ワイン醸造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

ワイン醸造というと、通常、ブドウなどの原料選びから、瓶に詰めるまでの、ワインの製造過程のことを示す。ほぼすべてのワインはブドウからできているが、それは他の植物などから作られていてもよい。水で処理した後の蜂蜜を使った、蜂蜜酒というタイプのものもある。

ワインの醸造法は、大きく2つに分割することができる。それぞれ、通常の製造法(無炭酸)と、スパークリングワイン製造法英語版(炭酸が入るタイプ)というものがある。

ワイン醸造やワインについての科学は、ワイン学と呼ばれており、また、ワインを造る人は、ワインメーカー英語版(Winemaker)やヴィントナー(vintner)と呼ばれる。

製造過程[編集]

プレス作業によって抽出される成分が書いてある、ブドウの解剖図

最初に、収穫したブドウを、ワイナリーという建物に持ち込み、品質などによって選別したのち、発酵させる。この段階より、赤ワインの製造法と、白ワインの製造法に分かれる。

赤ワインの場合、赤ぶどうか、黒ぶどうのムストより造られ、また発酵は、ワインに紅い色を付けるブドウの皮の成分により行われる。白ワインも同様に、搾ったブドウからジュースを抽出することによって、発酵という作業を通して造られる。その際、ブドウの皮などは勿論除去される。たまに白ワインは、ブドウの皮との接触をできるだけ抑えるという技法で、赤ぶどうを材料として製造される場合もある。ロゼという品種のワインは、赤ワインと白ワインを混ぜたりするような特殊な技法によって、独特のピンク色を出すことができる。白ワインやロゼワインは皮に含まれるタンニンをあまり抽出せずに造られる。

ワインにおいての一次発酵を開始するためには、まず、酵母を加えるか、酵母が空気中に存在することが重要である。酵母を加え、発酵を行っていると、やがて二酸化炭素がブドウ果汁のうちの多くの糖分を、アルコールに変えるようになる(その後いずれ二酸化炭素は、大気に失われる)。

一次発酵が終わった後、フリーラン果汁(ブドウをつぶした後、自然に滴る果汁)いうものを、ポンプを使ってワインをためているタンクへ流し、皮を圧搾して残りの果汁とワインを抽出する。その後、製造者の裁量で、プレス果汁(フリーラン果汁をタンクへ移した後、残った固形分から絞り出す果汁)がフリーラン果汁へブレンドされた後、ワインは暖かい環境に置かれている内に、ワイン内の糖分は、アルコールと二酸化炭素に変化する。

赤ワインの製造における次の作業は、マロラクティック発酵というものである。これは、「シャキシャキした青りんご」から抽出されたものという基準のリンゴ酸を、比較的柔らかい乳酸菌に変換させ、ワインの味をまろやかにさせる作業である。

赤ワインは時折数週間または数か月間オーク樽に移して成熟させる場合もある。こうすると、ワインに樽の香りとタンニンをワインに与えることができる。また、それ以前にワインは、寝かして澄ましたりするなどして調節することも大事なのである。

ブドウを収穫して調達してから、ボトリングされて飲まれるまでの間には、ボージョレ・ヌーヴォーのように数か月しかかからない場合もあれば、高濃度の、タンニンまたは糖分が高ワインのように、20年以上かかる場合もある。しかし、たった1年後よりも5年後に味わいがよくなるものは赤ワインで10%、白ワインで5%ほどしか存在しない[1]

ワイン醸造者(ワインメーカー)が目指しているワインの質などによっては、これらの今述べたような作業を省いたり、組み合わせたりすることもある。

また、同等の品質を持ったワインの多くは、ある生産方に類似こそしているも、明らかに違ったやり方で生産されており、品質は出発材料の属性によって決められるので必ずしも醸造中に取られる措置ではない。その場合、以下のような手順が取られる。

スパークリングワインシャンパンといったものの場合、付加的な「二次的」発酵というものがボトルの中で自然とおこなわれ、ワインの中に閉じ込められていた二酸化炭素が融け、独特の泡が発生するのである。また、甘みの強いスイートワイン英語版や半辛口のオフドライワインは、内部のすべての糖分がエタノールに変換され、残った糖分を残す前に発酵を阻止していることから造られている。

