカルト的な意味ではなく)、それを顕彰する意義は大きく、上掲「民話・逸話」の節にある佐渡固有の鉱山由来の信仰は最たる例といえる。

鉱山由来の信仰には、山火事を警戒することから愛宕信仰、海運に携わる人々による金毘羅信仰などもみられ、幕府直轄の一国天領であったことから徳川家康を祀る東照宮も建立された(東照宮は廃絶)。

相川では京町通りでの6月上旬の京町音頭流し宵之舞や7・8月毎土日(お盆は除く)に行われる夜の御前踊り(宵之舞の拡大実施)、大山祇神社での7月末の鉱山祭り、10月の善知鳥神社の相川祭りなど、鉱山に由来する風情ある伝統行事が多いことも注目される。

民俗学者の宮本常一の著述『私の日本地図』佐渡編[126]では高度経済成長期に失われてしまった昔ながらの伝統的な鉱山に寄り添いおこぼれに預かりながら細々暮らしてきたたくましい民衆の生活臭を紹介しており、そうした中に石臼の話しも登場する。吹上海岸と片部・鹿野浦海岸は鉱石を擦り出す石臼を作るための採石場であるが、その石臼は佐渡奉行所に保管展示されているほか、上相川集落跡にも遺物として捨て置かれている。上掲「鉱山開発の副産物」の節でも触れているが、臼は蕎麦挽き用にも転用され、現在でも飲食店の民芸品インテリアとして飾られていたり、民家の軒先や庭に苔生した状態で無造作に放置されている。さらに擦り減ったり割れたものは相川を流れる川の護岸石積みに組み込むなどの二次利用も見られるなど、民俗資料として佐渡金山の価値を補完する。

柳田國男は『海上の道』[127]対馬暖流に洗われる佐渡には椰子の実が流れ着くこともあり南方系の文化流入が見られることを指摘する。海神を祀る尾平神社は搬出する金銀や生活物資の海運に携わった船乗りの信仰を集めたが、根底には海豚参詣があるとする。また、「鼠の浄土」という説話昔話おむすびころりんの原型)は文字通りねずみ算式に北上拡散したとするが、『街道をゆく』(佐渡のみち編)[128]の取材で佐渡を訪れた司馬遼太郎も「鼠の浄土」に触れており、ネズミが地下坑道へと誘うとした。

作家が描いた佐渡の金山[編集]

佐渡金山が世界遺産を目指すことになる以前に佐渡を訪ねた作家の作品には、その特徴を見事に言い表したしたものがあり、文学的表現や鋭い視点は含蓄に富むものである。坑道観光開放前の訪問のため、もっぱら相川の街についての記述となるが、水替人足の無宿人には皆が心を寄せている[注 26]

作家の琴線を震わせた”無宿”の墓
  • 司馬遼太郎=『街道をゆく』(佐渡のみち編)で相川の街並みを「古い民家のたたずまいなどは越後より華やぎがある」「町なかの谷川と、その両岸の家並みが構成する景色をながめていると、住み古してはじめてできあがるような秩序がある」と評価。一方で、上掲「鉱山民俗誌」の節にあるように、佐渡金山に遍満する存念について「何百年にわたって山を切りきざんだ跡というのは、文明の廃墟のなかでも、死のにおいさえしないほどにうつろでそらぞらしいものだが、佐渡金山はそのような記憶が見る側にあるため、路傍の岩肌にまで人間の脂がこびりついているのではないかと思われる」と肌で感じ取っている。
  • 松本清張=『佐渡流人行』で「はじめは地表を狸掘りのようにして濫掘していたものをしだいに技術がすすんで、地下深く掘り下げるようになった」と佐渡金山の価値の本質に触れ、相川の街並みについて「海風や山からの颪に耐えるよう斜向きに建っている」といった特徴を描写。これらは上掲「概要」および「対象地(の補注)」の節で紹介している特徴を捉えている。
  • 津村節子=『海鳴』の中で相川の鉱山町について登場人物に「猫の額ほどしかない相川の賑わいは大江戸以上」と言わせ、「理路整然とした町づくりと喧騒は江戸どころではなかった」との描写説明を書き添え、あとがきで「相川はある意味で大きな墓場みたいだ」という感想を述べつつ、本文では「懇ろに弔われない無宿人の水替えは浅い窪みに捨て置かれ佐渡の土となる」とし、「葬りきれず墓地を求めて町は少しづつ山へと広がり、それが相川という世にも珍しい特殊な町をつくってきた」とまとめた。

産業観光[編集]

人形を置き観光整備した佐渡金山(宗太夫坑)

ユネスコは遺産の価値英語版や意義を広く知ってもらうことで保全の意識と機運が高まることを期待して観光資源としての遺産の商品化を容認している。特に産業遺産に関しては理解しにくいことから、正しい遺産の解釈英語版を伝えるために産業観光を推奨している。ただ、産業遺産の中には現在も操業する稼働遺産も含まれていることから、観光開放が難しい側面もある。

世界遺産に限らず鉱山に関係する施設が観光開放している事例は多くはなく、産業革命発祥地のイギリスでもリビングヘリテージとして注目を集めるようになったのは1980年代の後半になってからのこととなる。

そうした中で佐渡金山はまだ操業稼働していた1967年(昭和42年)に江戸時代の坑道部分の観光開放を実施し、多くの観光客を誘致して鉱業史や技術史などを広く啓蒙してきた。これは世界に先駆けるもので、ユネスコもヘリテージツーリズムの見本として評価している[129]

また、ユネスコは遺産と創造性として、遺産の新たな魅力の発信による持続可能性(維持)を提唱しており、鉱夫の間で語り継がれてきた”金光石”の妖怪伝説を妖精と魔物の現代風なファンタジーに演出した複合現実(MR)で実際に佐渡金山の坑道を歩く「アイランド・ミラージュ」が始まった[130]

経済効果[編集]

新型コロナウイルス感染症の影響は、佐渡への観光客の減少を招いた。逼迫する地域経済の立て直しとして、世界遺産登録が有効策と期待され、日本政策投資銀行日本経済研究所が共同研究で、その経済波及効果が約520億円になるという試算を明らかにし、佐渡市への税収効果は7億9,600万円になると想定した[131]

