伝奇ロマン

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伝奇ロマン(でんき-)は、SF系およびファンタジー系フィクションのジャンルに含まれる細目のひとつ。「伝奇SF」とも呼ばれる。また「伝奇アクション」や「伝奇バイオレンス」など作品の傾向にあわせて変化するケースや、「伝奇 - 」のように修飾されるケースも見られる(それらのすべてがジャンルとして明確に細分化されている訳ではない)。

概要[編集]

伝奇小説は単に「奇異なる伝承(の物語)」と理解されるのに対し、伝奇ロマンは主に物語の舞台背景の設定から判断されるジャンルである。端的には「伝承・史実の幻想的再解釈」をその成立条件としており、そのため作品のストーリー内容や舞台の時代設定では規定されない一方で、物語の舞台は読者の住む「現実世界」と連続していることが求められる。具体的には以下のような作品が典型的なケースとなる。

  • 歴史上の著名な事件には当時の常識を超えた知られざる真相があったという歴史ファンタジー
  • 現代の事件の背後に歴史的に暗躍してきた超常の勢力が関係しているというSFミステリー
  • 物語の事件のおぼろげな記憶が今日残る実在の神話伝承となっている事を読者に暗示する超古代文明世界の物語

これらの要素をもつ作品が伝奇ロマンに分類されるが、あくまでもSFもしくはファンタジーとして成立するだけの幻想的・(作品発表当時の水準で)科学的要素を含むことが必須の条件となる。過去または現在を舞台にしながらそれらがない物語は普通の歴史小説やミステリーの範疇となる。また、読者の住む世界と繋がりのない異世界の物語は基本的に伝奇ロマンとはなり得ない。

当ジャンルの確立には、当該分野で多くの作品を著しており、それらが「伝奇ロマン」と括られる事を認めていた小説家半村良の功績が大きい。

なお、伝奇ロマンという言い方は、『SFマガジン』編集長であった森優(南山宏)の発案である[1]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 東雅夫インタビュー 『ダ・ヴィンチ』2002年2月号(その後ダ・ヴィンチ編集部編『ミステリー迷宮道案内ナビゲート : 1999-2003』メディアファクトリー、2003年に収録)