甘口ワインというものは、初期の糖度を、ブドウの収穫時期を遅らせて(後期収穫ワイン英語版)凍結させ(アイスワイン)、灰色かび病の原因となるBotrytis cinereaという菌に乾燥させたままにする、または、そうさせるように促す、もしくはブドウをの上で乾燥させて干しブドウにすることにより、増加させることによって製造される。中でも特に、高糖度のワインだと、液中の濃度が高い糖分とエタノールが、酵母活性をだんだん遅らせるので、発酵は自然に停止する。

同様に、ポートワインの様な、アルコール度数の強いワインとなってくると、決まった時期に強制的に発酵を止め、ある程度の決まった糖分レベルに達した際にアルコール含有量を調整するために、ブランデーが別に加えられる場合もある。

他のケースだと、ワインメーカーは、ブドウ酒とは別に、甘めのブドウジュースを用意しておき、発酵が終了したワインに追加する場合もある。これは、ドイツ語でSüssreserveと言われ、知られているテクニックである。この作業において、汚水絞りかす、おりなどが発生するが、作業の最後で、これらを処理したり、リサイクルしたりするプロセスが存在する。

ブドウ[編集]

ブドウの品質は、何よりも第一にワインの品質を決める。

ブドウの品質は、その地域における季節の気候や品種、土鉱質物および酸味、収穫の時期などに影響される。

こういった、ブドウに影響する、栽培環境などの情報をテロワールという。

ワインに使われるブドウは、普通、北半球では9月上旬ら12月初上旬にかけて南半球では2月中旬からぶ3月上旬にかけて、葡萄園にて収穫される。しかし、タスマニアのような、南半球の比較的涼しい地域においては、5月ぐらいにはやめに収穫されることもある。

ワインに使われるブドウで最もよく使われる品種は、ヨーロッパブドウであり、ほとんどのヨーロッパで造られるワインは、そのブドウを使用している。

収穫と除梗[編集]

収穫されたブドウ(カベルネ・ソーヴィニョン)

ワイン醸造における収穫は、その名の通りブドウを摘み取ることであり、ほとんどの場合ワイン醸造における最初の作業となっている。

自動茎取り器(アメリカ、カリフォルニア州ナパ郡のワイナリー)

普通、ブドウは手作業か機械で、ワイン製造者の判断によって、ブドウにおける糖分(Brix)、酸、phの濃度、などを参考に、ブドウが分布している場所や天気などの考慮のもとつみ取られる(季節学的な熟成、ベリーフレーバー、タンニンの発達などを参考に摘み取られる場合もある)。

収穫には、プラスチックやゴムでできた棒を用い、ブドウ畑にあるブドウのもみがらを取り除くという仕組みの、機械式収穫機を用いることが多い。

ナイト・ハーベスト(夜間にブドウを収穫すること)を行っているワイン製造者(アメリカ、カリフォルニア州ナパ郡)
自動除梗器の中心の部分。小さい円形のスロットの上にある部分が回転して、ブドウの茎を取り除く仕組みとなっている。 茎をもぎとられたブドウは、円いスロットの中に放り込まれる。だが、ごく少量の茎粒子は、ワインの適度なタンニン構造のために、保たれることが望ましい。

機械式収穫機は、短時間で、広範囲に分布しているブドウを物色できるという利点があるが、ブドウ以外の異物(多くはブドウの茎や葉、金属片や石)も一緒に取り込んでしまうという欠点もある。

米国では、ブドウジュースの無差別的な摘み取り及び果実の傷つきによる酸化還元反応を阻止するため、機械式収穫機は、高級ワインの製造ラインにおいてはめったに使用されない。だが、オーストラリアニュージーランドなどの別の国々では、労働力不足のため、機械式収穫機でのブドウの収穫が一般的である。

米国では、収穫機を使わずに手作業で収穫したブドウは、ワイナリーへ輸送する前に、1トンもしくは2トンビンへ分割される。手作業においての収穫は、熟れたブドウと熟れていないブドウや病気になったブドウを正確に選別できるという利点がある。また、手作業での収穫は、熟れていないブドウが熟れたブドウの中に混入し、汚染することを防ぐ効果もある。

茎取りは、その名の通り、ブドウの果実である部分と茎の部分を分別する作業である。ワイン生成手順によっては、生成するワインのタンニン濃度や植物性フレーバーを低下させるために、この作業が行われることもある。                               