こうしたことをうけ、開港から半世紀が経過し老朽化した両津港埠頭の改修と拡張工事が2022年度から始まり、新しいフェリーターミナルも建て、世界遺産登録を見据えた佐渡の表玄関を整備する[132]

保全費用[編集]

日本政策投資銀行は佐渡の世界遺産登録後を見据え、地域資源の保全や観光施設の整備費を賄うため「入島税」の導入も検討すべきだとした[133]

広報活動[編集]

広報活動は単に登録を目指すための手段や観光客誘致目的だけでなく、その価値や意義を広く共有し、地域住民と訪問者双方に維持保全の意識を高める役割があるとして重視され、諮問機関の現地調査でも確認作業が行われたり、登録後の保全措置報告(SOC)や遺産影響評価(HIA)に記載が求められることもある[134]

  • 語呂合わせ3月10日を「佐渡の日」としており(1998年制定)、この数年来は同日に世界遺産登録の広報に力を入れている。
  • 佐渡金山道遊坑では一部の坑道を西三川産リンゴ[118]リンゴワインや日本酒、さらにコーヒー豆熟成するワインセラー(カーヴ)に活用し、酒類は相川のホテルなどで提供されており、コーヒーについては焙煎された豆が土産として既に流通しており、佐渡金山では金箔入りコーヒーとして飲むこともできる[135]
  • オンラインゲームあつまれ どうぶつの森に「さどが島」を公開し、佐渡金山の擬似風景をオンラインツアーで体感することで、リアルでの観光客誘致につなげる工夫をしている[136]
  • 2022年4月8日より佐渡汽船の御船印に佐渡金山世界遺産登録応援の祈念版を頒布開始[137]
  • 佐渡では金山と関連する文化や豊かな自然環境・食材などを組み合わせた観光プランを提案しており、2022年に観光庁が募集した「第2のふるさとづくりプロジェクト」の実証事業にスローネイバーフッドで応募選定された[138]。例えば佐渡名物の蕎麦は、練った蕎麦粉は飛び散った金粉回収する吸着剤として重宝したことから普及したことを紹介しつつ飲食を楽しんでもらう[139]
  • 登録の実現には国内における知名度の向上と国民的盛り上がりによる機運の醸成が重要であるとし、JR東日本と提携した「秋の観光キャンペーン 佐渡島の金山 みなとまち新潟」を9~11月に展開[140]
  • 2022年からNGT48が佐渡観光応援公式サポーターに任命されており、佐渡金山の魅力を動画配信で発信し、世界遺産登録運動に一役買っている[141]
  • 2023年から文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律に基づき「Niigata Culture Tourism」と題し、佐渡金山と関連文化などを押し出す文化観光に力を入れることになった[142]
  • ゴールデン佐渡が運営する金山茶屋(10名以上からの団体専用で完全事前予約制・冬季休業)や京町通りのカフェでは道遊の割戸を造形化したご飯盛り付けの金山カレーを提供する。
  • 東日本高速道路(NEXCO東日本新潟支社)では6月1日~10月31日まで、普通車および軽自動車等のETC車を対象に、首都圏から新潟港直江津港までの高速道路が定額で乗り降り自由になる「佐渡島さどゴールデンパス」と、カーフェリー等の乗船代と佐渡島内の宿泊代がセットとなった佐渡浪漫紀行「佐渡島さどゴールデンプラン」を販売[143]
  • 大河ドラマどうする家康』の放送もあり、徳川幕府に縁がある新潟~長野~山梨~静岡の金山を結ぶ「黄金KAIDOプロジェクト」が始動[144]
  • 7月9日に東京ドームで開催する読売ジャイアンツvs横浜DeNAベイスターズの試合を佐渡市がスポンサーとなり「『佐渡島の金山』応援DAY」として宣伝する[145]
  • アルビレックス新潟Jリーグ)のご当地応援選手の内、佐渡担当の早川史哉・高木善朗・鈴木孝司の3選手をモデルに起用した「アイシテルニイガタ 新潟の宝を未来につなげ! 佐渡島の金山を世界遺産に」のポスターなどを各所に貼り出す[146]
  • 認定10周年を迎えた佐渡ジオパークを記念して佐渡出身の漫画原作者(元漫画家赤坂アカ書き下ろしのイメージキャラクターを作成。佐渡金山も佐渡ジオパークであることから、同じキャラが佐渡金山にも展開する[147]
  • 11月13日の「いい遺産」の日に合わせ、道の駅新潟ふるさと村が「佐渡島の金山」WEEKを実施[148]
  • 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において、一度は絶滅し野生復活したトキとコウノトリの縁で兵庫県生野銀山と提携し、金山銀山の共同ブースを開設する[149]
  • 2024年1月27-28日、東京交通会館(有楽町)に入居する上越妙高の物産を取り扱う雪國商店が、建物1階ピロティの交通会館マルシェにて「佐渡島の金山 世界遺産登録応援フェア」を開催し、佐渡の物産品の販売と佐渡金山パンフレットの配布を行った[150]

課題[編集]

上掲「推薦までの経緯」の節でも触れているが、既登録地である石見銀山の違いの立証や差別化を図らねばならないことが最優先項目となっている。

崩壊が始まった道遊の割戸

石見銀山との差別化を図るべく試行錯誤が続き、ヨーロッパにおいて今なお教会などキリスト教関連施設の登録が相次いでいる理由として地域多様性による細分化が上げられることから(教会の登録が多いことをCathedral Syndrome=聖堂症候群と揶揄する)、佐渡という離島の独自性を模索したが、佐渡金銀山の開発に際しては大久保長安が甲州湯之奥金山など)や岡崎石屋町)そして石見銀山から鉱夫や石工を寄せ集めたことで(姫津地区には末裔の石見姓住民がいる)、技術史産業考古学)的に独自性がないとされ、佐渡小判が国際金融に影響した根拠が乏しいという指摘もある[注 28]

当の石見銀山が登録審査をうけた際、ICOMOSの報告として「西洋の鉱山遺跡と比べて保存状態が悪い」と指摘し、「関連する木造建造物(代官屋敷や寺院・大森街区など)の真正性英語版も怪しい」とされ、登録延期が勧告された経緯があり[151]、状態・条件が似ている佐渡も同様の指摘がなされる可能性もある。

