亀山市立図書館

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Japanese Map symbol (Library) w.svg 亀山市立図書館
Kameyama City Library exterior ac (2).jpg
施設情報
正式名称 亀山市立図書館
前身 亀山町立図書館
事業主体 亀山市
管理運営 亀山市教育委員会
延床面積 958.54[1] m2
開館 1928年(昭和3年)3月28日
所在地 519-0151
三重県亀山市若山町7番20号
位置 北緯34度51分33.5秒 東経136度26分47.9秒 / 北緯34.859306度 東経136.446639度 / 34.859306; 136.446639
ISIL JP-1002025
統計・組織情報
蔵書数 162,724冊*(2016年度[1]時点)
貸出数 235,224冊*(2014年度)
来館者数 103,897人*(2016年度[1]
貸出者数 57,541人*(2016年度[1]
年運営費 29,743千円(2015年度予算[4]
条例 亀山市立図書館条例(平成17年1月11日亀山市条例第68号)
館長 井上香代子(2018年11月25日現在[2]
職員数 10人(2015年現在[3]
公式サイト 亀山市立図書館
備考 *統計数値に関図書室を含む。
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館
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亀山市立図書館(かめやましりつとしょかん)は、三重県亀山市若山町にある公立図書館。関町泉ケ丘に関図書室を置く[5]

1928年(昭和3年)に亀山町立図書館として開館し、文教都市・亀山を支えてきた[6]。市民ボランティアと共同して1986年(昭和61年)より[7]電話で創作童話を流す「テレホン童話」を実施している[8]

歴史[編集]

亀山町立図書館(1928-1954)[編集]

鈴鹿峠を控えた亀山は、東海道宿場町として、また伊勢亀山藩城下町として栄えた街である[9]。亀山藩主は学問を重んじ、藩校「明倫舎」を設けたため、学問や芸術文化が花開き、近代には1904年(明治37年)に三重県女子師範学校(後の三重師範学校女子部)が設立されるなど文教都市としての性格も帯びていた[10]

1928年(昭和3年)3月28日、鈴鹿郡亀山町西丸に亀山町立図書館が開館した[11]。この図書館は亀山尋常高等小学校(現・亀山市立亀山西小学校)の一角[12]、亀山尋常高等小学校記念館に設置された[1]。1928年(昭和3年)には、三重県庁が「市町村立図書館設置奨励ニ関スル件」という訓令を発して図書館の設置を呼び掛けたこともあり、同年だけで亀山町立図書館を含め12館もの図書館が三重県内で開館している[13]。当時の亀山町立図書館は年中無休で開館していたため、閲覧者数は県内有数であり、1930年(昭和5年)の統計では蔵書数2,750冊、閲覧者数12,322人であった[11]

1937年(昭和12年)4月1日鉄筋コンクリート構造2階建ての新築館舎へ移転した[注 1]。同年には蔵書数が4,678冊に増加した一方で、閲覧者数は10,629人に減少している[11]。『三重県教育史』は職員数が極端に少ないのが原因ではないかと推察している[11]1942年(昭和17年)6月20日には三重県図書館協会主催の「図書館教育研究会」を亀山町立図書館で開催し、青年に向けた読書指導の在り方を研究した[15]。三重県図書館協会は1940年(昭和15年)5月に設立されたばかりで、当初は館長会としての側面が強かったものの、三重県で初めて図書館間のつながりを作った組織となった[16]

臨時の図書館となった多門櫓

第二次世界大戦中は、県内の多くの図書館が休館に追い込まれ、亀山町立図書館も活動が停滞した[17]1947年(昭和22年)5月、亀山城多門櫓で再開した[12]。図書館の建物は戦災を受けておらず、亀山簡易裁判所・亀山区検察庁に貸し出されたため、図書館は多門櫓に移ったのであった[12]。復興時の職員は2人だけだったが整備拡充を進め、1951年(昭和26年)には蔵書数9,484冊、図書館費370,236円で1日平均閲覧者数は141人と県内では四日市市立図書館に次ぐ2位であった[18]。同年9月、亀山簡易裁判所・亀山区検察庁が新築移転したことにより、旧館へ復帰した[12]1952年(昭和27年)11月には三重県教育委員会から「教育功労団体」として表彰された[19]。その背後には、町民が結成した図書館援護会が図書の寄贈、読書会の開催、図書館での奉仕活動を支援していたことがあった[19]1953年(昭和28年)10月、蔵書数が1万冊を突破し、記念講演会を開催した[12]

