コンテンツにスキップ

伊与原新

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
伊与原 新いよはら しん
生誕 伊与原 新
(1972-10-26) 1972年10月26日(53歳)
日本の旗 日本 大阪府吹田市
職業 小説家推理作家
国籍 日本の旗 日本
教育 博士(理学)
最終学歴 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
活動期間 2010年 -
ジャンル 推理小説
主な受賞歴 横溝正史ミステリ大賞(2010年)
新田次郎文学賞(2019年)
直木三十五賞(2025年)
デビュー作 『お台場アイランドベイビー』
ウィキポータル 文学
テンプレートを表示

(いよはら しん、1972年10月26日[1] -)は、日本小説家推理作家。本名は吉原 新[2]

略歴

[編集]

大阪府吹田市出身。大阪教育大学附属天王寺中学校大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎卒業[3]神戸大学理学部地球科学科(現・惑星学科)卒業[4]東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。学位は博士(理学)。専門は地球惑星物理学[5]。大学院では地球磁場の研究を行う。2001年東京大学より博士(理学)の学位を授与される[6]

こうした専門分野から、宮沢賢治の地学者としての側面に注目して後年執筆した作品が『青ノ果て 花巻農芸高校地学部の夏』である[7]

2003年より富山大学理学部に助教として勤務[8]2008年にプロットを思いつき、小説を書き始めた[4][9]2009年、初めて書いた小説「二度目の満月」で第55回江戸川乱歩賞の最終候補作となる(受賞作は遠藤武文『プリズン・トリック』)[10]2010年、「ルカの方舟」で第56回江戸川乱歩賞の最終候補作となり(受賞作は横関大『再会』)[11]、「お台場アイランドベイビー」で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し小説家デビュー。同作は、大学3年生だった1995年に起きた阪神・淡路大震災後の街並みをイメージして書いた[4]。選考委員の綾辻行人は「近未来ニッポンの社会状況(しかも首都圏直下地震発生後)のシミュレーションがまず、小気味よいリアリティをもって構築されていて、めっぽう面白く読める」と評した[12]。ただ、その後は停滞期を経験。2018年に刊行した短編集『月まで三キロ』で男が死に場所を探す物語を大自然と日常を絡めて書いて以降、現代的なテーマを取り入れた作風で再評価された[13]

2019年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞[14]、第3回未来屋小説大賞を受賞[15][16]

2021年、『八月の銀の雪』で第164回直木三十五賞候補[17]、第34回山本周五郎賞候補[18]となり、第18回本屋大賞で6位入賞[19]

2024年10月期、『宙わたる教室』が、窪田正孝の主演によりNHK総合ドラマ10」枠でテレビドラマ化された[20]

2025年、『藍を継ぐ海』で第172回直木三十五賞を受賞[21]、第12回高校生直木賞候補[22]

同年、『宙わたる教室』で第5回読者による文学賞スピンオフを受賞。

作品リスト

[編集]

