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三浦酒造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三浦酒造株式会社[1]
MIURA SYUZO Co., Ltd.[2]
種類 株式会社[1]
市場情報 未上場
本社所在地 日本の旗 日本
036-8316[1]
青森県弘前市石渡5-1-1[1]
北緯40度37分47秒 東経140度27分12秒 / 北緯40.62972度 東経140.45333度 / 40.62972; 140.45333座標: 北緯40度37分47秒 東経140度27分12秒 / 北緯40.62972度 東経140.45333度 / 40.62972; 140.45333
設立 1930年昭和5年)[2]
業種 食料品
事業内容 酒造業
代表者 三浦剛史[1]
資本金 2,500万円[1]
売上高 2.9億円(2022年6月決算時)[1]
従業員数 12人[1]
決算期 6月[1]
関係する人物 三浦慧(取締役会長)[注釈 1]、三浦文仁(取締役)、三浦淳子(取締役)、三浦由希子(監査役[1]
外部リンク 公式サイト
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三浦酒造株式会社(みうらしゅぞう)は、青森県弘前市石渡にある日本酒メーカーである。豊盃米(ほうはいまい)という酒米を使用する唯一の蔵元であり、日本酒の銘柄「豊盃」を製造・販売している。

沿革[編集]

三浦酒造を経営する三浦家はもともと酒樽などに巻くむしろを製造していたが、1930年(昭和5年)に酒造りに参入した[4][2]。なお、法人化したのは2007年である[2]

かつての三浦酒造では冬の酒造期に出稼ぎにくる津軽杜氏南部杜氏に酒造りを任せていたが[4]、杜氏たちの高齢化にともなって辞任が相次いだ[注釈 2]ことで生産継続の危機に直面した[5]。代わりに新たな杜氏を招いても数年のうちに辞任される可能性が高いことから、1999年に三浦家の三浦剛史(みうらつよし)・三浦文仁(ふみのり)兄弟が杜氏兼5代目蔵元に就任した[5][6][7]。そのきっかけは父・三浦慧(さとし)が兄弟二人に「お前たちでやってみないか」と打診したことであるという[6]。剛史は東京農業大学中退ののち広島県醸造試験所で、文仁は寒梅酒造で酒造りを経験していたものの醸造責任者の経験はなく、当初は右も左もわからない中での酒造りであった[5][8]。剛史は「酒造講本を片手に酒造りをするほかなかった」と当時を振り返っており、杜氏に就任してからの数年は麹や酒母を変えるなど試行錯誤を繰り返していたために、酒販店から酒の味が変わっていることを指摘されることもあったという[5]。こうした試行錯誤の末、2021年現在の豊盃の「香りは華がありながらもさりげなく、含むとやわらかな旨味と上品な含み香が口中に広がる」味わいを確立するに至った[9]

2002年には全国新酒鑑評会で入賞を果たし、同年3月に雑誌「dancyu」の特集「愛飲家が総力を挙げて発掘。「ポスト十四代」はこの酒だ!」で金賞の評価を得たことをきっかけに日本全国から取引の希望が集まり、全国に流通するきっかけとなった[10][11]。酒蔵萬流は「現在の「豊盃」の発展は、この年の出来事なしに語ることはできない」と評価している[5]

製造[編集]

基本的な酒造りは純米酒から純米大吟醸酒まで統一されており、きょうかい1501号酵母ベースの自社酵母を使用している[9]。仕込み水は岩木山伏流水を使用している[4]。兄の剛史が酵母培養、酒母、分析を、弟の文仁がもろみをそれぞれ担当している[4]。酒造りのモットーは「和醸良酒」[9]、年間生産量は1,200石である[12]

三浦酒造の酒造りを特徴づける豊盃米は1976年に青森県農業試験場で開発された酒米で[4]、1979年には三浦酒造が「豊盃」の銘柄を商標登録した[9]。2010年現在、豊盃米で酒造りを行っているのは三浦酒造のみである[6]。2021年現在、蔵から3キロメートル以内の契約農家2軒と、弘前大学に生産を委託しており[4]、使用する酒米の5割が豊盃米である[9]。他には美郷錦山田錦亀の尾華吹雪華想いの5種類を使用している[12]。豊盃米、華吹雪、華想いは青森県産で、使用する酒米の8割を占めている[13]。また、小規模な酒蔵としては珍しく精米機を導入しており[6]、酒造りに使用する米すべてを自社で精米している[12]