亀山市立図書館(1954-)[編集]

1954年(昭和29年)10月、亀山町が4村と合併し亀山市となったことに伴い、亀山市立図書館に改称した[12]1965年(昭和40年)度の蔵書数は19,833冊で鈴鹿市立図書館よりも多かったが、閲覧者数は8,513人と尾鷲市立図書館の次に少なかった[20]

1979年(昭和54年)7月17日から新館の建設に着手し、総工費143,931千円をかけた工事は1980年(昭和55年)2月25日に竣工し、同年4月1日に新館へ移転した[21]。同年7月には移動図書館「宝くじ号」を導入、市内8か所の巡回を開始した[6]1992年(平成4年)4月、新移動図書館「わかば号」を購入、同年11月に本館と移動図書館にコンピュータを導入、同時に貸出冊数を従来の2冊から現行の図書7冊・雑誌2冊に変更した[12]。この頃には巡回先が21か所に増加し、蔵書数は6万5千冊になっていた[6]。移動図書館は2006年(平成18年)2月で廃止された[12]

図書館は老朽化が進行しており、2008年(平成20年)9月に空調設備を更新[12]2013年(平成25年)12月8日には館内の改修工事が完了し、再開館した[22]。この改修により、学習室の机に1台ずつ仕切りが設置された[22]

駅前移転計画(2016-)[編集]

2016年(平成28年)11月、具体的な議論が始まる前に、亀山駅前の再開発事業の一環で、図書館の移転計画が浮上した[23]。亀山市教育委員会は2017年(平成29年)7月に図書館整備基本構想を発表し、利用実績が伸びていることと現館が手狭であることを指摘、「学びの場からつながる場へ」を基本理念に据え、新図書館の規模を3,300 m2と見積もった[24]。この構想では新館の開館を2022年4月をめどとした[25]。同年12月17日には第1回の図書館市民ワークショップが開かれ、愛知工業大学教授の中井孝幸から解説を受けた後、市民らが新図書館に関する意見を出し合った[26]

利用案内[編集]

図書館は鉄筋コンクリート構造平屋建ての陸屋根で、敷地面積は2,968.06m2、延床面積は958.54m2である[28]

  • 開館時間:9時から19時まで(ただし土日祝日は17時まで)[29]
  • 休館日:火曜日(祝日の場合は翌日)、第4金曜日、特別整理期間、年末年始[29]
  • 貸出制限:亀山市に在住・通勤・通学する者
  • 貸出可能冊数:図書=7冊、雑誌=2冊
  • 貸出可能期間:15日間(延長は1回のみ可能)
  • 予約、リクエスト、団体貸出可能。

周辺[編集]

所在地は三重県亀山市若山町7番20号で[30]、亀山公園の中にある[31]。周辺は文教地区の様相を呈しているが、意図的にそうしたわけではなく、順次施設の整備が進められて結果的に文教地区のようになったものである[1]。図書館整備基本構想では現館の立地条件を「読書活動には良好な環境」としつつも、敷地に拡張の余地がないことなどから亀山駅前への新築移転を提起している[31]。なお2017年(平成29年)に教育委員会が実施したアンケート調査によると、利用者の約半数が図書館の現状に満足しており、不満・やや不満とした人は6.8%であった[32]

東海旅客鉄道西日本旅客鉄道(JR)関西本線紀勢本線亀山駅から徒歩約15分である[30][33]。駐車場は21台分ある[1]。2017年(平成29年)のアンケート調査によると、来館者の67.3%が自家用車を利用している[34]

  • 亀山市社会福祉センター[28]
  • 公益財団法人亀山市地域社会振興会 青少年研修センター[28]
  • 亀山市歴史博物館[28]

関図書室[編集]

関図書室(せきとしょしつ)は、亀山市関町泉ケ丘1011番地1の亀山関文化交流センター内にある[5]。床面積は126m2、2015年(平成27年)4月1日現在の蔵書数は15,614冊で[35]、2016年(平成28年)度の入館者数は6,409人、貸出者数は2,697人、貸出冊数は9,026冊であった[1]ISILはJP-1007253[36]。開館時間は9時から17時まで、休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)、第4金曜日、特別整理期間、年末年始である[29]。8月を除く毎月、子どもアニメ上映会とおはなし会を開催している[37]