単著

[編集]
  • お台場アイランドベイビー(2010年9月 角川書店 / 2013年9月 角川文庫
  • プチ・プロフェスール(2011年9月 角川書店)
    • 【改題】リケジョ!(2014年2月 角川文庫)
  • ルカの方舟(2013年6月 講談社 / 2015年10月 講談社文庫
  • 博物館のファントム(2014年1月 集英社 / 2016年9月 集英社文庫
    • 呪いのルビーと鉱物少年(初出:『小説すばる』2012年4月号)※「標本収蔵室の怪人」改題
    • ベラドンナの沈黙(初出:『小説すばる』2012年10号)
    • 送りオオカミと剥製師(初出:『小説すばる』2013年1月号)
    • マラケシュから来た化石売り(初出:『小説すばる』2013年4月号)
    • 死神に愛された甲虫(初出:『小説すばる』2013年6月号)
    • 異人類たちの子守唄(初出:『小説すばる』2013年10月号)※「異人類たちの歌」改題
  • 磁極反転(2014年8月 新潮社
    • 【改題】磁極反転の日(2017年4月 新潮文庫
  • 梟のシエスタ(2015年7月 光文社
    • 【改題】フクロウ准教授の午睡(2022年7月 文春文庫
      • 小説宝石』に掲載された「梟のシエスタ」「梟のアプエスタ」「梟のファンダンゴ」をI〜III章とし、IV章とV章を書き下ろし。
  • 蝶が舞ったら、謎のち晴れ 気象予報士・蝶子の推理(2015年7月 新潮文庫nex
    • 序章(書き下ろし)
    • ミモザの霞んだ日(初出:『小説新潮』2012年2月号)
    • 五十二年目の遠雷(初出:『小説新潮』2013年2月号)
    • 台風二過(初出:『小説新潮』2014年2月号)
    • エオルスの竪琴(初出:『小説新潮』2014年9月号)
    • 標本木の恋人(初出:『小説新潮』2015年2月号)
    • 終章(書き下ろし)
  • ブルーネス(2016年8月 文藝春秋 / 2020年4月 文春文庫)
  • コンタミ 科学汚染(2018年3月 講談社 / 2020年11月 講談社文庫)
  • 月まで三キロ(2018年12月 新潮社 / 2021年7月 新潮文庫)
    • 月まで三キロ(書き下ろし)
    • 星六花(書き下ろし)
    • アンモナイトの探し方(書き下ろし)
    • 天王寺ハイエイタス(書き下ろし)
    • エイリアンの食堂(書き下ろし)
    • 山を刻む(書き下ろし)
  • 青ノ果テ ―花巻農芸高校地学部の夏―(2020年1月 新潮文庫nex)
  • 八月の銀の雪(2020年8月 新潮社 / 2023年6月 新潮文庫)
    • 八月の銀の雪(書き下ろし)
    • 海へ還る日(書き下ろし)
    • アルノーと檸檬(書き下ろし)
    • 玻璃を拾う(書き下ろし)
    • 十万年の西風(書き下ろし)
  • オオルリ流星群(2022年2月 KADOKAWA / 2024年6月 角川文庫)
  • 宙(そら)わたる教室(2023年10月 文藝春秋 / 2026年3月 文春文庫)
    • 夜八時の青空教室(初出:『オール讀物』2022年2月号)
    • 雲と火山のレシピ(初出:『オール讀物』2022年5月号)
    • オポチュニティの轍(初出:『オール讀物』2022年8月号)
    • 金の卵の衝突実験(初出:『オール讀物』2022年12月号)
    • コンピュータ室の火星(書き下ろし)
    • 恐竜少年の仮説(書き下ろし)
    • 教室は宇宙をわたる(書き下ろし)
  • 藍を継ぐ海(2024年9月 新潮社)
    • 夢化けの島(初出:『小説新潮』2022年7月号) ※「泥の器」改題
    • 狼犬ダイアリー(初出:『小説新潮』2021年11月号)※ 「灰色の血脈」改題
    • 祈りの破片(初出:『週刊新潮』2021年10月28日号 - 11月25日号)※「燐光の家」改題
    • 星隕つ駅逓(初出:『小説新潮』2022年4月号)
    • 藍を継ぐ海(初出:『小説新潮』2023年1月号)※「遠い遠い海から」改題
  • 翠雨の人(2025年7月 新潮社)
  • コズミック・ガール 宙わたる教室(2026年4月 文藝春秋) - 『宙わたる教室』の続編
    • コズミック・ガール(初出:『オール讀物』 2024年11・12月号)
    • ピタゴラ・ボーイ(初出:『オール讀物』2025年1・2月号)
    • ロケット・センパイ(初出:『オール讀物』2025年3・4月号)
    • ギーク・チャイニーズ(初出:『オール讀物』2025年5・6月号)
    • レジェンダリー・ガイズ(初出:『オール讀物』2025年9・10月号)
    • リリーフ・ベスティ(初出:『オール讀物』2025年11・12月号)
    • スマイル・プリンシパル(初出:『オール讀物』2026年1・2月号)
    • ドリーム・ローンチ(初出:『オール讀物』2026年3・4月号)

