五十嵐カノア

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五十嵐 カノア
Kanoa Igarashi
人物
生誕   (1997-10-01) 1997年10月1日(26歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国カリフォルニア州ハンティントンビーチ
身長 180cm
体重 78kg
経歴
活動期間 Since 2012(8)
ベストイヤー 2019 - Ranked #6 WSL CT World Tour
詳細
スタンス Regular
獲得メダル
日本の旗 日本
男子 サーフィン
オリンピック
2020 東京 男子

五十嵐 カノア(いがらし カノア、Kanoa Igarashi、1997年10月1日[1] - )は、男子プロサーファー[2]木下グループ所属。アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。ISAワールドサーフィンゲームズ2022優勝。2020年東京オリンピックサーフィン競技日本代表[3][4]銀メダリスト[5][6][7]。2023年9月からハーバード大の経営大学院であるハーバード・ビジネス・スクールに在学中[8]

人物・経歴[編集]

1997年日本人の両親のもとにアメリカ合衆国カリフォルニア州で生まれ、両親と弟の4人家族で育つ。カリフォルニア州ハンティントンビーチでサーファーである父、五十嵐勉のサーフィン姿を毎日眺めて育つが、3歳の時に見ているだけでは満足できなくなり自らも始めると、すぐに才能を開花させサーフィン界の注目を集めるようになった[1]。「カノア」のは、ハワイ語で「自由」という意味に由来する[9]。日本語、英語、ポルトガル語など5カ国語が堪能[10]

6歳でローカルコンテスト「Kids For Clean Waves」でデビューするといきなり優勝[11]すると、当時のアマチュアUSAコーチ(ジョイ・ブラン氏)に見出され、最年少9歳でUSAチームに入る[12]。2009年、11歳の時には、NSSA(National Scholastic Surfing Association、全米アマチュアサーフィン連盟)主催の大会で、トム・カレンと並ぶ1シーズン中の最多勝タイとなる30勝という驚異的な記録を打ち立て全米タイトルを獲得[1]。2010年も同じく全米タイトルを獲得[12]。2011年にメインスポンサーである『Quiksilver』と契約してNSSAからプロのASP(現WSL)に移行すると2012年、プロジュニアからスタートして早くも21歳以下のプロジュニア『DNAエナジープロ』で13歳にして初優勝[12]。ASPの他にも『Rip Curl GromSearch』制覇[12]。さらには『USA Championship U-18』を史上最年少の14歳で優勝する[1]と、Surfing America Championshipsの『Governor’s Cup』を制し、『King of Groms Championships』で2位に入った。チャンピオンシップツアーの予選リーグであるクオリファイリングシリーズには、プロジュニアと併行して2013年から参戦[12]。2014年にハンティントンビーチで開催された『Shoe City Pro』で初優勝[12]。着実にその実力を伸ばすと、2015年アメリカのジュニアツアーで年間1位、クオリファイリングシリーズでもブラジルで開催された6,000『Mahalo Surf Eco Festival』での優勝を始め、好成績を重ねて年間7位の成績を収め、日本人として初めて、2016年のチャンピオンシップツアー参戦資格を獲得[1]。2016年に史上最年少、アジア人で初めて、プロサーフィンの世界最高峰、WSL チャンピオンシップツアー(CT)に参戦すると最終戦のビラボンパイプマスターズで準優勝、年間20位[1]。翌2017年には、チャンピオンシップツアー以外で、最も大きなランクの試合となるQS10,000の地元ハンティントンビーチで開催されたWSL Vans US Openで初優勝する等、実力を発揮してチャンピオンシップツアーは総合ランキング17位。2018年シーズンから、WSLの登録籍を日本に変更[12]。QS10,000『Vans US Open of Surfing』を2連覇すると、9月に開催された「2018 ISAワールドサーフィンゲームス」には日本代表メンバーとして出場し、個人で銀・団体で金メダルを獲得し、大会史上初となる日本のメダル獲得に大きく貢献した[12]。チャンピオンシップツアーは総合10位[12]。2019年のチャンピオンシップツアー、バリでの第3戦「Corona Bali Protected」で自身初、そしてアジア人初の優勝を飾る[1]。ポルトガルでのCT第10戦の結果により、東京オリンピックの出場権を獲得。チャンピオンシップツアーは総合6位と成績を伸ばし続けた[12]。2021年には、サーフィンが初めて正式種目となった東京オリンピックの男子サーフィンで準決勝で世界ランク1位のガブリエル・メディナを逆転し決勝に進出し、銀メダルを獲得する[13]。2018年、2021年の2位が過去最高だったISA World Surfing Games英語版を2022年は1回戦から決勝までの全8ヒートで1位の完全優勝で制し、自身悲願のワールドチャンピオンに生まれ育ったハンティントンビーチで初めて輝いた[14]。五十嵐の活躍により、村上舜、上山キアヌ久里朱と共に3人が出場した日本男子は国別団体でも優勝[14]。CTは総合5位で終える。

