三フッ化アンチモン

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三フッ化アンチモン
Antimony trifluoride
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識別情報
CAS登録番号 7783-56-4
PubChem 24554
ChemSpider 22960?
EC番号 232-009-2
国連/北米番号 UN 2923
RTECS番号 CC5150000
特性
化学式 SbF3
モル質量 178.75 g/mol
外観 無色の結晶
密度 4.379 g/cm3
融点

292℃ (565.15 K)

沸点

376℃ (649.15 K)

への溶解度 可溶
構造
結晶構造 斜方晶系, oS16
空間群 Ama2, No. 40
関連する物質
関連物質 五フッ化アンチモン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

三フッ化アンチモン(さんフッかアンチモン、: Antimony trifluorideアンチモンフッ化物で、化学式SbF3で表される無機化合物

合成[編集]

無色ないし淡い灰色の結晶で、三酸化アンチモンフッ化水素との直接反応により生成される[1][2]

性質[編集]

二フッ化アンチモンの陽イオンと四フッ化アンチモンの陰イオンとに解離する。

強いルイス酸と、比較的弱いルイス塩基の性質を持つ。

固体の状態では配位数は6となる。

用途[編集]

有機化学試薬[3]やフッ素化剤のほか、染色における媒染や機能性セラミックスの製造に用いられる。 1892年に、ベルギーの化学者フレデリック ジャン エドモント スワルト(Frédéric Jean Edmond Swarts)が初めてフッ素化試薬として用いたことから、「スワルト試薬」とも呼ばれている。

安全性[編集]

日本の毒物及び劇物取締法では劇物に該当する。発癌性及び高い腐食性があり、皮膚や目に激しい損傷を及ぼす。マウスに経口投与した場合の半数致死量(LD50)は804mg/kg[4]

脚注[編集]

  1. ^ グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン英語版. ISBN 978-0-08-037941-8
  2. ^ Cotton, F. Albert; Wilkinson, Geoffrey; Murillo, Carlos A.; Bochmann, Manfred (1999), Advanced Inorganic Chemistry (6th ed.), New York: Wiley-Interscience, ISBN 0-471-19957-5 
  3. ^ Kirk‑Othmer Encyclopedia of Chemical Technology Fluorine Compounds, Inorganic, Antimony Tariq Mahmood and Charles B. Lindahl doi:10.1002/0471238961.0114200913010813.a01
  4. ^ 安全衛生情報センター