会社員VX殺害事件

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会社員VX殺害事件(かいしゃいんVXさつがいじけん)とは、1994年12月12日に発生したオウム真理教信者による殺人事件。本事件の犠牲者は世界で初のVXガスによる記録された死者とされている[1]

経緯[編集]

この事件の被害者は、大阪府大阪市に住む柔道2段の資格を持つ当時28歳の会社員で、オウム真理教のダミーサークル「ヴァジラクマーラの会」に入っていたが、それ以外に教団とは関わっていなかった。ちょうどこの頃、教団の大阪支部で分派騒ぎがあり、分裂を煽った不審人物として会社員が浮上、「公安警察スパイ」と決め付けられた。麻原彰晃は、会社員をVXガス殺害するよう指示した。VXガスは土谷正実が生成したとされる。この点について土谷は、平成7年11月23日付けの中川智正の上申書には「犯行に使われたVXは遠藤誠一から渡され、犯行後に遠藤から『○○(被害者)、死んだんだって』と尋ねられた」と記されているにもかかわらず、遠藤が逮捕すらされなかったのはおかしい、と主張している。

1994年12月12日実行犯グループの井上嘉浩新実智光、中川智正、山形明は大阪市内のホテルに集結した。同日午前7時10分、会社員が自宅から出てきたので、山形と新実は高橋克也が運転する車から降りてその後を追い、淀川区の路上で、VXガスの溶液を会社員の後頚部にかけた。会社員はその場で倒れたため、通行人が119番通報し、ただちに大阪大学医学部附属病院に搬送されたが、12月22日午後1時56分に死亡した。

1995年のオウム真理教の強制捜査後、この事件を含む一連のVXガスによる襲撃事件が明るみに出、保存されていた被害者の血液を分析したところVXガスの分解物が検出されたことから暗殺が実証された。

参考文献[編集]

  • 『オウム法廷2 上』(朝日新聞社 1998年)

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Pamela Zurer, "Japanese cult used VX to slay member" Chemical and Engineering News 1998, Vol 76 (no. 35).