中国の赤い星
『中国の赤い星』(ちゅうごくのあかいほし、原題はRed Star over China)は、1937年にエドガー・スノーによって著された書籍の名称である。 パール・S・バックの『大地』と併せて、欧米での中国共産党に対する理解と共感に最も影響を与えた[1]。
内容[編集]
毛沢東に率いられた紅軍が長征を終えたばかりであった当時に、エドガー・スノーが中国共産党の根拠地保安に入り、1936年7月から約3ヶ月間彼等と生活を共にし対話して書かれた、当時の中国共産党のありのままの姿の記録である。エドガー・スノーはレバノン系アメリカ人医師ジョージ・ハテム(中国名は馬海徳)と共に根拠地入りしたが、ジョージ・ハテムの同行は『中国の赤い星』出版時は秘密にされていた[2]。
この書籍は当時の中国共産党の指導者から無名の人間までの様々な言葉や行為が書かれており、これは初めて中国共産党・紅軍が世界に向けて紹介されるという書籍であった[3]。エドガー・スノーは外国人記者としては初めて中国共産党の拠点に入って毛沢東と会見をした人物である。中国の赤い星というのは、当時にはほとんど知られていなかった中国共産党の姿を好意的に書いた書籍でありベストセラーになった[4]。
毛沢東のまとまった伝記は本書によって初めて伝えられた。毛沢東が自己の少年・青年時代をその後もほとんど語らなかったこともあり、21世紀の今日でも『中国の赤い星』は毛沢東に関する一級資料である。掲載写真も貴重なものが多い。
日本語訳[編集]
- 『中国の赤い星』宇佐美誠次郎・杉本俊朗共訳、永美書房、1946年 - 上巻のみで占領軍により発禁。
- 『中国の赤い星』宇佐美誠次郎訳、中国文芸愛好会、発行年未詳 - 会員配布、発行元は上記・永美書房
- 『中国の赤い星』宇佐美誠次郎訳、筑摩書房、1952年、新版1962年、筑摩叢書、1964年。「世界ノンフィクション全集9」にも収録
- 『中国の赤い星』松岡洋子訳、筑摩書房「著作集2」、1973年、筑摩叢書、1975年/ちくま学芸文庫(上下、加々美光行解説)、1995年 - 増補版による新訳
脚注[編集]
- ^ Harold Isaacs, Scratches on Our Minds, (New York: John Day, 1958; rpr. White Plains, 1989): 155 n. 71, 162-163.
- ^ 石川禎浩『赤い星は如何にして昇ったか』p164~p165
- ^ 筑摩書房 中国の赤い星 (上) / エドガー・スノー 著, 松岡 洋子 著
- ^ 極端に割れる米国の中国報道 アメリカと中国 -- 朝日新聞GLOBE