2023年はCTで一度も決勝に残れず、総合でも14位タイ。

2024年2月21日、オアフ島・ノースショアのサンセットビーチでのCT第2戦『Hurley Pro Sunset Beach』にて2年前の同舞台以来、久しぶりのファイナル進出も前回と同じく準優勝[15]。2月24日、今夏のパリ五輪最終予選を兼ねたサーフィンワールドゲームズで男子1回戦4組で計11・84点の1位となり、2回戦進出を決めた[16]。この出場により昨年のチャンピオンシップツアーで上位10人(各国上限2人)に入り、パリ五輪代表に条件付きで内定済みだったが、正式に2大会連続の五輪代表にも決まる[16]

「GQ MEN OF THE YEAR」に2019年、2021年の2度選出[17]

2020年の「フォーブス30アンダー30」(日本版)の一人に選出[18]

2023年11月、米ピープル誌がファン投票などで選出する「スポーツ界の最もセクシーな男21人」に選出[19]

戦績[編集]

  • 2009年 - NSSA年間最多優勝回数 30勝達成
  • 2010年 - NSSA全米ナショナルチャンピオン
  • 2012年 - USA Championship U-18 最年少優勝、Surfing America ChampionshipsのGovernor’s Cup 優勝、King of Groms Championships 準優勝
  • 2013年 - Burton Toyota Pro Junior(Jr. Tour) 準優勝
  • 2014年 - Shoe City Pro(QS) 優勝
  • 2015年 - Hurley Australian Open(Jr. Tour) 優勝、Los Cabos Open of Surf(Jr. Tour) 優勝、Junior Men's Vans US Open of Surfing(Jr. Tour) 準優勝、Vans Pro(QS) 優勝、Mahalo Surf Eco Festival(QS) 優勝
  • 2016年 - WSL CT Billabong Pipe Masters 準優勝、Pantin Classic Galicia Pro(QS) 優勝、Hang Loose Pro Contest 30 Anos(QS) 優勝
  • 2017年 - Shoe City Pro(QS) 優勝、Vans US Open of Surfing(QS) 優勝
  • 2018年 - Pro Santa Cruz 2018 pres. by Oakley(QS) 優勝、Vans US Open of Surfing(QS) 優勝、WSL Qualifying Series 3000 - Pro Santa Cruz 2018 優勝
  • 2019年 - WSL CT Corona Bali Protected 優勝
  • 2021年 - 東京2020オリンピック競技大会 銀メダル
  • 2022年 - 2022 ISA World Surfing Games英語版 優勝、WSL CT Hurley Pro Sunset Beach 準優勝
  • 2024年 - WSL CT Hurley Pro Sunset Beach 準優勝
東京2020オリンピック競技大会

