佐世保鉄道1号形蒸気機関車

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1号形は、佐世保鉄道1920年(大正9年)の開業時に用意したタンク式蒸気機関車である。なお、佐世保鉄道では形式を付与していなかったため、この呼称は便宜的に付与したものである。

概要[編集]

本形式は、佐世保鉄道が1920年の開業に際して、大日本軌道鉄工部(後の雨宮製作所)に発注した、[[車軸配置]0-4-0(B)、運転整備重量10tの単式2気筒飽和式ウェルタンク機関車である。最初の2両(1, 2)は1919年(大正8年)6月に設計認可申請が出され、同年10月に認可がされているが、本形式の重量に対して軌道の負担力が不足することが指摘され、急遽、軌道強化が行われたというエピソードがある。両機の製造番号は、212, 213と推定されている。製造は、1919年7月である。

その後、1921年(大正10年)4月に同形機(製造番号不明)が製造され、4となっている。さらに、1922年(大正11年)1月に1両(5)、続いて1923年(大正12年)7月に1両(6)が増備され、計5両が揃えられた。

しかし、本形式は動輪直径が小さく、旅客列車牽引用としては速度が遅いことが難点であった。また、運転時に前後動が激しかったことから、5, 6に対して1931年(昭和6年)8月に、動輪のタイヤの厚みを増して従来の679mmから737mmに増大し、さらに運転台下部に従輪を1軸追加して車軸配置を0-4-2(B1)とする改造を若津鉄工所で実施した。

本形式は、当初は本線系統で使用されたものの、1935年(昭和10年)頃から1936年(昭和11年)10月の国有化までは、世知原支区に所属し、もっぱら世知原駅 - 臼ノ浦駅間の混合列車用として使用されたようである。

国有化後は、車軸配置0-4-0の3両(1, 2, 4)がケ93形ケ93 - ケ95)に、車軸配置0-4-2の2両(5, 6)がケ700形ケ700, ケ701)に改称されている。

これらのうち、最も早く廃車されたのはケ93で、1938年(昭和13年)11月である。この機関車は、北海道庁落合森林鉄道に譲渡され、鉄道省釧路工場で再製されている。しかしながら、原形の寸法と再製後の寸法に共通点がなく、部品の一部を再用して新造されたとするのが、実情に則しているといえる。

ケ94は、1944年(昭和19年)5月30日付けで北海道鉄道局に転属している。函館本線軍川駅(現在の大沼駅) - 森駅間の線増工事用または据付ボイラーとして使用されたものと思われるが、実情についての記録はない。そのまま1953年度に車籍抹消されているが、その間の用途も不明である。また、施設局の台帳にも記載されていなかった。

ケ95については、1944年の旧佐世保鉄道線(松浦線改軌完成後も転出せず、廃車は1948年(昭和23年)5月である。その後、1949年(昭和24年)4月11日付けで大分交通に譲渡され、同社の豊州線で使用されたが、実際の入線は国有鉄道での廃車宣告以前であったようである。同社では改番されることなく、ケ95のまま1953年(昭和28年)9月の廃線まで使用され、その後も豊前善光寺駅に放置してあったようである。

ケ700形の2両については、1943年(昭和18年)12月23日付けで新潟鉄道局に転属し、工事用とされたようである。施設局の台帳では車蒸82、車蒸83となっている。しかしながら、配属は熱海施設部のみであるとされており、転属の記録と矛盾する。熱海施設部においては、後の新日本坂トンネルの掘削と東海道本線用宗駅 - 焼津駅間の改良工事が、新潟では信越本線長岡駅 - 新津駅間の線増工事が行われていた。両者は時期的に重複しており、いずれで使用されたかは確証がない。除籍は、1949年度であった。

主要諸元[編集]

ケ93形の諸元を記す。

  • 全長:5,836mm
  • 全高:3,048mm
  • 軌間:762mm
  • 車軸配置:0-4-0(B)
  • 動輪直径:610mm
  • 弁装置ワルシャート式
  • シリンダー(直径×行程):216mm×305mm
  • ボイラー圧力:12.0kg/cm2
  • 火格子面積:0.42m2
  • 全伝熱面積:15.6m2
  • 機関車運転整備重量:10.2t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時):10.2t
  • 水タンク容量:1.36m3
  • 燃料積載量:0.28t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力:2,380kg
  • ブレーキ方式:手ブレーキ蒸気ブレーキ

参考文献[編集]

  • 臼井茂信「国鉄狭軌軽便線 22」鉄道ファン 1985年8月号(No.292)、交友社
  • 金田茂裕「形式別・国鉄の蒸気機関車 別冊 国鉄軽便線の機関車」1987年、機関車史研究会刊