ヴィジョン (マーベル・コミック)

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ヴィジョン
Vision
出版の情報
出版者 マーベル・コミック
初登場The Avengers』#57
1968年10月)
クリエイター ロイ・トーマス英語版
スタン・リー
ジョン・バスセマ英語版
作中の情報
所属チーム アベンジャーズ
ウェスト・コースト・アベンジャーズ英語版
アベンジャーズA.I.英語版
ディフェンダーズ英語版
著名な別名 ヴィクター・シェイド
能力
  • 超人的な敏捷性、知性、筋力、スピード
  • 飛行
  • 密度のコントロール
  • 無形化
  • 姿の変形
  • 質量の増減
  • 再生
  • 太陽エネルギーの照射
  • テクノパシー

ヴィジョンVision)は、マーベル・コミックの出版作品に登場する架空のスーパーヒーローおよびアンドロイド。『The Avengers』#57(1968年10月)で初登場したアベンジャーズのメンバー。マーベル・シネマティック・ユニバースでは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で初登場した。日本では原作においてはビジョンとも表記される[1]

マーベルの前身のタイムリー・コミックス英語版の同名のキャラクター「The Vision」におおむね基づいている。

出版上の歴史[編集]

最初のヴィジョンは、ジョー・サイモンジャック・カービーの作家チームによって『Marvel Mystery Comics』#13(1940年11月)で初登場した。ヴィジョンは現在のようなアンドロイドではなく別次元から来たピースオフィサーで、1930年代から1940年代にかけてアメリカン・コミックの黄金時代英語版を築いたマーベルの前身のタイムリー・コミックス英語版から出版されていた。

数十年後、作家スタン・リーロイ・トーマス英語版は、アベンジャーズに新しいメンバーを追加することを決めた。トーマスは黄金時代のヴィジョンを取り入れようとしていたが、スタン・リーはアンドロイドのメンバーを入れようとしていた。トーマスは最終的に、アンドロイドのヴィジョンという新しいキャラクターを作り出し折衷案となった[2]。この新しいヴィジョンは『The Avengers』#57(1968年10月)に初登場した。トーマスは、ヴィジョンのぼんやりとした名前にふさわしいような白いキャラクターにしたいと考えたが、当時の印刷技術の制限もあったため、紙面でインクが乗らない部分を使い無色の肌となった。その後、ハルクのような緑や、アトランティス(ホモ・マーマナス英語版)のような青を避け、最終的に赤い肌に落ち着いた[3]スタートレックスポックと比較されることがあったが、トーマスは当時のテレビシリーズをほとんど知らなかったと語っている[4]。ただし、ロボットのキャラクターを機械的ではなく同情的なものにした先駆者のアダム・リンク英語版オット・バインダー英語版の影響を受けていることは認めている[4]

The Avengers』#75(1970年4月)では、スカーレット・ウィッチ(ワンダ)がチームに加入し、すぐにヴィジョンとの恋愛関係が描かれた。トーマスは「ワンダのアベンジャーズでのキャラクターを掘り下げるために何らかのロマンスが役立つと考えた。ヴィジョンはワンダと同じマガジンにしか登場していなかったため、最終候補だった。そういった実用的な事情で彼らはペアになった。ヴィジョンが“人間”になろうとする良い要素でもあった」と述べている[2]。トーマスはさらに、ヴィジョンはアンドロイドのヒューマン・トーチ英語版ファンタスティック・フォーヒューマン・トーチとは異なる)から生み出されたキャラクターというアイデアを思い付いたが、『The Avengers』#93で曖昧な手がかりを残すだけに留まり、そのままシリーズの担当を去ることとなった。最終的に『The Avengers』#134-135で設定が活かされた。当時の作家スティーヴ・エングルハート英語版は「そのプロットは社内で長年よく知られていたが、トーマスやニール・アダムズ英語版の時には活かす機会がなかったので、僕の担当時にそのトーマスの贈り物を活かした」と語っている[5]

1972年クリー・スクラル・ウォー英語版からの巨大偵察ロボットが現れてヴィジョンの脳波を妨害する『マーベル・チームアップ』#5("A Passion of the Mind")にて、ヴィジョンはスパイダーマンとともに登場した。

