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世界宗教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
宗教分布図

世界宗教(せかいしゅうきょう)は、人種民族、階級、国、言語の境界を超えて世界規模でその思想が広がっている宗教を指す[1]

全人類の平等、共通の生活規準を含む信条や儀礼を特色としている[1]。宗教の発達を概観した時、新しい段階に到達した宗教だと考えられている[1]。今日、世界宗教とみなされている宗教は、キリスト教イスラム教仏教である[1]

対義語(対比される概念)は民族宗教である。

この記事では、あきらかに世界宗教とされているキリスト教、イスラム教、仏教を中心に説明し、曖昧なものについては言及を避ける。

キリスト教

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キリスト教は「愛の宗教」と言われる。キリスト教の聖典は聖書だが、キリスト教にとって特に重要なのは新約聖書であり、共観福音書に描かれているイエス・キリストが「時は満ち、神の王国は近くなった。 悔い改めて福音を信じなさい」と、神の王国の到来が近い、という福音ふくいんを説き、罪ある(下で解説)人間を救済するために自ら十字架にかけられ、復活した、と信じる。全人類への偏りのない愛、アガペーを説く。

キリスト教における罪の概念と人類愛の関係について。キリスト教で言う罪とは、神が人間に対して命じたことに背くことである。正教会では、神の律法と教会の律法に不服従すること、と説いている。考えることによってであれ、言葉によってであれ、行いによってであれ、神の律法や教会の律法に不服従ならば罪であると説く[2]カトリック教会では「罪とは悪いことと知りながら、自由意志をもって神に背くこと」と解説し、行為だけでなく、思い、望み、ことば、怠りも罪になる、と解説している[3]。なお、キリスト教では、神は人間に対して新しい律法を授けたとし、すなわち神は「互いに愛し合いなさい」と命じた、としているので、具体的には、人類を"愛さないこと" がまさに神の命令に背いているということになり、罪である、ということになる[4]。クリスチャンにとっては、人類を愛することが何より大切なことなのである。

大航海時代に、カトリック国であるスペインポルトガルが"キリスト教を広める"という大義のもとに世界各地で植民地化を進めカトリックと自国文化を広めたことでことで、多くの国に広がった[注釈 1]。さらに(20世紀にはアメリカ合衆国が経済・軍事・政治で世界的に有力な国となり)アメリカ合衆国で主要な教派となった福音派などが世界各地に教会を設立したことで、(以前にも増して)精力的に布教活動が行われるようになった。20世紀の統計で、キリスト教徒は世界でおよそ26億人いるとされており、世界で最も信者数が多い。

イスラム教

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クルアーンを神が最後の預言者を通じて人々に下した(啓示した)とし、そこに書かれる教えを信じる。

アッラーのもとで信者は皆、同等だと考え、信徒同士の相互扶助関係を重んじる。ラマダーン月になると、自制心と神への感謝、喫煙や嘘をつくことや争いの禁止があらためて強調され、人種・国・階級・貧富の差を超えて世界中のムスリムが日の出から日没まで断食(サウム)を行い、飢えを身をもって体感することで飢えた人々への共感を養う。ラマダーン月には人類への愛が高まり、慈善活動への寄付がとても活発になる。

世界各地で広まっている。中東北アフリカなど乾燥帯で古くから信仰されており、国境を越え、世界中に信徒が広がっている。近年の信徒の増加率は、キリスト教よりも大きい[注釈 2]

ムスリムつまりイスラーム信者は世界でおよそ20億人いるとされており、世界人口のおよそ24%がムスリムだとされている[5]。キリスト教に次いで世界で2番目に信者数の多い宗教である。

仏教

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仏教は釈迦の教えを源流としている。釈迦は人間を人種や民族で差別せず、人類共通の苦(ドゥッカ)に目を向け、それを自らの探求の出発点とし、ブッダガヤで悟りで得て、その智慧を人々に説いた。まず「生・」の四苦しく、さらにその他の4苦も加えた四苦八苦を挙げ「人生は苦である」と説き、「執着を捨てれば苦から解脱し涅槃に達することができる。そのために八正道はっしょうどうを実践せよ[6][7]」と説いた[8][9]。すべての人々に対して慈悲(マイトリー)の心を持つよう説き、人々から苦痛を取り除き、安らぎ(幸福)を与えること(抜苦与楽、ばっくよらく)を目指す。

仏教はインドから、中央アジア、東南アジア、東アジアなどに広がって行った(仏教のシルクロード伝播)。[注釈 3]

(20世紀後半から21世紀の世界統計を見ると)キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教に次いで世界で4番目に信者数の多い宗教である。世界における仏教人口は、2020年時点でアジアを中心におよそ5億人強で、世界人口の6.3%が仏教徒だとされている[10]。19世紀までは、アジア以外への広がりが薄かったが、ヨーロッパの諸語への重要経典の翻訳も行われるようになり、西洋でも注目を集めだした。20世紀後半以降はアジア以外での仏教人口や寺院建立も増加し、世界宗教としての性格を強めてきている。