また、石見銀山では今なお自然流出する鉱毒による環境汚染(主として水質生態系への影響)の環境アセスメントも遺産影響評価(HIA)として報告するよう求めており[152]、相川金山では操業停止後も流れ出る水が酸性のため直接海へ注ぐと海洋汚染になることから、水質汚濁防止法に基づき南沢疎水を用いて現在でもph調整してから排水しており[注 29]金属鉱業等鉱害対策特別措置法により廃坑の埋め戻しが求められる可能性もある。

西三川砂金山は1872年に、鶴子銀山は1946年に閉山したが、相川金山は1989年に休山扱いとなり、現在でも佐渡鉱山株式会社が鉱業権(採掘権)を所有しており(施設管理は株式会社ゴールデン佐渡)、鉱業抵当法による土地や施設の権利もあって、操業を再開することも可能なため、遺産保護の観点から再掘しない旨の確約(鉱業権の放棄・返上)を得る必要があり、鉱山保安法では落盤が誘発する陥没・地盤沈下やそれに伴う土砂災害を避けるため廃坑は埋め戻すよう奨励していることから、場合によっては一部埋め戻さざるを得なくなる可能性もある。

世界遺産は不動産有形財構築物が対象で、動産可動文化財)である文献資料は世界遺産になり得ないが、その価値を裏付ける物証としての意味がある。しかし、坑道内の採掘作業の様子を描いた『佐渡国金山之図』は国立科学博物館が、『金銀山敷内稼仕方之図』は国立公文書館が、『金銀山敷岡稼方図』は新潟県立歴史博物館九州大学総合研究博物館が所蔵するなどし、唯一『金銀山絵巻』のみが地元の相川郷土博物館に残されているだけで、ユネスコが推奨する関連資料の場域留置英語版がなされていない。

海に面した相川材木町の海抜表示

さらに、ユネスコは第44回世界遺産委員会において、気候変動による自然災害が世界遺産に及ぼす影響を新規推薦に際して遺産影響評価(HIA)として被害想定シミュレーションと対策案を盛り込むことを義務付け、対応が求められる[153]。日本の場合は地震に対する警戒が必要で、2013年に「武家の古都・鎌倉」に対して不登録勧告が出された際、「海に面した鎌倉では、地震と津波それに台風などのリスクが資産に対する主たる脅威であると考える」という指摘がなされた[154]。佐渡は地質学的に比較的安定しているとされ、島内で活断層は確認されていないが、新潟-神戸歪集中帯に属しており、過去には佐渡小木地震や佐渡沖地震が発生し、津波に襲われた記録も残り、日本海での海底地震による津波にも注意を払わなければならない。相川の下町界隈は外海府海岸に面した実質海抜ゼロメートル地帯に等しい。相川は古民家が集まる木造住宅密集地域で、火事が起これば延焼し、地震やスーパー台風が直撃すれば軒並み倒壊する恐れも孕んでおり、豪雪地帯対策特別措置法に基づく豪雪地帯でもあり令和3年豪雪では家屋が圧潰するなどの被害も生じている[155]。上町と下町を隔てる崖が崩落する危険性からコンクリート擁壁化が進み、間を結ぶ石段坂道もセメントで固められるなど景観を損ねてもいる。

相川鉱山のイメージの一翼を担う近代化遺産が世界遺産候補から除外されたことで、それを対象とするヘリテージング愛好家廃墟ファンの期待と関心が薄れてしまったことで観光訪問の客足が鈍ることも懸念され、登録後にそれらも世界遺産だと誤解して訪ね落胆させることはツーリストトラップになりかねない[156]

片辺・鹿野浦海岸の問題
漂着ゴミ、ハングル表記が含まれる
自然の中に置かれたテトラポッド

石切場跡がある吹上および片辺・鹿野浦海岸では漂流・漂着ごみが年々増加しており[157]美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律に基づいてごみ収集を実施しているが追いつかないのが実状となっている[158]三保の松原富士山-信仰の対象と芸術の源泉としての登録審査でテトラポットが景観を害していると指摘されたが、片辺・鹿野浦海岸の一部にもテトラポットがあり同様の指摘をうける可能性もある(テトラポットがあることで荒波による石切場跡の浸食を防いでいる)。

2019年(令和元年)5月19日、重要文化的景観選定地である西三川の笹川集落で火災があり、農村景観を形成する家屋・納屋7軒が焼失した。文化庁は「文化財としての価値に影響はない」とし、地元の笹川の景観を守る会も「(金山に関係する)特別な施設に被害はなく、世界遺産登録への影響はないと思う」とした[159]。しかしながら、相川金銀山では道遊の割戸の一部崩落が始まり、坑道でもコンクリートを用いた補修が行われているが、これは真正性を問われることになる。西三川砂金山では砂金を採掘した遺跡が草木に埋没し、鉱山経営を担った金子勘三郎家の建物も腐朽が進み、鶴子銀山は遺構の多くが山間に埋没して見学しづらい状態になるなど、保存の在り方にも問題が浮上している[160]。さらに西三川では集落を取り囲む外縁部の山の背後にゴルフ場があり、直接的な景観阻害はないものの、除草剤による環境への影響を心配する声はある。

観光対策[編集]

坑道内鉱夫のイラストでソーシャルディスタンスを呼びかける佐渡金山

世界遺産登録に伴い大挙押し寄せる観光客による観光公害環境負荷)が世界遺産に与える影響を鑑み、ユネスコは推薦段階から具体的な対策案を示すことを求めるようになった。加えて新型コロナウイルスの流行により、世界遺産でのクラスター発生防止目的からも混雑緩和を命題とした。佐渡は離島という立地のため、訪問するには本土からの航路に限られることからコントロールは可能であるとする。但し、来訪者への環境維持への協力を呼びかける必要はあり、ウィズコロナ下でのレジリエント・ツーリズム、コロナ終息後(アフターコロナ)の訪日外国人旅行者によるインバウンド需要を見据えた多言語対応の準備が重視される[161]

特にオーバーツーリズム対策に関しては、観光庁が2024年に先駆的取り組みを実施するモデル地域に認定したことで、ユネスコ・世界遺産委員会に対しても充分な対応を講じていると報告できる[162]

西三川においては設置した案内板がグッドデザイン賞を受賞している[163]