破砕と第一次アルコール発酵[編集]

昔の人々は、ワインを製造する際に、裸足でブドウを潰していた。
ワイン醸造に使用されるコルクスクリュー型のコンベアは、機械式ブドウ破砕機の上に配置されている。 中に放り込まれたブドウの塊は、最初にそこで粉砕され、次いで茎から分離される。 果汁、皮、種子などは底から排出されるが茎は、後端部から排出される。

破砕は、ブドウをやさしく圧搾して皮をむき、果実の内容物を遊離させる作業である。より伝統的な、あるいは小規模のワイン醸造だと、裸足もしくは安価な破砕機を用いてこの作業が行われる。しかし、大規模なワイン醸造であれば、巨大な機械によって、破砕や茎取りが行われることが多い。白ワインを造る際には、砕かれた果実のなかに、茎の部分も一緒に放り込まれるのが普通である。赤ワインの場合、茎は、タンニンの量が多いので、発酵の前に取り除かれる。その代わり、赤ワインには、タンニンに加え、緑色のピーマンのにおいを思わせるような、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジンの抽出に起因する植物性の香りを添加する場合もある。場合によっては、ブドウが必要以上のタンニンを含まない場合は、ワインメーカーは、一部のブドウを残す場合もある。これは、ブドウの茎が、「熟した」状態であったり茶色に変色していたりしていたら、より受け入れられることである。製造過程における茎の切除というものは、ワインに余計な量のタンニンを含ませないということを意味する。これらの場合、茎を切除されたブドウは、皮とその中の果実の部分を分離するために、2つのローラーを通過しなければならない。特に、ピノ・ノワールシラーなどといった「希少な」品種においては、部分的な炭酸ガス浸潤によるフルーティな風味の維持のため、ブドウのすべてまたは一部を砕かずに残す場合もある。

破砕されたブドウが、破砕機から出ていく様子

ほとんどの赤ワインの色は、使用したブドウの皮の色に由来している。したがって、絞られた果汁と果皮の関係は、色素抽出物の欠かすことのできない要素である。赤ワインはタンクの中で茎を取り除き、潰され、発酵(浸軟)の初めから終わりまで常に果汁と接触した状態で果皮は放置されるといった形で、製造されている。だが、未熟性果実の果汁と皮との極限状態の小さいプレスにより、赤のブドウから白(無色に近い)ワインを作り出すことは不可能ではない。

一方で、白ワインの場合だと、ブドウの破砕や茎取りが行われることなく処理され、すぐにプレス機へかけられることが多い。これは果実の皮や種子からタンニンの抽出を避けるだけでなく、適切な果汁の流れを、ばらばらになったブドウではなくてブドウの房のマトリックスを通して維持させるためでもある。状況によっては皮同士を接触させるために、ワインメーカーが3~24時間ほど白ブドウをつぶすこともあり得る。これは、皮の部分からフレーバーとタンニンならびに、重酒石酸塩(酒石酸水素カリウム)の沈殿に関連するカリウムやイオンをも抽出する役割がある。またそれは、過度に酸性なブドウに望ましい可能性のある果汁のphの上昇ももたらす。これは1970年代より、ソーヴィニヨン・ブランシャルドネの生産者を中心に、今日まで行われているプロセスである。

ロゼワインだと果実は粉砕され、皮はワインメーカーが望むワインの色を抽出するのに十分な長さだけ果汁と接触させた状態にさせる。通常ムストは圧力かけてつぶされ、如何にも白ワインを造っているかの如く発酵をワインメーカーが続かせる。

一方で、酵母はブドウの果実の上にあらかじめ存在しており、粉状の外観として見えることがしばしばである。一次発酵またはアルコール発酵は天然の酵母によって行うことも可能だが、既存の酵母だと予期せぬ結果をもたらしかねないため、ムストに培養酵母が添加されることもある。天然の発酵体に頼った際の主要な問題点の一つとして、発酵が完全に終了することに失敗することであるが、言い換えると、これは糖分が完全に発酵できなかった状態ともいえる。先述した方法だと、ドライワインを甘くすることさえ可能なのである。だが、この方法だと、天然の発酵物は、しばしば副生成物としての不快な酢酸の生成を引き起こす。