関図書室の起源は、1959年(昭和34年)に鈴鹿郡関町が設置した関町公民館文庫である[1]。その後1979年(昭和54年)6月30日に竣工した[5]関町民会館(現・亀山関文化交流センター)の中に図書室を移転し[1]、亀山市に引き継いだ[38]。亀山市・関町合併協議会では「関町の図書室の分館化については、合併後速やかに調整する」とされた[38]が、2017年現在、条例上分館化されておらず、関図書室の名称も条例に基づく名称ではない[1]。しかしながら、亀山市立図書館が管理運営を行っている[1]

特色[編集]

亀山産の杉材を用いた書架

郷土資料の所蔵[編集]

郷土資料として伊勢亀山藩の藩校・明倫舎(後に明倫館に改称)の蔵書であった「明倫館文庫」、漢籍を中心とする「岡本文庫」、中等教育の教員を務めた清水次郎の残した図書類から成る「清水文庫」、亀山藩主に仕えた加藤家から寄贈された「加藤家文書」を所蔵していたが、1994年(平成6年)に亀山市博物館に移管している[39]。2016年(平成28年)現在も所有するものは、亀山出身の彫刻家中村晋也の著書『釈迦と十人の弟子たち』などの資料であり、専門のコーナーを設置している[30]

外国語図書の所蔵[編集]

2006年(平成18年)から2015年(平成27年)の過去10年の亀山市の人口に占める外国人の割合は4%前後であり、図書館では外国語図書を収集して相互理解の一助としようとしている[40]。2015年(平成27年)現在、所蔵する外国語図書は多い順に、英語(592冊)、ポルトガル語(234冊)、スペイン語(220冊)、中国語(146冊)、フランス語(90冊)、その他(43冊)となっている[41]。ただし利用状況は芳しくなく、最も貸し出しの多い英語でも292冊となっている[41]

テレホン童話[編集]

「亀山絵本と童話の会」と亀山市立図書館が共同で1986年(昭和61年)から実施している事業で[7]、専用番号に電話をかけると3分間の創作童話を聞くことができるというものである[8]。テレホン童話で物語を朗読するのは亀山絵本と童話の会の会員である[7]。童話は1か月に2話ずつ新作が提供され、1年分の作品が『くりの木』という小冊子に収録される[7]。電話で物語が聞けるサービスを図書館が実施しているのは日本全国でも珍しく、三重県では亀山市立図書館が唯一実施する[8]

創作童話の作品はほとんどが亀山絵本と童話の会の会員によるものである[7]が、毎年夏休みに図書館が創作童話を一般公募し、優秀作をテレホン童話で流している[8]。この取り組みは、市民の創作意欲を高める効果があり[8]、亀山絵本と童話の会は三重県立図書館主催の「童話と絵本のコンクール」で多くの入賞者を出している[7]2008年(平成20年)10月25日に行われた亀山市の事業仕分けでは、「ニーズが少なく不要」と判定された[42]が、2018年(平成30年)11月に第34回創作童話表彰式を開催しており[2]、事業は継続している[43]。なお創作童話の審査は亀山絵本と童話の会が行う[2]

亀山絵本と童話の会は、1982年(昭和57年)6月に絵本と童話が好きな母親らが集まって結成された[7]。テレホン童話以外にも絵本の制作や人形劇の上演などの活動を行っている[7]児童文学者北村けんじは、朝日新聞の取材に対し、「これだけしっかりした会は全国でもあまりない。」と同会の活動を評している[7]

脚注[編集]