豊盃米[編集]

豊盃米は1976年に青森県農業試験場で開発された酒米で[4]、母・古城錦、父・レイメイの組み合わせで開発された[4]。当時の青森県では酒造好適米として古城錦を推奨していたものの、同種は背丈が高いゆえに倒伏耐性が低く、熟期が遅く、加えて多肥栽培にも適さないため、より栽培に適した品種の開発が求められていたことが開発背景にある[14]。開発後は青森県の奨励品種に採用されたが、同試験場が他に華吹雪や華思いなどの酒米を開発したことで県内の酒米の主流はそちらに移行していった[9]。三浦酒造も一時期は豊盃米の使用を取りやめていたが、平成のはじめ頃に三浦慧が農業試験場に保管されていた種籾を元に復活栽培に着手したことで、2021年現在では全国で唯一豊盃米を酒造りに使用する酒蔵となった[9]

豊盃米の名は民謡ホーハイ節に由来し[4]、「ホーハイ節のごときユーモア(笑いと酒)と為信公の勝利(力強さと発展)にあやかり」命名されたものである[15]。酒造米としては高精米にも耐えうる硬質な心白を持つことが特徴である[9]。豊盃米で作った酒は肉料理や油料理との相性がいいほか、精米歩合が5%違うだけで味わいが大きく変化し、重厚な風味から軽快な風味まで幅広い香味を表現することができるという[9]

製品[編集]

製造した日本酒はおもに「豊盃」の名で販売されている[4]。下記の製品一覧は公式HPによる[16]

  • 豊盃 純米大吟醸つるし酒
  • 豊盃 純米大吟醸 こぎん刺し模様
  • 豊盃 純米大吟醸 緑ななこ塗模様
  • 豊盃 純米大吟醸 山田穂
  • 豊盃 純米吟醸 豊盃米
  • 豊盃 純米吟醸 花筏
  • 豊盃 純米吟醸 月秋
  • 豊盃 純米吟醸 夏ブルー
  • 豊盃 純米大吟醸 豊盃米生酒(レインボー)
  • 豊盃 特別純米酒
  • 豊盃 純米しぼりたて(生酒)
  • 豊盃 純米酒 亀の尾にごり酒
  • ん 純米酒

評価[編集]

風味[編集]

ライターの山本洋子は三浦酒造の酒質を「フレッシュで津軽リンゴを思わせる蜜のような透明感ある甘さと、ほのかな酸味の調和が美しく」と、その人気を「人気酒故に引く手あまた」「津軽リンゴの果実味で大人気」と評している[4]。ライターのかざまりんぺいは三浦酒造が作る日本酒の味わいを「リンゴ、イチゴのような香りが立ち、口に含むとリンゴの蜜の部分を絞ったようなやわらかな甘さが広がります。そのあと、きれいな酸が甘さを隠すように出てきて、サッと喉に流れていきます」と評している[17]。ライターの中野恵利は「豊盃 特別純米酒[注釈 3]」を「落ち着きのあるボディは、緩い酸が心地よい余韻を演出しながらもアフターをコンパクトにまとめ、軽快な豊かさを見せる」と評している[18]

受賞[編集]

日本酒の日(10月1日)に青森県八戸市で開催されるイベント「日本全国、地酒で乾杯!」での人気投票[注釈 4]では、2013年に1位を[19]、2015年に3位を獲得している[20]