発酵途中の赤ワイン

一次発酵の間に、酵母細胞は所定の糖分に栄養を与えながら増殖し、二酸化炭素ガスとアルコールを生み出す。発酵の最中の液中温度は、最終生成物の味及び発酵速度に影響を及ぼす。赤ワインの場合だと22~25℃、白ワインだと15~18℃に保たれる。砂糖1グラム程の糖分比例して、およそ0.5グラムのアルコールが生成されるので、アルコール濃度が12%となるには、ムストの中の糖分濃度が約24%でないといけない。ムスト中の糖分濃度は、糖度計いう特殊なタイプの液体比重計英語版の助けを借りて計算される密度及びムストの重さによって判明するのであり、ブドウの果実そのものの糖分濃度が低めの場合、また別に砂糖を追加することも可能である(チャプタリゼイション英語版)。しかし、より商業的なワインの生産に関しては、チャプタリゼイションの作業は、生産地の規制に従う必要がある。

強めのアルコールに耐えられる酵母を用いると、12%以上のアルコール含有量を達成することができる。ある種の特殊な酵母は液中で18%以上のアルコールを生成することができるがしかし、追加の糖分が添加されることも多い。

ワインのアルコール発酵中または発酵後に、特定の菌株がリンゴ酸をより穏やかな乳酸に変える間に、二次発酵(マロラクティック発酵)を行うことができる。この発酵は、所望の細菌を接種することによって開始される場合が多い。

プレス

古代の人々がワイン造りの時に、プレス作業を行っていたところ(イスラエル)

ワインにおいてのプレス作業は、ブドウやブドウの皮からジュースなどを分別するために、果実や絞りかすに圧力をかける行為である。これは、必ずしもワイン造りに必要なことではない。ブドウが粉砕されると、醸造に利用できるかなりの量の果汁が自然と遊離する。これがいわゆるフリーラン果汁というものである。典型的には、このフリーラン果汁というものは、プレス果汁というものより高級である[要出典]。しかし、プレス果汁のほうが希少なフリーラン果汁に対し、簡単にワイン中の15%~30%を占めることができるため、多くのワイナリーは、プレス果汁を多く使っている。

プレス作業は、かたい表面と可動な表面との間にブドウの皮若しくはブドウ全体の房を配置したのち、表面との間の容積を少しずつ減少させることによって行われる。現在のプレス作業は、機械の持続時間と果実にかける圧力をあらかじめ決定した上で行われ、通常0バールから2.0バールにまで上昇する。時にはワインメーカーは、プレス果汁の流れを分けるための圧力を選択し、その技術は「プレスカット」と呼ばれる。作業にかかる圧力が増加するにつれ、ブドウの皮などから果汁へ抽出されるタンニンの量が莫大なものとなり、しばしばプレス果汁をもタンニン酸あるいは粗悪なものにすることがある。また、果実(水分及び酸は主に中果皮または果肉中に存在するが、タンニンは外果皮または皮及び種子中によく存在する)中のブドウ果汁成分の存在位置のために、プレス果汁やワインはフリーラン果汁よりphが高く、酸性度が低い傾向がある。

近代以前のワイン醸造においては、プレス作業は木製の圧搾機を使って手動で行われていた。木製圧搾機は、固定板の上に取り付けられてある木の板で作られたシリンダーに、下方へ押し付けることが可能な可動プレートがあるという構造である。プレス機の操縦者は、ブドウやその絞りかすを木製シリンダーに積み込み、さらに天板を所定の位置に置いて果汁が下方へ流れるまで下降させる。やがて果汁の流れが弱くなってくると、板は再び固定される。このプロセスは、プレス果汁またはブドウ酒そのものの品質が標準にまで達する、若しくはすべての液体がプレスにかけられたと監督者が判断するまで続く作業なのである。

世界遺産となっているブドウ畑にあるプレス機

赤ワインの場合、ムストは液体から皮や他の固形物を分離する第一次発酵の後、プレスされる。一方白ワインの場合だと、ムストは発酵の前に分離される。ロゼワインの場合となると、ブドウの皮は液体に独特の色を着色するために、少しの間ムストと接触させる。そういった作業ののち、いくらかの年月が過ぎたら、ワインは液中に残っている死んだ酵母または、他の固形物(所謂おり)から分離され、そこから第二次発酵を行うために液体は新しい容器に移されることとなる。

