位相的エントロピー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

位相的エントロピー(いそうてきエントロピー、: topological entropy)とは、力学系の不変量であり、アドラー=クロンハイム=マカンドルーが1965年に導入した。[1]

開被覆による定義[編集]

アドラー=クロンハイム=マカンドルーによるコンパクト離散力学系に対する位相的エントロピーの定義を与える。

(X, f)をコンパクト離散力学系とせよ。 すなわち、Xはコンパクト位相空間であり、f \colon X \to Xは同相写像である。

まずは準備として、開被覆についての記号を導入する。 \alpha\betaXの開被覆とせよ。 このとき、\alpha\betaの共通細分\alpha \vee \beta

\alpha \vee \beta := \{ A \cap B \mid A \in \alpha, B \in \beta \}

により定義する。 また、

f^{-1}(\alpha) := \{ f^{-1} (A) \mid A \in \alpha \}

Xの開被覆である。

さて、位相的エントロピーを定義しよう。

\alphaXの開被覆とせよ。 \alphaの有限部分被覆の濃度の最小値を、N(\alpha)とする。 このとき、開被覆\alphaのエントロピーを

H(\alpha) := \log_2 N(\alpha)

により定義する。

また、極限

\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} H ( \alpha \vee f^{-1}(\alpha) \vee \cdots \vee f^{-(n-1)}(\alpha) )

は常に存在する。 この極限値を開被覆\alphaに関する同相写像fのエントロピーと呼び、h(f,\alpha)と表す。

このとき、コンパクト離散力学系(X,f)の位相的エントロピーh(f)

h(f) := \sup_{\alpha} h(f,\alpha)

により定義する。 ただし、上限は開被覆の全体で考える。

参考文献[編集]

  1. ^ R.L. Adler, A.G. Konheim, M.H. McAndrew, Topological Entropy, Transactions of the American Mathematical Society 114 (1965) 309-319