アクセシビリティ[編集]

障害者高齢者の権利を擁護するユネスコは、世界遺産観光に際してのアクセシビリティを注視している。佐渡金山においてはトロッコ軌道が走っていたことから平坦で空間にゆとりがある道遊坑への車椅子での進入が可能だが、近代に掘削整備された道遊坑は世界遺産構成資産候補には含まれない。一方、江戸時代の宗太夫坑は勾配があり狭く、足元が濡れているため車椅子での見学ができない状態。鶴子銀山や西三川砂金山は舗装された遊歩道が未整備である[164]。但し、文化財である西五十里道・鶴子道のような山道や個人所有の西三川の棚田畦道を舗装することは現実的ではない。

持続可能性[編集]

シャッター商店街から江戸の活況復活を図る相川天領通り

ユネスコは近年、世界遺産の持続可能な保全英語版を求めるようになり、2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に対するICOMOSによる登録勧告において、離島における構成資産となる集落景観保持に関し人口減少の懸案を示唆したが[165]、これは佐渡でも指摘される可能性がある。2012年に開催された「世界遺産条約採択40周年記念-世界遺産と持続可能な開発:地域社会の役割」(京都ビジョン)で世界遺産存続のためコミュニティの存在の重要性が確認され[166]、世界遺産を維持するためには地域コミュニティの持続可能性が必要であるとされることから、消滅可能性自治体に名を連ねる佐渡にとっては深刻な課題となる。

こうした事態を鑑み、市民団体の相川車座が空き家の増えた相川地区で一軒貸しの民泊カフェなどへのアダプティブユースを推進し、一過性の観光ブームで終わらないようコト消費としてかつて大勢いた金細工職人の業を体験するワークショップなども計画している[167]

2022年、国が推進するSDGs都市に佐渡が「人が豊かにトキと暮らす黄金の里山・里海文化、佐渡~ローカルSDGs佐渡島、自立・分散型社会のモデル地域を目指して」として選定された[168]

維持管理[編集]

遺産の資源利用指針に基づき、ユネスコの法人管理部門が世界遺産(主として稼働遺産)における企業活動に関する指針「UNESCO Guidance for the World Heritage ‘No-Go’ Commitment: Global standards for corporate sustainability(世界遺産'No-Go(禁止事項)'コミットメントのためのユネスコガイダンス:企業による持続可能性のための世界基準)」を策定し、企業の社会的責任を求めた。そこでは既に世界遺産となっている物件および今後世界遺産とすべき分野の産業(鉱業・石油・ガス・利水金融宝飾など)現場での施設の劣化防止管理などについて言及。特に鉱業分野においては国際鉱業金属協会英語版が厳格な方針を提案した。佐渡金山の施設の大半が民間企業所有であることから、今後施設の維持管理について指摘をうける可能性が高まった[169]

その他の意見[編集]

佐渡金銀山に関しては韓国による反対姿勢(上掲「推薦までの経緯」の節参照)以外の見解もある。

西洋社会からはキリシタン弾圧の顕彰も求められる(相川キリシタン塚)

江戸初期にはキリシタンを配流して採掘にあたらせた経緯なども踏まえ、ジャーナリスト立岩陽一郎は「歴史には必ず負の側面もあるのだから、負の世界遺産だという認識で推薦すればいい」とし[170]、学術的にも「明治日本の産業革命遺産」との比較研究で「類似したもの(佐渡の明治以降の近代化施設)を後から推薦しても意味がない」「世界遺産に推薦するのであれば、道遊の割戸のように人力で地形・景観を改変したような“人間の飽くなき欲望”といった負の側面を前面に押し出すくらいの覚悟が必要」との見方もある[171]

文化審議会は佐渡の学術的価値を認め「推薦すべき物件」としたが、2017年に開催された2019年登録審査候補を決める際には「(複数候補のいずれも環境整備や推薦書が完全ではなく)候補なし」という意見が出るなど冷静な判断を下しながら、政治的要望もあり最終的に「百舌鳥・古市古墳群」を選出した経緯がある[172]。世界遺産は観光立国・地域振興のための国策となり、それを求める国民の声もあるため、価値や評価が分かれるものであっても政治的に候補を選出せざるを得ない場合があるともされる。今回の文化審議会の判断は韓国の反発を予め想定したもので、専門家の意見を政治が無視したともとれるが、審議会委員[173]は在任中は非常勤とはいえ公務員特別職に準じた嘱託身分であり、政府判断に丸投げした文化庁の姿勢ともども国益を考えていない責任逃れであるとの批判もある。ただ、一時的なことだったにせよ推薦見送りという状況は日本側の準備不足や学術的価値の国際的な評価を再確認し、より精度を高めるための猶予が与えられたと思うべきだったとの考え方もある[174]

新潟県出身選出の元衆議院議員金子恵美は、「推薦見送りの報道は外務省がリークしたもので、公僕として国益を考えない事なかれ主義だ」と糾弾した[175]

一方で韓国でも佐渡の推薦に際して強制連行の話しを持ち出すことは間違いであるとする意見(李宇衍)もある[176]。また、産経新聞系のインターネットニュースサイトである『JAPAN Forward』は、ユネスコの文化世界遺産に関する専門家オリンピア・ニグリオに取材、彼女はイタリアパヴィア大学の教授で日本の法政大学の客員教授でもあるが、彼女によると「地域と密接に結びついた伝統と生産活動が今も保存されている世界でもユニークな文化遺産」「採掘の歴史を世界中の他の場所と比較する興味深い機会を提供している」とした[8]

なお、佐渡の世界遺産推薦に際しては佐渡出身で佐渡の金属工芸の家に生まれた宮田亮平文化庁長官時代(2016~2021年在任)に強く後押ししたともされる。

第三国の視点[編集]