ピジャージュ[編集]

ピジャージュ(Pigeage)とは、フランス式のワイン造りに関する用語であり、開放式発酵タンクにおける伝統的な、ブドウ踏みつぶし技法のことである。ある種のワインを造る為、ブドウは専用の搾り機にかけられた後、開放式の発酵タンクへ注がれ、アルコールによる発酵が始まると、ブドウの皮は、発酵過程で生じる二酸化炭素ガスの力によって、表面に押し出されるのである。この際に生じるブドウの皮及び他の固形物の層は「キャップ」と普通呼ばれる。皮はタンニンの源であるがために、キャップは毎日液体を通して混合されるか、バットを通して叩かれる必要がある。

冷却(安定化)[編集]

冷却による安定化というのは、液中の酒石酸塩(一般的には酒石酸水素カリウム)の結晶を還元する作業である。ワインの中に存在する酒石酸塩の結晶は、砂の粒の如き外見をしており、それらは「ワインのダイアモンド」もしくは「ワインクリスタル」という名称でも知られている。またそれらはカリウムと酒石酸の結合で成り立っており、一見すると液中で沈降しているように見えるが、実はそうではないのである。第一次発酵が終わった後、液体は1~2週間程冷凍状態に近づくようになる(温度が低下する)。これは酒石酸塩の結晶がワインより分離し、容器の側面の結晶が付着することを引き起こす原因となる。ワインが容器の中から流出されると、酒石酸塩がその中に残される。またそれらは、非常に低い温度の中で備蓄されているワインの容器に注ぐことも可能である。

第二次(マロラクティック)発酵と熟成[編集]

ワインの発酵が行われている鋼鉄の円筒と、内部で液体の熟成が行われているオーク樽(イングランド、グロスタシャー)

液中のリンゴ酸を特殊な菌を利用して乳酸へ変えるマロラクティック発酵及び三か月を要する熟成過程において、ワインの発酵は非常にゆっくりと進行していく。液体の酸化を防ぐため、ワインはエアロックされた特殊な容器に保管されることとなる。ブドウにおけるタンパク質は、分解され、残存の酵母細胞及びブドウ由来の他の粒子は沈殿する。その後やがて酒石酸カリウムもまた析出しはじめ、ボトリング後の酒石酸塩結晶が出現されるのを防ぐための冷安定化によってそれらを補強することができる。これらの過程の存在により、元々濁ったワインが澄むようになるのである。またこの過程において、一旦ワインを棚に収納することも可能なのである。

二次発酵というものは、ブドウ酒製造者の目標に応じ、数立方メートルの大型ステンレス鋼製容器、オーク樽及びガラス製の大瓶(カーボイとも呼ばれる)にて普通行われる。一方でオーク樽で熟成されなかったワインは、液体の最終的な味覚に影響を及ぼさないステンレス鋼などからできた容器で発酵が行われる。望まれる味において、ブドウ酒をステンレス鋼の中で完全に発酵を終わらせたりするか、またはその中で一時的に発行させたのち、オーク樽に注いで保管させるということもなされる。オーク樽へ注入する作業は、第一次発酵が非木製の容器にて行われた際に、一種の補いとしてよく行われる作業である。これは、より安価なワインの醸造過程においてよく行われる作業である。

また、初心者のワインメーカーは、醸造中に、大型の、ガラスでできたデミジョンと呼ばれる瓶に一旦ワインを移す作業を行うことも少なくない。デミジョンという瓶は、およそ4.5~54リットルの容量が存在する。用いられる容器は、醸造中のワインの量、それに使用されているブドウの品種、及びワインメーカーの意図に依存する。

マロラクティック発酵[編集]