Giant-Size Avengers』#4(1975年6月)にて、ヴィジョンとスカーレット・ウィッチは結婚した。さらにこのカップルは、ビル・マントロ英語版ペンシラーリック・レオナルディ英語版による期間限定シリーズ『The Vision and the Scarlet Witch』#1-4(1982年11月 - 1983年2月)にも登場した。これに続き、スティーヴ・エングルハートとペンシラーのリチャード・ハウエル英語版による続刊の#1-12(1985年10月 - 1986年9月)では、スカーレット・ウィッチは魔法の力によって、ヴィジョンとの子とされる双子の男の子を生み出した。

作家のジョン・バーン英語版による『West Coast Avengers』#42-45("Vision Quest"、1989年3月 - 6月)では、彼の初期の「人造人間」としての描写が抽出され、アンドロイドの性質が強調された。

その後、作家のボブ・ハリス英語版とペンシラーのマニー・クラーク英語版によるヴィジョンの単独シリーズ『Vision』#1–4(1994年11月 - 1995年2月)が制作された。そのおよそ10年後、作家のジェフ・ジョーンズとペンシラーのアイヴァン・レイス英語版による続刊(2002年10月 - 2003年1月)が制作された。

2005年4月から2006年8月まで12号を発行したシリーズ『ヤング・アベンジャーズ英語版』では、シンセゾイドのヴィジョンのプログラムファイルと、アイアンラッド英語版の装甲と精神エングラムを組み合わせた新しいヴィジョンが登場した。

2010年から2013年の『アベンジャーズ』シリーズでは、#19(2012年1月)から最終号の#34(2013年1月)までレギュラーキャラクターとして登場した。

2015年11月に再びヴィジョンの単独シリーズが開始し、#1から最終号の#12(2016年10月)まで登場した。

キャラクターの歴史[編集]

MCU版[編集]

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では、ポール・ベタニーがシンセゾイド(人造人間)である[6][7]ヴィジョンを演じる[8][9]。日本語吹替は加瀬康之が担当。

キャラクター像[編集]

その前身は、トニー・スターク/アイアンマンによって生み出され、彼をサポートする人工知能J.A.R.V.I.S.(ジャービス)”である。J.A.R.V.I.S.は覚醒したウルトロンによってプログラムを破壊されてしまうが、密かに記憶データを捨ててネット上に逃げ延びることで難を逃れ、ウルトロンに“セプター”で服従させられたヘレン・チョが製造した人工生体ボディへトニーとブルース・バナー/ハルクがJ.A.R.V.I.S.をアップロードさせ、予知夢で“インフィニティ・ストーン”のことを知ったソーが人工生体ボディに電撃を浴びせたことにより、新たな存在である究極の人造人間として誕生した。以降はアベンジャーズの一員として登場する。

その外見は人型であるものの、皮膚の色は赤紫色を基調としているため人間とは明らかに異なる容姿である。ボディはチョがクレードルで作り上げた人工細胞と合成されたヴィブラニウムを核とする人工皮膚で構成されており、アベンジャーズのヒーローたちのものを模倣した[6]シンプルなデザインのコスチュームと、黄色を基調とし赤紫色のアクセントのケープ[注釈 1]に身を包み、両腕にはガントレットが装備され、頭部には意識を集中させるためのヘッドカバーが搭載されている[6]

声色と常に落ち着きある性質はJ.A.R.V.I.S.と共通だが、人間的な感情に流されず[10][11]、怒りに身を任せることも、野心やエゴも持たないほど純情で[注釈 2]、ソーの武器である“ムジョルニア”を持ち上げることができる。同時に人間の命の脆さと、彼らが自身を高めようとすることを重んじている[10]。そのため、ソコヴィア協定の調印式の頃には、平時に市井の人々と同等の衣服を着用し、料理も試みていた。その反面、他者のパーソナルスペースとプライバシーを理解することがしばらくの間苦手だった。

