井笠鉄道記念館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
井笠鉄道記念館
井笠鉄道記念館の位置(岡山県内)
井笠鉄道記念館
井笠鉄道記念館の位置
施設情報
専門分野 鉄道
収蔵作品数 約200点
来館者数 年間約300人
開館 1981年
所在地 714-0007
岡山県笠岡市山口1457-8
位置 北緯34度34分8.7秒 東経133度31分33.2秒 / 北緯34.569083度 東経133.525889度 / 34.569083; 133.525889 (井笠鉄道記念館)座標: 北緯34度34分8.7秒 東経133度31分33.2秒 / 北緯34.569083度 東経133.525889度 / 34.569083; 133.525889 (井笠鉄道記念館)
プロジェクト:GLAM
テンプレートを表示

井笠鉄道記念館(いかさてつどうきねんかん)とは、岡山県笠岡市山口1457-8にある鉄道保存展示施設。元は井笠鉄道本線新山駅(にいやまえき)であった。

経緯[編集]

1号機関車
ホハ1
ホハ1の内部
駅舎
駅舎

井笠鉄道の鉄道線のうち、最後まで残った本線も1971年3月31日を限りに運行を取り止めたが、井笠鉄道は数ある軽便鉄道の中でも遅くまで残ったため、車両が多く保存されていた。井笠鉄道の前身である井原笠岡軽便鉄道が創立されてから70周年に当たる1981年を期し、井笠鉄道は旧新山駅舎を流用した「井笠鉄道記念館」を設置、残っている車両も保存することとなった。

廃止後30年以上経過する現在でも保存状態は極めて良好である。廃線当時の新山駅長田中春夫が館長となり、家族とともに管理していた。2002年には記念館が産業考古学会推薦産業遺産に選定・推薦され[1][2]、また2009年には田中館長も産業考古学会の保存功労賞に選ばれた。

しかし2012年11月、井笠鉄道がバス事業から撤退し事業清算手続に入ったことで同記念館の所有権は井笠鉄道から破産管財人に移り、その管理下に置かれることになった。記念館は処分対象資産となり、存続の危機に瀕した。地元からは存続を望む声が強まり[3]2013年7月に至って地元の新山地区自治会が記念館の管理を引き受ける意思を示し、笠岡市に建物などを取得するよう求める要望書を提出した。市は産業遺産としての資料価値が認められ、地域振興に寄与するとして[4]、2013年8月、記念館の敷地・建物・展示資料の全てを笠岡市が買い取ることで破産管財人と合意し[5]、約180万円で購入して傷みの激しい壁や扉・内装の一部を修繕し、トイレも一新した上で、2014年3月30日に笠岡市井笠鉄道記念館としてリニューアルオープンした[6]。リニューアル後の記念館は笠岡市教育委員会が管理し、運営は笠岡市と新山地区自治会の共同運営となっている。

概要[編集]

  • 敷地 528平方メートル
  • 建物(旧駅舎) 木造平屋36平方メートル
  • 所蔵資料 約200点

木造の旧駅舎は建築当時のまま保たれているが、建物前(東側)を通る岡山県道48号笠岡美星線を拡幅した際、建物全体をやや西へ移動させた。駅舎内にはタブレット閉塞機、往時の写真、切符、沿線観光を織り込んだ路線図、入挟器、レール断面などが展示されている。

  • 笠岡市移管後、入館者には井笠鉄道の歴史と記念館・展示物を解説したパンフレットを配布している。
  • 記念スタンプも設置されている。

駅舎北側には、旧車両が3両静態保存されている。

※当記念館以外の場所に保存されている井笠鉄道の車両については、井笠鉄道を参照。

利用案内[編集]

  • 開館時間 午前9時から午後5時
  • 休館日 月曜日(月曜日が祝日のときはその翌日)・年末年始(12月29日から1月3日)
  • 入館料 無料

交通アクセス[編集]

バス[編集]

  • JR山陽本線笠岡駅方面から
  • 井原鉄道井原線 矢掛駅小田駅方面から
    • 井笠バスカンパニーの矢掛(小林)発小田経由笠岡駅行きに乗り「新山」下車。徒歩約5分。
    • 小田駅ののりばは駅前の国道486号沿い「小田東」バス停となる。
    • なお、バスは県道よりやや東を通る旧道を、乗合タクシーは記念館前の県道を走るので停留所の場所が異なる。

乗合タクシー[編集]

  • JR山陽本線笠岡駅方面から
    • 井笠バスカンパニーの予約制乗合タクシー笠岡駅発尾坂上行(月曜日・金曜日のみ運行(祝日は運休))に乗り「JA倉敷かさや北前」下車すぐ。
    • なお、乗合タクシーは記念館前の県道を、バスは県道よりやや東を通る旧道を走るので停留所の場所が異なる。

自家用車[編集]

参考文献[編集]

  • 『軽便鉄道』(松本典久著、保育社、1982年)
  • 『消えた鉄道を歩く』(堀淳一著、講談社、1986年)
  • 『鉄道廃線跡を歩くII』(宮脇俊三編著、日本交通公社出版事業局、1996年)

脚注[編集]

  1. ^ 学会推薦産業遺産一覧(産業考古学会)
  2. ^ “井笠鉄道記念館(笠岡)を遺産指定 産業考古学会 歴史と技術を伝える”. 山陽新聞(朝刊) (山陽新聞社): p. 26. (2002年5月15日) 
  3. ^ 軽便鉄道のふるさと廃館の危機 「井笠鉄道記念館」地元では保存の声高まる 産経新聞 2012年11月15日
  4. ^ 井笠鉄道記念館保存へ 笠岡市、取得に前向き 山陽新聞Webニュース 2013年7月12日
  5. ^ 井笠鉄道記念館を市購入へ中国新聞 2013年8月20日
  6. ^ 井笠鉄道記念館あす再オープン 貴重な郷土遺産 住民らが運営 岡山 msn産経ニュース 2014年3月29日

外部リンク[編集]