ヴィルヘルム・シュレンク

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ヴィルヘルム・ヨハン・シュレンク
Wilhelm Johann Schlenk
ヴィルヘルム・シュレンク(1905年)
生誕 (1879-03-22) 1879年3月22日
ドイツ帝国ミュンヘン
死没 1943年4月29日(1943-04-29)(64歳)
ドイツテュービンゲン
研究機関 ミュンヘン大学,
イェーナ大学,
ウィーン大学,
ベルリン大学,
テュービンゲン大学
出身校 ミュンヘン大学
主な業績 シュレンク管、シュレンクラインの発明、シュレンク平衡の発見等
主な受賞歴 リーベン賞 (1917年)
プロジェクト:人物伝
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ヴィルヘルム・ヨハン・シュレンクWilhelm Johann Schlenk1879年3月22日 - 1943年4月29日)は、ドイツ化学者である。

経歴・功績[編集]

シュレンク管
シュレンクライン

ミュンヘンにて生まれ、ミュンヘン大学にて化学を学んだ。1919年には、フンボルト大学ベルリンにてエミール・フィッシャーの後を引き継いでいる。

1917年にシュレンクは有機リチウム化合物を初めて合成した。フリーラジカルカルバニオンなどを観測し、また息子と共に有機マグネシウムハロゲン化物(グリニャール試薬)が複雑な平衡状態をとり得ることを発見した[1]。この平衡はシュレンク平衡と呼ばれている。

また、シュレンクは空気中で不安定な化合物を取り扱う際の手法や、それらを保管するシュレンク管を発明した人物としてよく知られている。シュレンク管には、真空ポンプと、窒素アルゴンなどの不活性ガスの供給源を接続している特殊なコック(シュレンクコック)が取り付けられている。また、彼はシュレンクラインを考案した人物としても知られている。シュレンクラインには真空ラインと不活性ガスの2つのマニフォールドが組み込まれており、操作することでフラスコ内を不活性ガス雰囲気にすることができる。

脚注[編集]

  1. ^ W. Schlenk; W. Schlenk, Jr. (1929). “Über die Konstitution der Grignardschen Magnesiumverbindungen”. Chem. Ber. 62 (4): 920. doi:10.1002/cber.19290620422. 

参考文献[編集]

  • Morawetz, Herbert (1996). “Herman Francis Mark”. Biographical Memoirs 68: 195–208. http://www.nap.edu/readingroom/books/biomems/hmark.html. 
  • Sella, Andrea (January 2008). “Schlenk Apparatus”. Chemistry World: 69. http://www.rsc.org/chemistryworld/Issues/2008/January/ClassicKitSchlenkApparatus.asp 2008年1月30日閲覧。. 
  • Tidwell, Thomas (2001). “Wilhelm Schlenk: The Man Behind the Flask”. Angewandte Chemie International Edition 40 (2): 331–337. doi:10.1002/1521-3773(20010119)40:2<331::AID-ANIE331>3.0.CO;2-E. PMID 11180319. 

外部リンク[編集]