日韓および東アジア(北朝鮮・中国)以外の直接の因果・利害関係がないメディア等の論調は以下の通り。

  • イギリス領インド帝国に組み込まれていたパキスタンの有力メディアBOLは、同様な問題を抱えた端島がユネスコの世界遺産に登録された際、日本は強制徴用の歴史を展示し犠牲者に敬意を表する措置を講じると約束したにもかかわらず、実際には彼らの苦しみが無視された文書を展示した例を引いて、「日本政府は歴史操作の常習者であり、近隣諸国の痛ましい記憶を無視しながら事実を歪曲することに慣れている。佐渡金山は、過去を白塗りしようとする日本政府による最新の試みである」と評した[177]
  • 2022年2月21日付の『ニューヨーク・タイムズ』は、「世界遺産に推薦しながら時期を江戸時代に限定するのは日本の文化的遺産に害を及ぼす」との論調と、「歴史の全体を語ってこそ該当国家の歴史を尊重すると言うことができる」という日本鉱山史を研究するオーストラリアメルボルン大学のデビット・パーマー教授の意見を掲載した[178][注 30]
  • 2022年3月28日付の『バンコク・ポスト』は、「佐渡での朝鮮人労働者問題は戦後長い時間をかけて日本が償い、積み上げてきた信頼が瓦解しかねない。特にロシアによるウクライナ侵攻に伴い、ウクライナゼレンスキー大統領がアジアで最初の演説先に日本を選び、"日本はアジアのリーダー"と評したが、それは多くのアジア諸国も認めるところである。ウクライナ支援のためにも連帯が必要な時、その牽引役となるべき日本が過去の行いに目を閉ざすのであれば、それはロシアと同じであり、日本の国際的信用と地位は失墜する」と強い論調を唱えた[179]
  • フランスメディアの『Inkstick Media』は2023年1月19日に推薦書が再提出されたことに関し、「姿勢を正すチャンスであったにも関わらず、変わらず江戸時代のみを対象とした。江戸時代に限ってもキリシタンを弾圧するような労働を強いていたが、その墓地は文化財(㊟:重要文化的景観)指定外、すなわち世界遺産候補に含んでおらず、闇に葬ろうとしており、ユネスコは推薦書を受理すべきでない」という辛辣な見解を掲載した[180]
  • 2022年2月24日付の『シカゴ・ヒスパニック・ニュースペーパー』の編集者ダニエル・ナルディーニは、(佐渡金山の世界遺産申請を)悪趣味極まりない考えとし、「米国は日韓両国に対し、外交手段を通じてこの問題を解決するよう求めている」が、「両国が外交的対話でこの問題や他の問題を解決する可能性は高くないであろう。日本政府は、朝鮮半島支配や朝鮮人徴用工の問題について、うまく対処していない」「しかし、両国がこの問題で武力衝突することがないことは確実にいえる」としている[181]

鉱山遺産の現況[編集]

鉱山関連の世界遺産登録が近年相次いでいるが、その評価はユネスコや諮問機関でも意見が分かれている。

2017年に登録されたポーランドの「タルノフスキェ・グルィの鉛・銀・亜鉛鉱山とその地下水管理システム」では、鉱山そのものより、水文学を推奨するユネスコが地下水管理システム(排水)に着目したが、佐渡では南沢疎水が構成資産に含まれている。

2019年に登録されたインドネシアの「サワルントのオンビリン炭鉱遺産」では、「単にヨーロッパの技術を導入しただけでなく、地域技術との融合がみられ、採掘・加工から輸送段階における効率化のための設計が最初から完成されていたものである」と評価しており、単なる最新技術の導入だけでは評価されないことを示唆しており、これは「明治日本の産業革命遺産」でも同様の評価対象となっている。このことから佐渡においても構成資産から除外された明治以降の近代化・機械化の足跡の可能性を示唆する意見もある。

2021年に登録されたルーマニアの「ロシア・モンタナの鉱山景観」は現在も操業が継続中のため、安全管理上見学できるのは採掘が停止した古い極一部の範囲のみで、シアン化物汚染の問題があり地域住民は投資紛争解決国際センターに提訴し係争中であり、登録と同時に危機遺産にも指定されたことから、鉱山関係の登録は慎重に扱うべきとの意見が多発した(第44回世界遺産委員会#危機遺産への新規掲載参照)。

2023年に登録されたカナダの「トロンデック=クロンダイク」は19世紀からのクロンダイク・ゴールドラッシュに関係する史跡が対象で、鉱山そのものは世界遺産には登録されなかったが、Jëjik Dhä Dënezhu Kek'it (Moosehide Village)とJëjik Dhä Tthe Zra'y Kek'it (Black City)という二つの鉱山町が構成資産となった。鉱山町が登録された意義は佐渡における相川町に通じる。

ガイダンス施設[編集]

きらりうむ佐渡

世界遺産条約では第5条で「文化遺産及び自然遺産の保護・保存及び整備の分野における全国的または地域的な研修センターの設置」という条文があり、世界遺産近くにガイダンス施設・ビジターセンターを設置することを求め、新規推薦物件では推薦書にガイダンス施設の計画も盛り込まなければならないため、2019年4月20日に「きらりうむ佐渡」(英語: Sado Gold and Silver Mine Information Facility “Kirariumu Sado”)がオープンした。

鉄骨造平屋建て(屋内壁および天井は佐渡産杉材使用)、延べ床面積1,093平方メートル(敷地面積3,075平方メートル)、建物高(最高値)5.78メートル。設計:プレック研究所、施工:近藤組。総事業費約9億3千万円。中庭を挟み、エントランスホールから二股のコの字に分かれた構造で、片側が展示施設で、もう一方は事務室・資料室と講堂になっている。正面外観のガラス張りエントランス左右は、相川の木造家屋街並み保存地区を意識して景観配慮している。バリアフリー対応。館内撮影禁止。レンタサイクルの貸し出しあり。近隣に無料の駐車場あり。

住所/佐渡市相川三町目浜町18-1(旧佐渡会館跡地)、開館時間/8:30~17:00、休館日/12/29~1/3、展示室観覧料/大人300円・小中学生150円、交通/新潟交通佐渡路線バス 本線1系統(両津港~佐渡金山)などで「きらりうむ佐渡」停留所下車すぐ

相川郷土博物館[編集]

御料局佐渡支庁の建物を利用した相川郷土博物館では、鉱山鉱物・岩石の標本や相川地区の美術品・民俗資料・古写真、出土した土器などの考古資料など、多岐にわたる展示物を収蔵しているが、きらりうむ佐渡のオープンに伴い閉館が計画された。しかし、佐渡市教育委員会が展示内容の見直しを図り、鉱山運営の歴史や相川地区の暮らしを伝える資料などに焦点を当て、世界遺産登録を視野に金銀山を前面に打ち出した展示を目指すこととなり[182]、文化財としての営繕に加え、耐震補強消防設備の設置、建築物における衛生的環境の確保に関する法律による館内の環境整備施工のため2022年6月1日より改修工事に入り、2024年4月1日にリニューアルオープンする予定である[183]