ワイン評論家・ロバート・パーカーワイン・アドヴォケイト英語版では91/100点[注釈 5]を獲得している[21]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 三浦慧は2015年には黄綬褒章を受賞している[3]
  2. ^ 5年で4度杜氏が変わったこともある[5]
  3. ^ 使用米:豊盃米、精米歩合:麹米55%・掛米60%、使用酵母:きょうかい901号[18]
  4. ^ 青森県の酒蔵10軒が参加[19][20]
  5. ^ 85点以上を獲得する銘柄は全体の1パーセントほどである[21]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k 東京商工リサーチ東北支社 2023, p. 733.
  2. ^ a b c d 三浦酒造|豊盃 ほうはい”. 三浦酒造株式会社. 2024年6月7日閲覧。
  3. ^ 朝日新聞社 2015.
  4. ^ a b c d e f g h i j k 山本 2021, p. 93.
  5. ^ a b c d e f 酒蔵萬流 2021, p. 3.
  6. ^ a b c d 中野 2010, p. 67.
  7. ^ 三浦酒造(株)|蔵元一覧|青森県酒造組合 あおいもりの地酒”. 青森県酒造組合. 2024年6月8日閲覧。
  8. ^ 酒蔵萬流 2021, p. 5.
  9. ^ a b c d e f g h i 酒蔵萬流 2021, p. 4.
  10. ^ 酒蔵萬流 2021, p. 2.
  11. ^ 友田晶子 (2002年3月24日). “「ポスト十四代はこの酒だ」を検証 dancyu「日本酒特集」を斬る”. All About グルメ. 2024年6月9日閲覧。
  12. ^ a b c 関友美. “[三浦酒造店]青い森の日本酒と津軽びいどろ|ハンドメイドガラスの伝統工芸品「津軽びいどろ」”. 北洋硝子株式会社. 2024年6月8日閲覧。
  13. ^ こだわり|三浦酒造”. 三浦酒造株式会社. 2024年6月8日閲覧。
  14. ^ 工藤 1976, p. 23.
  15. ^ 工藤 1976, p. 25.
  16. ^ 商品一覧|三浦酒造”. 三浦酒造株式会社. 2024年6月8日閲覧。
  17. ^ かざま 2010, p. 137.
  18. ^ a b 中野 2010, p. 66.
  19. ^ a b 読売新聞 2013.
  20. ^ a b 読売新聞 2015.
  21. ^ a b 「豊盃(ほうはい)」弘前の地酒、米にこだわる酒造りの三浦酒造【青森の日本酒】”. たのしいお酒.jp (2024年5月30日). 2024年6月9日閲覧。

参考文献[編集]

書籍・雑誌[編集]

  • 『東商信用錄 : 東北版 2023年版』東京商工リサーチ東北支社、2023年。ISBN 978-4-86591-844-1 
  • 「「豊盃米」のポテンシャルに導かれて 兄弟で向き合う自然体の酒造り 三浦酒造」『酒蔵萬流』第29巻、新中野工業、2021年、2-5頁、国立国会図書館書誌ID:032654662 
  • かざまりんぺい『新世代日本酒が旨い : いま飲むべき全国の36銘柄(角川SSC新書 ; 092)』角川SSコミュニケーションズ、2010年。ISBN 978-4-04-731515-0 
  • 中野恵利『純米主義 : 浪花の日本酒カリスマが厳選した本当に美味しい日本酒61本(レディバード小学館実用シリーズ)』小学館、2010年。ISBN 978-4-09-102239-4 
  • 山本祥子「新日本紀行 豊盃」『週刊ダイヤモンド』第109巻第49号、ダイヤモンド社、2021年12月18日、93頁、全国書誌番号:00033351 
  • 工藤哲夫「酒米新品種「豊盃」の解説」『農業技術』第31巻第12号、農業技術協会、1976年12月、23-25頁、全国書誌番号:00019359 

新聞[編集]

  • 朝日新聞社「秋の褒章、県内10人/青森県」『朝日新聞 青森全県』朝日新聞社朝日新聞)、2015年11月2日、21面。
  • 読売新聞「地酒「陸奥八仙」表彰式 八戸のイベント 人気1位=青森県」『読売新聞 東京朝刊』読売新聞東京本社読売新聞)、2015年1月22日、32面。
  • 読売新聞「弘前の「豊盃」地酒1位に 八戸 イベントで人気投票=青森県」『読売新聞 東京朝刊』読売新聞東京本社読売新聞)、2013年11月28日、32面。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]