アンソロジー

[編集]

「」内が伊与原新の作品

  • 名探偵だって恋をする(2013年9月 角川文庫)「浮遊惑星ホームバウンド」
  • 驚愕遊園地(2013年11月 光文社 / 2016年5月 光文社文庫)「梟のシエスタ」
  • 東大に名探偵はいない(2023年1月 KADOKAWA)「アスアサ五ジ ジシンアル」
  • 超短編! 大どんでん返しSpecial(2023年12月 小学館文庫)「古地震学教授」

映像化作品

[編集]

テレビドラマ

[編集]

脚注

[編集]
  1. 第172回直木賞候補5作を発表!木下昌輝4回目、朝倉かすみ、伊予原新、月村了衛が2回目、荻堂顕は初候補に”. ほんのひきだし. 日本出版販売 (2024年12月12日). 2024年12月12日閲覧。
  2. 学会表彰 受賞者:伊与原 新氏(小説家・推理作家)”. 日本地質学会. 2024年10月14日閲覧。
  3. 令和4年度 卒業記念講演 – 大阪教育大学附属天王寺中学校”. f.osaka-kyoiku.ac.jp. 2025年1月15日閲覧。
  4. 1 2 3 神戸大NEWS NET 2010年11月前半のニュース
  5. 小説すばる』2017年6月号. 集英社. pp. 155.
  6. http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/gazo.cgi?no=115933
  7. 【とうほく名作散歩】小説 青ノ果て-花巻農芸高校地学部の夏-(岩手県花巻市)「イーハトーブ」探す旅/著者インタビュー『読売新聞東京版夕刊2023年2月21日3面
  8. 東京六甲クラブ ◆2011年10月月、特別火曜会開催のご案内◆|ニュース
  9. インタビュー 作家 伊与原新さん|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー
  10. 2009年 第55回 江戸川乱歩賞|日本推理作家協会
  11. 2010年 第56回 江戸川乱歩賞|日本推理作家協会
  12. 『お台場アイランドベイビー』伊与原 新(いよはら しん)”. 『お台場アイランドベイビー』伊与原 新(いよはら しん). KADOKAWA. 2010年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月21日閲覧。
  13. 地球物理学者から直木賞作家へ 人気に火をつけた書店員の“涙の理由” 作家・伊与原新”. AERA DIGITAL(アエラデジタル) (2026年4月25日). 2026年5月5日閲覧。
  14. 第38回 新田次郎文学賞決定発表”. 新潮社. 2025年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月21日閲覧。
  15. 【第3回未来屋小説大賞】伊与原新さん『月まで三キロ』が受賞 全国の「未来屋書店」「アシーネ」でフェアも”. 本のページ (2019年12月21日). 2025年1月15日閲覧。
  16. 新潮社『月まで三キロ』特設サイト:【受賞】2025年7月12日閲覧
  17. 【速報】第164回直木三十五賞候補作が発表されました。”. 本の話. 文藝春秋 (2020年12月18日). 2025年1月15日閲覧。
  18. 第34回「三島由紀夫賞」「山本周五郎賞」候補作品発表”. 新潮社. 2025年1月15日閲覧。
  19. 2021年 第18回本屋大賞”. 本屋大賞. 2025年1月15日閲覧。
  20. 1 2 “窪田正孝がNHKドラマ「宙わたる教室」で主演、定時制高校の謎めいた理科教師に”. 映画ナタリー. ナターシャ. 2024年6月17日. 2024年10月29日閲覧.
  21. 第172回直木賞に伊与原新さんの「藍を継ぐ海」”. 読売新聞 (2025年1月15日). 2025年1月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月21日閲覧。
  22. 月村了衛『虚の伽藍』が第12回高校生直木賞を受賞しました!”. PR TIMES (2025年5月20日). 2025年5月21日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]