探訪時の注意事項[編集]

  • 道遊の割戸を間近に見るには、佐渡金山の道遊坑(明治時代に開削、世界遺産候補ではない)の入場料を払い、坑道見学ルートを抜けた後、屋外に出て山へ分け入るように進むことになる。大切山坑は前日までに佐渡金山の山師探検ツアーに申し込むことで見学できるが、坑内は湿度が高く埃っぽく黴臭くゲジゲジなどのも多い。実際に濡れたり泥まみれになることもあり、貸し出される共用のヘルメットをかぶらなければならない。
  • 相川の旧市街地は整備されているが、建築物の多くが基本的には個人宅なので営業店舗以外への無断侵入は慎まなければならない(住居侵入罪になる)。また、路地が狭く駐車場がないので、レンタカータクシーで乗り入れての観光は困難。車は大佐渡スカイランに面した市営の弥十郎駐車場を利用する。徒歩散策か、きらりうむ佐渡でレンタサイクルを借りるという手段もある(自転車を貸してくれる宿もあるが、レンタサイクルショップはない)。
転落の危険がある穴
  • 上相川集落跡へは佐渡金山(宗太夫坑)ではなく、少し手前の金山茶屋がある第三駐車場から山道を15分程上る(駐車場は冬季閉鎖されるが徒歩進入は可)。地下水観測などのため開口部を蓋していない垂直竪坑があり、下草に覆われ見えにくい箇所もあるので不用意に立ち入らない。現地にトイレごみ箱自動販売機はない(第三駐車場にトイレと自販機はあるが、トイレは冬季使用不可)。
  • 上相川集落跡の奥へ進むと西五十里道になる。道程は片道2~3時間を要し、笠取峠越えを伴う(上相川集落跡口⇔笠取峠3キロ、峠⇔鶴子銀山1.5キロ)。鶴子銀山側からは代官屋敷跡が最寄りとなるが、案内板がなく入口が分かりにくい。代官屋敷跡付近には駐車場がなく、路上駐車禁止区間である(路肩は蓋がない側溝で脱輪の恐れもある)。道は滑りやすく、一部区間では携帯電話電波が届かない(圏外)。山林の樹木の中には体質によっては触れるとかぶれるものもあるので要注意。冬季積雪があると通行不可。途中にトイレ・ごみ箱・自販機はない。
  • 上寺町へはいくつかのルートがあるが、最もわかりやすいのは無宿人墓の前を通り山道へと進むコースになる。車の場合は佐渡金山に向かう大佐渡スカイライン進行方向左にある最初の佐渡金山の看板前に数台分の駐車場があり、その後方に無宿人墓への案内矢印があるので道なりに進む。万照寺の脇から背後を通り抜けると無宿人墓になる。春~秋の訪問の際には蛇や蜂との遭遇(佐渡に熊はいない)に注意が必要。一帯は下草に覆われ足元が悪い。石積遺構は崩れやすいため乗ったりしない(史跡指定のため文化財損壊となる)。また、荒れ果てた古い墓地があるが、無断での侵入は礼拝所及び墳墓に関する罪になることもある。現地にトイレ・ごみ箱・自販機はない。
  • 吹上海岸石切場跡と片辺・鹿野浦海岸石切場跡は磯浜で足場が悪く、潮だまりなどもありカツオノエボシが打ち上げられていることもある。高波にさらわれることにも注意を払う。両海岸とも岩を破砕して持ち帰ることは勿論、打ち上げられている小石であっても自然公園法により処罰の対象となる。相川から新潟県道45号佐渡一周線を北上し鹿ノ浦トンネルを抜けた辺りが鹿野浦海岸で、続く南片辺トンネルの手前で分岐する佐渡市道片辺31号線(現在通行止め)沿いとトンネルを抜けたところの片辺集落の海辺が片辺海岸。この間に14ヶ所の採石域が点在する。2022年度末現在、片辺・鹿野浦海岸石切場跡には吹上海岸石切場跡のような史跡標柱はない(設置予定あり)。吹上海岸への公共交通機関は新潟交通佐渡の路線バス海府線の千畳敷入口停留所から500メートルほど進む。鹿野浦海岸付近には停留所がなく、片辺海岸は同路線で相川から30分の南片辺停留所下車。路線バスは平日10便、土日は5便しかない。車などであれば吹上海岸は隣接する「弁慶のはさみ石」の駐車場、鹿野浦海岸は安寿塚がある「安寿と厨子王記念碑」の駐車場、片辺海岸は北片辺の民話の館または藻浦崎公園の駐車場が利用できる。民話の館内(開館時)と藻浦崎公園に公衆トイレがある。
鶴子銀山へのゴミ不法投棄禁止を呼びかける看板
  • 鶴子銀山へも公共交通機関がない。相川へ向かう新潟県道31号相川佐和田線の中山トンネル手前から入る林道国仲北線沿いに史跡点在する。銀山の中心となる本口間歩跡へ向かう史跡標柱前に数台分の駐車場あり。春~秋の訪問の際には蛇や蜂との遭遇に、冬は積雪による滑落・遭難の注意が必要(実際に被害や事故が発生している)。また山の一部は佐渡鉱山株式会社の所有地で立入禁止となっている。本口間歩跡、代官屋敷跡・集落跡、床屋(精錬加工)跡、大滝間歩、露頭掘りの百枚平、沢の斜面に露出していた鉱脈を地形のまま追う樋追い掘りをした屏風沢などが尾根を越えた約2キロ四方内に分散している。現地にトイレ・ごみ箱・自販機はない。なお、鶴子銀山山中の内、個人所有地においては鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律および特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律によりアライグマ駆除目的の猟区(猟銃発砲)になっている箇所があるので不用意に立ち入らない。
  • 鶴子銀山から沢根へ向かう鶴子道は、代官屋敷跡・集落跡がある側と道路を挟み山林の中に入口があるが分かりにくい。支線は道幅が狭く車両通行不可の区間も多く、進入を試み脱輪しての救助要請が増えているほか、歩行者の滑落事故も起きているが、一部区間では携帯電話の電波が届かないので注意が必要。森林組合管理林道農事組合法人管理農道では地権者車輌優先走行となる。林道・農道への不用意な駐車は山菜等の違法採集の疑いで通報されることもある。
