交響曲第40番 (モーツァルト)

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交響曲第40番 ト短調 K. 550



井上京(指揮)、管弦楽団紬による演奏

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交響曲第40番ト短調 K. 550は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲した交響曲である。

概要[編集]

モーツァルトの全楽曲の中、最も有名なものの1つである。モーツァルトの交響曲のうち短調のものはこの作品を含めてわずか2曲しかなく[1]、その両方がト短調であるため、こちらを「大ト短調」、もう一方の交響曲第25番を「小ト短調」と呼ぶことがある。第40番はトランペットとティンパニが用いられていないほか、第25番とは全体の構成、調性の選択、移行の仕方など、かなり多くの点で類似が認められる。

1788年7月25日ウィーンで完成された。同年に作曲された交響曲第39番6月26日)、交響曲第41番8月10日)とともに「3大交響曲」と呼ばれる。3曲とも作曲の目的や初演の正確な日時は不明であるが、モーツァルトは、この交響曲第40番を除き(後述)、これらの曲の演奏を聴かずに世を去ったと推測されている。

初演[編集]

この曲の初演に関する記録は残されていないため、かつての人気作曲家が演奏のあてのない曲を書いたと、悲劇性を強調する文脈で語られることもあったが、現在ではモーツァルトの生前には演奏されていたと推測されている。初稿のほかに、2本のクラリネットを含んだ木管のパートを追加した改訂版が残されているためである。モーツァルトが実際に演奏する目的なしに曲を改訂するとは考えにくい。

また、第2楽章の一部に差し替え用の楽譜が残されている[2]。この楽譜は1789年2月以前に書かれたことが分かっており、1788年の演奏会のために作られたと考えられる。

1789年のベルリン旅行と1790年フランクフルト旅行では、モーツァルトが自分の交響曲の楽譜を携えていったことは確かである。

「1791年4月16日17日、ウィーンの音楽家協会の演奏会でモーツァルト氏の新しい大交響曲がアントニオ・サリエリの指揮で演奏された」という史料が残っている。この大交響曲とは本作のことを指すものであろうと推測されている。

楽器編成[編集]

フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2(変ロ管とト管、変ホ管)、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バス(チェロコントラバス

初稿と改訂稿があり、後者にはクラリネット2本が追加されている。どちらで演奏するかは指揮者の裁量によるが、現在のところ、クラリネット入りの改訂稿で演奏されることのほうが多い。

ティンパニトランペットを欠く。

曲の構成[編集]

  • 第1楽章 モルト・アレグロ
    ト短調、2分の2拍子、ソナタ形式
    ヴィオラの8分音符の和音の刻みに乗って次の第1主題で始まる。
    
\relative c'' {
\key g \minor
\time 2/2
r2 r4 es8( d) |
d4 es8( d) d4 es8( d)|
d4( bes') r bes8( a)|
g4 g8( f) es4 es8( d)|
c4 c
}


  • 第2楽章 アンダンテ
    変ホ長調、8分の6拍子、ソナタ形式。
    Mozart-s40-part II-FirstTheme.JPG
    8分音符の同音6連という朴訥な第1主題がヴィオラから第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンへと重なりながら出る。
  • 第3楽章 メヌエット (アレグレット) - トリオ
    ト短調 - ト長調、4分の3拍子、複合三部形式
    Mozart-s40-part III-FirstTheme.JPG
    主旋律が一般的な8小節単位の組み合わせではなく、各所で3小節単位となったり2小節単位の寸足らずになったりするため、変拍子的な印象を与える。ト長調のトリオはホルンの響きが象徴的な音楽。
  • 第4楽章 フィナーレ:アレグロ・アッサイ
    ト短調、2分の2拍子、ソナタ形式。
    MozartSymph40Mvt4Opening.png
    駆け上がる分散和音の前半と強奏の後半とでできた激しい第1主題で始まる。激しい経過部を経たのち定石通り平行調の変ロ長調で静かで優しい第2主題が出る。
    
\relative c'' {
 \key g \minor
 \time 2/2
 \partial 4 bes\f( |
 d4) f-. a-. bes-. |
 des2( c4) e,-. |
 as4-. r b,-. r |
 r2 r4 r8 \times 2/3 { b16( c d } |
 es!4-.) r fis,-. r |
 bes!4-. r r2 |
 cis,4-. r r2 |
 f!4-. r gis,-. r |
}
    展開部では第1主題の前半の動機が主に展開される。


その他[編集]

参考文献[編集]

  • 『作曲家別名曲解説ライブラリー14 モーツァルトI』音楽之友社、1993年
  • 海老澤敏ほか『モーツァルト事典』東京書籍、1991年
  • H.C.ロビンズ・ランドン『モーツァルト最後の年』海老澤敏訳、中央公論社、2001年

脚注[編集]

  1. ^ 他に1765年の作とされ、1983年デンマークオーデンセで再発見された交響曲イ短調 K.16a『オーデンセ』があるが、こちらは偽作説が有力となっている。また、モーツァルトは宗教劇『救われたベトゥーリア』の序曲を交響曲に編曲しているが、こちらはニ短調である。
  2. ^ ベーレンライター社の新全集版では付録となっている。1997年にクリフ・アイゼンがこの断片をモーツァルト自身による(クラリネット追加と別の)改訂案とする研究を発表。ブライトコプフ&ヘルテル社が注目し、2014年にヘンリク・ヴィーゼ校訂で新版を出した。「クラリネット無しの版」を自筆断片や筆写パート譜に基づき修正した第3のヴァージョンとなる

外部リンク[編集]