ワニエソ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ワニエソ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: ヒメ目 Aulopiformes
: エソ科 Synodontidae
: マエソ属 Saurida
: ワニエソ S. wanieso
学名
Saurida wanieso
Shindo et Yamada,1972
英名
Wanieso lizardfish

ワニエソ(鰐鱛)、学名 Saurida wanieso は、ヒメ目・エソ科に分類される魚の一種。日本産エソ科魚類では最大種で、食用に漁獲される。

特徴[編集]

成魚は全長70cmを超え、日本沿岸で漁獲されるエソ科魚類の中では最大種である。和名マエソトカゲエソなどの同属種に比べて大型であることから、ワニに例えられたものである。また、学名の種小名も日本語名の"wanieso"で記載されている。

体型はマエソやトカゲエソに似て、頭部の前方に偏った目、大きな口と鋭い歯、円筒形の体型、上面が褐色・下面が白の体色などを特徴とする。ただしワニエソは同属他種より明らかに大型になること、尾鰭の上縁に黒点列がなく、尾鰭下側が黒いこと、オス成魚の背鰭第2軟条が糸状に伸びることなどで区別する。

生態[編集]

西太平洋インド洋の熱帯・亜熱帯海域に広く分布する。日本でも南日本の暖流に面した地域で見られる。

浅い海からやや深い海の砂泥底に生息する。東シナ海における漁場調査では、水深80m・水温18℃・塩分34.3前後の海域に多いというデータがある。食性は肉食性で、甲殻類頭足類を大きな口で捕食する。

産卵期は東シナ海で4-6月、壱岐対馬周辺海域では8-9月と地域によって差異が見られる。

利用[編集]

底引き網で漁獲されるが、マダイなどを狙った釣りで外道として揚がることもある。東シナ海はかつて本種を含むマエソ属の好漁場だったが、1950年代に14,000-18,000tあった漁獲量が21世紀初頭には3,000t前後までに減少しており、沿岸諸国による資源管理が課題となっている。

魚肉練り製品の材料として価値が高く、重要な魚種となっている。肉は白身で歯ごたえもあり、鮮魚として唐揚げ煮付け等に利用できなくはないが、太い小骨がたくさん通っており、そのまま食べるのには向かない。

参考文献[編集]