交響曲第1番 (モーツァルト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

交響曲第1番変ホ長調K. 16は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト1764年に作曲した最初の交響曲である。

概要[編集]

この曲が作曲された当時、モーツァルトは僅か8歳であった。既に演奏活動においては神童として名を馳せていたモーツァルトだったが、作曲活動はまだ本格的には始めていなかった。

演奏旅行のために一家でロンドンに滞在しているときに作曲されたものといわれている。この作品にはさまざまな作曲家の影響が見られており、父のレオポルト・モーツァルトのほか、J.S.バッハの息子達、とりわけ当時のロンドンを代表するシンフォニスト、J.C.バッハの影響が大きい。翌1765年2月21日ヘイマーケットの小劇場で行われた演奏会で初演されたといわれる。

交響曲第1番は、全部で41番まであるモーツァルトの交響曲の中では第1曲目に当たる。このため、まだ大作曲家の初期の習作的な作品としての性格が強い。父レオポルトは後に、この作品には作曲学ではあまり好まれない、平行五度と呼ばれる技法が3箇所に見られると述べている。このことからも、未熟な作品であることが伺える。

自筆譜はヤギェウォ大学のヤギェウォ図書館に所蔵されている。

編成[編集]

オーボエ 2、ホルン 2
第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラチェロ
ヴィオローネファゴットチェンバロ
  • これらは、新モーツァルト全集の見解によるもの。しかしながら、伝承された楽譜に記された編成は、オーボエ 2、ホルン 2、第1ヴァイオリン1、第2ヴァイオリン1、ヴィオラ1、ヴィオローネ1の8人編成である。チェロを欠く編成は珍しくなかった。
    • 自筆譜をよく読むと、ヴィオローネのパートは第一楽章と第二楽章には現行の音部記号と同じ「コロン」が付されているが、第三楽章は付されていない。これは第一と第二楽章はオクターブ下げ、第三楽章は実音で読むという指定である。このことからモーツァルトはGヴィオローネを想定して作曲していたことがわかる。この楽器は、ハイドンやモーツァルトの時代に幅広く用いられた。

演奏時間[編集]

約12分(提示部の繰り返しを含む、各6分、4分、2分の割合)

曲の構成[編集]

3つの楽章からなり、イタリア式序曲風の急 - 緩 - 急の楽章配置をとる。

  • 第1楽章:Molto allegro
  • 第2楽章:Andante
  • 第3楽章:Presto
第1楽章冒頭

3楽章構成の交響曲は、モーツァルトの初期の交響曲における典型的な形式である。4楽章構成になるのはもっと後のことである。

第1楽章は変ホ長調、4分の4拍子のソナタ形式によるアレグロだが、展開部はやや小規模である。

第2楽章はハ短調、4分の2拍子の緩徐楽章である。ほとんど全体に渡って16分音符三連符が伴奏として奏される。中間部には、E♭-F-A♭-Gという音形が登場するが、これは彼のその後の作品のいくつかに登場し、特に交響曲第41番終楽章で有名となったため『ジュピター主題』と呼ばれるが、これはこの音形が初めて登場した例となる。

第3楽章は変ホ長調、8分の3拍子の急速で活発なフィナーレである。静かな音と大きな音、ヴァイオリンのみで演奏されるフレーズとトゥッティ、といった対比が見られる。

外部リンク[編集]