中国ラオス鉄道

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ヴィエンチャン・ボーテン線
2021-12-03 China-Laos-Eisenbahn.jpg
中国ラオス鉄道
概要
現況 開通
所在地 ラオス
運営
開業 2021年12月3日
所有者 老中鉄路有限公司
運営者 中国鉄路昆明局集団公司[1]
路線諸元
路線総延長 422.4 km (262.5 mi)
軌間 1,435 mm (4 ft 8 12 in)
運行速度 160 km/h (旅客)
120 km/h (貨物)
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ヴィエンチャン・ボーテン線
CONTg
タイ国鉄東北本線
ZOLL
タイラオス国境
HST
ターナレーン(ヴィエンチャン南まで約1 km)
KHSTa exSTR
ヴィエンチャン南(貨物駅)
STR exKBHFe
ヴィエンチャン (タイ東北本線)
BHF
ヴィエンチャン
HST
フォンソーン
HST
サカ
HST
フォンホン
HST
ヴァンヴィエン
HST
シエングン
HST
ルアンパバーン
HST
ムアンサイ
HST
ナテウイ(貨物駅)
BHF
ボーテン
ZOLL
ラオス中国国境
CONTf
中国国鉄玉磨線

中国ラオス鉄道ちゅうごくラオスてつどう英語: China-Laos Railwayラーオ語: ລົດໄຟ ລາວ ຈີນ中国語: 中老铁路/磨万铁路/ボーテン・ヴィエンチャン線)は、中国雲南省との国境に接するラオスボーテンから、メコン川を隔ててタイ国境に接するラオスの首都ヴィエンチャンまでを結ぶ鉄道である。ラオス中国鉄道ラオスちゅうごくてつどうとも訳される[2]。総距離422.4 kmで、中国側の玉磨線と接続予定。高速鉄道と呼ばれるが時速120 km/h(貨物)、160 km/h(旅客)で運行されている。2021年12月2日に完成し[3]、翌3日に開通、4日から一般開放される[3]中華人民共和国が提唱する「一帯一路」構想の事業の一つ。

概要[編集]

  • 建設総額:374.3億元[4]
  • 工期:2016-2021年(5年間60ヶ月)
  • 設計時速:時速120 km/h(貨物)、160 km/h(旅客)、平地では200 km/h
  • 駅:33駅(うち信号場21駅、旅客駅11駅、貨物駅1)、うち5大駅(ナトゥイ、ウドムサイ、ルアンパバン、ヴァンヴィエン、ヴィエンチャン)。21駅を当初は開通させる計画。
  • 橋梁・トンネル:橋167箇所 61.8 km(16.36%)、 トンネル 75箇所 197.83 km(47.74%)(カシー郡で12,625 mのトンネルが最長)[5]
  • 可能性調査は中鉄ニ院が実施したとされるが公表されていない[6]
  • 車両には中国高速鉄道CR200J型電車が2編成と[7]中国国鉄HXD3C型電気機関車が17両が導入される。[8]中国本土への直通運転も実施される。

建設[編集]

建設までの歩み[編集]

2010年10月に全長530 kmにおよぶ標準軌路線の計画に着手。雲南省シーサンパンナ・タイ族自治州から南はタイバンコクまでの計画で、[9]2011年着工、2014年完成の予定[10][11]であったが、中華人民共和国鉄道部の汚職事件が原因で2011年4月に計画を無期限延期とする事になった[12]。2012年10月になってラオス中国両国政府がヴィエンチャンから中国国境までの鉄道路線建設計画に合意、建設費は70億米ドルで北京当局の企業が建設するもので、起工式が同年11月に挙行され2017年の竣工を予定していた[13]。2012年12月にラオス政府が銀行からの融資完了を発表、2013年着工、2018年完成とした[14]。また南方への延伸計画もバンコクからさらにミャンマーダウェイまでとなった[15]

歴史[編集]