感情に左右されない存在であったものの、ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチとは、“マインド・ストーン”によって超常的な力を得た者同士という共通点から特別な想いが芽生え、彼女への感情表現を躊躇することもあったが[10]、アベンジャーズの内乱後に追われる身となったワンダの逃亡生活に付き添い、彼女と共に過ごすうちに基本的な性質はそのままに、精神面は人間らしく成長。同時にワンダとは相思相愛となった。

能力[編集]

ヴィブラニウム製のボディは頑強なだけでなく、両腕だけでウルトロン・セントリーを容易く真っ二つに引き裂き、ジャイアントマンへと巨大化したスコット・ラング/アントマンの体勢を崩せるほどの体当たりを放つなどの超人的なパワーを有しており、加えてマインド・ストーンに由来する以下の多彩な特殊能力を駆使して戦う。

空中浮揚・高速飛行能力
誕生してすぐに披露した能力。
エネルギービーム[6]
マインド・ストーンの未知のエネルギーを発射する破壊光線。威力の調整も可能で、主な攻撃技として用いられる。
実体離脱[6]
身体の分子構造を変化させて物体の透過や、相手の攻撃を回避する能力。
インターネットへのアクセスブロック
両手をかざした対象のインターネットへのアクセス機能を遮断する能力。
擬態能力
肌色の皮膚と頭髪や眉毛などの毛髪を持ち、洋服に身を包んだ人間そのものの容姿に変貌する能力で、アベンジャーズの内乱以後にこの力の行使が可能となった。ただしヴィジョン自身が深刻なダメージを受けるとその姿を維持できず、元の外見に戻ってしまう。

アイテム[編集]

マインド・ストーン
インフィニティ・ストーン”のうちの一つである、思考・精神を司る力を持つ黄色の小石。以前は“セプター”の先端の容器に収められていたが、誕生前にウルトロンが取り出し、チョに製造させた人工生体ボディの額に移植された。そしてヴィジョンは誕生に伴ってこのストーンの所有者となり、自我と多彩な特殊能力を得た。しかしこのストーンを彼の額から直接的な方法で除去してしまうと、ヴィジョンは機能停止してしまう。

専用の武装はないものの、ウルトロンとの決戦でもソーが落としたムジョルニアを持ち上げて振るい、ワカンダでの戦いでは、コーヴァス・グレイヴの槍を逆利用して相手を倒した。

各作品での活躍[編集]