マロラクティック発酵は、乳酸菌がリンゴ酸を、物質代謝で乳酸と二酸化炭素に変化させた際に起こる。これは、特別に培養されたバクテリア(細菌)の菌株が液中で成熟したワイン、または未培養の乳酸菌が液中に存在するワインに、よく行われる処置である。マロラクティック発酵は、液中の高濃度のリンゴ酸が不快で酷い苦みを生む一方、乳酸はより穏やかで酸味が少ないので、リンゴ酸の濃度が高いワインの味を高く向上させることができる。乳酸は、主に乳製品の中に存在する酸である。この作業を行うことにより、ワインの全体的な酸の量を減少させることが可能なのである。なぜなら、リンゴ酸には二つの酸基(-COOH)が存在するが、乳酸は酸基が一つしかないからなのである。だがしかし、液中のpHは常に監視され、白ワインの場合はpHが3.55、赤ワインだと3.80を上回らないようにする必要がある。おおよそのpHは1グラム毎リットルの酒石酸添加に対し、0.1単位の割合で減少させることができる。

マロラクティック発酵における乳酸菌の作用は、いくらかのシャルドネが液中の細菌によるジアセチルの生産のために、「バターのような」風味を仕立て上げることが可能な理由なのである。ほとんどの赤ワインは、完全なマロラクティック発酵を経て、液中の酸を減少させ、二度目のマロラクティック発酵が起きる可能性を排除する。一方、白ワインの場合、マロラクティック発酵の使用法は様々である。中でも軽めの芳香性ワイン(リースリングなど)は、一般的にマロラクティック発酵を経ない。樽仕込みのシャルドネのようなもっとコクのあるワインとなると、マロラクティック発酵にかけられる方が一般的である。場合によっては、50%未満の部分発酵というものが行われることもある。

研究所でのテスト[編集]

ワインに含まれる二酸化硫黄の量を調査している様子

ワインが容器の中で熟成が進んでいるかどうかに関わらず、テストは定期的に研究所にて行われ、ワインの状態をチェックされる。一般的な実験においては、BrixpH、(滴定可能な)酸度、残存糖、(遊離しているもの及び利用可能なものを含む)硫黄、揮発性酸度にアルコールの濃度まで厳しくチェックされるのである。追加のテストは、酒石酸(酒石酸水素カリウム)の結晶化及び熱不安定性タンパク質の液中における沈殿のためのものが含まれており、このテストは白ワインにのみ限定されるテストである。これらは主に、ワインの瓶詰め作業の直前に行われることが多い。これらのテストの結果に応じ、ワインメーカーはそれに適当な処置、例えば二酸化硫黄の添加などを行うことが可能である。のちに、官能検査といったものも行われるようになり、これらに対応して、ワイン製造者はブドウ酒の味を穏やかにするためのタンパク質添加などの処置を、行うことができる。

°Brixとは、ブドウ果汁内の可溶性固形物の1つの尺度であるが、これは必ずしも砂糖に限ったことではなく、塩、酸、更にはタンニンなどの様々な固形物も含まれており、これらは時には、Total Dissolution Solids(TDS)英語版とも呼ばれる。なぜなら糖というものは、ブドウ果汁の中の主要な化合物なのであり、この計算単位は有効的に糖分の尺度となるからなのだ。ブドウの糖分レベルは、ブドウの成熟度の間接的指標と共に、ワインの最終的なアルコール含有量をも決定する。Brix (略して言うとBx)は、100グラムの溶液あたりの重さ(グラム)で測定されるため、20 Bxは100グラムの溶液(果汁)に、20グラムの化合物が溶けているということを意味している。他にもエスクレ(Oechsle) (ドイツ)、Beaume(フランス)など、多くのブドウ果汁の糖度を表す尺度が存在する。フランス語由来のボーメ度(略してBe°もしくはBé°)においては、1Be°は約1%のアルコールに相当する。また、1Be°は、1.8Be°(100グラム当たり1.8グラム)の糖分濃度に等しい。これに従って、1%のアルコール含有を達成するために、ワイン製造者は100mlあたり1.8グラムの糖分もしくは、1Lあたり18グラムの糖分を添加する。これは、一部の国やカリフォルニア州などで違法とされている補糖法とされている。

