上川あや

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日本の旗 日本の政治家
上川 あや
かみかわ あや
KAMIKAWA Aya 2007.JPG
上川あや(2007年)
生年月日 1968年1月25日(48歳)[1]
出生地 日本の旗 日本東京都台東区浅草[1]
出身校 法政大学経営学部
前職 世田谷区議会議員
現職 世田谷区議会議員
所属政党 無所属(議会会派はレインボー世田谷)
公式サイト ちいさな声、社会にとどけ! 世田谷区議会議員 上川あや

当選回数 4回
在任期間 2003年5月1日 -
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上川 あや(かみかわ あや[2][3]上川 礼[4]1968年(昭和43年)1月25日[1] - )は、日本政治家トランス・ジェンダー。現・東京都世田谷区議会議員(4期)。無所属で会派は「レインボー世田谷」[5][6][7]マイノリティに配慮した政治活動に実績がある[8][9]

2003年春の統一地方議会選挙で、日本で初めて性同一性障害であることを公表のうえ立候補し[10]、当選(立候補者72人中、第6位)[11][12]2007年春に行われた2期目の選挙では、現職トップ(立候補者71人中、第2位)[3][12]で再選された。さらに2011年春に行われた選挙で三選(立候補82人中、6位)[13][14]2015年4月の選挙で四選(立候補82人中、3位)を果たしている[15]

来歴・人物[編集]

幼少期から学生時代[編集]

1968年東京都台東区において3人兄弟の二男として生まれる[1]。幼少時から女子と遊ぶのが好きで、兄や弟とは異なり女児向けアニメや着せ替え人形に惹かれていた[16]。中学1年生で男子への初恋を経験[17]第二次性徴では男性化する自分の身体に大きな違和感と嫌悪感を感じていた[18]。悩みを誰にも打ち明けられず、嘘を付き続ける自分に対して自己嫌悪に陥っていた[19]

高校進学にあたっては内申点より学力試験が評価されることから、上川は私立の男子校を選択する。自由な校風と、女性的な面が当たり前に受け入れてもらえる環境を謳歌する[20]。自身の性指向が男性であることまでは公言できなかったが、男子生徒に告白されることも多く、高校3年生で初の交際と失恋を経験する[21]

社会に出て[編集]

1990年法政大学経営学部卒業後、男性として都内の公益法人に就職。広報部門のスタッフとして勤務するが、1995年に退職[3][22]1995年にはホルモン療法など性別移行の手続きを始め、健康診断を機に退職する。1998年精神科医より「性同一性障害」であるとの診断を受け、同年世田谷区へ転居。社会生活一切を女性として暮らし始める。戸籍上の性別の問題から人材派遣会社を通してではあったものの、OLとして働きはじめ、1999年には名前を「礼(あや)」に変更する[4]

2000年1月より2003年5月まで、性同一性障害・トランスジェンダーの自助支援グループ「TSとTGを支える人々の会 Trans-Net Japan (TNJ)」運営メンバー[4]1999年から2002年にかけて女性として複数の企業に勤務しており、専門誌の編集などに携わった。しかし公的書類の性別欄が障壁となり、正社員ではなく非正規の社員としてしか働けなかった[23]

世田谷区議として[編集]

上川あや(2016年)

2003年4月28日、性同一性障害を公表して臨んだ世田谷区議会議員選挙で、5024票を獲得し、立候補72人中、第6位で当選。2003年5月1日より世田谷区議会議員となる[23]性同一性障害特例法を成立させるためのロビー活動にも取り組む[23]

区議会議員の活動にできるだけ支障が出ないように性別適合手術を受け[23]2005年3月9日には東京家庭裁判所へ戸籍の性別変更を申し出る[24]4月20日には性別変更の申立てが認められ、戸籍の上でも女性になる[25]

2007年4月22日統一地方選挙における世田谷区議会議員選挙で6572票を得票し、立候補者71人中、第2位(現職最高位)で再選を果たす。この間、上川はマイノリティーを重視した政策・活動を推進する[26]。具体的には、視覚障害者誘導用ブロックの統一[27][28]一人親家庭(母子家庭・父子家庭ともに)支援の充実[27][29]、外国人住人のための案内の充実(ウェブサイトや案内板の多言語化)[27][30]オストメイト対応トイレの設置推進[26][31]シャント用器具の助成制度[5]などが挙げられる。

2011年の選挙では7,099票を獲得し、立候補者82人中、第6位[13]で三選を果たす[14]2012年には駐日アメリカ合衆国大使館から「Woman of Courage Award英語版[注釈 1]日本代表に選出されている[35][36]

2015年には、性的少数者とともに同性カップルのパートナーシップ制度の要望書を提出する活動も実施[37][注釈 2]。同年4月26日の選挙においても、7,132票の第3位で四選を果たした[15]

著作[編集]

単著・共著[編集]

寄稿・分担執筆[編集]

