三河犬

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三河犬(みかわいぬ、みかわけん)は、日本犬の犬種の1つ。愛知県で作られていた地犬の一種である。現在絶滅寸前で、入手は困難を極める。

ここでは広い意味での三河犬として、以前から実際に猟犬として存在していたものと、かつての日本犬ブームに便乗して作出されたものを解説する。

実在の地犬[編集]

こちらは愛知県(旧三河国)で実際に作出されていた、地犬タイプの猟犬である。古くから群れで中 - 大動物を狩るのに使用されていて、猟師たちの重要な片腕として用いられていた。多くは額に十字もしくは丸い模様を持ち、毛色は赤、胡麻、黒など。立ち耳、巻き尾で四肢がしっかりしていて、性格は忠実で飼い主以外にはなつきにくい。冬毛は陶磁器の絵付けに使われた。

既に純血種は絶え、血を引く犬がわずかに残っているだけである。

日本犬ブーム時に作出されたもの[編集]

過去に日本の犬たちを飼うことがブームとなった際、ある業者が絶滅寸前の上記の三河犬を用い、柴犬中国のシャン・ドッグ(チャウ・チャウの短毛種)、韓国の食用犬であるヌロンイなどを交配してまったく別の犬種を作って販売していた。実際には三河犬が使われていなかったとする説もある。愛犬家はこの犬種のことを三河雑犬や、三州犬(さんしゅういぬ)と呼んでいる(三州とは三河国の意味)。三河犬としてJKCに一時登録されていたが、後に純粋な日本犬でないことが発覚し、登録を抹消された。外見は大きめの柴犬によく似ている。額に黒い模様がある個体は少ない。目は小さくて鋭く、がっしりした体に被毛は厚くて毛色は茶や赤。舌斑が見られることもある。立ち耳で、尾は巻き尾または差し尾である。

この犬の純血種はあまり残っていない。この種の血を引く犬は普通の雑種犬として生存しているという。

参考[編集]

  • デズモンド・モリスの犬種辞典(株式会社誠文堂新光社)497ページ、563ページ

※デズモンド・モリスの犬種辞典には、「三州犬」、「三河犬」としての掲載があるが、どちらも三河雑犬のことを指している。記事内ではガードドックに分類されているが、これは誤りである。

確かにもともとの三河犬は猟犬と番犬をこなすが、混同・誤解をしないように注意が必要である。 なおイラストは三河雑犬である。

関連項目[編集]