ヴィスビュー級コルベット

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ヴィスビュー級コルベット
HMS Helsingborg 2.jpg
艦級概観
艦種 コルベット
艦名 スウェーデンの都市
前級 イェーテボリ級コルベット
次級
性能要目
排水量 満載: 650 t
全長 72.8 m
全幅 10.4 m
吃水 2.4 m
機関 CODOG方式
MTU 16V2000 N90ディーゼル (1,740 bhp) 2基
ハネウェルヴェリコーTF-50A ガスタービン (5,365 shp) 4基
カメワ125 SIIウォータージェット 2軸
速力 最大40 kt
持続34 kt
巡航15 kt
航続距離 2,300 nmi / 15 kt
乗員 士官10名+曹士33名
兵装 ボフォースMk.3 57mm単装速射砲 1基
12.7mm機銃 2挺
7.62mm機銃 2挺
RBS-15 SSM 8基
400mm魚雷発射管 (Tp 45用) 4基
艦載機 ヘリコプター甲板のみ[脚注 1]
艦載艇 ダブル・イーグルMk.3英語版 ROV-S
シーフォックス 対機雷ROV-E
C4I サーブ 9LV Mk.3E CMS
レーダー シージラフAMB 3次元式 1基
CEROS 200 射撃指揮 1基
スキャンター2001 航法用 1基
ソナー GDC 船底装備式+可変深度式
ハイドロ・サイエンス 曳航式
電子戦
対抗手段
ITT ES-3701 電波探知装置
MASS デコイ発射機 2基

ヴィスビュー級コルベット: Visbyklass-korvett)は、スウェーデン海軍が運用しているコルベットの艦級である。コックムス社によって5隻が建造され、就役している。

ステルス性への配慮を全面的に導入した特徴的な設計で知られている。また、1000トンに満たない小型の艦型ではあるが、艦対艦ミサイル遠隔操作無人探査機を搭載して、多任務に対応できるように装備されている。

設計[編集]

本級は、(建造当時に海軍で用いていた)「大半の探知方法」を回避するとして建造企業のコックムスは当艦に『GHOST』という別名を与えている。対艦レーダー対策として船体はV字型に、上部構造物は逆V字型に成形されており、これが極めて特徴的な外見を形作っている。レーダー波を反射しにくいよう、船質としては掃海艇などでは既に採用例もあった炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で建造されており、構造方式はサンドイッチ構造、成形法には真空樹脂含浸製造法(VaRTM)を適用、また船体を3分割したブロック成形も導入され、非常に先進的な手法として世界的に注目された[1]。『樹脂製掃海艇』同様の船体構造の恩恵として、「磁気及び電気放射性の著しい低減」や「水中雑音の減少」などを獲得しており、ソナーでの被探知や磁気・音響・水圧検知の対艦機雷にも強いとされている。 更に赤外線探知対策として「上部構造物への煙突設置」を廃止し、600トンクラスの艦艇では採用例の無かった『艦尾喫水面への「主機排煙」の放出』を選択した事で、対艦ミサイルなどの熱検知を非常に困難とする事に成功している。

また砲身は非使用時にはステルス設計の砲塔内に格納され、レーダーなども、使用する周波数のみを透過する特殊な素材で作られた閉鎖マスト内に収容されている。これらの配慮により、同大の艦では50kmで探知されるのに対して、試案である『YS2000』計画では荒れた海象状況であれば13km、穏やかな海象状況でも22kmまで探知困難を目指すものであったが、建造された当級は荒れた海象状況で8km、穏やかな海象状況でも11kmまで探知できない[2]。また、本級は全長73メートル級という大きさでありながら、排水量は640トンと比較的少ない[脚注 2]が、これもCFRPを採用したことによるものとみられている。

装備[編集]

本級の装備は、先行するイェーテボリ級コルベットのものを基本的に踏襲し、必要に応じて強化したものとなっている。TWS能力をもつシージラフ・レーダーと、長射程・高発射速度のボフォース 57mm単装速射砲の組み合わせは優れた個艦防御能力を発揮でき、スウェーデン海軍のコルベットでは標準的な装備であるが、本級では主砲として、新型のMk.3型を採用した。これは、発射速度や射程などは先行するMk.2型と同等であるが、新型の砲弾に対応したほか、本級が搭載する機種ではシールドをステルス化して、発砲しないときには砲身をシールド内に格納するようになっている[脚注 3]。このように、個艦防御火力はイェーテポリ級と同程度ではあるが、本級では船体がステルス化されたことで被探知性が低下しており、その分、生存性も上昇していると見なされている。なお、個艦防空ミサイルVLSの搭載を見込んで、将来装備の余地が確保されているが、搭載しないままに就役した。

対水上打撃力としては国産のRBS-15艦対艦ミサイル(当初はMk.2、のちにMk.3)が搭載されている。対潜装備も従来どおりで、対潜火力としては小型の400mm魚雷発射管、水測装備としては船体装備ソナーと可変深度ソナー戦術曳航ソナーを搭載する。なお、当初はエルマ対潜迫撃砲を発展させた127mm口径のALECTOを搭載する計画もあったが、予算削減に伴い、2007年に開発中止された。

本級で特徴的なのが、機雷掃討用の遠隔操作無人探査機(ROV)の搭載である。本級では、機雷捜索用にソナーを搭載したサーブ ダブル・イーグル Mk.3 ROV-Sと、ダブル・イーグルが探知した機雷を破壊するための爆雷を搭載したシーフォックスROV-Eとが組み合わされて搭載されている。これは、同国海軍のランドソルト級機雷掃討艇英語版に搭載されたのと同じ装備である。

なお、後部甲板にはヘリコプターの発着用スペースが設置され、船体内には小型のヘリコプターアグスタ A109など)を収容できる格納庫を設置する余裕も確保されているが、現在のところは艦載機は搭載していない。

現代の艦船では珍しく灰単色の低視認塗装ではなくフェリス迷彩風のパターンを施している。

同型艦[編集]

# 艦名 起工 進水 就役 配備
K31 ヴィスビュー
HMS Visby
1995年2月 2000年6月 2012年12月 第3戦隊
K32 ヘルシングボリ
HMS Helsingborg
1995年 2003年6月 2009年12月
K33 ヘーノーサンド
HMS Härnösand
1996年 2004年12月
K34 ニーショーピング
HMS Nyköping
1996年 2005年8月 2012年12月
K35 カールスタッド
HMS Karlstad
1999年 2006年8月 2015年12月
K36 ウッデバラ
HMS Uddevalla
計画中止

脚注[編集]

  1. ^ 船体内に格納庫を設置する余地が確保されている。
  2. ^ 有名なロシアのグリシャ級コルベットは、全長71.6メートル、全幅9.8メートルで、満載排水量1,200トンである。
  3. ^ なお、Mk.3でも、シールド形状はMk.2と同じ従来型とした機種も生産されており、これはアメリカ沿岸警備隊バーソルフ級カッターで採用された。

外部リンク・参考文献[編集]

  1. ^ 山田直樹「FRP掃海艇の実現に向けて : 開発経緯とその技術(<特集>FRP利用技術の新展開)」、『咸臨 : 日本船舶海洋工学会誌』第26号、日本船舶海洋工学会2009年9月10日、 21-26頁、 NAID 110007357093
  2. ^ Visby Class Corvettes, Sweden”. naval-technology.com. SPG Media Limited. 2018年1月4日閲覧。

関連項目[編集]