テレビ出演[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 日本語訳は「国際勇気ある女性賞」[32]だけでなく、「世界の勇気ある女性賞」といった表記揺れがあり、最終的にアメリカ合衆国国務省が受賞者を選出する[33][34]。本選受賞者として小酒部さやかがいる[34]
  2. ^ 上川による要望書提出の後、条例化ではないもの区長判断で認定の方向で検討することが発表され[38]、11月には「パートナーシップ宣誓書受領証」を発給できることになった[39][40]

出典[編集]

  1. ^ a b c d 上川あや 2007, p. 34.
  2. ^ まつばらけい 2006, p. 6.
  3. ^ a b c 与那原恵 2010, p. 108.
  4. ^ a b c 与那原恵 2010, p. 111.
  5. ^ a b 与那原恵 2010, p. 113.
  6. ^ 河合香織 2007, p. 256.
  7. ^ 上川あや 2007, p. 139.
  8. ^ 河合香織 2007.
  9. ^ 与那原恵 2010.
  10. ^ まつばらけい 2006, pp. 9-10.
  11. ^ 与那原恵 2010, pp. 108-109.
  12. ^ a b 杉浦太一 2007, p. 2.
  13. ^ a b 世田谷区議会議員選挙 開票結果”. 区政情報・選挙結果. 世田谷区 (2011年5月13日). 2013年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月12日閲覧。
  14. ^ a b 及川 H 健二「世界でも貴重な1議席-上川あやさん(世田谷区議)が三選」、『マスコミ市民』第509号、2011年6月、 61-63頁、 NAID 40018862201
  15. ^ a b “世田谷区選挙区 選挙結果(得票順)” (PDF) (プレスリリース), 世田谷区, http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/107/788/789/d00138483_d/fil/kekkakugi.pdf 2015年4月27日閲覧。 
  16. ^ 上川あや 2007, pp. 35-38.
  17. ^ 河合香織 2007, p. 257.
  18. ^ 上川あや 2007, pp. 37-40.
  19. ^ 上川あや 2007, pp. 41-44.
  20. ^ 上川あや 2007, pp. 45-47.
  21. ^ 上川あや 2007, pp. 47-51.
  22. ^ 上川あや 2007, 著者紹介.
  23. ^ a b c d 上川あや 2007.
  24. ^ 上川あや 2007, p. 221.
  25. ^ 上川あや 2007, p. 222.
  26. ^ a b 与那原恵 2010, pp. 112-113.
  27. ^ a b c 与那原恵 2010, p. 112.
  28. ^ 河合香織 2007, pp. 256-257.
  29. ^ 上川あや, pp. 150-155.
  30. ^ 上川あや, pp. 142-143.
  31. ^ 上川あや 2007, pp. 146-149.
  32. ^ "国際勇気ある女性賞"の記事一覧”. American Veiw. 2016年7月24日閲覧。
  33. ^ “「世界の勇気ある女性賞」受賞の中国女性活動家、中国当局により自宅軟禁に”. (2016年4月26日). http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-5000.php 
  34. ^ a b “小酒部さやかさんに「世界の勇気ある女性賞」 マタハラNetの創設者”. The Huffington Post. (2015年3月7日). http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/07/sayaka-osakabe_n_6821436.html 2016年7月24日閲覧。 
  35. ^ 【トークゲスト情報】10/19(日)世田谷区議会議員上川あや様登壇”. News 新着情報 (2014年9月26日). 2016年7月24日閲覧。
  36. ^ “I♡PARTNER〜札幌版パートナーシップ実現に向けて〜”. にじいろほっかいどう. (2016年4月6日). http://nijiirohokkaido.jimdo.com/2016/04/06/i-partner-%E6%9C%AD%E5%B9%8C%E7%89%88%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%A6/ 2016年7月24日閲覧。 
  37. ^ 二階堂友紀 (2015年2月15日). “世田谷区も同性カップル認める施策検討 渋谷区に続き”. 朝日新聞デジタル. http://www.asahi.com/articles/ASH2H54W9H2HUTFK002.html 2015年3月11日閲覧。 
  38. ^ “東京・世田谷区も同性カップルの認定を検討 条例化は否定”. 産経ニュース. (2015年3月5日). http://www.sankei.com/politics/news/150305/plt1503050041-n1.html 2015年3月11日閲覧。 
  39. ^ 生活文化部人権男女共同参画担当課 (2015年7月29日), “世田谷区パートナーシプの宣誓の取組みについて” (PDF) (プレスリリース), 世田谷区, http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/107/157/802/d00140990_d/fil/8.pdf 2016年7月24日閲覧。 
  40. ^ “同性パートナーシップ、世田谷区でも証明書。渋谷区との違いは?”. 女を楽しくする新聞 ウーマンライフ. (2015年11月10日). http://womanlife.co.jp/topics/lgbt-0002 
  41. ^ 桜井洋子 (2012年2月28日). “「ハートをつなごう」収録を終えて”. ハートネット. NHK福祉ポータル. 2015年1月11日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]