ワンマンバンド
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ワンマンバンド (one-man band) は、1人で複数の楽器を同時に演奏する大道芸の一種。
演奏スタイル
[編集]音楽の手法として1人で複数の楽器を同時に演奏すること自体は古くからあり、14世紀の画家シモーネ・マルティーニの作品にも2本の笛を同時に演奏する男の姿が描かれている[1]。また、ヨーロッパの伝統的な楽器として笛と太鼓がセットになったパイプアンドテイバーがある[1]。
大道芸として扱われる目安は3種類以上の楽器の同時演奏であり、ギターを弾きながらハーモニカを吹きつつ打楽器を操作するといった方法などで演奏が行われる[2]。なお、この場合もジェシー・フラーのように大道芸ではなく音楽表現の一種として扱われることもある[3]。
日本でも江戸時代に三味線・太鼓・鉦を同時演奏する八人芸といわれる見世物が芝居小屋や寄席で演じられている[4]。現代の寄席芸人ではハーモニカ・ギター・カスタネットの同時演奏を持ち芸とする源氏太郎がいる[5]。欧米のワンマンバンドの影響を受けた大道芸人としては、10種類以上の楽器を同時演奏する野尻博がいる[6][7]。
ワンマンバンドが登場する作品
[編集]- 1964年にアメリカで公開されたミュージカル映画『メリー・ポピンズ』では、大道芸人のバートがチム・チム・チェリーを演奏する場面などが描かれている[8]。
- 1984年のチャールズ・キーピングによる絵本『Sammy Streetsinger』は、ワンマンバンドの大道芸人を主人公とする[9][10]。
比喩
[編集]バンド以外も含め、1人が複数の役割を担っている集団、独裁的なリーダーシップによる運営がされている集団を指して、比喩的にワンマンバンドと評することがある[11]。音楽分野以外では、1960年代のイギリスで労働党はハロルド・ウィルソンのワンマンバンドであると批判された例がある[12]。
出典
[編集]- ^ a b デイヴィッド・マンロウ 著、柿木吾郎 訳『中世・ルネサンスの楽器』音楽之友社、1979年、27-32頁。doi:10.11501/12433642。
- ^ 馬越ふみあき『イラスト事典大道芸大全』同文書院、1998年、160-161頁。doi:10.11501/14126487。
- ^ 「ギター・プレイヤー」誌 編『ブルース・ギタリスト : ジャズ、ロックのルーツを創った放浪の芸術家達』立東社、1978年、150-166頁。doi:10.11501/12434083。
- ^ 古河三樹『見世物の歴史』雄山閣出版、1970年、100-103頁。doi:10.11501/12438160。
- ^ 神津友好『にっぽん芸人図鑑 珍芸・奇芸・名人芸』主婦と生活社、1989年、181頁。doi:10.11501/13411416。
- ^ 「ご当地! 笑い発信者マップ 元気の種配ってます」『東京新聞』2007年1月3日、朝刊9面。
- ^ 「富山新聞芸能賞 作芸人磨心事務所社長 野尻博氏 大道芸で人と町を元気に」『富山新聞』2010年3月6日、朝刊28面。
- ^ 『ハリウッド・ミュージカル映画のすべて』音楽之友社、1995年、246-247頁。doi:10.11501/13416155。
- ^ 三宅興子『イギリス絵本論』翰林書房、1994年、138-139頁。doi:10.11501/13233262。
- ^ “ちひろ美術館コレクション チャールズ・キーピング”. いわさきちひろ記念事業団. 2025年11月12日閲覧。
- ^ 松田裕 (1990). “走れ、ワンマンバス 和製英語再考”. 英米文化研究 (関西学院大学) 18: 39-54. doi:10.11501/2371382.
- ^ 『外務省欧亜局資料 2』外務省欧亜局英連邦課、1966年、83-85頁。doi:10.11501/12184572。