乳児用液体ミルク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

乳児用液体ミルクとは、誕生から12か月までの乳児母乳の代わりとして飲むことができるように、栄養成分を調整されたミルクのことである。乳児用に調整されたミルクは、粉状のものと液体状のもの2つが存在するため、前者を「粉ミルク」、後者を「液体ミルク」と呼ぶのが一般的である。乳児用液体ミルクを単に乳児用ミルクと呼ぶこともある。

米国内で販売されている乳児用液体ミルク 左:48mL 中:200mL 右:使い捨て用ニップル

日本における乳児用液体ミルクの状況[編集]

乳児用液体ミルクは、欧米諸国では一般的に販売されているものの、日本国内においては、特別用途食品の許可を消費者庁から得た製品は現在も販売されていない。液体ミルクが国内販売されない大きな要因の一つとして、『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』において、乳児用粉ミルクである「調製粉乳」は定義されているが、液体状の乳児用ミルクに関しては定義されていなかったことが大きい。従って、乳児用液体ミルクは、事実上製造および販売することができなかった。しかし、2018年8月8日『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』に関して、厚生労働省が乳児用液体ミルクの規格基準を定めた改正省令を公布、施行した。これによって、国内メーカーにおいても液体ミルクの製造・販売が可能となった。

災害時における乳児用液体ミルク[編集]

乳児用液体ミルクは、容器内のミルクを乳幼児がそのまま飲むことができるため、災害時においても、衛生的な水や煮沸消毒を必要としないため、阪神・淡路大震災東日本大震災のような大規模災害が発生する度に、国内販売を求める市民活動が行われている。また、2016年に発生した熊本地震では、駐日フィンランド大使館から救援物資として配布された。しかし厚生労働省による規制(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)により乳児用液体ミルクは認められていなっかたため、阪神大震災から20年以上が経過した現在においても、乳児用液体ミルクの製造・販売はされていない。阪神・淡路大震災当時の朝日新聞は、乳児用液体ミルクに関して『厚生労働省は「省令は、成分や配合の割合を承認するためのものであり、液体タイプを禁じているわけではない」との見解を発表しているものの、事実上、液体タイプのミルクを生産したり輸入したりしても「乳児用ミルク」としては認められず、単なる乳飲料とされてしまう。』と掲載している[1]。 東日本大震災を受けて、2015年5月に日本小児科学会は関係省庁に対し、「災害時の液状ミルクと使い捨て哺乳瓶の確保」を要望している。[2]

乳児用液体ミルク販売に関する諸問題[編集]

乳児用液体ミルクが国内販売されない理由のひとつにコスト面の高さがある。液体ミルクは粉ミルクに比べ、製造原価だけで粉ミルクの2倍、流通コストなども加わると3倍くらいになるとの見方もある[1]。従って、販売市場が大手乳業メーカーの寡占状態である日本国内においては、利益率が下がる液体ミルクを販売しないのは企業としては当然のことである。故に、液体ミルクの製造は大手乳業メーカーの使命感にとよるところが大きい。

国内製造メーカーの動き[編集]

江崎グリコは平成30年11月19日、乳児用液体ミルクについて、2019年春の発売開始を目指す方針を明らかにした。製品化に成功しており、今後、販売に必要な承認や許可の申請を行う。育児負担の軽減だけでなく、災害時の救援物資としても注目を集めており、自治体などでの備蓄が進むとみられる[3]

脚注[編集]

関連項目[編集]