中国の環境問題

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中国(中華人民共和国)では近年、さまざまな形での環境破壊が進行して国内外から問題視されている。

概要[編集]

中国では「四害」 (大気汚染、水汚染、騒音、固体廃棄物汚染)、「三廃」 (排ガス廃水、固体廃棄物) と公害・環境問題の背景であると言われている。中国は急激な経済成長を果たし、14億人近くの世界一の人口規模を抱えながら、排気規制や廃棄物収集など制度面が追いついていない部分が多く、中国国内だけでなく日本を含めた近隣諸国にも環境汚染の影響を及ぼしている。生活ゴミでも、改革開放1980年代以降、経済発展,都市化の進展と生活スタイル変化に伴い、質的・量的変化を見せた結果、収集・処理は難航している。

原因[編集]

環境破壊は

などが原因と考えられている。

動物学者遠藤公男は中国で野鳥売買の現場を調査し、著書[1]自然科学が軽視され開発優先になった要因を指摘している。

状況[編集]

スモッグがひどい日の北京で撮影した太陽の写真。2007年7月。

中国食品薬品監督管理局の資料によれば、工場からの汚染された排水や、化学肥料農薬によって、河川及び近海に深刻な環境汚染が起きているという。河川、湖については6割が深刻な汚染に侵されている。また、重金属によって土壌汚染が起きている地域(渤海沿岸、華東華南)もあり、汚染地域ではや奇病の多発、奇形生物の発生も指摘されている[2]。また、大気汚染も深刻な状況であり光化学スモッグも発生している。この光化学スモッグは国境を越え、日本にも流れている。

2007年5月、河南省洛陽市では川の汚染の影響で酸欠になり死亡し浮いた50万匹のに対して、食すために周辺住民が一斉に群がり捕まえた。環境汚染における人体への影響について十分に教育されていないことがわかる。

土壌や河川の汚染は、食品の安全性にも影響を及ぼし、中国製食品を汚染している。中国の耕地面積の5分の1近くは何らかの形で汚染され、10%以上は重金属汚染によって耕作できない「毒土」と化しているとされる[3]。詳細は食の安全#中国中国産食品の安全性を参照。

生活ゴミの量は1985 年の4477 万トンから2012年には1億7,081 万トンに急激に増加し、2030 年には5億トン前後に達すると予測されている[4]。悪臭の発生、水(特に地下水)や空気の汚染、鼠やハエの繁殖、放置場所としての耕地の占用、堆積したゴミ山の爆発などの問題に発展している。ほとんどの都市では野外で積み上げたり、溝や穴を埋めたりする簡単な方法でゴミを処理しており、川の沿岸でもゴミ置き場となっている。この処分方法は土壌、河川、地下水、大気などに重大な環境影響を及ぼす。

砂漠化問題
遊牧地の開墾樹木輸出農作物の増産などが原因で砂漠化が深刻化している。国家林業局の発表によると、現在中国の30省、889の県で合計174万平方キロメートルの砂漠が広がり、これは中国国内の18パーセントに当たるとしている[5]。砂漠化が進むことにより、中国では日本円で毎年4,500億円もの経済損失と計算されている[6]。この砂漠化により黄砂が年々悪化し、中国国内や韓国、海を渡った日本にまで被害を及ぼしている主要因と見られている。近年では日本と協力して砂漠を緑化する試みが行われている[7]。しかし、放牧地として利用されてきた「砂漠」を農耕の観点から緑化している、との批判がモンゴル人研究者から出ている。

行政府の対応[編集]