建設中のヴィエンチャン駅
撮影地:ヴィエンチャン郊外 撮影時期:2017年10月下旬
ボーテントンネル建設現場、2017年3月撮影
2020年12月に開通したヴィエンチャン-ヴァンヴィエン高速道路との立体交差部
  • 2016年
  • 2017年
    • 3月28日 - 駐ルアンパバーン総領事黎宝光が中国水電建設集団国際工程公司が、建設中の第4区間を訪問した。同社の報告では2016年12月から建設が開始されているが、建設場所が分散し、アクセス条件が悪く、またトンネルなど高度な建設が多いと説明。宿舎、接続道路、電気、鉄筋加工工場など関連工事を進めているという。プーヤー村1号トンネルとダーロン1号トンネル4月から建設を開始すると説明した[17]
    • 5月11日 - 在ラオス中国大使館経済商務参事官王其輝は新華社のインタビューに答え374.3億人民元で建設中の中国ラオス鉄道ではトンネルは30箇所、道路66箇所を建設中と説明した[4]
    • 5月24日 - ラタマニー・クンニヴォング公共事業運輸省副大臣は中国ラオス鉄道はラオスの社会経済開発と一帯一路開始に重要とする論文をこの日のパテートラオ紙に発表した。ここでは、建設相距離を414.332 km、橋梁は167ヶ所で61.81 km(16.36%)、ルアンパバンのメコン橋梁は2ヶ所。トンネルは75ヶ所で197.83 km(47.74%)。最長のトンネルは12,625 m。現在トンネルは51ヶ所で建設を開始と言及した[5]
    • 7月19日 - ラオス中国鉄道建設プロジェクト指導委員会会議が開催され、ブンチャン公共事業運輸省大臣・委員長、4県の副知事と都副知事らが出席した。ラタマニー公共事業運輸省副大臣・プロジェクト管理委員長は、これまでに作業場は建設請負会社が88ヶ所、コンサルタント会社が12ヶ所を設置。接続道路は657.9 km、橋2,342 mを建設したと説明。その他にも送電線360.2 km、変圧器172個、トンネル49ヶ所を建設し2017年の計画比で31.35%の進捗と報告。住民補償については補償費算出ユニットによる価格調査を実施している。市場価格での保証を行うために現場での調査を実施。242品目の価格リストを作成したと説明している[18]
  • 2020年
  • 2021年
    • 5月15日 - 中国ラオス鉄道の通信用鉄塔67基全ての建設が完了[20]
    • 7月23日 - フォンホン駅完成、全線で10駅ある旅客駅のうち最も早い完成だった。残りの駅舎工事も最終段階に入っている[21]
    • 10月12日 - 昆明-ヴィエンチャン南駅間全線のレール敷設が完了した[22]
    • 10月16日 - 中国中車で製作された中国高速鉄道CR200J型電車1編成(列車名ランサン号)がヴィエンチャン駅まで牽引回送され納入された[23]
    • 12月2日 - 完成。ラオスの首都ヴィエンチャンでは記念式典が開かれた[3]

問題点[編集]

ラオス国内の区間の整備は、およそ59億ドルの建設費用のうちラオスが3割を負担した[24]。しかし、その大半は中国からの借り入れで資金調達がされたため、ラオスが中国の「債務の罠」に陥ったり、債務不履行に陥ったりすることが懸念されている。また、ラオスの対中債務はGDPの64.8%まで膨れ上がっており、返済能力が疑問視されている[25]

駅一覧[編集]