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
本作の中盤まではJ.A.R.V.I.S.として登場し、後半以降からヴィジョンへと生まれ変わる。
アベンジャーズ・タワーで誕生して間もなく、眼前にいたソーに掴みかかってしまうも、すぐさま自我に目覚めて思い留まり、自分はウルトロンとも人間とも異なる存在であると語って、アベンジャーズのヒーローたちから疑惑の目を向けられるが、ムジョルニアを持ち上げたことで信用され、アベンジャーズに協力してウルトロン軍団との決戦に同行。初陣ながらもウルトロンとは1対1でも渡り合うほどの実力や、仲間たちとの連携を見せ、浮上したソコヴィアの首都から逃げ遅れたワンダを救い、最終的にウルトロン軍団最後の1体を倒した。
その事後は、アベンジャーズに正式に加入する。
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
本作では、自らの能力に悩むワンダを案じており、いきなり壁を透過して彼女の自室に入室するという行為をとって叱られたり、自身もマインド・ストーンの超常的な力を恐れ、その全てを熟知しようとしていると打ち明けるなど、ワンダと惹かれあっていく。
サディアス・ロスがアベンジャーズに突き出したソコヴィア協定について、これまでの戦いによる被害を独自に分析した上で、協定は妥当と判断して調印を決意。その上で、トニーから頼まれたこともあって、ラゴスの戦いでの過失と協定調印保留によって立場が危ういワンダをアベンジャーズ・コンパウンドで守護を名目に監視・軟禁し、彼女の説得に現れたクリント・バートン/ホークアイを圧倒したものの、結局ワンダに地中へ押し込まれ、彼女はコンパウンドから出ていってしまう。
ワンダやスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカたちを止めるため、若干遅れた形でトニーたちに加勢し、ライプツィヒ・ハレ空港での大乱戦に参加。最後まで倒れることは無かったが、 弱ったワンダの介抱に気を取られたまま放ったエネルギービームが結果的にジェームズ・“ローディ”・ローズ/ウォーマシンに命中してしまい、彼を負傷させることとなった。
ローディに大怪我を負わせ、ワンダも守れなかったことを深く気に病み、物語のラストではコンパウンドで意気消沈していた。
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
本作ではワンダの逃亡生活に付き添い、彼女と共にスコットランドで2年間隠遁生活を送っていた。だが、マインド・ストーンを狙うブラック・オーダーの襲撃により、重傷を負って窮地に陥る。しかしそこに駆け付けたスティーブ、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウサム・ウィルソン/ファルコンに救われた。
アベンジャーズ・コンパウンドへ赴くと、サノスを止めるためにマインド・ストーンだけでも破壊すべきと主張し、いざという時は自分ごと破壊するようワンダに頼む。しかし、マインド・ストーンを摘出することができるのではないかとブルースに指摘され、スティーブの提案でワカンダへ向かう。
ワカンダでは、ティ・チャラ/ブラックパンサーの妹で天才科学者であるシュリの保護下に置かれ、決戦と並行してストーンの摘出手術を行っていたが、乗り込んで来たコーヴァスに対抗するため手術の途中で怪我を押して応戦。スティーブの加勢も手伝ってコーヴァスに辛勝するも、現れたサノスにストーンを入手させないため、ワンダに自らのボディをストーンごと粉砕させた。しかしサノスが“タイム・ストーン”の力を発動させたことにより、満身創痍の状態でストーンごと復元され、まともな抵抗もできないまま額からストーンを剥ぎ取られ、絶命する。

その他のメディア[編集]

テレビ[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ このケープは実体化・非物質化が自在である。
  2. ^ ウルトロンからも「堪え難いほどのウブ」と揶揄された。

出典[編集]

  1. ^ ビジョン|マーベル公式”. 2018年5月4日閲覧。
  2. ^ a b Walker, Karen (December 2010). “Shattered Dreams: Vision and the Scarlet Witch”. Back Issue! (TwoMorrows Publishing) (45): 59–65. 
  3. ^ Marvel Legend Reveals What Stan Lee Initially "Hated" About 'Age of Ultron' Breakout”. 2018年5月8日閲覧。
  4. ^ a b Marcus Errico (2015年5月6日). “The Secret Origins of Vision and Ultron: An Oral History”. Yahoo. 2015年5月26日閲覧。
  5. ^ Walker, Karen (February 2010). “Ultron: The Black Sheep of the Avengers Family”. Back Issue! (TwoMorrows Publishing) (38): 25. 
  6. ^ a b c d e ビジュアル・ディクショナリー 2019, p. 122
  7. ^ 超全集 2019, p. 50
  8. ^ Kroll, Justin (2014年2月6日). “Paul Bettany to Play the Vision in Marvel's 'Avengers: Age of Ultron'”. Variety. オリジナルの2014年2月7日時点におけるアーカイブ。. https://www.webcitation.org/6NDGuotzC?url=http://variety.com/2014/film/news/paul-bettany-to-play-the-vision-in-marvels-avengers-age-of-ultron-1201090635/ 2014年2月7日閲覧。 
  9. ^ 『アイアンマン』ポール・ベタニー、『アベンジャーズ』新ヒーロー・ヴィジョンに!”. シネマトゥデイ (2014年2月7日). 2018年5月4日閲覧。
  10. ^ a b c ビジュアル・ディクショナリー 2019, p. 123
  11. ^ 超全集 2019, p. 52

参考文献[編集]

  • 『マーベル・スタジオ・ビジュアル・ディクショナリー』デアゴスティーニ・ジャパン、2019年。ISBN 978-4-8135-2270-6
  • 『アベンジャーズ マーベルヒーロー超全集 (てれびくんデラックス愛蔵版)』小学館、2019年。ISBN 978-4-09-227211-8

外部リンク[編集]