Brixは、通常、屈折計若しくは比重計で測られ、一般的に、比重計は安価な代用品とされている。

揮発性酸度のテストは、蒸気蒸留可能な酸が液中に存在するか確認するためのものである。主に存在するのは、酢酸(の主成分)、乳酸酪酸プロピオン酸ギ酸である。通常、これらの検査は現金を通して行われるが、HPLC、ガスクロマトグラフィー、酸素法などの方法も存在する。健全なブドウにみられる揮発性酸度は微生物代謝の副産物であるが故に、無視することが可能である。なぜなら酢酸菌は増殖するために酸素を必要とするため、ワイン容器の空気を除去してくれるだけでなく、二酸化硫黄の添加も菌の増殖を制限するからである。かびの生えたブドウを拒否することにより、酢酸菌に関連した問題の発生を防ぐことが可能である。二酸化硫黄の使用や濃度の低いビタミンAの接種といった方法で、サッカロミケスの菌株を生産することにより、酢酸生成酵母が抑制される可能性が存在する。ワインから揮発性の酸性度を除去するための比較的最近考えられた方法は、逆浸透というものである。

混合法というものは、ビタミンAの濃度が高いワインにも役に立つ方法である。濾過する(微生物を除去する)ことができる。またビタミンAの濃度が低めのワインの場合は、酢酸のレベルを感覚閾値以下にすることも可能なのである。

液中の二酸化硫黄というものは、比較的単純な実験装置で容易に測定が可能である。それには複数の方法が存在する。典型的なタイプのものはサンプルをリン酸で酸性化し、遊離した二酸化硫黄を蒸留し、過酸化水素水の中に集めるというものである。もう一つの方法は、二酸化硫黄と過酸化物は反応すると硫酸が生成されるという原理を上手く使い、指示薬を用いて終点まで液中の水酸化ナトリウムで滴定し、必要とされる水酸化ナトリウムの量を用いて算定する方法である。この方法は、

混合法と清澄法[編集]

いくらかの特殊なワインは、製造者の望む味を達成するために、ボトリングの前に別のワインとの混合(ブレンド)がなされる。ワイン製造者は、異なる条件下で生産された、異なる種と樽番号からなるワインを混合することによって、知覚されたワインの不十分さを訂正することができる。こういった調整は、液中の酸やタンニンのレベルを調整するのと同程度に簡単なものから、一貫した味を実現するために色々な品種やヴィンテージを混合するような複雑なものにまでなり得る。

防腐剤[編集]

ワインにおいて最も一般的に使用される防腐剤は二酸化硫黄(SO2)であり、通常、液体二酸化硫黄、ナトリウム及びピロ亜硫酸カリウムのいずれかの形態でワインに添加される。

濾過[編集]

ボトリング[編集]

ワイン生産国[編集]

伝統的にはヴィントナー(vintner)という呼び名を持っているワインメーカーは、普通、ワインを製造することに関しての保証が認められた者のことを指す。彼らは、ワイナリーなどの従業員である場合も多い。

国家 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
フランスの旗 フランス 44,381 50,757 41,548 42,004 46,698
イタリアの旗 イタリア 48,525 42,772 45,616 52,029 44,739
スペインの旗 スペイン 35,353 33,397 31,123 45,650 41,620
アメリカ合衆国の旗 アメリカ 20,887 19,140 21,650 23,590 22,300
アルゼンチンの旗 アルゼンチン 16,250 15,473 11,778 14,984 15,197
オーストラリアの旗 オーストラリア 11,420 11,180 12,260 12,500 12,000
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ 9,327 9,725 10,569 10,982 11,316
中華人民共和国の旗 中国 13,000 13,200 13,511 11,780 11,178
チリの旗 チリ 8,844 10,464 12,554 12,820 10,500
ドイツの旗 ドイツ 6,906 9,132 9,012 8,409 9,334
ポルトガルの旗 ポルトガル 7,148 5,622 6,308 6,237 6,195 7,063 5,650
ロシアの旗 ロシア 6,400 6,353 6,400 6,200 6,000
ルーマニアの旗 ルーマニア 3,287 4,058 3,311 5,113 4,093
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 1,900 2,350 1,940 2,484 3,204
ギリシャの旗 ギリシャ 2,950 2,750 3,115 3,343 2,900
その他の地域 27,847 30,906 27,194 31,177 31,526
世界全体 264,425 267,279 257,889 291,902 278,800

関連項目[編集]

参考図書[編集]

    • Thomas Pinney, The Makers of American Wine: A Record of Two Hundred Years. Berkeley, CA: University of California Press, 2012

参考資料[編集]

  1. ^ Jancis Robinson (2003). Jancis Robinson's WINE COURSE, A guide to the world of wine. BBC worldwide Ltd.. p. 39.