駅名 接続路線・備考 所在地
日本語 ラーオ語 簡体字中国語 英語
ボーテン駅 ສະຖານີ ບໍ່ເຕັນ 磨丁站 Bo Ten 旅客駅
玉磨線
ルアンナムター県
ナトゥイ駅 ສະຖານີ ນາເຕີຍ 纳堆站 Na Toey 主要旅客駅 未開業
ナモー駅 ສະຖານີ ນາໝໍ້ 纳磨站 Na Moh 旅客駅 未開業 ウドムサイ県
ナトン駅 ສະຖານີ ນາທອງ 那通站 Na Thong 貨物駅
ムアンサイ駅 ສະຖານີ ເມືອງໄຊ 孟赛站 Mueang Xai 主要旅客駅
ナコック駅 ສະຖານີ ນາກອກ 纳科站 Na Khok 貨物駅
ムアンガ駅 ສະຖານີ ເມືອງງາ 孟阿站 Mueang Nga 旅客駅 未開業
フアイハン駅 ສະຖານີ ຫ້ວຍຫັນ 慧汉站 Huay Han 貨物駅
ルアンパバーン駅 ສະຖານີ ຫຼວງພະບາງ 琅勃拉邦站 Luang Parbang 主要旅客駅 ルアンパバーン県
シェングン駅 ສະຖານີ ຊຽງເງີນ 香恩站 Xiang Ngeun 貨物駅
サラプークン駅 普昆站 Sala Phu Khun 貨物駅
カシ駅 ສະຖານີ ກາສີ 嘎西站 Mueang Kasi 旅客駅 未開業 ヴィエンチャン県
パデーン駅 ສະຖານີ ພາຕັ້ງ 帕当站 Ban Pha Daeng 貨物駅
ヴァンヴィエン駅 ສະຖານີ ວັງວຽງ 万荣站 Vang Vieng 主要旅客駅
バンキ駅 ສະຖານີ ວັງຂີ 万基站 Vang Khi 貨物駅
フォンホン駅 ສະຖານີ ໂພນໂຮງ 蓬洪站 Phon Hong 旅客駅
バンサカ駅 蓬宋站 Ban Saka 貨物駅
ヴィエンチャン北駅 ສະຖານີ ວຽງຈັນເໜືອ 万象北站 Vientiane North 貨物駅 ヴィエンチャン都
ヴィエンチャン駅 ສະຖານີນະຄອນຫຼວງວຽງຈັນ 万象站 Vientiane 主要旅客駅
ヴィエンチャン南駅 ສະຖານີ ວຽງຈັນໃຕ້ 万象南站 Vientiane South 貨物駅
タイ国有鉄道東北本線
ターナレーン駅に隣接

運賃[編集]

キープ払いの場合1元1800キープ換算(2021年12月現在)。

旅客運賃[編集]

運賃は保険料金2元を含む。

みどり数字:二等席運賃、赤数字:一等席運賃、元払い/キープ払い表示。)

294/529,000 246/443,000 174/313,000 91/164,000 48/86,000 ヴィエンチャン
248/446,000 200/360,000 128/230,000 44/79,000 フォンホン 31/56,000
206/371,000 158/284,000 86/155,000 ヴァンヴィエン 29/52,000 57/103,000
122/220,000 74/133,000 ルアンパバーン 54/97,000 81/146,000 110/198,000
50/90,000 ムアンサイ 47/85,000 99/178,000 126/227,000 155/279,000
ボーテン 32/58,000 77/139,000 129/232,000 156/281,000 185/333,000

120 cm未満の小児は大人同伴で席を使用しない場合は無料。

貨物運賃[編集]

車扱貨物は0.6元/トン/km、20フィートコンテナは13.75元/個/km、35トン型コンテナ(最大総重量は35トンのコンテナ)は16元/個/km、40フィートコンテナは18.7元/個/km。

脚注[編集]

