交響曲第2番 (ブラームス)

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交響曲第2番 (ブラームス)



Musopenより

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ヨハネス・ブラームス交響曲第2番ニ長調作品73(原語(ドイツ語)表題:Symphonie Nr. 2, D-Dur op.73)は、1877年に作曲された。緊密な構築性や劇的な性格が前面に打ち出された第1交響曲に対して、これとは対照的に伸びやかで快活な雰囲気を示す。第1交響曲という難産を果たしたブラームスの、当時のリラックスした気分が反映されているとも考えられている。同時に、よどみなく流れる曲想のように見えながら、構成的にも統一が見られ、音楽の表情は単純でない。第1楽章の牧歌的な響きから、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」にたとえられ、「ブラームスの『田園』交響曲」と呼ばれることもある。

作曲の経緯など[編集]

ブラームスが交響曲第2番を作曲したペルチャッハ

1877年6月、ブラームスは南オーストリアのケルンテン地方、ヴェルター湖畔にあるペルチャッハに避暑のため滞在、第2交響曲に着手し、9月にはほぼ完成した。10月にバーデン=バーデン近郊のリヒテンタールに移り、そこで全曲を書き上げている。4ヶ月間の作曲期間は、第1交響曲の推敲を重ねて20年あまりを要したのと対照的だが、第1交響曲の作曲中にも準備が進められていたという説もある。

ブラームスは、ペルチャッハから批評家エドゥアルト・ハンスリックに宛てた手紙に「ヴェルター湖畔の地にはメロディがたくさん飛び交っているので、それを踏みつぶしてしまわないよう、とあなたはいわれることでしょう。」と書き送っている。その後ブラームスは2年間続けてペルチャッハで夏を過ごし、この地でヴァイオリン協奏曲ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」などが生み出された。ブラームスの親友のひとりである外科医のテオドール・ビルロートは、第2交響曲に接して「ペルチャッハはどんなに美しいところなのだろう。」と語ったとされる。

初演[編集]

1877年12月30日、ハンス・リヒター指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演された。この初演は大成功で、第3楽章がアンコールされた。翌年9月にブラームスは故郷のハンブルクに招かれ、自身の指揮によって再演を果たしている。

楽器編成[編集]

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバティンパニ一対、弦五部

ブラームスの他の交響曲で使われているコントラファゴットが使用されず、第2番だけにチューバが使われているのが特徴的である。

演奏時間[編集]

約45分(第一楽章の繰り返しを含む)。

楽曲構成[編集]

第1楽章 Allegro non troppo[編集]

ニ長調、3/4拍子。ソナタ形式(提示部反復指定あり)。冒頭に低弦が奏するD-C♯-D(ニ-嬰ハ-ニ)の音型が全曲を統一する基本動機となっている。ホルンが牧歌的な第1主題を出し、木管がそれに応える。ヴァイオリンが基本動機に基づく明るい旋律を歌う経過句ののち、チェロが落ち着いた感じのやや愁いを帯びた第2主題を奏する。ここではヴィオラがチェロより低い音程で旋律に参加しているのがブラームスらしい。コデッタはイ長調で歯切れのいいもので、さらに第2主題が続いて提示部を閉める。提示部には反復指定があるが、あまり実行されない。展開部では、主として第1主題を扱い、経過句や基本動機も加わる。第1主題に基づくトロンボーンの威嚇的な響きが次第に高まってクライマックスを築く。緊張が緩んだところで再現部となる。コーダでは、独奏ホルンや弦楽の幻想的な響きが聴かれ、木管が基本動機に基づくあどけない表情の旋律を示し、次第に弱くなって結ばれる。「沈みゆく太陽が崇高でしかも真剣な光を投げかける楽しい風景」(クレッチマー)と表現されることもある。

第2楽章 Adagio non troppo - L'istesso tempo,ma grazioso[編集]

ロ長調、4/4拍子。自由なソナタ形式。チェロがロ長調ながら物憂い表情の第1主題を奏し、ファゴットが対位法的に絡む。経過部ではホルンの孤独な響きが聴かれ、木管が引き継ぐ。さらに第2ヴァイオリンの経過主題が続く。第2主題は嬰ヘ長調、12/8拍子となり、木管が切分音を用いた浮遊感のある旋律を吹く。弦が基本動機を含むコデッタ主題を奏すると興奮して悲劇的に高まる。そのまま経過的な短い展開部に入る。ここでは転調を重ねながら第1主題とコデッタ主題を中心に扱う。第1主題が戻ると再現部。第1主題が変奏され、ヴァイオリンが詠嘆的に歌う、その間をヴィオラ・チェロと木管が上行と下行を掛け合う美しいエピソードとなる。ホルンの経過句が続き、さらにヴァイオリンの経過主題で劇的に高まる。第2主題の再現は省略され、すぐにコデッタ主題が示され、そのままコーダに入り、最後は第1主題の断片が木管、ヴァイオリンが受け継いでティンパニが残り、静かに結ばれる。

第3楽章 Allegretto grazioso (Quasi andantino) - Presto ma non assai - Tempo I[編集]

ト長調、3/4拍子。ABABAの形式で間奏曲とスケルツォが合体したような構成を取っている。Aはチェロのピチカートに乗ってオーボエが吹く愛らしい主題。基本動機の反行形である。Bは2/4拍子でテンポが速くなるが、主題自体はAの変奏で弦がせかせかと奏する。二つめのBは3/8拍子に変えられている。

第4楽章 Allegro con spirito[編集]

ニ長調、2/2拍子。ソナタ形式。基本動機に基づく第1主題が弦の弱音で示され、木管も加わるが途切れそうになる。直後に全管弦楽の爆発的な歓呼で確保される。律動的で喜ばしい経過ののち、ヴァイオリンとヴィオラが穏やかだが情熱を秘めた第2主題を歌う。この主題も基本動機によっている。展開部に入ると賑々しくなるが、やがて収まって第1主題が弱音で再現する。コーダでは、第2主題の動機が金管で繰り返されて高揚し、歓呼に次ぐ歓呼で全曲が結ばれる。

外部リンク[編集]