歴史

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曖昧な事例

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どちらに分類されるか曖昧な宗教も無いわけではない。

シク教ジャイナ教は、民族宗教にありがちな、人種・民族による差別を行うような性格はほとんど持ち合わせず、全人類の救済を目的とした世界宗教的な性質をより多く持ち合わせながらも、実際にはインド以外には広まっていないため、民族宗教として扱われている。

信者数の多い宗教

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2020年時点の世界の宗教別信者の割合[11]

  キリスト教 (28.8%)
  イスラム教 (25.6%)
  無宗教 (24.2%)
  ヒンドゥー教 (14.9%)
  仏教 (4.10%)
  その他の宗教 (2.40%)

下の表の中のキリスト教、イスラム教、仏教が世界宗教である。ヒンドゥー教はインドの人口が世界一となり14億人を超えたことで信者数が多いが、インドやインド人の宗教であり、世界宗教とはされない。

宗教信者数分類成立出典
キリスト教23億人アブラハムの宗教ユダヤ属州 (中東)・西暦30年[12][13][14]
イスラム教20億人アブラハムの宗教ヒジャーズ (中東)・西暦610年[15][16]
ヒンドゥー教12億人インド発祥の宗教インド亜大陸紀元前500年[17]
仏教3億人インド発祥の宗教インド亜大陸紀元前5世紀[14]
民間信仰2億人地域世界[14]

脚注

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注釈

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  1. スペイン、ポルトガル両国の王族は協議の結果、大西洋上の西経46度37分より西の新領土をスペイン、東のそれをポルトガルの領土とする条約を結んだ(トルデシリャス条約)。だが、長い年月を経て勢力地図が実際に拡大するにつれて、スペイン勢力圏とポルトガル勢力圏は隣接し、複雑に絡み合うことになった。南米ではアルゼンチンやペルーはスペインの勢力圏となりスペイン語が公用語となり、ブラジルはポルトガルの勢力圏となりポルトガル語が公用語となった。宗教に関しては、スペインもポルトガルもカトリック国であり、ブラジル、アルゼンチン、ペルーのいずれもカトリック国(国内の主要な宗教がカトリックである国)となった。
  2. なおクライシュ族はムハンマドの出身民族とされるが、当初ムハンマドのイスラーム教布教活動を妨害したが、メッカ掌握した後はイスラーム教の守護権を持つようになり(守護者のようになり)、その後の時代には、イスラーム教で重要な存在と位置づけられるようになった。
  3. なお、上座部仏教大乗仏教の教義内容の違い、さらに大乗仏教内でも教え(教義)に違いがある。仏教ではキリスト教やイスラム教の各教派の相違と比較して宗派による教えの違いが大きい。

出典

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  1. 1 2 3 4 世界宗教」『ブリタニカ国際大百科事典』コトバンクより2023年7月8日閲覧
  2. 誰でも知っておきたい正教会の諸習慣と常識”. 2026年2月8日閲覧。
  3. 「カトリック入門」 第16回 罪”. 宗教法人カトリック聖パウロ修道会 サンパウロ. 2026年2月8日閲覧。
  4. 山崎純二. 律法と福音(18)罪とは「愛さないこと」”. Christian Today. 2026年2月8日閲覧。
  5. Why Muslims are the world's fastest-growing religious group”. Pew Research Centre (2020年8月). 2020年8月24日閲覧。
  6. お釈迦さまの教え”. 日蓮宗. 2025年2月4日閲覧。
  7. 【心のケア】悩めるあなたに“ブッダ流”の生き方”. 浄土宗. 2025年2月4日閲覧。
  8. 法話集、No.96 四諦・八正道(したい・はっしょうどう)”. 天台宗. 2025年2月4日閲覧。
  9. 八正道”. コトバンク. 2025年2月4日閲覧。
  10. Global Religious Landscape: Buddhists”. Pew Research Center (2012年12月18日). 2020年8月閲覧。 エラー: 閲覧日は年・月・日のすべてを記入してください。(説明
  11. How the Global Religious Landscape Changed From 2010 to 2020”. Pew Research Center. 2025年6月14日閲覧。
  12. Status of Global Christianity, 2025, in the Context of 1900 –2050”. Center for the Study of Global Christianity, Gordon-Conwell Theological Seminary. 2025年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月28日閲覧。 “Christian total 2,645,317,000”
  13. Christianity 2015: Religious Diversity and Personal Contact”. gordonconwell.edu (2015年1月). 2017年5月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月29日閲覧。
  14. 1 2 3 Fahmy, Conrad Hackett, Marcin Stonawski, Yunping Tong, Stephanie Kramer, Anne Shi and Dalia (2025年6月9日). How the Global Religious Landscape Changed From 2010 to 2020 (英語). Pew Research Center. 2025年6月13日閲覧。
  15. Status of Global Christianity, 2025, in the Context of 1900 –2050”. Center for the Study of Global Christianity, Gordon-Conwell Theological Seminary. 2025年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月28日閲覧。
  16. “Why Muslims are the world's fastest-growing religious group”. Pew Research Center (アメリカ英語). 2017年4月6日. 2017年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2017年5月11日閲覧.
  17. The Global Religious Landscape”. The Pew Forum on Religion & Public Life. Pew Research center (2012年12月18日). 2018年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月18日閲覧。

関連項目

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