  1. ^ “中老铁路12月3日全线开通运营 昆明至万象约10小时可达”. 荊楚网. (2021年12月2日). http://news.cnhubei.com/content/2021-12/02/content_14292812.html. "中老铁路开通初期,老挝段由老中铁路公司委托中国铁路昆明局集团公司运营维护" 
  2. ^ ラオス中国鉄道の建設工事、完全再開
  3. ^ a b c “中国ラオス鉄道完成”. 読売新聞. (2021年12月3日) 
  4. ^ a b “一带一路”为中老经贸合作提供动力”. 中华人民共和国驻老挝人民民主共和国大使馆经济商务参赞处. 2017年7月20日閲覧。
  5. ^ a b “中国ラオス鉄道はラオスの社会経済開発と一帯一路開始に重要”. パテートラオ紙. (2017年5月24日) 
  6. ^ 中老铁路老挝段下月动工 预计2020年前后通车. 老撾_新浪新聞. (2015年11月29日). http://news.sina.com.cn/o/2015-11-29/doc-ifxmazpa0427582.shtml 2017年7月20日閲覧。 
  7. ^ コロナ禍の一帯一路 ラオスと中国を結ぶ「老中鉄路」はどうなる”. GLOBE+ (2020年5月16日). 2021年8月31日閲覧。
  8. ^ 中车出口老挝首批电力机车发运. (2021年9月22日). https://3g.163.com/dy/article/GKGKBO3K0534910P.html 
  9. ^ Railway Gazette: Cross-border construction soon”. 2011年2月27日閲覧。
  10. ^ LAOS LINK WITH CHINA”. Railways Africa (2010年12月12日). 2010年12月12日閲覧。
  11. ^ Railway Gazette: China's horizons extend southwards” (2011年1月6日). 2011年1月6日閲覧。
  12. ^ High Speed Railway Delay”. Radio Free Asia. 2011年6月30日閲覧。
  13. ^ “Laos Says China to Finance Rail Link” (英語). The Wall Street Journal. (2012年10月24日). http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203897404578076193521305574.html 
  14. ^ “Laos-China railways ready to roll” (英語). (2012年11月16日). http://www.bangkokpost.com/breakingnews/321609/laos-china-railways-ready-to-roll 
  15. ^ “China-Laos railway to commence” (英語). Investvine.com. (2013年1月9日). http://investvine.com/china-southeast-asia-railway-to-commence/ 2013年1月10日閲覧。 
  16. ^ Everything You Need to Know about the Laos-China Railway”. 2021年12月4日閲覧。
  17. ^ 驻琅勃拉邦总领事黎宝光走访中电建中老铁路第四标段第一分部” (中国語). 中華人民共和国外交部. 2017年7月20日閲覧。
  18. ^ MPWT - ກອງປະຊຸມຄະນະຊີ້ນຳໂຄງການກໍ່ສ້າງທາງລົດໄຟແຕ່ຊາຍແດນລາວ-ຈີນ ຫາ ນະຄອນຫຼວງວຽງຈັນ”. 2017年7月20日閲覧。
  19. ^ “中国ラオス鉄道最大の駅、ビエンチャン駅の本体工事が完了”. 新華網. (2020年11月24日). http://jp.xinhuanet.com/2020-11/24/c_139539672.htm 
  20. ^ “中老铁路所有通信铁塔组立完成” (中国語). 新華網. (2021年5月16日). http://www.xinhuanet.com/world/2021-05/16/c_1127452245.htm 
  21. ^ “中国ラオス鉄道、フォンホン駅完成 全線の駅舎工事が最終段階に”. 新華網. (2021年7月25日). http://jp.xinhuanet.com/2021-07/25/c_1310084341.htm 
  22. ^ “中国ラオス鉄道全線でレール敷設が完了”. 人民網. (2021年10月13日). http://j.people.com.cn/n3/2021/1013/c94638-9906741.html 
  23. ^ “高速列車「瀾滄号」がラオス首都に到着 動態チェックに投入”. 人民網. (2021年10月16日). http://j.people.com.cn/n3/2021/1016/c94475-9907991.html 
  24. ^ “中国とラオス結ぶ鉄道開通 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」”. NHK. (2021年12月3日) 
  25. ^ “中国ラオス鉄道開通”. 読売新聞. (2021年12月4日) 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]