中央行政機関の対応
かつて先進諸国公害が深刻化した経験を踏まえ、1972年国際連合人間環境会議への参加を契機として翌年から専門行政機関が設置され、今では環境保護省になっている。法制面では、1978年に改正された憲法で環境保護規定が置かれたのをはじめ、文面上はかなり網羅的な環境立法がなされている。また、汚染企業に対しては強制閉鎖を含む厳しい取り締まりも行われている。汚染企業にはパナソニックペプシコーラなど、海外企業の系列会社も含まれている。
地方行政機関の対応
地方行政機関は先富論にのっとり経済発展重視の基本姿勢を維持しており、また汚染企業からの税収を主な収入源としているところも多く、法律そのものを遵守する意識の低さも重なって、中央行政機関による環境法規や政策が実質的に機能しないことが多い。第十次五カ年計画で環境保護目標の多くが達成されなかったのもそのせいと考えられ、第十一次五カ年計画では、経済成長目標が達成されても環境保護目標が達成されなければ地方高官罷免されるという「一票否決」制度が導入された。その結果、第十一次五カ年計画で達成されなかった目標は1指標のみとされるが、それが実態を反映したものか、統計捏造などの不正によるものかは今後の検証が必要である。
生活ゴミに対する対応
市民による分別を促進させる取り組みは、政府主導で繰り返し行われてきたが、全国的な取り組みには到っていない。処理方法は、1980年代から埋立地は徐々に減少し、焼却と堆肥が主流になりつつある。上海、北京、南京、広州杭州ハルビンなどの都市はいずれも大型ゴミ処分工場を建設し、ゴミによる発電、石油精錬、製紙などが行われている[8]。なお北京、広州、上海、南京などの都市部においては、市民からゴミ処理費用として毎月ゴミ処理代を徴収している。
北京市では、北京市は1980年代から資源ゴミ回収のシステム化に取り組んでいる。2013年現在稼動している生ゴミ処理工場は南宮(400トン/日)、阿蘇衛(1600トン/日)と高安屯(400トン/日)で、フル稼働すれば同市で排出された生ゴミの約26%に相当するが、実際には半分程度の稼動という。またここで生産された堆肥は混合物が多いため肥力が低いことや、化学肥料の普及を背景に、農民に拒否されたと報道されている[9]
南京市では、生活系ごみ最終処分場の 「水閣処分場」 と、隣接する最終処分場からのメタンガス回収による発電施設を2002年から稼動させている。各家庭で民間に売却処分するシステムを機能させ廃棄物リサイクルを政策的に進めている[10]

脚注[編集]

  1. ^ 遠藤公男 『野鳥売買 メジロたちの悲劇』 講談社〈講談社+α新書〉、2002年11月。ISBN 4-06-272163-5
  2. ^ “中国、疾病増加 食の安全警鐘 重金属や農薬で河川6割汚染 内部資料入手”. 産経新聞. (2006年9月9日). オリジナル2006年9月10日時点によるアーカイブ。. http://blog.goo.ne.jp/badchina/e/86f085464705885cae58c80161d4b2e9 2011年4月29日閲覧。 
  3. ^ “「毒ガス」をまき散らす病める巨龍”. ニューズウィーク. (2015年12月10日). http://www.newsweekjapan.jp/rebelpepper/2015/12/post-17.php 2015年12月12日閲覧。 
  4. ^ https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=6760&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
  5. ^ 井上雄介 (2007年6月18日). “中国の砂漠面積、国土全体の18%占める”. サーチナ. http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0618&f=business_0618_015.shtml 2011年4月29日閲覧。 
  6. ^ 井上雄介 (2008年11月29日). “砂漠化による経済損失、毎年540億元に”. サーチナ. http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1129&f=business_1129_003.shtml 2011年4月29日閲覧。 
  7. ^ 竹内和夫 (2008年9月2日). “不毛の大地を緑に、「日中協力の成果を全土に広めよう」”. サーチナ. http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0902&f=column_0902_003.shtml 2011年4月29日閲覧。 
  8. ^ http://www.bjreview.cn/JP/2002-36/36-china.htm
  9. ^ repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/6674/1/keizai283-03.pdf 中国における生活ゴミの分別収集:北京市の事例
  10. ^ http://www3.kumagaku.ac.jp/research/fa/files/2011/11/a259d30406a00f6ec0fb5e3036063afe.pdf 中国南京市における廃棄物処理事情

関連用語[編集]

外部リンク[編集]