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 五十嵐 カノア | IMG | スポーツ、イベント、メディア、ファッション分野のグローバル・リーディングカンパニー”. IMG | スポーツ、イベント、メディア、ファッション分野のグローバル・リーディングカンパニー | クライアントやパートナーと共に、スポーツ、イベント、メディア、ファッションの分野で比類ない体験を日々世界に送り出しています。 様々な分野のエキスパートが結集したEndeavorネットワークの強みを生かし、IMGはエンターテインメントに触れる人々に常に新しい価値を提供し続けています。 (2018年3月23日). 2024年1月24日閲覧。
  2. ^ “五十嵐カノアに五輪日本代表の道 国籍登録変更を承認/サーフィン”. SANSPO.COM. (2018年4月27日). https://www.sanspo.com/sports/news/20180427/spo18042708200004-n1.html 2019年5月26日閲覧。 
  3. ^ 東京五輪サーフィン「予備日」にも入場料サンケイスポーツ
  4. ^ 東京五輪を前に大坂なおみの国籍選択に注目 サーファーの五十嵐カノアは日本代表選ぶ
  5. ^ 【東京五輪】サーフィン男子・五十嵐カノアが銀メダル”. ORICON NEWS. oricon ME (2021年7月27日). 2021年7月27日閲覧。
  6. ^ サーフィン男子・五十嵐カノア 決勝で敗れ銀メダル 米拠点の文武両道23歳 日の丸ボードで母国愛胸に”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社 (2021年7月27日). 2021年7月27日閲覧。
  7. ^ 決勝進出の五十嵐カノアが銀メダル獲得!東京五輪サーフィン”. THE SURF NEWS「サーフニュース」 (2021年7月27日). 2021年12月1日閲覧。
  8. ^ 五十嵐カノア 最高峰の文武両道 ハーバード大大学院で経営学専攻「チャレンジがすごく好き」/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online (2024年1月27日). 2024年1月27日閲覧。
  9. ^ サーフヒーロー『五十嵐カノア』両親 家族や彼女との絆 “カノア百科””. WAVAL サーフィンと自然を愛する人のサーフメディア. 2021年7月29日閲覧。
  10. ^ サーフィン銀、五十嵐カノア「我慢できません」採点不満ブラジル人のSNS中傷に反論/デイリースポーツ online”. デイリースポーツ online. 2021年7月29日閲覧。
  11. ^ 五十嵐カノア(いがらし・かのあ)|プロフィール&基本情報|サーフィン”. Red Bull. 2024年1月24日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g h i j 五輪サーフィン銀メダリスト 五十嵐カノア プロフィール【2021年版】戦歴・スポンサー・両親・彼女ほか”. THE SURF NEWS「サーフニュース」 (2019年5月29日). 2024年1月24日閲覧。
  13. ^ サーフィン男子、五十嵐カノアは銀メダル…相手にボード折れるトラブルも”. 読売新聞オンライン (2021年7月27日). 2024年1月24日閲覧。
  14. ^ a b 五十嵐カノアが初の世界一 日本男子は国別優勝でパリ五輪追加出場枠獲得 サーフィンワールドゲームズ - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2024年1月24日閲覧。
  15. ^ 【速報】五十嵐カノアがCT第2戦で準優勝!”. THE SURF NEWS「サーフニュース」 (2024年2月22日). 2024年2月24日閲覧。
  16. ^ a b 【サーフィン】五十嵐カノアがパリ五輪代表に正式決定 東京五輪銀メダリスト WG1回戦を突破 - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2024年2月24日閲覧。
  17. ^ 五十嵐カノア、都筑有夢路が「GQ MEN OF THE YEAR 2021」受賞の喜びを語る”. THE SURF NEWS「サーフニュース」 (2021年11月24日). 2021年12月1日閲覧。
  18. ^ 世界を変える「30歳未満の30人」フォーブス
  19. ^ 最もセクシーなスポーツ選手トップ21に大谷翔平、五十嵐カノア、メッシ、ネイマールら選出”. スポーツ報知 (2023年11月9日). 2024年1月27日閲覧。

外部リンク[編集]