  • 西三川へも公共交通機関がなく、佐渡西三川ゴールドパークからさらに新潟県道静平西三川線を2キロ程山間部へ分け入るが、途中すれ違いができない隘路が続く。地区内に駐車場はなく(大山祇神社脇と集落開発センターに空き地があるが長時間の駐車は自粛が求められる)、路肩駐車は農作業等の地域住民往来の支障になる(「無断駐車は通報します」の貼り紙掲示あり)。公式に外来者用駐車場として開放されているわけではないが、旧西三川小学校笹川分校の校庭を利用すると良い。集落内では個人宅のため立入禁止措置をとる家も多い。耕作期の田圃への進入も控える(一部に電気柵があり危険)。現地にトイレはない。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 最頂部は海抜252メートル(標高132メートル)で割れ目の最大幅30メートル、深さ74メートル。古くは「青柳の割間歩」と呼ばれ、割戸は現在は「われと」と読むことの方が多いが、平仮名で書かれた古文書では「わりと」と表記される方が多い。道遊の語源は定かでないが、割戸の地下岩盤は硬く、江戸時代の技術では掘削できず鉱脈があるにも関わらず手付かず(遊休地)だったからとの説もある。明治になり西洋の技術や機械が導入され割戸直下に向け道遊坑を掘削した頃から道遊の割戸という呼び方が定着した(『佐渡相川郷土史事典』より」)。
  2. ^ 宗太夫坑の総延長は約2キロあり、最大深度は500メートル(坑口付近の海抜は200メートルで海面下に達している)。この内、約280メートルを観光用見学路として整備開放しているが、最深部は落盤や水没により埋もれている。なお、江戸時代の記録では「日に三」(約10センチ)しか掘り進めなかったとある。
  3. ^ 佐渡金山草創期の道遊の割戸に近い集落跡で、山裾を雛壇状に整形し、20haの広さがある。17世紀半ば以降、下相川が開発され人口が増えて多様な職種が集まった後も鉱夫だけは残ったが、19世紀初頭頃より鉱夫も下相川へ移動し始めたことで衰退し、明治時代には集落としては完全に放棄され、火薬庫などが置かれた。元相川とも呼ばれる。所在地は佐渡市上相川町で、鉱山町の一画にあるが重文景の鉱山町とは別件扱い。
  4. ^ 現住所としての相川中寺町下寺町は現在も多くの寺が密集するが、上寺町は廃墟と化しているものの、初期の区割りや石垣などの石積み技術の変遷をみることができる。相川寺町にはほぼ全ての宗派が集まり、最盛期に123寺あり、その密度は京都を凌駕していた。上寺町は上相川集落と密接な関係にあったことから、上相川が廃れるのに合わせて衰退したが、鞴吹革を作るため狸を屠殺鞣すためかわたが住んだこともあり、現在は無人無住地区ながら化製場等に関する法律に基づく化製場地区として指定されたままになっている。
  5. ^ 元禄10年(1697年)に完成した約1キロの坑道内湧水を排水する地下式下水道で、今も使われている稼働遺産。相川南沢町で地表に現れ、間切川に排水する。起点と終点の両方から掘削すると同時に、中間二ヶ所に竪穴を設けそこから前後方向にも追い掘りして5年で掘り抜いた。貫通時にほぼズレがなく、坑道の径や傾斜も保たれていた。明治になり西洋の技術者を招聘すると、「鉱山学の父とされるゲオルク・アグリコラの著書で近世鉱山技術のバイブル『デ・レ・メタリカ英語版』にも掲載されていない技術だ」と驚かれた。原則内部非公開。
  6. ^ 所在地は相川江戸沢町(寺町外)で鉱山町の一画にあるが重文景の鉱山町とは別件扱い。本堂建屋ではなく、相川初期の墓地や大久保長安が建立した供養碑の逆修塔が残る境内と、相川開拓前に一帯を覆っていたタブノキ群落が対象。
  7. ^ 鉱石粉砕用の上臼を作るため、島内でもここだけに存在する緑色凝灰岩の中に含まれる花崗岩を切り出した。土地の多くを地元の漁業協同組合が所有する。
  8. ^ 鉱石粉砕用の下臼を作るため、島西岸ではこの界隈に集中する球顆流紋岩を切り出した。佐渡金山の金は粗鉱段階で銀を多く含有するエレクトラム英語版(琥珀金=金銀融合石)であったため灰吹法によって分離するために触媒としてが必要となり、慶長年間に鹿野浦海岸へ注ぐ中ノ川上流部で銅山を開いたが、鉱毒流出で鹿野浦海岸の集落は片辺へと移住し廃村となった。
  9. ^ まず戦国時代に鶴子銀山の銀を搬出港があった真野湾沢根五十里まで運ぶべく本間氏上杉氏が整備したのが鶴子道(五十里道とも)で、鶴子銀山から西の相川まで延伸したものが西五十里道になる。西五十里道は狭く急峻で駄馬が通れないことから、寛永5年(1628年)に中山峠を経由し、真野湾沿いに小木に至る相川往還真野~小木間は概ね現在の国道350号)が開通したため物流の流れが変わったことで廃れた。なお、鶴子道は本線以外に各坑道へと往来する大滝道百枚道東野道や青野峠を越える青野道などの枝線、沢根港へ至る沢根道は複数並走している。
  10. ^ a b c 鈍色のは鉱山由来の硅石硅砂を含む川砂・海砂を練り込んだ伝統的な瓦で、黒瓦は釉薬を施し滑りをよくして雪が積もりにくくしたもの。相川を除く佐渡全体では近代以降石州瓦が普及した。
  11. ^ 当初遊郭は客層(身分)毎に点在していたが、後に町外れの相川水金町へ集約された。その繁栄ぶりは延宝6年(1678年)刊の『色道大鏡』で全国25大遊郭街の一つに数えられた。古老の話しでは遊女おしろいが洗い流され、水金川が白濁したとのこと。石橋は鉱山石工の技術が活かされている。
  12. ^ 江戸時代の佐渡奉行所の勘定記録に記されたの数値を変換。明治以降は官営佐渡鉱山および三菱合資会社三菱鉱業の記録を合算。一般的に金鉱石1トンあたり3~5グラムの金しか取れない。なお、銀の算出も同時代において世界三位の規模を誇ったと推計される。
  13. ^ 石臼は明治になっても大型の搗鉱機が投入されるまで使われ続けたため、採石も行われてきた。片辺海岸石切場がある片辺地区はかつては石切工の集落で、今でもなどの工具が残されている。切り出された石は下相川にあった石工職人町へ送られ臼に加工された。その場所は石扣町という町名を留めている。片辺には石を運搬する輓獣としてのを飼い駄賃馬稼を生業とする者(馬子)が戦後までいた。