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注釈
  1. ^ 『三重県教育史』による記述[14]。『図書館年報』によれば1938年(昭和13年)7月に亀山尋常高等小学校記念館が竣工し、これを図書館に充てたという[12]
出典
  1. ^ a b c d e f g h i j k l 亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館 編 2017, p. 2.
  2. ^ a b c 創作童話入選者を表彰 亀山市立図書館 心の温まる6作品”. 伊勢新聞 (2018年11月26日). 2018年11月29日閲覧。
  3. ^ 日本図書館協会図書館調査事業委員会 編 2016, p. 88.
  4. ^ 日本図書館協会図書館調査事業委員会 編 2016, p. 89.
  5. ^ a b c 亀山市立図書館 2015, p. 5.
  6. ^ a b c 清水 1996, p. 234.
  7. ^ a b c d e f g h i 「母の愛情込めて童話創作20年 亀山絵本と童話の会」朝日新聞2002年2月22日付朝刊、三重版22ページ
  8. ^ a b c d e 清水 1996, pp. 239.
  9. ^ 清水 1996, pp. 233-234.
  10. ^ 清水 1996, pp. 234-235.
  11. ^ a b c d 三重県総合教育センター 編 1981, p. 1015.
  12. ^ a b c d e f g h i j 亀山市立図書館 2015, p. 3.
  13. ^ 三重県総合教育センター 編 1981, p. 1008, 1011.
  14. ^ 三重県総合教育センター 編 1981, p. 1016.
  15. ^ 三重県総合教育センター 編 1981, p. 1016, 1020.
  16. ^ 三重県総合教育センター 編 1981, p. 1020.
  17. ^ 三重県総合教育センター 編 1982, p. 645, 653.
  18. ^ 三重県総合教育センター 編 1982, p. 653.
  19. ^ a b 三重県総合教育センター 編 1982, p. 654.
  20. ^ 三重県総合教育センター 編 1982, p. 1034.
  21. ^ 亀山市立図書館 2015, pp. 3-4.
  22. ^ a b おでかけかめやま (2014年12月11日). “2013リニューアル亀山市立図書館”. Walkerplus地域トピックス. KADOKAWA. 2018年1月2日閲覧。 “Internet Archiveによる2016年12月11日時点のアーカイブページ。”
  23. ^ 服部こうき (2016年11月16日). “【16.11.16】亀山駅前の再開発事業 図書館移転など決まっていないのにもう総合計画案に記述”. 日本共産党亀山市議団. 2018年12月13日閲覧。
  24. ^ 亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館 編 2017, p. 2, 4, 14.
  25. ^ 亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館 編 2017, p. 23.
  26. ^ 新図書館に市民の声を 亀山市教委がワークショップ”. 伊勢新聞 (2017年12月18日). 2018年12月13日閲覧。
  27. ^ 利用案内”. 亀山市立図書館. 2016年12月11日閲覧。
  28. ^ a b c d 亀山市立図書館 2015, p. 4.
  29. ^ a b c 亀山市立図書館 2015, p. 48.
  30. ^ a b c 県内の市町立図書館・図書室紹介/亀山市立図書館”. 三重県立図書館. 2016年12月11日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年12月11日閲覧。
  31. ^ a b 亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館 編 2017, p. 18.
  32. ^ 亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館 編 2017, p. 41.
  33. ^ 清水 1996, p. 233.
  34. ^ 亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館 編 2017, p. 37.
  35. ^ 亀山市立図書館 2015, p. 10, 23.
  36. ^ isil_public_20161003(J)v2”. 国立国会図書館 (2016年10月3日). 2016年12月11日閲覧。
  37. ^ 亀山市立図書館 2015, p. 47.
  38. ^ a b 各種事務事業の取扱い(社会教育事業)について”. 亀山市・関町合併協議会 (2003年). 2016年12月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月11日閲覧。
  39. ^ 清水 1996, pp. 234-239.
  40. ^ 亀山市立図書館 2015, p. 13.
  41. ^ a b 亀山市立図書館 2015, p. 34.
  42. ^ "36事業を「仕分け」 亀山市 3件「不要」と判断"朝日新聞2008年11月4日付朝刊、三重版23ページ
  43. ^ 企画総務部広報秘書室 編 2016, p. 6.

参考文献[編集]

  • 清水正明『三重県の図書館』三一書房〈県別図書館案内シリーズ〉、1996年4月3日、357頁。ISBN 4-380-96229-6
  • 『亀山市立図書館整備基本構想』亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館 編、亀山市教育委員会事務局生涯学習室・図書館、2017年7月14日、59頁。
  • 『広報かめやま 第265号』企画総務部広報秘書室 編、亀山市、2016年7月16日、12頁。
  • 『日本の図書館 統計と名簿2015』日本図書館協会図書館調査事業委員会 編、公益社団法人日本図書館協会、2016年2月12日、511頁。ISBN 978-4-8204-1516-9
  • 『三重県教育史 第二巻』三重県総合教育センター 編、三重学校生活協同組合、1981年3月30日、1286頁。全国書誌番号:82025909
  • 『三重県教育史 第三巻』三重県総合教育センター 編、三重県教育委員会、1982年3月30日、1107頁。全国書誌番号:84050499
  • 『平成27年度 図書館年報 数字が語る図書館の現在』亀山市立図書館、2015年7月1日、49頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]