  14. ^ 同時期の長崎でも約2万人、平成27年時点で相川の人口は7千人弱。
  15. ^ 慶安5年(1652年)に書かれた記録では94の町立てがあり、住居表示に関する法律による町名改変も行われず、昔ながらの町丁名が残されている。
  16. ^ 相川という地名はこの「対する5本の」に由来するという説がある(鉱山開発が進み鉱毒が垂れ流される前はが遡上していたことから「鮎川」と呼ばれていたものが音訛したとか、緑青塩基性炭酸銅)によりく見えたことから「藍色の川」と呼ばれたことが始まりとも)。川は鉱業廃水処理に重宝され、比重がある金属成分沈澱堆積しやすかったことから浚渫がしばしば行われ、明治になると早い時期にコンクリートによる三面護岸化された箇所も多いが、鉱山石工の技術を活かした石積み護岸が残る場所もある。土手には金属耐性があるヨモギ外来種フキタンポポが生い茂る(昔から相川五川河川敷のヨモギは「砒霜を蓄えているから飢えても食うな」とされてきた)。いずれも独立水系二級河川で、流路延長は1~2キロしかない。
  17. ^ 相川は海成段丘による崖線の上下で「うえの町・山の手」と「しもの町・海の手」に大別され、高台には寺院(寺町)や商人街(京町)があり、下界を見下ろす突端に奉行所と鐘楼が置かれ、海に面し物流の便が良い下町は職人の工房・居住地となっていた。崖の上と下とは現在では新潟県道463号白雲台乙和池相川線(大佐渡スカイライン)が蛇行して結んでいるが、江戸時代は複数の坂を開削し、現在も趣がある坂道として残されている。
  18. ^ 民俗学者の宮本常一によるとこの石積み技術は、相川に先駆ける西三川砂金山の集落において建物基礎や石積み石組み水路などで培われたものが発展したとする。この江戸時代から続く在地技術は、明治になっても大間港の石積み護岸築堤などに応用されている。
  19. ^ 類似するものとして、島根県奥出雲町の重要文化的景観「奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観」、日本農業遺産「たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業」が、砂鉄採取と製鉄(精錬)工程で必要となる流水路を転用して棚田に作り変えた事例がある。
  20. ^ 世界遺産に関係する法令を掌握する文化庁・環境省・林野庁・水産庁・国土交通省・宮内庁・内閣官房・経済産業省で構成。
  21. ^ 無許可の伐採違法伐採となるため、木々に覆われ露頭掘り跡などの形状が分かりにくいかったり、根が石構造物を持ち上げたり抱き込んだりして損壊していることもある。
  22. ^ 坑道のような狭く猫しか通り抜けられないような空間を「猫道」「猫足場」と呼び、そこにを通して水を流したことに起源があるとされる。
  23. ^ 京町通りの商人や武士の間では関東稲荷参拝も見られたが、鉱夫には広まらなかった。
  24. ^ 佐渡弁でトキを「つぅ」と呼ぶことから、これを鶴と聞き違えた可能性があり、本来は「朱鷺の恩返し」だった可能性もある。
  25. ^ 文化的空間や場所の精神は、都市の聖地自然の聖地などを含む土着的風土が現代でも強く残る日本に多く見られるとされ、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群沖ノ島)や北海道・北東北の縄文遺跡群が登録された際にもこれらの評価が適用された。
  26. ^ 太宰治も短編紀行文『佐渡』を書いているが、訪問が戦前のことで金山観光もできず「佐渡には見るものがない」と酷評している。
  27. ^ 実際には号外は発行されていない。
  28. ^ 国際金融への影響は、石見銀山が世界遺産に登録された際に輸出した銀が当時の世界流通量の三分の一を占めたことが評価されたことを意識したものだが、これは新井白石の「国内産出銀の四分の三が海外流出した」という推計を基に、大内氏の交易時の支払い記録や李氏朝鮮の『中宗実録』、の『籌海図編』などによる受取の総量が、記録に残る同時代の各国の銀山の産出量や銀本位制のヨーロッパでの取引記録の総額などから算出されたものだが、佐渡産出の金銀に関しては幕府による出島でのオランダとに対する支払い記録のみで、ヨーロッパにおいても同時代の金市場の取引総額を示す資料がないことから不確定なものとなる。
  29. ^ 海洋汚染防止法は陸上における発生源を取り締まりの対象としていない。
  30. ^ 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産では「鎖国という世界でも珍しい状況下で信仰を継承したことに特化すべき」との指摘をうけ、明治以後に建てられた教会堂建築物を除外した経緯があり、佐渡もこれを参考に「鎖国下でも独自に発展した技術」に集約した。

出典[編集]

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関連項目[編集]

関連出版物[編集]

  • 西村幸夫、松浦晃一郎、五十嵐敬喜、岩槻邦男、萩原三雄『甦る鉱山都市の記憶:佐渡金山を世界遺産に』ブックエンド、2014年、142頁。ISBN 978-4907083175 
  • 橋本博文『佐渡を世界遺産に』新潟日報事業社、2007年、159頁。ISBN 978-4861322204 
  • 佐渡市教育委員会『黄金の島を歩く』新潟日報事業社、2008年、159頁。ISBN 978-4861322808 
  • 田中志津『佐渡金山』KADOKAWA、2020年、280頁。ISBN 978-4048843492 

外部リンク[編集]